角川エンタテインメント
博士の愛した数式

原作を読まずに映像のみで堪能。

最近、小説か映画かどちらかしか読まない・観ないパターンが増えた。

比較してがっかりしたり、違和感を感じるより、その方が良いような気がしている。

この作品も原作のイメージを壊すという批評もあるが、映像のみの世界観だけを知れば、わりと好きな作品。


『博士の愛した数式』  小泉堯史監督・脚本 小川洋子原作 寺尾聰/深津絵里主演


シングルマザーの家政婦(深津絵里)は、家政婦紹介所のアレンジでちょっと奇妙な家庭で働くことになる。資産家のようだが、影のある未亡人(浅丘ルリ子)とその離れに住む元大学教授の博士(寺尾聰)。博士は事故が原因で記憶が80分しかもたない。家政婦が派遣される目的は、この博士の世話で、毎日同じ会話が繰り返されることになる。記憶の積み重ねがないということは、人間関係も積み重ならないということ…。


でも実際には、時間を経るごとに家政婦と博士の間には確かな人と人との結びつきが育まれていく。その媒介となったのは、家政婦の10歳の息子だ。息子がいることを知った博士は、小さな子どもがひとりで留守番をしていることに居ても立ってもいられず、学校帰り息子も博士の家に迎えるように促す。その翌日から博士は息子を√(ルート)と呼び、深い愛情を注ぐようになる。


子どもに対峙する博士の人間性は秀逸。

特に「子供の方が大人よりよほど深く難しいことで悩んでいる」(←一語一句は不正確)というようなセリフに感動。


大きなうねりがあるわけではなく、物語は淡々と優しく進む。未亡人の葛藤、家政婦との対立は描かれているが、本筋とは言えない。冒頭に原作を読んでいないと書いたが、読まないまでもこの映画の内容はいかにも文学的で、映像化に適しているかどうかは何とも言えない。映画につい求めがちなリアリズムの観点からいくと、子どもたち(√やその周辺の野球仲間など)が良い子すぎるのも、家政婦が素直すぎるのも不自然だ。描くべき主題は別にあり、そのためにはリアリズムを追うことはあまり意味がなかったということだろう。ただそれが映画としてみせるにはやや観念的だったのかもしれない。


だからなのか、大きくなった√(吉岡秀隆)が狂言回し役。でも正直、これは要らなかったような気もする。彼がしゃべりすぎたことで、映像から醸し出す時をゆっくり追うような情感がそがれ、まるで回想シーンを追いかけるだけの内容に思える断面が浮き出てしまって残念だった。この映画に謎解き役は必要ない。感じることで十分に、伝わるものがある。

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yureru

最近超大作を避けて通っている新作映画鑑賞…。

小粒だけど、心を描いた映画を探しているような感じ。

それが「大正解」と思わせてくれた、私の中で間違いなく近年の日本映画の№1がこの「ゆれる」。

31歳の美しい監督西川美和さんの類稀な才能に、激しく嫉妬し、でも認めざるを得ない。


『ゆれる』  西川美和監督・脚本 オダギリジョー/香川照之主演


地方の山間の町。ガソリンスタンドを経営する父・勇(伊武雅刀)、それを支え、親族間や地域、従業員に人望が厚い長男・稔(香川照之)。東京で写真家として成功している次男・猛(オダギリジョー)。母の死の弔いに帰省した猛は、明らかに浮いた存在だけれど、田舎の閉塞した暮らしに辟易している若い人たちにしてみれば明らかにカッコイイ存在だ。


今はガソリンスタンドで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)もそんなひとりだったかもしれない。29歳独身で母親が再婚したばかり。その町で暮らすには息苦しい境遇。そのうえ、過去に猛と関係があったかのような設定。突然帰ってきた猛に心を揺さぶられる。この2人が翌日にも猛が東京に戻ろうかという前日に関係を持つことから、兄弟の、家族の歯車が狂いだす。


3人で出かけた渓谷の吊橋から転落する智恵子。事故なのか事件なのか。やがて稔が逮捕され、法廷や留置所の面会シーンでの時に激しく、時に重苦しい衝突が繰り返される。


ストーリーをこうして書くとどうということないかもしれない。でもぜひ観て感じないとこの映画の本質はわからない。一度観ただけでは、やや消化不良かもしれない。特にラストの展開に解釈が分かれると思う。


