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2013-05-05 05:36:43

積み上がる経営のための「PDS」

テーマ:大島康義の独り言
5月1日から、私がパートナーを務める株式会社後継者の軍師の一年が始まりました。

事業を営む上で、私なりに、留意していることが一つ・・・

それは、
『「PDS」サイクルをしっかりと回す』
ということです。


「あぁ、PDSね。ISO認証でやってるPDCAと同じようなものでしょ」
「もちろん知ってるよ」


そのような声が聞こえてきそうですが、
実際に、PDSを回した経営をしている経営者は
多くないという認識をしています。

今回は、経営に必要な「積み上がる経営」と
「PDS」について考えてみたいと思います。


念のためおさらいしておきますが、
PDSサイクルとは、

Plan(しっかりした計画をつくる)
Do(計画に沿って実行する)
See(現実をじっくり観察する)

という3段階を示します。

そして、どの段階でも、

Think(その過程で仕事を考え続ける)

を行います。


「S」の部分で現実をじっくり観察することをせず、

つまり、

・なにが上手くいっていて、
・なにが上手くいっていないのか
・なぜ上手くいっているのか
・なぜ上手くいっていないのか

を考えずに、なりゆきの行動をしている。

もちろん、「P」でしっかりした計画を立てることもなく、
惰性で行動する。


言ってしまえば、
「Do Do Do」の経営者が非常に多いんですね。


私が以前、父のホテルを継いで後継者をしていた時に、
「Do Do Do」によって、失敗した事例がありますから、
ここでご紹介します。


私が受け継いだ父親のホテルは、
ディナーショーの先駆け的な存在でした。
関西でディナーショーを始めたのも最も早かったと思います。


父は行動力のあるアイデアマンの経営者。
みんなが考えない時期にディナーショーをやりました。
聞けば誰もが知っている演歌歌手のほとんどの方に、
お越しいただきました。


それは、開始当初は珍しい企画でしたから、
売上も良く、それなりに成功しました。


ところが、毎年、イベント開催後に、

・どこが上手くいったのか
・どこか改善できるところはないか

・なぜ上手くいったのか
・なぜ上手くいかなかったのか

・どうすればさらにお客様に喜んでいただけるのか
・どこが余分で、どこが不足しているのか

など、反省や検証を一切していなかったのです。
今の私からすれば信じられないことですが、


当時は、
「今までやっていたから今年もやるか」
「ディナーショーの時期だから」
という感覚だけで開催を続けていました。


毎年続けるのは良いのですが、
10年経ち、気がついたら、
どこにでもあるディナーショーの一つに
なってしまっていたのです。


ディナーショーというのは、
歌手や楽団に、多くお支払いするシステムのため、
元から儲けが少ないビジネスです。


頼みのお客さんはというと、
他のホテルでも同じようなディナーショーが楽しめて、
価格が安かったり、サービスが良いわけですから、
そちらに流れてしまい、集客が渋るわけです。


チケットが一般に売れなくなってくると、
出入りしている業者に、お付き合いで買ってもらうという
悪循環が発生します。


そして、そのお付き合いでチケットを買った業者はというと、
翌年、チケット購入代をプラスした金額で見積もりを出してくる。
(「どうせチケットを買うことに成るんだから」という訳です。)


この悪循環によって、いわば、
「自分の足を自分で食べている」
状態に陥ってしまいました。


もし、ちゃんと毎年検証を毎年積み上げていったなら、
ものすごいノウハウが蓄積されていき、
他のホテルのディナーショーのコンサルティング事業を
立ち上げることも出来たはずです。


「S(観察)」をしないことで、
沢山のチャンスを棒に振ってしまうだけでなく、
会社のすべての業務に「Plan」「See」が無い状態でしたので、
結局、会社は強くならず、倒産にいたったのだと思います。


行動したら、しっかりと観察する、
深く現在を見て洞察する中で、
本当の姿が見えてくる。

その深く洞察するために必要不可欠なのが、
「Think」、考えるということです。

もちろん、「Plan」、計画を立てるときにも「Think」、考えます。
そして、「Do」、実行する段階でも「Think」、考えることが必要です。


これだけ大切だとお伝えしても、
なかなか取り組んでいただけない「考える」ということ。


なぜ取り組めないのか?
その理由もハッキリしています。


それは、
一番『しんどい(ひどく疲れを感じる)』作業だから。


できれば楽をしたいのが人間ですから、
考えるという非常に「骨を折る作業」から、
いとも簡単に逃げてしまうんです。


考えないで経営を続けていると、
技術もノウハウも積み上がりません。

また、社員も自ら物事を考えるということを
しなくなってしまいます。

結果、みんなが頑張っても、それが積み上がらず、
会社は発展しませんし、将来性もなく、
ただただ倒産に向かっている状態に陥っているといっても
過言でない企業と経営者が多く存在していると思います。



