• 19 Nov
    • 遺言能力

      民法第961条15歳に達した者は、遺言をすることができる。本条は、遺言をすることができる能力(地位とか資格)を規定したものです。この遺言能力は、行為能力(単独で、有効な法律上の行為を、行うことのできる地位のことで、一般的に誰しも20歳になれば、取得します)の程度よりも低いことを意味します。遺言も法律行為である以上、当事者の自由な意思により行われなければなりません。しかし、その自由な意思を個々人ごとに判断する面倒さを避け、しかも遺言が財産行為ではなく、身分行為と観念されてきた歴史的な経緯を踏まえて、一律に15歳以上の者が、取得するとしました。もっとも、なぜ15歳としたかは、明確ではないようです。20歳以上の者が取得する行為能力の程度よりも下げたのは、死に臨んだ人の判断は正しいとして、遺言者の意思をできる限り実現させるためのようです。また、遺言の効力が、遺言者の死後に生じることから、制限行為能力者の財産を保護するための行為能力制度を、遺言者に適用する必要がないことも、一つの理由でしょう。さらに、遺言処分により第三者の利益を害するおそれがないことも、考えられます。財産行為における意思能力は、およそ6歳から7歳程度で取得しますが、遺言には認知などの身分行為も含まれていることから、身分行為における意思能力のおおよその取得時期である、15歳としたのです。

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  • 01 Nov
    • 遺言の方式(その2)

      遺言の方式に違反した遺言は、効力を生じません。もっとも、遺言としては無効でも、遺言の方式を遵守する必要のない死因贈与契約書として、有効とされた事例もあります。さらに、無効行為の転換法理を、明文化した規定(民法第971条)が、あります。これは、秘密証書遺言としては、方式に欠けるため無効でも、自筆証書遺言として有効とされるとの、規定です。遺言によってできる事項は、遺言者の真意確保などのため、法律で定められたことがらに、限られます。次の事項です。①.寄付行為(民法第41条第2項)②.認知(781条第2項)③.未成年後見人・未成年後見監督人の指定(839条・848条)④.相続人の廃除・廃除の取消し(893条・894条2項)⑤.祭祀財産の承継者の指定(897条第1項)⑥.相続分の指定・指定の委託(902条)⑦.特別受益の持戻免除(903条)⑧.遺産分割方法の指定・指定の委託と遺産分割の禁止(908条)⑨.遺産分割における相続人相互間の担保責任の定め(914条)⑩.遺贈(964条)⑪.遺言執行者の指定・指定の委託(1006条)⑫.遺贈減殺割合の指定(1034条)民法以外に、信託法・商法でも、規定があります。商法は、⑬.生命保険金受取人の指定・変更(商法675条・676条)を、規定しています。なお、前記に規定した、①・②・④・⑤・⑦・⑬は、生前行為でも可能です。

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  • 09 Jul
    • 遺言の方式(その1)

      民法第960条遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。遺言は、一般的には、「ゆいごん」と読まれ、また言われることが多いようです。しかし、士業に携わる者は、「いごん」と、言うのが通常です。本条は、遺言が、民法で決められた方式に従って、作成されなければならないことを定めた規定です。もともと遺言制度は、遺言者の最終意思を尊重し、遺言者の死亡後に、その実現を保障するために設けられたのものです。遺言は、契約や合同行為とは異なり、遺言者の一方的な意思により効力を生ぜしめる、「相手方のない単独行為」、としての法的性質を有しています。そして、遺言は、遺言者が生存中は、遺言者自らが、いつでも自由に撤回できます。この場合の 「相手方のない」とは、例えば、ある者を受遺者として、特定財産を遺贈する旨の遺言を作成した場合を、想定します。そのある者とは、相手方ではなく、遺言の効果を受ける者であって、ある者の受領がなくても、遺言は有効に成立します。また、「単独行為」とは、契約のように、互いに対立する二つ以上の意思表示の合致を必要とせず、一つの意思表示だけで、独立して法律効果を発生させる法律行為です。このように、遺言の効力は、遺言者の死亡時から生ずるので(第985条)、効力発生後に、その真意を確かめることは不可能であり、また他人による偽造や改変などのおそれもあります。そこで、遺言作成に際しては、厳格な遺言方式に従わしめることにより、遺言者の真意の確保および紛争の予防が、強く要請されます。

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  • 27 Jun
    • 相続分の指定(その6)

