キャスト:伊藤英明/加藤あい/佐藤隆太
配給:東宝
公開:2012年7月
時間:116分
『THE LAST MESSAGE』の2年後に公開された劇場版第4弾。原作の最終話で描かれた「ジャンボジェット機の海上着水」が映像化された。公開後,作者の佐藤秀峰とフジテレビとの間にトラブルが起きたこともあり,シリーズ最終作となっている(2015年に和解が成立した)。
世界最大級の天然ガスプラント“レガリア”爆発事故から2年。仙崎大輔(伊藤英明)は自ら志願し,後輩の吉岡(佐藤隆太)と共に,海難救助のエキスパートであり最も危険な事案に従事する“特殊救難隊”で海難救助の最前線にいた。嶋副隊長(伊原剛志)の指導の下,日々苛烈な任務をこなしながらも,充実した日々が過ぎてゆく。大輔の妻・環菜(加藤あい)は2人目の子どもを授かり,吉岡にはキャビンアテンダントの美香(仲里依紗)という恋人ができていた。
そんなある日,羽田空港に向けて飛行中のジャンボ旅客機のエンジンが炎上する事故が発生。飛行困難な状況に陥った旅客機の救助方法が検討される中で,総合対策室の下川救難課長(時任三郎)は,夕闇が迫り視界が悪くなる状況にも関わらず,前代未聞の東京湾への着水を提案する。しかし,海上着水に成功したとしてもジャンボ機が浮いていられる時間はわずか20分。機体が沈む前に乗客乗員346名全員を助け出さなければならない。
さらに,そのジャンボ機には美香も乗務していた。特救隊や現場に駆け付けた第五管区の服部(三浦翔平),警察,消防,現場周辺の関係機関を巻き込んだ空前の大救出計画が始まる。日本中が固唾を飲んでその行方を見守る中,旅客機の村松機長(平山浩行)は東京湾着水に向けて降下を開始するのだった…。
ベースとなっているのは『ハドソン川の奇跡』で描かれた2009年の“USエアウェイズ1549便不時着水事故”だと容易に想像できるが,東京湾の水深はハドソン川の3倍となる60m。海底にはヘドロもあり,ふつう水没したら救出できない。
島国に暮らす私たちにとって,海は身近であるが故に,その脅威に直面すると愕然とする。しかし,自然に対峙するのではなく,協調し“生きる”ことの大切さと困難さを,過剰な程のスケールで教えてくれたシリーズの集大成。主人公・大輔の口ぐせの「何とかなる」は,“行き当りばったり”なのではなく,信じて生きようとすることで“おのずと道は開ける”という意味だと感じさせる。
エンディングのお決まりとなったガチンコを持ったオフショットの前に流れる劇場版第1弾からの名シーンの数々は,何度見ても目頭を熱くさせる。8年に渡る『海猿』シリーズに,ありがとう,そしてまた新しい明日に進んで行こう! という気持ちにさせてくれるのだ。
クタ評:★★★★☆
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伊藤英明作品まとめ
仲里依紗作品まとめ
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時任三郎作品まとめ
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濱田龍臣作品まとめ
◆シリーズ一覧◆
『海猿/ウミザル』(2004年)
『LIMIT OF LOVE 海猿』(2006年)
『THE LAST MESSAGE 海猿』(2010年)