ガラクタ

ぐだぐだつらつら落書きブログ


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激しい雷の轟いた後


シュウゥ...と皮が焼ける音が静かに響く


そこには真っ黒な明智「だった」ものがあるだけ


目が鼻が何処かもわからないくらいに黒く焼け、ピクリとも動かない


ガラリと刺さっていた鎌が崩れ落ちた瞬間、魔王はニヤリと口を三日月型に歪ませ


「フ、フフ・・・フハハハハ!!」


天に響く程の笑い声をあげた


もう阻む者はいなくなった


今だギリギリ生きている二人のメセトラもあの状態ならば勝手に死ぬだろうし


此処が勝てばアルビオが堕ちるのももはや時間の問題だ


これぞ魔王、魔王に刃向かった罰


地獄が愛した男の力


自分の力に酔いしれながらも信長は笑い続ける


これでもう自分を止めようとする愚か者は・・・いない!!


メセトラによるメセトラの為の支配が始まる!!


「この世は全て!!余のものよぉおお!!!」


雄叫びに濃姫も高く笑い


唯一、蘭丸だけは市の死骸を見つめながら何か思いつめた表情をしていた。


ラファエルも、ラジエルもアテネもサキュバスも死んだ


残されたタナトス、サリエルも死ぬのは時間の問題


唯一テランの少女も今頃は凍傷で息絶えているだろうし。


魔王に刃向かった勇気ある戦士達は脆くも魔王と魔性の輝きを放つ「女王」の絶大な力に朽ち果てる


その瞬間、魔王の支配する時代の針がガタガタと動き始め様と巻き付けられた封印の鎖を破ろうとし


アルビオも更に深く、闇に包まれた


地獄に呑まれるまでのタイムリミット


砂時計は止まる事を知らず徐々に流れて行って。




この絶望的な時


光達に見送られ「夢世界」から還って来たいつきは目を覚ます


「・・・っ。」


ビリッと体が痛み動かない、息をするのがやっとだ


ぼやける瞳の先には真っ黒な塊を囲み魔王達が笑っている


よく見れば黒い塊達はそこらにいて、代わりに一緒にいた仲間達がいない


まさか・・・


いつきの頭を嫌な予感が摺り抜けた


瞬間、いつきの脳内にシュン!と流れる映像が


そこでは傷だらけになりながらも必死に戦っているアルビオの仲間達の姿


『頼む・・・見えてくれ・・・!』


苦しそうな声は元親のもの


どうやらヘルメスの力を使いこちらに信号を送っていた様で


元親の視線からか元就が血まみれのまま痙攣する体を無理に動かし敵を倒している姿が見えて


あぁ・・・このままでは・・・


きっと目の前にある黒の物体は彼らの成れの果てだろう


元親のギリギリの情報が消えるなり、いつきの瞳から涙が溢れ出る


このままではいけない


約束すら守れず・・・だからといって体も動かない・・・


何も出来ない自分が腹立たしく


唇を噛み締めながら・・・相棒の亡きがらを見つめるばかり


約束したのに、必ず助け出そうって


ずっと傍にいて、喧嘩して・・・あの時やっと笑ってくれて


溢れ出す堕天使と仲間達との思い出


優しい司教に軽い口調の教皇


綺麗な歌姫に強い意思を持つ戦士達


司教が大好きな忠犬に恐持ての教皇の側近


絆で結ばれた兄妹に約束に守られた情報使い


幸せを分かち合う相棒に親切な夫婦に友を思う二人の兵士とその嫁


沢山の幸せをくれた皆が


やっと繋がった彼が


消えてなくなるなんて・・・!!


「ゃ・・・だ・・・。」



『・・・貴女に話す事などない。・・・貴女を見ているといらつきます。だから、近寄らないで下さい。』


『貴女って本当に馬鹿なんですね。』


『全くこれだからテランは。だらしないですね。』


『・・・貴女は本当に面白い。』


『私も・・・いつきだから、それに貴女が大事だから・・・それだけです。』


『いつき・・・。』



優しく笑った貴方の顔


初めて見た心からの笑顔


あぁ・・・薄れていってしまう・・・


「ぃ、か・・・ない、で・・・。」


いなかいで、おいてくだなんて


卑怯じゃないか・・・!!



