散歩する侵略者 | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:BEFORE WE VANISH
監督:黒沢清
キャスト:長澤まさみ/松田龍平/高杉真宙
配給:松竹/日活
公開:2017年9月
時間:129分




3夜連続で,女優・長澤まさみの主演作を紹介。12歳(小学6年生)で映画デビューした彼女も,今日がお誕生日で32歳。20年に及ぶキャリアはダテじゃなく,精力的に多彩な役に挑んで,見る者を楽しませてくれる。

今夜紹介する『散歩する侵略者』は,気鋭の劇作家・前川知大率いる劇団イキウメの舞台劇を,『岸辺の旅』(2015年・ショウゲート)や『クリーピー/偽りの隣人』(2016年・松竹)の黒沢清監督が映画化した異色SFサスペンス。第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され,北米ほか世界21か国で公開された。

日本海に面した小さな港町に暮らす加瀬鳴海(長澤まさみ)のもとに,数日間行方不明となっていた夫・真治(松田龍平)が帰ってくる。鳴海は夫の浮気を疑うが,性格が一変してしまった夫の様子に困惑する。やがて真治は会社を辞め,毎日散歩するようになる。訪ねてきた妹の明日美(前田敦子)も,真治と話をするうちに突然別人のようになり,フラッと出ていく。戸惑いながらも,穏やかで優しくなった真治を愛しく思い始める鳴海。

その頃,町では謎めいた一家惨殺事件が発生し,不可思議な現象が頻発していた。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中に,自分を宇宙人だと言う天野(高杉真宙)と名乗る若者に出会う。探し出した事件のカギを握る女子高生・立花あきら(恒松祐里)の病室で,監視役の刑事・車田(児嶋一哉)が《概念》を抜かれる様を目の当たりにする。“ガイド”として,厚生労働省の品川(笹野高史)の追っ手を掻い潜りながら,“もう1人の仲間を探す”と言う2人と行動を共にする桜井。町は急速に不穏な世界となり,事態は加速していくのだったが…。

《概念》とは,物事を関連づける普遍的な事柄。この作品の侵略者たちは,散歩しながら,人類から,その人が大切にしている《概念》を奪っていく。そして奪われた人は,その《概念》を永遠に失ってしまう。「家族」「仕事」「所有」「自分」などの《概念》が次々と失われることで,世界は静かに終わりに向かうのだ。実際,こんな侵略をされたら…と考えると恐ろしくてたまらないが,この作品にはどこかライトな空気が漂う。一歩間違えたら“B級”と呼ばれてしまいそうな展開を,“特殊な視点”へと昇華させているのは,やはりキャストの上手さに拠る部分だろう。

個人的にも好きな1本。共演は他に,満島真之介,光石研,東出昌大,小泉今日子 など。


映画クタ評:★★★★


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『散歩する侵略者』
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