      相続分の指定は、被相続人自身が定めたときは、遺言の効力発生の時から、第三者に委託したときは、遺言が効力を生じた後、第三者が指定することにより、相続開始の時に遡及して効力を生じ、各共同相続人の相続分が定まることになります。被相続人、または指定の委託を受けた第三者による相続分の指定は、遺留分に関する規定に違反することはできません。この場合、遺留分を侵害する指定分は、当然無効ではなく、遺留分権利者の減殺請求に復せしめられるに過ぎない、と解するのが通説的見解です。相続分の指定があれば、その効力は相続債務に及ぶか、という問題があります。被相続人の意思だけによって、相続債務の負担の割合を変更するには相続債権者の同意を要すると解すべきでしょう。そして、相続債権者の同意が得られない限り、相続分の指定は、共同相続人間の内部関係にとどまり、相続債権者に対しては、主張できないと解すべきでしょう。それでないと、相続債権者が、不利益を受けるおそれがあります。したがって、共同相続人は、相続債権者に対しては、法定相続分に従った債務を負担している、と解すべきであるとされます。指定相続分と登記の関係があります。例えば、相続人はA・Bの二人の子のみであって、被相続人がAに四分の三、Bに四分の一の指定をしました。ところが、Bが法定相続分の登記をして、その持分全部である二分の一を第三者甲に、譲渡しました。最高裁平成5年の判決は、指定相続分を超える部分は無権利の登記であり、第三者は指定相続分の持分を取得するにとどまるとしました。したがって、Aは甲に対し、Bの指定相続分の四分の一を超える部分について、登記がなくても、甲にその旨を主張できることになります。

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  • 28 May
    • 相続分の指定(その5)

      遺言による相続分の指定について、相続人の一部だけを対象にした場合があります。それは、被相続人が遺言で、相続人の一部に対して、相続財産全部に関しての相続分の指定をしたため、残余の相続人に相続分がない場合です。これに関しては、下記のような場合が、考えられます。①.被相続人が、故意に特定の相続人を相続から排斥するために、指定からはずした場合②.被相続人が、特定の相続人の存在を忘れていた為、その相続分の指定を没却した場合③.全ての相続人の相続分の指定後に、新たに相続資格を取得した相続人が、出現の場合これらの場合は、遺言解釈の一場面であり、できるだけ遺言を有効であると解釈すべきです。従って、かかる相続分の指定は無効であって、法定相続分によるとすべきではありません。遺留分の規定に反した相続分指定の問題として、処理すべきです。包括受遺者については、民法第990条が、相続人と同一の権利義務を有するとしていることから、包括受遺者の取得すべき相続財産の割合についても、第902条2項の、遺言による相続分の指定の適用があります。この場合、包括遺贈において、受遺者の取得すべき財産の割合が指定され、本来の相続人の相続分が指定されていない場合が、考えられます。また、反対に、本来の相続人の相続分が指定され、包括受遺者の取得すべき財産の割合が指定されていない場合が、考えられます。これらの場合、配偶者以外の相続人が、1人追加されたものとして、処理すれば足りるとする考え方が有力です。

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  • 27 May
    • 相続分の指定(その4)

      被相続人が、遺言で相続人全員に相続分の指定をしたが、その指定を受けた者の一部が、相続放棄をした場合に、相続人の相続分はどうなるでしょうか。例えば、被相続人甲の相続人は、A・B・Cであるが、甲は遺言書で、Aが2分の1、Bが4分の1、Cが4分の1と、相続分の指定をしました。この場合に、Cが相続放棄をすると、A・Bの相続分は、どうなるのでしょうか。相続人が相続放棄をすると、当該相続人は、はじめから相続人とならなかったものとみなされますから(第939条)、相続人でない者に対する相続分の指定は、ないことになります。したがって、相続放棄をしたCに対する相続分の指定のみが、無効となります。Aが2分の1、Bが4分の1ですから、Cの4分の1については、「A2:B1」の割合で取得します。すなわち、Aは、1/4×2/3=2/12Bは、1/4×1/3=1/12、です。最終的には、Aは、1/2+2/12=8/12=2/3Bは、1/4+1/12=4/12=1/3、となります。被相続人は、一部の相続人についてだけ、相続分を指定することができます。この場合は、相続分の指定を受けなかった他の相続人の相続分は、法定相続分の規定に従って、定められます。例えば、被相続人甲の相続人は、A・B・Cの3人の子どものみの場合、被相続人甲が、Aに3分の1、Bに4分の1、の指定をしたときは、Cの相続分は、残りの12分の5となります。同じ事例で、被相続人甲が、Aに2分の1の相続分を指定したときは、BとCの相続分の合計は、残りの2分の1であり、これを、BとCの法定相続分の割合で、分けます。結局、BとCの相続分は、各4分の1となります。

