やじきた道中 てれすこ | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:平山秀幸
キャスト:十八代目中村勘三郎/柄本明/小泉今日子
配給:松竹
公開:2007年7月
時間:108分




真夜中の弥次さん喜多さん』の2年後に公開された“弥次喜多モノ”。『真夜中の弥次さん喜多さん』で喜多さんを演じた中村七之助の実父・十八代目中村勘三郎が弥次さんを演じる。監督は『エヴェレスト 神々の山嶺』の平山秀幸。

原作『東海道中膝栗毛』のキャラ設定では,江戸を出発した時の弥次さんは49歳,喜多さんは29歳だったらしいので,公開時の年齢でいうと,勘三郎の弥次さん&七之助の喜多さんの組み合わせが近いことになるのか…とか考えつつ,親子の“弥次喜多”を較べてみたくなった。

天下太平の江戸時代。大阪で“てれすこ”と呼ばれる奇妙奇天烈な生き物が捕獲され,人々の話題を集めていた。なんでもそれは万病に効くらしい。その頃,江戸・品川の遊郭“島崎”では,売れっ子花魁・お喜乃(小泉今日子)が,新粉細工職人の弥次郎兵衛(十八代目中村勘三郎)に作らせた偽の切り指を愛の証と偽り,客に贈って金をせしめていた。お喜乃はある日,弥次さんが自分に気があるのを良いことに,遊郭から足抜けさせてくれと無理難題を押しつける。ちょうどその時,部屋の外では弥次さんの幼なじみで売れない歌舞伎役者の喜多八(柄本明)が,舞台での大失態を苦に首を吊ろうとしていた。思わぬ形で再会した弥次さんと喜多さんは,お喜乃の足抜けを手助けすると,追っ手を逃れて西へ西へと奇妙な3人旅に繰り出すのだったが…。

“てれすこ”とは,古典落語の演目の1つで,落語の中に登場する架空の生物の名。魚類で,乾燥させたものを“すてれんきょう”と呼ぶとか。

どちらもコメディだが,『真夜中の弥次さん喜多さん』が“奇抜な展開と勢い”だとすると,この『てれすこ』は“役者のオーラと演技で魅せる”作品。勘三郎と柄本明が居るだけで,キッチリと楽しめる映画にまとまってるし,ヒロインの小泉今日子をはじめ,ラサール石井,吉川晃司,間寛平,松重豊,國村隼といった共演陣もウルサすぎず役の妙味を醸し出す。江戸の“粋”と邦画の“粋”が見事に融合した1本だ。

歌舞伎はもちろん,司会・ドラマ・映画と,マルチな才能を見せてくれた名優・中村勘三郎。この作品が,主役としては彼の最後の映画となったことも添えておこう。


映画クタ評:★★★★


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