冒頭からしばらくは、ちょっと鼻につくシーン割りや演出があった。学生映画のようなというか、心のゆれをムリに映像化しようとしたような、ちょっとしたカットが少し鬱陶しかった。でも序盤からそんなことはまったく気にならない。そうした細かなことを圧倒する、確かな脚本と登場人物たちの演技力があった。風景も美しいし、法廷シーンにもムダがない。


香川照之さんは良い作品で良い役を多くやりながら、決してストーリーの中心的存在だけではなかったが、この作品では主演のオダギリジョーに対峙する兄役でまぎれもなく主役級。その演技力では、こちらも演技力では定評のあるオダギリジョーを圧倒するもの。そのほか脇を固める俳優も存在感のある人ばかりで見ごたえは十分。


男女限らず兄弟姉妹を持つ人には、感じるものは必ずある。兄弟姉妹の危うさ、家族の危うさをここまで鮮明に描いている作品にはそう出会えないと思う。ただ、形式として描いているのではなく、心を描き出している。しかも兄弟愛や家族というものをまったく美化していない点に、ある種の潔さがある。対立軸が明確なのに嘘っぽさや古臭さを感じない。似た構図の日本映画は数多いが、シチュエーションに映画的工夫が少ないのに、他の作品とは一線を画した力強さがある。ほめすぎかもしれないが、どんなにほめてもあまりある感じ。しばらく他の作品を観れないかも。


観念的な映画ではないので、エンターテインメント作品としても十分楽しめる。

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afurica

なんとこの映画を撮ったアフリカの監督は、83歳だという。

83歳の男性監督が哀しい伝統に立ち向かう

現代のアフリカ人女性の力強さと優しさを

美しく映像として切り取った作品である。


『母たちの村』  ウスマン・センベーヌ監督・脚本・製作(2004フランス/セネガル合作)


今も女性に幼いうちに割礼 という風習のある西アフリカの村が舞台。この村はこの慣習を発端とした騒動が起こるまでは、比較的穏やかな日々の営みがある。この1件で女性からは取り上げられてしまうが、ラジオから都市部の情報も入る。元軍人の商人がパンや日用品を売っている。村長の息子はパリに留学(?)して戻ってくる。アフリカの奥地にも確実に現代文明の片鱗が入りつつあるという時代背景がリアルだ。


それでも女性にとっては過酷な宿命が待っている。尊厳を傷つけられているだけでなく、劣悪な環境と技術で非情な手術が行われるので、死者すらも頻繁に出す。後遺症ともいえる不妊や妊娠時の母子の死亡というリスクもはらんでいる。しかしそれはイスラムで古くから行われてきた伝統だから(実際にはイスラムの国だけの儀式ではないようであるし、イスラムの国でも行われていないところも多い)と、男たちは譲ろうとしない。また、割礼を受けない女性は嫁の貰い手がないので、女性ですらこの習慣に反対できない。


そのなかで自らも割礼を受けているコレという女性は声をあげ、自分の一人娘にも割礼を受けさせていない。そのコレのもとに、4人の女の子が割礼を逃れてやってきた。これもまたこの村の伝統で「モーラーデ」(保護)という制度(?)があり、かくまう以上無理やり引き離して連れ戻すことはしにくい。


それでも男たちや存続派の女性たちは、どうにかこの伝統を守ろうと、コレを責め、コレから4人の女の子を取り戻そうとする。コレの娘の縁談も割礼をしていないということで破談になりかけていた。


この映画は事実に基づいているが、ドキュメンタリーではなく、きちんとストーリーもあり、背景もきちんと描かれ、映像もとても美しい。今さらながらアフリカの映画の質の高さに感心させられる。そんななかでもコレ役を演じた女性(女優ではなく、マリのテレビ局員らしい)は、実際に割礼を受けているなど、今なお、信じがたい習慣が世界の多くの国で行われていることに愕然とする。ちなみに世界各国で1億人以上の女性が割礼を受けているらしい。


