マスカレード・ナイト

英題：MASQUERADE NIGHT
監督：鈴木雅之
ｷｬｽﾄ：木村拓哉／長澤まさみ／小日向文世
配給：東宝
公開：2021年9月
時間：129分

２年半待ちに待った『マスカレード・ホテル』の続編。緊急事態宣言解除で，ようやくスケジュールが合いワクワクの鑑賞。好評と好調の前評を一旦白紙にして，〈東野圭吾✕木村拓哉✕長澤まさみ〉の化学反応を見極めてきた。監督は，前作に引き続き鈴木雅之。

都内マンションの一室で起きた不可解な殺人事件。捜査会議が行われている警視庁のFAXに匿名の密告状が届く。12月31日に“ホテル・コルテシア東京”で開催される年越しカウントダウン・パーティ，通称“マスカレード・ナイト”に犯人が現れるというのだ。アルゼンチン・タンゴのインストラクター・真由美（中村アン）との大晦日デートの予定を壊され，イライラ気味に“ホテル・コルテシア東京”に現れる警視庁捜査一課の破天荒な刑事・新田浩介（木村拓哉）。再びホテルのフロントクラークとして潜入捜査をすることになる。

一方，コンシェルジュに抜擢された真面目過ぎるホテルマン山岸尚美（長澤まさみ）。コルテシア横浜から異動してきた優秀なフロント係の氏原（石黒賢）と共に呼び出された２人に，支配人の藤木（石橋凌）は，新たに開業する“ホテル・コルテシア・ロサンゼルス”への推薦を持ちかける。山岸や捜査一課の能勢（小日向文世）の協力を得ながら事件解決にあたる新田だが，“マスカレード・ナイト”の参加者は500人もいる上，全員が仮面で仮装するというのだ。次から次へと怪しい人間が現れる中，一向に犯人の手掛かりが掴めない新田と山岸だったが…。

ホテルに訪れる客の秘匿性や特別感を“仮面”に，様々な客が集うホテル自体を“仮面舞踏会”に仕立てた前作の設定とタイトル。しかし今回は客が本当に仮面を被り，本当の舞踏会が開かれるという２層仕上げ。ソコに，前作を上回るほどクセ者揃いの客を招き，キムタクと長澤まさみと小日向を対峙させたら，もう面白くないワケがない。

中でも，日下部（沢村一樹）の怪しさが全編をミスリードし，上手く混乱させる。随所に細かく，そして感じ方次第では深くセットされた伏線も多彩。前作や原作と較べると，犯人の背景描写がややモノ足りないが，“謎解き”ではなく“謎を楽しむ”趣向の，すごくバランスの取れた秀作に仕上がっている。

共演は他に，田中みな実，勝村政信，木村佳乃，麻生久美子，博多華丸など。まだの方は“ホテル・コルテシア東京”へ，ぜひ足を運んでみてほしい。