診断ざむらい 大渕一彦ブログⅡ

大学受験予備校講師、中小企業診断士、バイク乗りでイクメンである大渕一彦のつれづれ・・・。秘書の目を通した観察日記と、物理や数学に関するエトセトラを綴っております。
中小企業診断士2次試験の過去問解説「俺の解答」を公開中!


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では、事例3いきます!



第1問(10点)
X社から加工部門を分離して創業したC社の成長要因は何か、100字以内で述べよ。

★私の解答

成長要因は、(1)加工工程の見直し、加工技術の向上など生産性の改善を行ったこと、(2)食品スーパーや外食チェーンへ販路を拡大したこと、(3)少品種多量生産体制によって生産性を向上させたことである。

☆TACの解答

X社に過度に依存せず、X社の加工部門の責任者であった現社長のもと、加工工程の見直し等の生産性の改善を進め、取引先を拡大した。その上、少品種多量生産体制の構築や生産性の向上の達成等の変革を推進したこと。


◆分析

ここはTACの方がいい解答になっていますね。私とTACでは似たような答案内容ですが、その違い、わかりますか? 私は成長要因を

「生産性の改善」
「販路拡大」
「生産性の向上」

としましたが、TACは成長要因を

「現社長」

としています。現社長の変革を推進する力こそが、成長要因ですね。うまいまとめ方です。TACが10点なら、私は8点といったところでしょうね。

ここは与件にズバリ書いてあるので、皆さん書けたのではないかと思います。



第2問(20点)
C社は創業から20年以上が経過して、顧客や新製品の増加によってさらに変革が必要となっている。図1~図3なども参考に、C社が直面している課題とその具体的改善策を140字以内で述べよ。

★私の解答

課題は生産体制の見直しである。具体的な改善策は、(1)生産計画を月一回作成している現状を顧客からの注文が確定した都度変更できるようにすること、(2)全製品ほぼ同じロットサイズである現状から、各製品の在庫の量、滞留時間を分析しロットサイズを見直しすることである。

☆TACの解答


課題は,欠品による失注の防止等のための生産体制の再構築である。改善策として,月単位の生産計画に修正機会を設け,直近の在庫や出荷状況を反映して生産数量を細かく設定する。そのために,ロットサイズを小さく設定するとともに,増加する段取り作業を迅速に行うために段取り作業を標準化する。


◆分析


まず,与件からC社が直面している「問題点」を探します。すると3ページに,

「現状は全製品ほぼ同じロットサイズを採用しており,製品によって在庫水準は異なり,欠品によって受注に対応できない場合も生じている」


とあります。つまり,問題点は,


「欠品によって受注に対応できない場合が生じていること」

ですね。しかし,これは「問題点」であって「課題」ではありません。この問題点に対する課題が何か,それをここから探っていきます。


なぜ,欠品するのか?


全製品ほぼ同じロットサイズだから。


なぜ,全製品ほぼ同じロットサイズなのか?


生産性を考慮しているから。

(補足)「ロットサイズは生産性と段取り時間を考慮して決めている」と与件2ページにある。


このように「なぜなぜ分析」を行っていくと,生産計画に問題があるのではないかと考えられ,実際,与件2ページには,


「生産計画は毎月20日までに翌月の計画が作成されるが,その時点では顧客からの注文は確定しておらず,各営業担当者が各顧客への販売数量を予測し,製造部では製品在庫との調整を図って見込み生産を行っている」


とあります。すると,問題点を解決するためには「生産計画の立て方を見直す」ことが必要であると考えられます。


これが「課題」です。


あとは具体的にどうするかを答案に書いていきます。そこでポイントになるのが,この設問のキーワードである,


「図1~図3なども参考にして」


という部分です。図には「流動数曲線」が与えられてありますね。流動数曲線からわかることといえば,


「在庫量」 

「滞留時間」


です。この2つのキーワードを活かしながら,考えた改善策が私の解答です。TACの解答も,まあ,大筋では同じような内容です。与件から客観的に分析すると,私やTACような解答になるのではないかと思われます。




第3問(40点)

C社では新規事業として外食チェーンY社との取引を検討している。その計画について以下の設問に答えよ。

(設問1)Y社から要求されているセントラルキッチンとしての機能を備えるためには,C社ではどのような対応を必要とするのか,120字以内で述べよ。

(設問2)Y社から要求されているセントラルキッチンとしての機能を果たすためには,C社の日常業務上どのような情報が必要になるか,100字以内で挙げよ。


★私の解答


(設問1)主力メニューの盛り付け前までの事前加工,国産牛の個体管理,前日発注・翌日全店直接配送というY社の要求に対して,事前加工を行うための設備,スタッフ,マニュアルの準備,個体管理体制の構築,受発注のシステム構築と配送体制の整備が必要である。