見ごたえのある良い作品だったが、惜しむのは字幕の表現が実際そう言っているのかな、と疑問に思うシーンがいくつかあったこと。


半面、意味はわからなくても、言葉の端々を音で聞くのは興味深い体験。深刻なことを話したり、対立だったりするのに、時々鷹揚な民族性が音感から感じられて、この国の人たちの本来的に持っている心根の優しさと強さを知ることができる。


この世界では圧倒的に男の地位が高く、国際社会ではいまだにジェンダーが重要課題のひとつであることを改めて考えさせられる。でも意外に日常生活の端々の言動や振る舞いからは、女性が確実に強くなりつつあることも感じた。時間の流れはゆっくりでも、あがないきれない世界的な時代の波というものが存在することは心強くもあり、それでも個人は基本的に無力であることがはがゆくもある。

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藤井フミヤ, 佐橋佳幸
下北以上 原宿未満

前回書いた「サプリ」 と同様、一昔前のにおいがある作品だが、こちらは心地よいノスタルジー。下北沢という体温を感じる街を舞台に規定しているところからも、ドラマそのものに同じ温度を感じる。今も厳然とある街なのに、妙に懐かしさを感じる。

実はいま、下北沢には再開発の波が押し寄せている。ドラマのなかにそのことへのアンチテーゼも含まれているのだとしても、「サプリ」にあるCM文化への自画自賛的な裏ミッションより何倍も文学的で価値のあるもののような気がした。


『下北サンデーズ』  テレビ朝日 木曜21時00分~ 主演:上戸 彩


ストーリーは、夢を持たず、山梨の田舎から国立大学の理系学部に進学のために上京した里中ゆいか(上戸彩)が偶然出会った劇団、演劇とともに成長する青春群像劇、といったところか。ちなみにゆいかは千葉大学に進学。劇団員のなかには早稲田大学出身の女性もいたり、学歴コンプレックスを持っている劇団員がいるところはリアリティがある。小劇団という世界観を少しでも知っている人なら、確かに描かれ方は大げさだけれど、嘘っぽいというほどではなく、共感できるものがあると思う。


第1回目はありがちな設定と人物紹介で終わったが、なかなかみんなキャラがユニークで引き込まれる。ゆいかが上京早々で電車の乗り継ぎ時間の勘がなかったり、ちょっととんちんかんなのも、昔どこか地方から東京に出てきた経験のある人なら懐かしく思うかもしれない。


ゆいかは大学の入学時の余興(ゲリラライブ?)で観た「下北サンデーズ」の芝居に感激し、入団オーディションを受けるところまでが描かれていた(もちろん受かる)。


キーマンになりそうな佐々木蔵之介の役(座長)もおもしろそうだし、雰囲気のあるいい作品になりそうな予感がある。でもテレビドラマだから仕方がないけど、上戸彩がいちばんムリがあるかも。嫌いなタレントじゃないけど、ちょっと出すぎ。今回は髪を切ったりして、古きよき下北文化の雰囲気に合わせているみたいだけれど、そのあたりの真価が来週以降に出てくるかどうか?

ドラマ評-10【サプリ】

テーマ:
絢香
Real voice

典型的なトレンディドラマ、久々にきた!という感じ。

キャスティングもいかにもという感じで。ただ、最近映画を中心に硬派な役が多かった佐藤浩市に少し違和感あり。全体の軽々しさを締めるという意味では、良いキャスティングだと思うけれど…。

でも伊東美咲は不思議な存在。必ずしもセックスアピールがないという点では、ハセキョーと同じなのに、この人なら視聴率がとれるのか…。女性にも人気があるのが決め手なのかもしれない。私には理解できないが。


『サプリ』  フジテレビ 月曜21時00分~ 主演:伊東美咲/亀梨和也


ストーリーは、広告代理店でCMプランナーをする藤井ミナミ(伊東美咲)はワーカーホリック。ある日、同じ職場に上司である今岡(佐藤浩市)の知人の息子・石田勇也(亀梨和也)がバイトとして入ってくる。彼はミナミがゆりかもめで移動中にケータイを拾って、非常識な電話をかけてきたオトコの子だった。そのことに気づいたミナミは、あきれながらも少し気になる存在として意識する。

