久々に新作のフランス映画を観た。事前情報をみても、戦争がテーマか、ミステリーなのか、ラブストーリーなのか…。私的にはミステリー要素にひかれて観に行った。でも映画館はカップルだらけ。やっぱりラブストーリーなのか?
そして観終わった結果は、戦争を起点とした人間ドラマ(ミステリーチックな)にファンタジーを融合させた感じ…ラストシーン直前あたりですすり泣く声も聞こえた。きっとカップルで来ている女性の方だろうと、明かりが点いた後にふと隣の席を見ると、カップルの男が目に涙をためていた。

『ロング・エンゲージメント』ジャン=ピエール・ジュネ監督/オドレイ・トトゥ主演

主人公のマチルドは幼い頃に両親を亡くし、伯父夫婦に引き取られている。足が少し悪いが、引きずれば歩ける(いや、走れる)。伯父夫婦にもそれなりに愛情をかけられており、悲惨なほど不幸ではないが、少し影のある境遇といったところ。まだ子どもの頃にマネクと出会い、仲良く成長。若い恋人同士に。ところがマチルドが20歳になる前に、マネクは徴兵される。そこで軍法会議にかけられ、死刑を宣告されるのだが、最後に彼を死んだところを見た者はいない。マチルドは直感(結構ご都合主義な直感)を信じる。その直感ではマネクは死んでいない。彼を探す旅が始まる…というのが、この映画のストーリーの柱。旅といっても、一人孤独な旅というわけではなく、家族を含め、周囲を巻き込みながら、戦場で彼の周辺にいた人々とその関係者の居場所と生死の捜査をした、という方が正しい。
全体に説得力を持たす意味で良かったのは、決してマチルドが性格に非の打ち所のない純粋無垢な女性ではないところ。見方によっては、ちょっとわがままでヤな女の側面もあって、そこが人間らしく可愛くもある。また、アナザーストーリーでマネクと共に死刑を宣告された別の兵士の関係者の復讐劇があったりして、ストーリーに深みを与えている。ちょっと人間関係がわかりづらい部分もあり、消化不良な感じもあるが、戦争を背景にしながら重ったるくもなく、かといってファンタジーに逃げずに済んだのは、脇役たちがしっかり描かれていたからだという気がする。というより、むしろ他の兵士の人生の重みの方が興味深い。特に将校を殺し、処刑される女性は切ない。
ラストはちょっとあっけなくて、尻切れトンボな感じも…。主人公の2人の心情にあと1歩踏み込んで描かれていたら、ちゃんと泣ける作品になっていたような気がする。
でもテーマがわりとスィートなのに、戦場の描き方がリアルに凄まじく、そんないろいろなギャップが少し長めの作品でも飽きさせないパワーになっていた。
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リメイク版と聞いてちょっと納得。素敵なファッションや映像なのだけど、テイストやオシャレ感、テーマがちと古い感じ。多分最初に作られたときは、テーマも演出も映像も斬新だったに違いない。いきなり辛口だけど、嫌いな作品じゃない。100分に満たない長さは、途中で飽きさせないし、コメディともサスペンスとも言いかねるけど、ふわっとした非日常な空気感がリラックスを誘う。そう肩の力を入れる必要がない。難解な解釈も不要。アメリカ人もこういうワイフが理想なのか…。カルチャーの違いを感じない。

『ステップフォード・ワイフ』 フランク・オズ監督/ニコール・キッドマン主演

主人公はTVの女性敏腕プロデューサー「ジョアンナ」。のっけから登場はド派手。これはないだろうと呆れたバラエティ番組で賞賛を受けているシーンから始まる。一転、事件、解雇とテンポ良く転落。だんなに促されるまま、家族で都会から郊外へ。コネティカットにあるセキュリティ万全の「ステップフォード」という閉鎖された街に引っ越す。住民の女性(妻)はみんな美しく、家事に一生懸命で従順(かつセクシー)。男性は時折、男性同士が秘密めいた集まりを持つが、かといって、横暴であったり、妻を放っておいたりしているわけでなく、夫婦同伴のパーティやお祭りも頻繁に開いている。そう、一見シアワセな家庭だけが暮らす理想郷なのだが、かなり不自然。実はそこには秘密があって…というのがこのストーリーの中心。
紆余曲折ののち、最終的にジョアンナはまた元の敏腕プロデューサーに戻るのだが、何だかこの辺が安直でバカバカしい。主人公に成長や心の変化のあとが見られず、これでは途中何も起こらなかったのも同じ。まあ、そういう真面目な視点で見るものではないとして、サスペンス性やコメディ性は希薄。時々くすっと笑えるレベルだ。
でも何だかキライになれないのは、全体を流れている軽やかな空気。良くも悪くも一昔前のアメリカの楽しさが伝わってくる。衣装も女優陣も美しく、変わらない主人公の頑なさも、かと思えば急に大げさに家事をやり出したり、ファッションを変えたりするクレージーなキャラクターもいい。ジョアンナと小説家の友人ボビー、オカマちゃんロジャーの魅力が全体の核になっていて、最後まで引っ張ってくれた。リラックスして観るのにちょうどいい感じだった。
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直感的CF評-3【グローヴタワー】

テーマ:
SMAPを声だけで使うなんて、贅沢なのか、せこいのかよくわからない。最近彼ら生身より指に顔を合成したり、声だけだったり…。まあ、それでも彼らだって認識されるのだから、ある意味頂点に達したってことか。
これは「鳥だの島だの」っていう、あのCFのこと。鳥の声がSMAPで、「鳥」という字と「島」という字が似ているとか、他愛ない話をするのだが、結局何のCFだかわからないヤツだ。深く考えずに勝手にIT系の何か、例えば検索エンジンか何かだと思っていた。稲垣吾郎がそういうCFをやっていたから連想したのかもしれない。広告主が不動産と知ったのは、今日の新聞折込みを見たからだ。正直驚いた。

『三井不動産・三菱商事etc.グローヴタワー』

マンションは全国販売をするものではない。いわゆる商圏ビジネスだ。だからこのCFもおそらく東京地区だけオンエアに違いない。この業種、商品にSMAPはやっぱり贅沢。でもジョイントベンチャーの顔ぶれも、他にオリックス・リアルエステートだの、住友商事だの、新日本都市開発だの、超豪華。巨大プロジェクトなのだろう。
面白いのは個別役割を明確化したメディアミックスへの挑戦。CFでは何の宣伝なのかを曖昧にして、「芝浦の島」をWebで検索させる。その行為に至らない人には新聞折込み。実は私はほとんど新聞折込みを見ないで捨てる。購読紙の日経新聞に折り込まれるのは、不動産ばかりでつまらないから。ところが「芝浦の島」の折込み広告は目立つったら…。目に付いてつい広げてしまった。A4-2枚分くらいのスペースを使った、巨大な「島。都心。」というキャッチコピーがまず目に付く。どこにもSMAPのことも、島と鳥の字の違いのことも書いていないが、「ああ、これか」とCFとこの商品が結びつく。チラシには余計なことはあまり書いていなくて、資料請求ハガキがついている。
久々に凝ったキャンペーン。そういう意味では興味深いけれど、マンションは衝動買いするものではないし、どこまで効果が出るかは未知数。あのCFが本当に購入層の認知に直結するのかもちょっとわからない。そういう意味ではアイデアに頼りすぎている感も。
もしかしたら、あのCF、募集時期に第2弾をやるのかな。あれで終わったら、わからないままって人も多いはず。でもいずれにしても芝浦の島には住みたくない。不便そうだし、地震に弱そう。地盤はお台場よりマシなのかな?
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