(設問2)日常業務上の必要情報は,Y社の店舗ごとの事前加工の受注量,配達時間,国産牛の個体管理のためのICタグに関する情報,配車のスケジュール情報,その他受発注や配送に必要な情報である。


☆TACの解答


(設問1)事前加工,国産牛の個体管理,前日発注・翌日全店直接配送といった要求を満たすため,味付けや野菜のカットなどのための加工工程の見直し,個体の履歴管理体制の構築,生産リードタイムの短縮,多頻度小口配送体制の構築といった別個の対応が必要となる。


(設問2)事前加工の作業スケジュール,受入時から流通段階までの個体ごとのトレーサビリティを実現するための各工程での作業内容や配送先との関連づけ,在庫数量,発注処理や配送処理関連といった日次の情報が必要となる。


◆分析


設問1について、まずは、解答の仕方から。

「必要な対応は~~である」

のような感じでもよいと思いますが、私もTACも

「~~というY社の要求に対して~~が必要である」

とまとめていますね。この方が対応関係がよくわかると思います。しかし、字数が多くなるという欠点があります。今回は120字だったのでよかったですが、100字だと厳しいですね。答案のまとめ方は字数との相談が必要です。

次に設問1、設問2の解答の内容について。

設問1では、与件に書かれた要求に対して、どのような対応が必要かを自分で考えます。

設問2でも、どのような情報が必要かを自分で考えます。

自分で考えて解答するたぐいの問題は、様々な解答が出てくるものです。採点者の立場になって考えると、そのような解答は細かく採点できないので、例えば設問1ならば

「事前加工、個体管理、発注、配送に関する妥当な内容ならば20点」

設問2ならば

「日常業務上という条件を満たしており、事前加工、個体管理、発注、配送に関する妥当な情報を解答していれば20点」

という採点になると思われます。ここは、配点が40点と大きいですが、妥当な内容であれば30点はとれそうな設問ですね。



第4問(30点)

C社の既存製品の販売数量は減少傾向にあり、さらに既存顧客から製品単価の引き下げ要求がある。それを克服して収益性を高めるには、あなたは中小企業診断士としてどのような方法を提案するか、Y社との新規取引以外で、C社にとって実現性の高い提案を140字以内でのべよ。

★私の解答

人件費抑制と生産性向上によるコスト削減策を提案する。具体的には、清掃、洗浄、消毒の作業をマニュアル化し、所要時間の平準化と段取り時間の短縮を図る。また、外食チェーン向けの多品種少量の品目を販売実績の高いものに絞り込み、在庫費の低減や生産性の向上を図る。

☆TACの解答

作業者ごとに異なる清掃方法を標準化するために5S活動を推進し、所要時間を短縮して人件費を一層抑制する。また、ABC分析を行い、収益性の低い製品は縮小して原材料費を削減する。一方で、新製品の企画力を活かして食品スーパーと共同で商品開発に取り組むなど、製品ラインを継続的に見直す。


◆分析


この設問に関連する与件内容からチェックしていきます。1ページには,


「外食チェーン向け製品も外食産業の業績が思わしくないことから減少傾向にある」

「外食チェーン向けは多品種少量である」


また2ページには


「製造原価構成では原材料費と人件費の割合が大きい」

「清掃,洗浄,消毒の作業は,作業者によってその方法が異なり,所要時間もそれによって変動する」


とあります。以上の部分に注目すれば,


「作業の標準化 ⇒ 人件費抑制」

「外食チェーン向けの品目の絞り込み ⇒ (私)生産性向上,(TAC)原材料費削減」


という解答の方向性はだいたい決まってきますね。さて,TACの解答にはさらに,


「食品スーパーと共同で商品開発に取り組む」


という内容の記述がありますね。これについて,私の見解を述べておきます。与件には共同開発に関する記述はなく,解答作成者が主観的に考えたアイデアのようです。しかし,今回の設問では


「実現性の高い提案を」


とあります。共同開発が実現性が高いかどうかは,与件からは客観的に分析することができません。したがって,


「実現性の高い提案を」


という条件を満たしているとはいえません。よって,この共同開発に関する記述は,今回の設問においては書かない方がよかったかなと思います。


第4問は字数が140字にもかかわらず30点と配点が高いですね。しかも,この設問はあまり自由度がなく,書くべき内容がある程度決まってくる設問です。おそらく,この第4問の出来が合否に大きく影響したのではないかと思われます。第3問である程度点数を与える設問を用意しておき,第4問では厳しく採点するというメリハリのきいた問題構成であるといえます。

以上で事例3の分析を終わります。次はいよいよ最後の事例4ですね。お楽しみに!

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