「いや・・・いやあぁああぁああ!!!」


悲しみで破裂しそうな頭が望むがまま


泣き、叫んだ時だ


体が温かな光に包まれる


耳元で囁く様に聞こえたのは、懐かしい声色




-・・・泣かないで・・・?-


-貴女が悲しんでは私達も悲しいわ-


-私達の愛しい子、お前を泣かすのはこの体の痛みか?お前の宝物を壊したあいつらか?-


-悔しいのなら、取り返しなさい。貴女にはその力がある。-


-子よ、お前を阻める蔓ならば、我らが取り除いてやろう。-


-さぁ、お行きなさい・・・。-




光が強まると同時に体が軽くなる


痛みが引き、体の傷が完全に完治して


この光景を見ていた魔王達はただ目を見開くしかなく


いつきは立ち上がるなりウカノミタマを召喚し


そのまま・・・魔王達目掛けて突っ込んで行く


涙を風に流し走り、ウカノミタマは光輝き


視界に入る黒い塊は・・・やはり相方のものだと理解


悲しみが頭の中に込み上げて来る


奪ったのは誰?


魔王?愛された彼女?小鬼?


いや違う


奪ったのは・・・奪われたのは・・・


自分の未熟さだ!!!


「も、やめて・・・明智を虐めないでぇええぇ!!!」


キィン!と洞窟全体に響き渡る少女の願い


魔王の傍まで来れば彼女は思い切りウカノミタマをたたき付けた


バァン!とたたき付けられた強い音と共にハンマーに満ちていた光は割れ


瞬間、バリバリバリィ!と地面から大きなつららの様な氷の蔓が魔王達目掛けて突っ込んで来て


魔王達を宙へ追いやるとそれはパキパキと明智といつきを包み込み固まって行く。


ガシャガシャと氷達はまるでオブジェの様になり


やがて大きな氷の「城」となる。


「何だこれは・・・!あの娘、一体・・・!!」


「こんなものっ・・・!」


驚く魔王の隣でバァンと一発弾を撃ち込むが弾かれる


蘭丸も電気の走った弓を引き撃つがこれも見事に弾かれて


「何なのこの氷・・・びくともしないなんて!」


「蘭丸の弓を弾く、なんて・・・!」


一体、何なのだこの氷は


まるで中の二人を守る様な・・・!!


三人が動揺している時


中では明智の死骸の前に座り込みポタポタと涙を零して


顔の部分であろう場所にいつきの綺麗な涙が落ちても


赤黒いそれは動かないまま、ただ・・・沈黙だけが支配する


氷の冷えた空気を体で感じつつもいつきは泣きじゃくるばかり


「ごめ・・・ごめんな・・・明智ぃ・・・。」


何時もだったら「何泣いてるんですか。」と冷たくツッコミを入れて来るのに


今はその口でさえ何処にあるかもわからず


ひたすら自分の泣く声しか響かない氷の世界


自分が導くべき運命はこんなにも堕ちたものなのか


世界を救う為にノルンに授けられた力でさえこれでは何の役にさえたたせてない


世界も救えず大切な人は失い・・・


最低というにも程がある。


「明智・・・ごめん、ごめんね・・・おらっ何も出来なかった・・・ひっく、約束も守れないで・・・明智も守れなかった!!」


自嘲は空気に響き、消え


涙は止まらず・・・悔しさと苛立ちと、悲しみばかりが湧き出て来る


「明智・・・答えてよ・・・馬鹿ですねって・・・ねえ!!」


答えないのはわかっている


だって明智はもう死んでしまっているのだから


それでも・・・あぁ生物とは不思議なもので


死んだ者にさえ、聞こえているのではと錯覚を起こしてしまう。


「起きて・・・なぁ起きろよ明智!!明智ってばぁ!」


起きて叱ってよ


馬鹿ですね、って笑ってよ


ごめんね・・・


結局私は貴方に縋るしか出来ない


こんなにも愚かな私だけれど


でも、もし聞こえているならば


また、名前を呼んで


いつきって、お母さんから貰った二つ目の名前を


ねぇ、呼んで・・・


「明智ぃいいぃい!!!」


必死な願いに叫びながら涙がまた一粒


パタリ、と彼の顔に落ちた



-ねぇ、もう泣かなくても良いのよ-




澄んだ優しい声が聞こえた


心の中でふわりふわりと振動する声




-貴女は私。今こそ・・・泣かないで戦うべきよ。-


でもそんな力・・・もう・・・


大切な人だって失ってしまったのに



-諦めたら終わりよ。希望の目を捨ててはならないわ。-


希望・・・オラにまだそんなんあるべか?



