キャスト:妻夫木聡/北川景子/リリー・フランキー
配給:松竹
公開:2014年1月
時間:105分
何気なく見ているCMに,いきなり心奪われてしまう時がある。15秒とか30秒の中にドラマがあったり,よく判らないけど引き込まれたり,思いっきり笑わせられたり,そんな映像表現の究極のエッセンスに,作り手の日夜の研鑽を考えると,スゴいな! って思わずにはいられない。
今夜紹介するのは,そんなCMクリエイターにスポットを当てた作品。監督は人気CMディレクターで,この作品の後『世界から猫が消えたなら』『帝一の國』『恋は雨上がりのように』(2018年・東宝)などを手掛けることになる永井聡。脚本は,やはり売れっ子CMプランナーの澤本嘉光。CM畑で実力を発揮してきたコンビだからこその目線で,見る者を楽しませてくれる1本。
一流広告代理店・現通で働く落ちこぼれクリエイターの太田喜一郎(妻夫木聡)。ある日,身勝手な上司・大滝一郎(豊川悦司)から,アルファベット表記では名前が同じという理由で,彼の替え玉となって世界一のテレビCMを決める祭典“サンタモニカ広告祭”の審査員を務めるよう命じられる。出発前になぜか審査会に詳しい窓際社員の鏡さん(リリー・フランキー)の元で各国代表と渡り合うための特訓を受け,また,現地で夜ごと開かれるパーティにパートナーが必須と知り,苗字の読みが同じ優秀な同僚・大田ひかり(北川景子)に夫婦という設定での同行を懇願する。最初は断られていたが,ラスベガスが近いことが幸いし,ギャンブル好きのひかりの説得に成功する。
こうしてようやく世界各国の代表が集う華やかな“サンタモニカ広告祭”に乗り込んだ2人。そんな中,大滝から,自社が出品した“ちくわ堂”のCMを入賞させなければ会社をクビになるという真のミッションを告げられる喜一郎。世界中のクセモノ揃いのクリエイターたちが駆け引きや小芝居に躍起になる中,ライバル会社・白風堂のエリートクリエイター,木沢はるか(鈴木京香)も参戦。喜一郎は持ち前のバカ正直さと,鏡さん直伝の数種類の英語を武器に奔走するのだったが…。
現通は電通,白風堂は博報堂のパロディだと瞭然。キャラの名の設定も面白く,ただコミカルなだけでない細やかさに感嘆させられる。ライトな展開なのに全くムダがないのも,見る者にストレスを抱かせず,きっちりと喜一郎に感情移入させてくれる。そして迎えるエンディングのスッキリ感も,単に予定調和的でないのが気持ち良い。
ちなみに,妻夫木聡と北川景子といえば,絡む場面はなかったが『ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT』で共演していた。較べると格段に役者としての成長を見て取れるのも興味深い。その他にも,豪華共演陣の存在感と上手さの光るシーンが随所に散りばめられた秀作だ。
クタ評:★★★★☆
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