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  • 24 May
    • 相続分の指定(その3)

      遺言書で、「特定の相続財産を、特定の相続人に与える」という内容が、記載されていた場合、特別の事情のない限り、遺産分割方法の指定とみるべきで、特に、その特定の相続財産の価額が、当該相続人の法定相続分を超えるときは、相続分の指定を含む遺産分割方法指定とみるべきである、との考え方が有力であるとされています。被相続人が、相続人全員の相続分を指定したが、それらの相続分の指定を合計したものが、遺産全体に対して不足あるいは超過する場合が、あり得ます。その場合であっても、その相続分の指定を無効として、法定相続分によると解すべきではありません。各指定相続分を比例的に修正して、各共同相続人の真正の相続分を算定すべきです。これは、遺言解釈の一つの場面であって、遺言をできる限り有効として解釈すべきであるとの考え方に基づくものです。例えば、被相続人甲の相続人は、A・B・Cであるが、その相続分は、Aが2分の1、Bが4分の1、Cが5分の1、と指定された場合、指定相続分の合計は20分の19となって、不足しています。この場合も、相続分の指定を、無効と解釈すべきではありません。修正相続分は、次のようになります。Aの指定相続分は、1/2=10/20、Bの指定相続分は、1/4=5/20、Cの指定相続分は、1/5=4/20 ですから、A10:B5:C4の割合で、修正します。Aの相続分は、10/19、Bの相続分は、5/19、Cの相続分は、4/19、となります。また、同じく被相続人甲の相続人は、A・B・Cであるが、その相続分は、Aが2分の1、Bが3分の1、Cが4分の1、と指定された場合、指定相続分の合計は12分の13となって、超過しています。この場合の修正相続分は、次のようになります。Aの指定相続分は、1/2=6/12、Bの指定相続分は、1/3=4/12、Cの指定相続分は、1/4=3/12 ですから、A6:B4:C3の割合で、修正します。Aの相続分は、6/13、Bの相続分は、4/13、Cの相続分は、3/13、となります。

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  • 23 May
    • 相続分の指定(その2)

      遺言によって、指定の委託を受けた第三者は、諾否の自由を有し、委託を承諾すべき義務を負うわけではありません。したがって、第三者が委託を拒絶した場合、あるいは、委託を承諾したにもかかわらず、指定しない場合および指定することができない場合が、問題となります。が、これに関しては、特に規定はありません。しかし、委託を拒絶した場合、および承諾はしたが指定することができない場合は、指定の委託は効力を失い、法定相続分の適用があると解すべきです。相続分指定の態様に関してですが、相続分とは、相続人が相続財産を承継すべき割合をいうのであるから、本来、相続分の指定は、「相続財産の何分の何」というように、相続財産全体に対する分数的割合で、示されるべきです。しかし、不動産・動産・株式などのように、相続財産の種類を指定しても、また特定の相続財産を指定しても、それが相続財産全体に対する相続すべき割合を指示している限り、さしつかえないと解されています。したがって、特定の相続財産を、特定の相続人に与える趣旨の遺言がなされた場合、それが、相続分の指定、遺産の分割方法の指定、遺贈の、いずれに該当するかの問題が生じます。当該相続人に与えられた財産が、同相続人の法定相続分を上回っている場合は、そのいずれでも、結論に違いはありません。しかし、法定相続分より少ない場合は、後二者であれば、同相続人はさらに他の相続財産を取得する余地があるのに対し、相続分の指定なら、その余地がないことになって違いが生じます。そのいずれであるかは、結局遺言の解釈の問題に帰着し、遺言の文言、具体的内容などを検討して、決すべきでしょう。その場合、相続分の指定と解すると、それが法定相続分を下回っていた場合に、他の相続財産を取得する余地がなくなることを考慮すると、相続分の指定と解する事には慎重であるべきでしょう。

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  • 21 May
    • 相続分の指定(その1)