ミナミには忙しい中でも仕事で知り合った4年越しの恋人がいた。ところがミナミが忙しすぎてほとんど会えず結局ふられてしまう(←定番の展開)。


「サプリ」の意味は、一生懸命仕事をする女性にとって、気持ちのいい恋愛はサプリだということ。まあ、展開としては年下の石田との恋愛か…。


今時よくやったな、ってくらいのトレンディドラマ。キャスティングで最後まで引っ張るつもりか、今の時代を反映した意外性のある展開があるかは、2話以降のお楽しみといったところ。


でもあんな鬱陶しい女(ミナミ)、職場にいたら嫌われると思う。ドラマ中も悪口を言われているけど。

ジェネオン エンタテインメント
幸せになるためのイタリア語講座 デラックス版


いつだって思い通りにならない現実に、夢も自信もけずり取られてしまう。

仕事・家族・恋愛…。それぞれに悩みを抱え、うつむき加減に生きる男女6人。

でも、ほんの少しだけ勇気が出せたら…。


『幸せになるためのイタリア語講座』  ロネ・シェルフィグ監督(2000デンマーク)


デンマークの女性監督が撮った大人の6人の男女の群像劇。

NANA が若い人のリアルタイムの青春なら、こちらは大人の青春。


妻を失ったばかりの新米牧師や、偏屈な父親と二人暮らしのパン屋で働く女性、アルコール依存症の母親に手を焼く美容師の女性、短気なレストランの店長(物語中クビになり、イタリア語講師に転身)、恋をする性格の良いホテルのフロントマン、レストランで働くイタリア人女性…彼・彼女らがそれぞれ家族を亡くしたり、仕事をクビになったり、望まない配置転換をさせられたり、淡い恋愛に苦しんだりしながら、市役所で週1回行われるイタリア語講座を介して結びつく。


そう書いてしまうと単純な群像劇なのだけど、なかなか味わい深い。おそらくそれぞれ30代前半(ウェートレスの女性は多分もうちょい若い)~40代前半の設定ではないかと思うが、登場人物の人生はむしろ暗く、希望がないように感じる。デンマークのいう国が決して庶民レベルでは裕福な国ではないということもなんとなく感じてしまう。でもそれだけに日本映画の同種のもののような軽々しさ、子どもっぽさはなく、それぞれの人たちの内面がじんわりと浮かび上がってくる。とはいうものの、どこの国も同世代なら男の方が子どもっぽいんだな…ってことも再認識するかも。


ヨーロッパの文化、社会背景、日常などに関心が高ければより楽しめる作品。特にデンマークとイタリアとの距離感(物理的・心理的)は、日本人にはわかりにくいかもしれない。このあたりも考えつつ観ると、より趣がある。全編丁寧に描かれているのにも好感が持てる。ただ、明るい映画が好きな人には不向きかも。

DVD評-12【NANA】

テーマ:
東宝
NANA -ナナ- スタンダード・エディション

子どもっぽいかなぁ~と思いつつ、観てしまった。

意外とおもしろかった。

遠い思い出が蘇ってくるようで…

もちろんこんなにカッコイイ青春ではなかったけれどね。


『NANA』  大谷健太郎監督 矢沢あい原作 中島美嘉/宮崎あおい主演


言わずと知れた大人気マンガの映画化。といっても、もちろんマンガは読んでいない。だから比較はできないのだけれど、映画としては一応完成しているなぁ~と思った。

物語は外見も考え方も異なる2人の同い年のナナ(中島美嘉/宮崎あおい)が東京に向かう列車のなかで出会うところから始まる。大崎ナナ(中島美嘉)は、ボーカリストを目指すために、小松奈々(宮崎あおい)は先に美大への進学のために上京している彼氏・章司(平岡祐太)と再会するために、それぞれの目的があった。陰のあるナナと比べ、恋愛第一の典型的な今時の女の子の奈々。ベタなくらいの好対照だけれど、それが気持ちがいい。普通女の子に嫌われるタイプの奈々が妙にかわいい。なんかいい意味で、体温を感じないマンガっぽい女優だった。


この2人、偶然同じアパートで出会い、ルームシェアをすることになる。このあたりはいかにもマンガだけれど、あまり喧嘩もせず、妙に仲良しなのも実際はどうかなぁ~と思う。とにかくある意味、現実感のある(←空を飛んだり、タイムトラベルをしないという意味で現実感)ファンタジー。