-あるわよ!だって貴女は・・・-









-「私」なんだもの-







パアァアア!!


「ふぇ・・・!?」


いきなり光出した胸元


熱い塊が中で光を発しているのか温度が伝わる


いや、それよりも


先程の声


私は貴女で、貴女が私


そう、そうだ!!


私は・・・オラは貴女なんだ!!


受け入れると同時にあの記憶の中でノルンが口にした大切な言葉が耳にこだまし始める





「えぇ。大丈夫・・・貴女なら出来るわ・・・。」


だって貴女は・・・



「ゼウスとイナコスの娘なのだから。」



そう、かつて王として君臨していた雷の神ゼウスと


河の女神、イナコスから生まれた娘


ゼウスが籠愛し、嫉妬したヘラから牛の姿にし身を隠させたという


それほどまでに王に愛された娘



名は、イオ



そう・・・オラは・・・いつきでありイオである



オラは、イオなんだ!!





キィイイィ!と光が氷の内部全体を包み込み




やがてパキィインと氷は音をたて崩れ



真っ赤な「女王」の光を真っ白な「聖女」の光が飲み込んで行く


「なっ何だこの光は!!」


驚く魔王達にも光は届いており


それは彼らの纏う邪悪な気さえ浄化させて行く


「ちっ力が・・・何だ・・・何なのだ!あの光は・・・!」


ヒュルルと地に落ちていく三人


体に力が入らず・・・まるで先程自分達が彼らに与えた苦痛と同じ感覚が牙を剥く


やがていつきの胸から現れたのは丸くツヤツヤした美しい珠


これをいつきは持ち、願った


「お願い・・・皆を・・・皆を助けて!!」


光はいつきの言葉に答える様に強さを増し


ハラリハラリと舞うは純白の羽


カラカラカラと巻戻って行く死んだ者達の時計


徐々に体が修復され


そして・・・







「キウアアァ!」


一方その頃、アルビオにも地獄を通じて光と羽が注がれる


これに悪魔達はいきなり苦しみ始め空を飛んでいた者は落ち、地を這う者はへばり付き


ジタバタと苦しみもがき出す


「何だ・・・この光は・・・。」


「綺麗でござる・・・。」


ハラハラ白の光に舞う羽を見ながらかすが達は一言呟き


「ちょ、ちょっとこれ・・・怪我が・・・!」


佐助の驚く声にかすが達も理由がすぐにわかって


体の傷が徐々に癒えて、力も漲って来るのだ。


「体が、軽い?」


「あぁ・・・動けるぞ!」


互いに喜び合う中、利家とまつの方も同じ現象が起きていて


「犬千代様、これは・・・。」


「あぁ、きっと神様からの授かりもんだ。神様が、某達に希望を下さったんだ。」


「はい、犬千代様!」


光に感謝しながらも再び弱まった悪魔達の排除に燃える夫婦


遠くではドオン、ドオンと銃を撃つ音が気付けばまた増えていて


「おっしゃぁあああ!!捨丸完全回復ってねぇええ!!」


「捨丸、あまりはしゃぐものではないぞ。」


回復してハイテンションになった彼に波が静かにツッコミをいれる


しかし捨丸は二丁の銃を慣れた手付きで使いこなし


バンバンと落ちた敵を倒して行く


「捨丸。俺の声、聞こえているのだろう?」


「はー?聞こえませんねー!!なぁに波にやらせちまった分俺が取り返してやるから安心しな!!」


「全く・・・。」


ぎゃはははは!!と笑いながら敵を撃ち倒していく相棒。その心遣いに呆れながらも


波の表情は不思議と明るかった。





「何だ・・・この透き通った感じ・・・。」


広場。いきなり苦しみだした悪魔達に驚きながらも降って来る羽と体に感じる温かな感情に小十郎は立ち尽くす


みるみる癒える傷を見て秀吉、半兵衛も立ち上がるなり弱まった悪魔達に攻撃をしかける。


ザァ、と消える彼等を見送る事もなく腕を、武器を振るう二人に続き小十郎も動き出して


「ねぇ、これって神様の救いとかいうのかな?」


「さぁな。まぁ・・・慶次ならそう言うかも知れぬがな。」


「言えてるそれ。」


「慶次だけじゃねえ。」


「「?」」


「政宗様もだ。」


「あぁ、確かに。そうかもね。」


「彼も・・・慶次と何かと思考が似ているからな・・・。」


何処か楽しそうに話す二人に割って入り主張した小十郎


これに秀吉達も頷いて