      民法第902条①.被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを、第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。②.被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。本条は、被相続人が、遺留分の規定に反しない限り、遺言で、共同相続人の全部または一部の者について、法定相続分の割合と異なった割合での相続分を定めることができ、また、これを定めることを、第三者に委託することができることを、規定したものです。これを、相続分の指定といい、指定された相続分を指定相続分といいます。相続分の指定の方法としては、被相続人は、自ら指定するか、第三者に指定の委託をすることができます。その際は、いずれの場合も、この相続分の指定または指定の委託は、必ず遺言によらなければなりません。したがって、遺言以外の生前行為による指定または指定の委託は、たとえ相続人全員が同意しても、無効です。第三者に対する指定の委託自体は、遺言書によらなければなりませんが、指定の委託を受けた第三者がする指定行為は、何らの方式を必要としません。第三者が委託された場合の指定は、不要式の相手方のない単独行為です。必ずしも書面による必要性はありません。また、被指定者たる相続人の同意も、必要ではありません。

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  • 20 May
    • 代襲相続人の相続分

      民法第901条①.第887条第2項又は第3項の規定により、相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。②.前項の規定は、第889条第2項の規定により、兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。代襲相続は、相続人となるべき子または兄弟姉妹が、相続開始前に死亡し、または相続権を失った場合に、その者の子または直系卑属によって行われます。子の代襲相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属に当たる被代襲者が、受けるべきであった相続分と同じです。事例で検討しましょう。被相続人甲の相続人には、妻Aと子B・C・Dがあり、Dは甲より先に死亡しています。Dには、妻乙との間に、子E・Fがあります。相続財産は、3600万円です。各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。妻Aの、相続分は、1/2、相続取得額は、3600万円×1/2=1800万円B・Cの、各相続分は、1/2×1/3=1/6各相続取得額は、3600万円×1/6=600万円E・Fの、各相続分は、1/2×1/3×1/2=1/12各相続取得額は、3600万円×1/12=300万円兄弟姉妹の代襲相続人となる子の相続分は、直系尊属に当たる被代襲者の、相続分の定め方に応じて、定められます。事例で検討しましょう。被相続人甲には、妻Aがいるが、Aとの間には子はなく、父母も死亡しています。妻Aの他には、相続人としては、兄弟姉妹B・C・Dがいます。しかし、B・Cは、甲に先立って死亡しており、Bには、子E・Fがおり、Cには、子Hがいます。各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。妻Aの、相続分は、3/4、相続取得額は、3600万円×3/4=2700万円D・Hの、各相続分は、1/4×1/3=1/12各相続取得額は、3600万円×1/12=300万円E・Fの、各相続分は、1/4×1/3×1/2=1/24各相続取得額は、3600万円×1/24=150万円

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  • 19 May
    • 法定相続分(その4)

      身分関係が重複する場合の相続分は、どうなるのでしょうか。例えば、祖父が孫を養子にする場合に、祖父と孫間という血縁関係があるうえに、養親子という法定血族関係が、重複して発生します。また、配偶者の一方が、他方の父母の養子となった場合に、兄弟姉妹という血縁関係の他に配偶者という身分関係が、重畳的に存在することになります。このような場合に、相続が開始すれば、二個の身分を併有する相続人は、二つの地位に基づく相続分を加算した財産を、取得できるかという問題があります。戸籍の先例は、被相続人の長女の子が、被相続人の養子となっている場合に、長女が被相続人の死亡前に死亡しているときは、その子は、養子としての相続分と亡母の代襲相続人としての相続分を、合わせて取得するとして、両者の加算を認めています。しかし、婿養子である夫が被相続人である場合に、その妻は、妻としての相続分のみを取得し、兄弟姉妹としての相続分は、取得しないとしています。法定相続分と相続債務についてですが、民法第900条の法定相続分は、積極財産の取得割合となるのみならず、消極財産、すなわち共同相続人が承継すべき相続債務の承継割合をも、定めるものです。法定相続と登記の問題があります。共同相続人の一人である甲が、遺産である不動産について、勝手に単独所有名義の登記をしたうえ、その不動産を第三者丙に譲渡し、第三者名義の所有権移転登記がなされた場合、他の相続人乙は、登記が無くても自己の持分を、その第三者に対抗することができるでしょうか。最高裁判所昭和38年判例は、登記不要説に立つことを明言しました。その理由として、甲の登記は、乙の持分に関する限り無権利の登記であり、登記の公信力がないため、丙も乙の持分に関する限り、その権利を取得することができないからであると、判示しています。