マンガが映画になると、キャスティングで生っぽくなってがっかりというケースが多いけど、役者はみんな妙にはまっていて、無理がなかった。特にナナの元カレで人気ギタリストの蓮役松田龍平はさすが。


ナナと奈々は少なくとも映画ではわりと最後まで淡々と仲良しで、お互いがお互いを気遣っていて、2人の間の葛藤は描かれていなかった。むしろ描かれているのはそれぞれの恋愛と生き方への淡い葛藤。この辺の人と人との距離感みたいなものが今っぽいといえば今っぽい。でもマンガに描かれる世界観って、昔からあまり変わっていないような気もして、そんな風に分析してしまったことに寄る年波を感じた。


でもまあ、軽い気持ちで観るには、それなりに楽しめる作品だった。

福耳, スキマスイッチ, 山崎将義, 杏子
惑星タイマー (初回限定盤)(DVD付)

TBS日曜21時枠、困った時の正和サマのホームコメディである。ここ何クールか視聴率がとれなかったに違いない。私も「行列のできる法律相談所」 を観ていたもの。日曜日の21時って、テレビを観ている率が高い時間帯だと思う。それだけに各局高視聴率番組をぶつけてくる。TBSは伝統的にドラマだけど、ちょっとでも面白ければそれなりの視聴率をとれる枠なのだと思う。

ところがハセキョー主演の月9の出来損ないみたいな作品だと、いくら甘い視聴者もちょっとつらいものがある。正和サマなら少々不出来でもいいかなっって感じもある。しかも今回はシナリオを「女王の教室」遊川和彦 さんが担当。期待が膨らむというもの。(ちなみに今までの田村正和ホームコメディシリーズも同じ脚本家です)

そしてつい今回もチャンネルを合わせてしまった。


『誰よりもママを愛す』  TBS 日曜21時00分~ 主演:田村正和


ストーリーは、弁護士のママ(伊藤蘭)を支え、主夫に徹するパパ(田村正和)の話。子女は長男(玉山鉄二)、長女(内田有紀)、ボク(長島弘宜)という豪華な家族。ボクの視点で物語が進んでいくのは、「あいくるしい」 の二番煎じか?ちなみに「あいくるしい」はとても良いドラマだった。こっちは脚本野島伸司さん。


第1話はおきまりの設定紹介なので、とにかく毎日仕事で夜遅いママを献身的に世話をして、家族の面倒も全部みるパパのコミカルな毎日を描いたもの。ところかまわず、ママを愛していることを吹聴し、ママの自慢話をするので、特にまだ小学生のボクは恥ずかしくてたまったものではない。そのボクの授業参観がメインのエピソードで進んでいく。


はっきり言ってマンネリ感が漂う。多分それを避けるために設定を大胆に主夫という形に変えたのだと思うが、ちょっとそれが裏目に出そうな感じである。この枠で主夫の本当の悲哀とか葛藤を描くわけにいかず、こういう世界観で押し通すしかないのだろうが、正直今の視聴者のニーズに合っていないような気がする。少し前なら主夫という設定が物珍しかった。もう少し月日が経てば、とりたてて話題にするまでもない普通のことになるかもしれない。でも今の時代性から考えれば、中途半端というか、はっきり言ってテーマとしてはどうでもいい。しかも愛妻家ゆえの行動なんて気持ち悪いだけ。それならば働くことへの疑問とか、生き方への熟慮の末とか、年の差カップルで先に定年(早期定年でもいい)してしまいました、といったきっかけのほうが理解しやすい。早い話、今の設定のままなら、ああいうパパを愛せないような気がする。田村正和だからいいけど、もし自分の身近な人に投影したら、鬱陶しいだけの存在と思う。


そんなことないですかねぇ。女性のみんなはあんな男好きなのかなぁ?私も働く女だけど、私なら要らないけど…。もちろん田村正和ならちょっと考えるけど。

hanayome

篠原涼子は、好きな女優のひとりだけど、しゃべり方がいつも同じだな…と思っていた。OLや刑事役ならあまり気にならないけど、キャスターはどうなのだろう?と思っていたら、やっぱりいまいちだった。前クールの天海祐希のキャスター(『トップキャスター』 フジテレビ)が、内容はともかく役柄的にはまっていただけに比べてしまう。もっと言えば矢田亜希子の方がそれらしかった。


