フラガール

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hura

ずっと観たかったのですが、ようやく。よくやっている映画館があったなぁ~という感じです。

でも正直DVDでもいいかな、と思っていたんです。でも観てよかったです。期待以上でした。

最近観た邦画の中では、№2の内容といったところ。ちなみに№1は「ゆれる」です。これはそう簡単に超えそうにありません。

「フラガール」 何がそんなに良かったかと言われると何でしょうね。

昭和40年頃を書きながら、変に郷愁を誘うようなことは一切なく、実話に基づきながらも実話にありがちなじめっとした辛気臭さはない。しっかりとエンターテインメントを創り上げていることでしょう。事実と虚構の狭間、でも嘘くさくなくちょっと事実寄りという立ち位置を見事に映像化しています。傾きゆく炭鉱町の厳しさを描きながら、そこに生きる人は優しすぎることなく冷たすぎることもなく、賢すぎることもないけれどバカでもない。その匙加減がリアリティを醸し出し、登場人物を生かしている。だから泣けたのです。


『フラガール』  李相日監督 松雪泰子/豊川悦司/蒼井優主演


旧常盤ハワイアンセンターの話です。今は名称が変わっていますが、この手の施設がどんどん潰れる中、堅調な業績を残している類稀な施設です。この施設はもともと炭鉱町だったいわきの町おこしのために造られました。その時代、炭鉱夫の娘が妻がリストラされる父親や夫のため、つまりは家計を支えるために、フラガールになっていく話です。その中で当然古い価値観に縛られている人たちとの対立があります。でも元炭鉱夫でありながら、新たなものに果敢に挑戦しようとしている男たちもいます。当然対立が生まれます。どっちが正しく、どっちが悪いわけではない。今だからこそ、炭鉱はもうダメなのにと言えますが、当時の炭鉱夫たちには誇りがあり、そう簡単に新たなものを受け入れることはできません。ましてや情報量も少ない時代の東北の田舎町のこと、なおさらです。でもこうした葛藤は十分今の時代にも通じることです。


この映画を観て感じたのは、今の時代の、とりわけ都市部の風潮は、贅沢な環境で最高の教育を受けさせ、いじめや虐待など、人と人との軋轢がない中で子どもが育つことが幸せだし、子どもの将来のためだと信じられています。もちろんいじめや虐待は問題外ですが、自分の人生を自分で選んでいく強さ、明日に向かっていく力は、何も順風の中だけで得られるものではないとも思います。閉塞感のある町の中でも、みんな強く優しく、時に柔軟です。


この映画を語るとき、女性の強さということがよく言われますが、それだけではなく、男性に支えられて女性が生きています。ハワイアンセンターの吉本部長(岸部一徳)は、よくあの時代に飄々と部長を引き受け、女の子たちを引き連れて、宣伝活動にまわり、時に平山まどか先生(松雪泰子)を叱咤激励し、無事オープンまでこぎつけることができたものだと思います。それを縁の下の力持ちで支えるスタッフの男性も出てきます。その人はフラガールの中の主役・紀美子(蒼井優)の兄・洋二朗(豊川悦司)の友人で、もちろん炭鉱夫からの転身組です。彼もまた、ヤシの木が枯れるからと、反対派に土下座をしてストーブを借ります。最初は頑固だった洋二朗もやがては紀美子やまどか先生の良き理解者になります。


生きる力というものは、逆境にこそ生まれるものだと、この作品を観て思います。それはキレイごとだけではなく。

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