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  • 14 May
    • 法定相続分(その3)

      兄弟姉妹と配偶者が、相続人である場合を、検討しましょう。兄弟姉妹の相続分は4分の1、配偶者の相続分は4分の3と、なります。そして、兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、4分の1を均分したものとなります。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の相続分の、2分の1です。ここでいう父母には、実父母のみならず養父母を、含みます。事例で考えてみましょう。被相続人甲の相続人は、妻A、全血兄弟姉妹B・Cがおり、相続財産は3600万円の場合、各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。妻Aの相続分は、3/4  相続取得額は、3600万円×3/4=2700万円全血兄弟姉妹B・Cの各相続分は、1/4×1/2=1/8  各相続取得額は、3600万円×1/8=450万円もう一つ事例を検討しましょう。被相続人甲の相続人には、妻A、全血兄弟姉妹B、半血兄弟姉妹C、がいます。相続財産は、3600万円あります。各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。妻Aの相続分は、3/4  相続取得額は、3600万円×3/4=2700万円全血兄弟姉妹Bの相続分は、1/4×2/3=1/6相続取得額は、3600万円×1/6=600万円半血兄弟姉妹Cの相続分は、1/4×1/3=1/12 相続取得額は、3600万円×1/12=300万円被相続人に配偶者がなく、子、直系尊属または兄弟姉妹だけが、相続人である場合は、子、直系尊属、兄弟姉妹の、それぞれのグループが、相続財産全体について、均分します。配偶者だけが、相続人である場合は、配偶者が相続財産全部を、単独相続します。被相続人の伯父、叔母、従兄弟姉妹がいても、これらの者は、相続人とはなりません。

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  • 07 May
    • 法定相続分(その2)

      法定相続分は、共同相続する相続人の種類によって、異なってきます。直系尊属と配偶者が相続人である場合、直系相続の相続分は3分の1、配偶者の相続分は3分の2です。直系尊属が数人あるときは、数人の各相続分は、この3分の1を均分したものとなります。父母が相続人となる場合、実父母・養父母の区別は、ありません。同一対等の立場で、相続します。また、父方母方の区別もなく、相続分は平等となります。祖父母は、父母がいない場合に相続人となります。この場合も、父方の祖父母と母方の祖父母の区別は、ありません。事例で考えてみましょう。①.被相続人甲の相続人は、妻A、甲の父母B・Cであり、相続財産は3600万円とします。各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。妻Aの相続分は、2/3、相続取得額は、3600万円×2/3=2400万円父母B・Cの各相続分は、1/3×1/2=1/6父母B・Cの各相続取得額は、3600万円×1/6=600万円、となります。②.被相続人甲の相続人は、妻A、甲の養父母B・C、甲の実母Dであり、相続財産は3600万円とします。各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。妻Aの相続分は、2/3、相続取得額は、3600万円×2/3=2400万円養父母B・C、実母Dの各相続分は、1/3×1/3=1/9養父母B・C、実母Dの各相続取得額は、3600万円×1/9=400万円、となります。

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    • 法定相続分(その1)

      民法第900条同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。1.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。4.子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。本条は、同順位の相続人が数人あって、共同相続となる場合の、各相続人の相続分を定める規定です。相続分とは、共同相続に際して、各共同相続人が、相続財産を承継すべき割合です。すなわち、各共同相続人が、取得し得べき相続財産の総額に対する分数的割合です。この相続分は、まず、被相続人またはその委託を受けた第三者の指定によって、決定されます(民法第902条)。指定相続分と呼ばれます。次に、指定がない場合には、本条に従って決定されます。法定相続分と呼ばれます。法定相続分は、共同相続する相続人の種類によって異なります。子と配偶者が相続人である場合、子の相続分は2分の1、配偶者の相続分は2分の1です。子が数人ある場合は、全員で2分の1を取得し、各人の間で均分します。子については、男女の別、戸籍の異同、実子・養子の別、国籍の有無を問いません。

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  • 08 Apr
    • 共同相続の効力(その5)