『花嫁は厄年ッ!』  TBS 木曜22時00分~ 主演:篠原涼子


ストーリーは、30歳を過ぎてメインキャスターを外された主人公竹富明子(篠原涼子)。起死回生の仕事はなんとバラエティで農家の嫁に潜入取材をするというもの。学生時代の元カレ・安土一郎(矢部浩之)の実家が古い桃農家であることから、頼み込み実家に入り込むことに…。この桃農家の面々が、一郎の母親の幸恵(岩下志麻)をはじめ、一癖も二癖もある人たち。


まあ、骨子はこんなところで第1話は設定の説明に終始。着想はおもしろいけど、だからどうだ?という部分は農家でのストーリー展開次第といったところ。1話で駅前で桃を売っている幸恵と出会う場面はベタすぎ。設定もベタだけど、一応顔も売れているキャスターが、桃を食べて売っている人の前で「ヤバイ、この桃!」(←もちろんおいしいって意味だけど)とは言わんでしょ?


篠原涼子のキャラ設定は一事が万事この調子で、知的キャスターの様相はまったくなく、飛ばされてもしょうがないという感じだ。ただ気になったのは、しゃべり方や物事への対峙の仕方、エピソードは、何度も言うように子どもっぽくバカっぽいのだけど、性格や人柄がにじみ出てこないというか、まったく体温を感じないのが残念。このまま展開したら、ありふれたストーリーとエピソードの積み重ねになりかねない。


脚本の秦建日子 さん(篠原涼子の前作「アンフェア」の原作者、私的には天海祐希主演の「ラストプレゼント」が良かった)は大好きな人なので期待しているのだが、男性ゆえのことなのか、女性の描き方がいつもややあっさりしている気がする。


まあ、今回はまだ1話だけなので、来週も観てみて続けて観るかどうか決めようと思う。

kekkon

ねむい設定というのが第一印象。まあ、連ドラの王道といえば王道だけれど、40男を主人公にしてこの子どもっぽさはないだろうと思う。結婚していないから、子どもがいないから、子どもっぽいということではなく…。でも確かに現実でもこういう中途半端な男って、多いっちゃあ、多いんだけどね。


『結婚できない男』  フジテレビ 火曜22時00分~ 主演:阿部 寛


建築デザイナーの桑野(阿部 寛)は、独身・ひとり暮らし。顔はいいのに(…って、そういう設定かどうかはわからないが、事実阿部ちゃんだしね)、不器用で少々変わり者。仕事面では頑固でもある。

結婚できないのではなく、結婚しないと思っているが、誕生日に一人でバースデーケーキを買ったりして、寂しがりやでもある。

ある日下腹部に強烈な痛みに襲われ、隣人の田村みちる(国仲涼子)に付き添われ、義理の弟が副院長を勤める中川総合病院に運ばれる。そこでやはり美人だが、不器用な独身医師・早坂夏美(夏川結衣)に出会う。


ここまで書いただけでも、ねむい設定という感じがする。ベタ過ぎる。最近は隣人との安易な出会いを設定しているドラマも増えている。隣人づきあいが珍しい都心のマンションなのに…。

まだ1回目だからよくわからないけど、年齢設定も中途半端。子どもっぽい展開にするなら、せめて30代前半くらいまでの男女が中心の話の方がいいし(それじゃ、テーマと合わないか)、阿部 寛、夏川結衣世代を中心に据えるなら、安易なラブコメは内容と登場人物の軽さだけを強調する。


でもまあ、このままいったら、多分夏美か、まかり間違ってもみちるとのラブコメになることは間違いなさそうだし(殺人ミステリーには絶対になりそうにないし)、深みのあるドラマを期待してもしょうがないだろう。でもなぜか男が主人公のこの手のドラマって、成功したことがないようが気がするのだが、気のせいかな?

ちなみに笑っちゃうのは、高知東生・高島礼子夫妻が揃って脇で出ていること。何でこんなところで共演?最後この2人も結ばれるというオチもあるのかもしれない。