経営者たるもの、常に現状を観察し、
その情報を元にして次の一手を考え、行動し、
その結果を深く洞察して、次の計画につなげる。


新しい企画を立てて、行動したくなる時期こそ、
浮ついた心のまま進むのではなく、
改めて、現状を観察し、深く洞察し、
計画を立てることを大切にした「積み上がる経営」を
していただきたいと思います。
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2011-09-22 12:29:11

事業承継3段階その3「ワクワクの事業承継」

テーマ:大島康義の独り言
今回は、レベル3「ワクワクの事業承継」についてです。


私が事業承継の支援を行う場合、経営者と後継者が
3つのどの段階にいるかを把握し、「ワクワクの事業承継」に
なるような働きかけをするようにしています。

レベル1「ボケボケの事業承継」の段階では、
経営者も後継者も事業承継についての意識が薄く、当然、
事業承継について何らのアクションも取っていません。

水面下で物事が悪化の方向に向かっていても、
当事者自身は、それに気付かず、いわば
「ボケボケ」の状態にあります。

レベル2「オレオレの事業承継」の段階では、
経営者も後継者も事業承継に対して、
当事者意識を強く持っていますが、
相手の立場を考えず、自分の立場からの視点しか
無いのが大きな特徴です。
両者の意識や姿勢が、いわば「オレオレ」の
「自己本位」や「唯我独尊」であるため、
経営者と後継者の関係は、お互いに相手を受け入れない
殺伐としたものになり、お互いがいくら頑張っても
ストレスばかりが増えるばかりで、事業承継は
なかなか進まないのです。



それでは、今回のテーマであるレベル3の
「ワクワクの事業承継」について考えてみます。

これが事業承継の理想段階です。


「ワクワクの事業承継」の段階では、経営者も後継者も、
事業承継の本質を掴んでいます。

その本質とは、すなわち、

経営者の役割は、価値あるものを後継者につなぐ。

後継者の役割は、価値あるものを経営者から受け取り、
それを再構築しながら、自らが価値を生み出していく。

事業承継を進める主体は後継者であり、
それをバックアップするのが経営者である。

ということです。


レベル3の経営者・後継者は、お互い事業承継について
当事者意識を強くもっており、かつ、その姿勢が
「自己本位」ではありません。

お互いに相手の立場を理解し、相手を受け入れ、
相手を支援する姿勢をもっています。


経営者は、後継者の微妙な立場や感じている重圧を理解し、
後継者を精一杯支援します。

例えば、後継者に対して、価値を生み出す土台となる
後継者自身の意識・知識・行動を高めるきっかけを
つくったり、働きかけを行います。

また、会社の情報を開示するなど、後継者が価値あるものを
受け取りやすい環境を整えます。


後継者は、譲る側である経営者が感じる様々な期待や不安を
理解します。

そのうえで、経営者に対する甘えを捨て、自らが
主体となって価値あるものを受け取り、
価値を生み出す覚悟のもとに行動するのです。

ただし、経営者の気持ちに十分配慮し、不安を安心に変える
行動・言動をとるように努めます。


経営者と後継者はお互いに考え方の違いがあることを
認め合ったうえで、価値あるものを承継し、
未来を築くためにベクトルを合わせようと
お互いが努めるのです。

経営者と後継者がお互いの存在をありがたく思い、
お互いを理解し、受け入れ、尊重し、支援しあう関係が
出来ているのです。



それらの姿勢から、経営者も後継者も現在に感謝し、
未来に希望を持てる、以下のようなワクワクの関係が
醸成されるわけです。


経営者は、価値あるものを受け取り、生かし、
新たに価値を生み出そうとしてくれる後継者の存在を
好ましく思っています。

自らの夢、ビジョンを託せる後継者の存在が
頼もしいのです。
そして、オーナー社長の立場を渡すことによって、
人生における次のステージに登れることが楽しみなのです。