      民法第899条各共同相続人は、その相続分に応じて、被相続人の権利義務を承継する。本条は、第898条とともに、複数の相続人がいる場合の、相続財産をめぐる法律関係、特に相続分に応じた権利義務の承継を、規定したものです。 以下に、判例をご紹介いたします。①.定額郵便貯金債権について郵便貯金法は、定額郵便貯金債権の分割を許容するものではなく、同債権は、預金者が死亡したからといって、相続開始と同時に、当然に相続分に応じて、分割されることはない(最高裁判決平成22年)。②.株式について共同相続された株式は、相続開始と同時に、当然に、相続分に応じて分割されることはない(最高裁判決平成26年)。株式を、相続により準共有するに至った共同相続人は、商法第203条2項(現会社法第106条本文*)の定めるところに従い、当該株式につき、株主の権利を行使すべき者一人を定めて、会社に通知すべきである(最高裁判決昭和45年)。*会社法第106条(共有者による権利の行使)株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。③.投資信託受益権、国債について共同相続された、委託者指図型投資信託受益権及び個人向け国債は、相続開始と同時に、当然に相続分に応じて、分割されることはない(最高裁判決平成26年)。

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  • 04 Apr
    • 共同相続の効力(その4)

      単純承認の後、遺産分割までの管理に関してですが、目的物の変更や処分行為には、相続人全員の同意が必要です。同意が得られない場合には、遺産分割手続によるほかありません。特定の者を、相続財産の管理人に選任し、その管理を委ねるには、全員の同意が必要です。また、相続財産である農地に、宅地造成工事を施して、非農地化とすることは、改良の範囲を超え変更に該当します(最高裁判決平成10年)。銀行の貸金庫の開扉は、内容物の処分や変更に結び付きかねない行為ですから、全員の同意を要する、とされています。共同相続人の一人が、相続開始後に、遺産中の不動産を単独で占有する場合、相続分の割合において、過半数を有する他の相続人が、占有使用中の共同相続人に対して、明渡請求ができるでしょうか。これについては、少数持分権者も、自己の持分に基づき、共有物を使用収益する権限を有します。そして、これに基づき占有するのですから、多数持分権者も、当然に明渡しを請求できるものではなく、明渡しを求める理由の主張立証を要します(最高裁判決昭和41年)。なお、共同相続人の一人が、被相続人の生前から許諾を得て、遺産たる建物に同居してきたときは、特段の事情のない限り、両者間に、被相続人の死後、遺産分割による最終的確定までの間、引き続き無償使用させる使用貸借の合意(被相続人を相続した他の相続人が貸主、同居相続人が借主)が、推認されます(最高裁判決平成8年)。

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    • 共同相続の効力(その3)

      単純承認の後、遺産分割までの共有状態における管理については、規定がありません。管理に関して、共同相続人間で合意がまとまる場合は、その合意に従います。そうした合意がない場合の、共同相続人による管理に関して、保存行為は、各相続人が単独でなし得ます(第252条ただし書)。管理行為は、相続人の相続分の割合に応じた、多数決によります(同本文)。また目的物の変更ないし処分行為は、相続人全員の同意を得て、行うことができます(第251条)。保存行為とは、財産の現状を維持するために、財産の滅失や損壊などを防ぐ事実行為および法律行為をいいます。例えば、次のような判例があります。①.相続不動産につき、相続人全員を名義人とする、保存登記(東京高裁判決昭和35年)。②.相続不動産について、相続人全員を名義人とする、相続による所有権移転登記(大阪高裁決定昭和40年)。③.無権利者が、相続財産を不法に占拠、侵害している場合に、その引渡しまたは妨害排除の請求(広島高裁米子支部判決昭和27年)。④.相続財産につき、無効な登記を有する者に対する、登記抹消請求(最高裁判決昭和31年)。管理行為には、財産の利用行為(収益をはかる行為)と、改良行為(経済的価値を増大させる行為)が、あります。遺産中の現金を、銀行預金とするのは、利用行為です。不動産の第三者への賃貸は、借地借家法や農地法などの適用により、返還請求が容易でなくなる場合は、管理行為といえないでしょう。第602条の期間を超えない賃貸借につき、管理行為とした裁判例もあります(東京高裁判決昭和50年)。

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  • 03 Apr
    • 共同相続の効力(その2)