似た考えを持つ主を友を持つもの同士、ニカッと笑うと


「でも、確かにこれってそうかもね。」


「あぁ、違いないだろう。」


「二人の言う通り、神様のお救いだな。」


そう、頷き合い・・・その時墓場では碇が弱まった悪魔達を一斉に排除して行って


「オラオラオラぁあ!!テメェらそんなもんかぁ!?」


ガタいの良い体を動かしブンブンと碇を振り回してはばっさばっさと敵を灰と化して行く


その目には・・・完全に怒りの炎が宿り、通信などそっちのけの様子。


「おいバカ!!貴様は通信をしておれと・・・!!」


「うっせぇバカはテメェだよ馬鹿就!!!」


「なっ!」


注意した所でいきなり噛み付かれ元就の表情がむ、と機嫌を損ねた様になる


荒げた声で元親は今だガラガラと伸びた碇の先を振り回し


そして


「一人で抱え込もうとすんじゃねぇよ!!テメェが死んだら約束消えちまうだろーが!!」


強く、叫ぶ


これに元就の目が見開かれるわけで


「!!!」


「良いか!!お前がいなくなったら俺はどうしたら良い!!?俺がいなくなったらお前はどーすんだ!!二人揃っての情報部!二人揃って成り立つ約束だろうが!!!」


「元親・・・。」


「テメェ一人逝くなんざ許さねぇからな!!テメェが死ぬまで!!俺が息絶えるまで!!付き合ってもらうんだからよ!!!」


何処か泣き叫ぶ子供が言っている様にも感じる言葉


彼なりに、自分を劣りにした元就を心配し動ける今・・・彼を殺そうとした悪魔達を元親は感情任せに叩き止めしている


本当にこいつは餓鬼だ


そう思いながらも・・・元就の表情はそれはそれは・・・満足げで


「約束・・・我が守らないわけないだろう?馬鹿親。」


そう言うと傷の癒えた元就も立ち上がり、再び輪の刃で悪魔を細切れにし始めた。










球の光が少し弱まる



今だ重力に抑えられたままの魔王は目に映った光景に驚きを隠せなくて


それもその筈


目に飛び込んできた光景は


「おぉ・・・生きて・・・おったのか・・・?」


「これぞ・・・かみのかご、というのでしょうかね。」


「・・・何て優しい光なの・・・。」


「動ける・・・。体も、回復してるぞ・・・。」


「Oh.すげぇ・・・力もみなぎってきやがる・・・!!」


先程焼き殺したはずの者達が


体全てを修復、完治した状態で立ち上がっていたのだから。


あの痛々しい火傷はなくなり、貫き刺した場所も消えていて最初見た通り、無傷の状態の反魔王軍の戦士達


と、いう事はだ


まさか・・・!!!


信長が見た先・・・そこに彼の想像していたものは起きていた


「嘘・・・!!!」


隣で驚く濃姫の声が聞こえる


体を震わせ、ありえないといった表情で彼女が見つめる先には


光の球を持ち涙を零す瞳を瞑ったまま祈り続ける少女と


そして














「何故、泣いているのですか。」




















聞きたかった声がした


ハッと目を開けると・・・そこには黒こげになっていたはずの戦士達が元の姿で逝き吹き返し、存在していて


何よりも


自分の頬を優しく撫でる冷たい体温


目の前に、死体として倒れていた彼が


何時もの状態で・・・自分を見ていたのだ


そう、何度も後悔し涙を流した最愛の相手


鎖で結ばれし堕天使


明智が・・・。


「あけ・・・ち・・・・。」


「・・・また、泣かせてしまいましたね・・・。」


苦笑した様な口調で上半身だけかるく起こし自分の涙を拭ってくれる彼に


いつきはふにゃりと顔を崩し


「明智ぃいい・・・・!!!」


ボロボロ大粒の涙を流しながら・・・彼の顔に擦り寄った。


おでことおでこが合わさり、目の前で泣く少女をあやす様にその大きな手で涙を拭ってあげる堕天使


光と共に発せられる風が二人を包み込む。


唖然とする魔王達を残し、泣き崩れる彼女とこれに何処か幸せそうな明智の姿を戦士達はただただ良かったと見守るばかり


手に強く握られた美しい球は、いつきの涙が滴ると共に・・・その美しさを増していくのだった。



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