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監督:紀里谷和明
キャスト:伊勢谷友介/麻生久美子/寺尾聰
配給:松竹
公開:2004年4月
時間:141分




公開当時に劇場で観て「暗くて違う」ってイメージしか湧かずに放置していたが『ヤッターマン』『ガッチャマン』とタツノコプロ実写化シリーズを紹介したので,この作品も見直してみようと思い立った。

原作は1973年から1974年にTV放送されたアニメ『新造人間キャシャーン』。監督は,これが劇映画デビューとなった映像クリエイター紀里谷和明。公開当時は宇多田ヒカルの夫(2007年に離婚)で,テーマソングに宇多田ヒカルの『誰かの願いが叶うころ』が使われたことでも話題になった。

そこは現代の世界とは全く異なる歴史を歩んできた世界。大戦は50年も続き,世界は大亜細亜連邦共和国とユーロッパ連合という2つの陣営に分断されていた。戦いは大亜細亜連邦共和国の勝利に終わるが,人心は荒廃し,様々な後遺症と荒れ果てた大地だけが残った。そんな中,東博士(寺尾聰)は重い病に苦しむ妻・ミドリ(樋口可南子)を助けたい一心で,人間のあらゆる部位を自在に造り出す“新造細胞”理論を構築する。

東博士の一人息子の鉄也(伊勢谷友介)は,長年研究のみに没頭し続ける父への反発から従軍を決意し,婚約者ルナ(麻生久美子)を残して戦地へと向かう。1年後,鉄也は作戦中に戦死。陸軍本部に鉄也の遺体が届く頃,異形の稲妻が建物を貫き,東博士の研究所で異変が始まる。新造細胞培養槽の生体部品群がひとりでに結合を始め,無数の人の姿となって蘇生を始めたのだ。何かに気づいた内藤(及川光博)はすぐに蘇生体殲滅を指示し,数百の蘇生体が再び惨殺される。

奇跡的に逃げ延びた蘇生体のリーダー,ブライキング・ボス(唐沢寿明)は,仲間のサグレー(佐田真由美),バラシン(要潤),アクボーン(宮迫博之)と共に自らを“新造人間”と名乗り,人類への復讐を誓う。一方,東博士が何かを確かめるように鉄也の遺体を培養槽に浸すと,鉄也は息を吹き返すのだった。放浪の末に大量のロボット兵器群を発見し,人類へ宣戦布告した新造人間。死から蘇ると同時に彼らと同じ超人的身体能力を宿した鉄也。軍関係者の思惑も絡めながら,運命は数奇にもつれていく…。

ほぼ全編がグリーンバック合成で撮影され,そのCG背景には映像クリエイターとしての紀里谷監督の力量が存分に発揮されている。キラキラと輝いていたり,目を引くコントラストがあったりと,長いPVを見るような感覚で魅了してくれる。欲望による破滅へのカウントダウンというストーリーも,個人的には嫌いではない。ただ,映像美とストーリーがまったく噛み合ってなくて,それぞれの表現を打ち消し,眼球の疲労感だけが残る。何より,主役ヒーローの衣装が一番地味で汚れまくるのが見ていて痛い。

興業的にはソコソコ成功し,第2作『GOEMON』(2009年・松竹)を経て,第3作『ラスト・ナイツ』(2015年・ライオンズゲート)ではハリウッド進出も果たすのだが,残念ながら,どの作品でもキャラの心拍が伝わってこない。それが紀里谷作品の“特徴”ということになるのだろうか。


映画クタ評:★★★☆☆


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