      不可分債務を共同相続した場合は、どうでしょうか。不可分債務は、各共同相続人に不可分的に帰属し、各相続人は、全部につき履行すべき義務があります。不動産を引き渡す債務や、登記手続をなすべき債務が、これに該当します。可分債務について、各相続人は、相続分により分割された範囲で、金銭債務を負担すると解する考えもあります(大審院決定昭和5年)。しかし、多数の学説は、債権者の保護の観点から、分割に親しまない性質上不可分と、解しています。連帯債務については、判例は、各相続人は、相続分に応じ分割された範囲で債務を負担し、負担部分も分割され、本来の債務者とともに、連帯して債務を負うとしています(最高裁判所判決昭和34年)。しかし、学説の多くは、判例に反対しています。判例の考えだと、債権者は、債務所の死亡前と比べ、相続人全員からの取立ての手間や、回収不能のリスクが増大します。そうしますと、連帯債務の担保的機能が損なわれますし、法律関係も複雑になります。したがって、全部給付義務という連帯債務の「連帯性」は、相続によっても維持され、各相続人は、全額の支払い義務を負い、負担部分が相続分に応じて分担されると、解しているのです。相続開始後に、遺産たる不動産が売却されたときの代金は、相続開始後に発生したもので、相続財産そのものではありません。遺産分割の対象に含めても良いのでしょうか。最高裁判所は、相続人全員の合意により、遺産中の特定不動産を第三者に売却した事案につき、売却代金は、これを一括して、共同相続人の一人に保管させて、遺産分割の対象に含める合意などの特別の事情のない限り、相続財産に属さず、各相続人は、その持分に応じて個々に分割取得する、としました(最高裁判所判決昭和52年)。

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  • 02 Apr
    • 共同相続の効力(その1)

      民法第898条相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。相続財産は、「共有」とされていますが、第249条以下に規定する「共有」と、その性質を異にするものではありません(最高裁判所判決昭和30年)。債権の共同相続に関して、検討しましょう。まず、不可分債権は、遺産分割まで全共同相続人に、不可分的に帰属します。各相続人は、総債権者のために全部の履行請求ができ、弁済を受領できます(第428条)。可分債権について、判例は、共有説の立場から、分割承継説を採っています(最高裁判所判決昭和29年)。各相続人間に、当然に分割されるのです。そして、最高裁判所判決平成16年は、共同相続人の一人が、相続財産である可分債権(貯金)につき、自己の相続分を超えて権限なく権利を行使した場合につき、「他の共同相続人は、当該相続人に対して、不法行為に基づく損害賠償または不当利得返還請求権を、行使できる」と、判示しました。金銭が遺産中に存在する場合、判例は、可分な金銭であるが、異なる解釈をしています。被相続人が、多額の現金を残して死亡し、その現金を保管中の相続人に対して、別の相続人が、法定相続分に応じた金額の支払いを請求した事案です。最高裁判所判決平成4年は、遺産分割までの間は、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることは、できないとしました。金銭も、他の有体物と異なる取扱いをする根拠は、なさそうです。しかし、金銭が、遺産分割手続きにおける、不動産・動産などの分割の結果生ずる不均衡の調整に便利であることから、学説も、上記判例の結論を支持しているようです。

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  • 01 Apr
    • 祭祀に関する権利の承継

      民法第897条①.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って、祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。②.前項本文の場合において、慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。本条は、系譜、祭具および墳墓などの祭祀財産について、相続の一般的規定とは別に、特別の承継ルールを、定めたものです。系譜とは、家系図、過去帳など祖先以来の系統を、示すものです。祭具とは、位牌、仏壇、仏具、神棚など、祭祀・礼拝の用に供するものを、いいます。墳墓は、墓石、墓地の所有権や墓地使用権(大阪高等裁判所決定昭和59年)を、含みます。祭祀主宰者の資格に制約はなく、相続人でなくても可能ですし、親族関係の有無とか、氏の異同なども問いません(大阪高等裁判所決定昭和24年)。通常は一人ですが、特段の事情があれば、二人を共同の承継者とすることも、可能です。祭祀財産の承継には、相続の規定が適用されないから、相続の承認や放棄はできません。しかし、祭祀をなす義務を負うわけではありません。また、祭祀主宰を理由に、相続につき特典(特別の相続分や祭祀料の要求)も認められません(東京高等裁判所決定昭和28年)。遺体・遺骨について、所有権を認めるにしても、埋葬管理と祭祀供養の目的の範囲内に、限られるでしょう。その帰属は、祭祀承継者とするのが判例です(最高裁判所判決平成元年)。葬式の際の香典は、相続財産ではありません。葬式費用などの遺族側の負担の軽減のための贈与と解されていますので、葬式費用に充当することは、問題ありません。

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