後継者は、これまで価値を生み出してきた経営者に尊敬と
敬意の気持ちをもっています。

そして、自分を認め、価値あるものを譲ろうとしてくれる
経営者に心から感謝しています。

自らの描く価値を生み出すシナリオを実践していくことが
楽しみなのです。


このように、事業承継において経営者・後継者とも、
事業承継の本質をしっかり掴み、当事者意識を強くもって
お互いが、相手の立場を理解し、相手を受け入れ、
相手を支援しようとする。

これが、価値あるものを承継し、価値を生み出す
「ワクワク」の意識と関係性といえます。



さて、経営者・後継者のみなさんは、レベル3
「ワクワクの事業承継」の段階に入っているでしょうか。

まだ、レベル1「ボケボケの事業承継」や
レベル2「オレオレの事業承継」の段階に留まっているとすれば、
事業承継も経営自体も良い方向には進みません。


経営者と後継者両者の意識と関係性は、事業承継において
最も基礎となる部分です。


今一度、見つめなおしていただければと思います。
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2011-09-08 12:30:28

事業承継3段階その2「オレオレの事業承継」

テーマ:大島康義の独り言
今回は、レベル2「オレオレの事業承継」についてです。


私が事業承継の支援を行う場合、経営者と後継者が
3つのどの段階にいるかを把握し、「ワクワクの事業承継」に
なるような働きかけをするようにしています。

レベル1「ボケボケの事業承継」の段階では、
経営者も後継者も事業承継についての意識が薄く、
当然、事業承継について何らのアクションも取っていません。

水面下で物事が悪化の方向に向かっていても、
当事者自身は、それに気付かず、いわば
「ボケボケ」の状態にあります。



それでは、今回のテーマであるレベル2の
「オレオレの事業承継」について考えてみます。

この段階の経営者・後継者は、レベル1「ボケボケの事業承継」の
段階の経営者・後継者とは違い、事業承継に対して、
当事者意識を強く持っています。

これは非常によいことです。

しかし、その当事者意識のあり方が、自己本位になっているのが、
次回述べるレベル3「ワクワクの事業承継」と異なる点です。


レベル2「オレオレの事業承継」の経営者は、後継者に
事業承継を行うことの必要性を自覚しています。

しかし、会社を「俺のもの」と思う意識が強いので、
後継者が自分の思うような行動を示さないと、
それが許せず、後継者を押さえつけます。

「俺が、俺が・・・、俺でなければ」という感覚が強く、
すべて自分だけで仕切ろうとします。

事業承継の取り組みをする必要を感じてはいるのですが、
いつまでも後継者を「あいつは未熟」と判断し、
「やはり俺でなければ」と、実際は権限委譲をしません。

後継者がいろいろな提案をしても、聞く耳を持たず、
自分の気に入らないことはすべて却下し、フォローもしないのです。


この段階の後継者は、事業承継を我が事ととらえ、
将来、会社を経営していくのは自分であるという思いと
責任感を強く持っています。

しかし、自分の考えが唯一正しいと思い、
とにかく、どんな場合でも、「親父は古いし、間違っている」、
「やはり俺が正しい」と思いがちです。

そして、常に経営者の悪口を言い立てたり、会社を
批判することに終始します。

自分勝手な態度や言動により、経営者や周囲の協力が得られず、
やる気が空回りしていることが多いのです。


この段階の経営者・後継者の両者は、このように
当事者意識を強く持っていることは評価できるのですが、
とにかく、相手の立場を考えず、自分の立場からの視点しか
無いのが大きな特徴です。

両者の意識や姿勢が、「自己本位」や「唯我独尊」であるため、
両者とも事業承継について真剣に考えているのですが、
意見は噛み合いません。

ゆえに、事業承継は、なかなか順調に進まないのです。


このレベル2「オレオレの事業承継」の段階での経営者と
後継者の関係は、お互いに相手を受け入れない
殺伐としたものになりがちです。

常に口論をしているか、口を利けば口論になるので、
もはや口を利かなくなっていることもあります。

お互いに良かれと思っていることが、相手に認められず、
お互い大きなストレスを抱えてしまい、それが行き着くと、
最悪の場合、自分の立場を放棄したり、
相手を追放するという結末を迎えることもあるのです。


このオレオレ段階の経営者・後継者に対して、私は、
お互いが自己本位に自己主張し合っていても
ラチがあかないことを理解していただくことからはじめます。

自己本位の姿勢から脱し、お互いの立場の違いを
理解したうえでお互いが支援し合わなければ、
事業承継が進まないのは当然なのです。


私自身が、企業後継者であったとき、親父の会社に入社してから、
阪神大震災までは、レベル1「ボケボケの事業承継」の段階に
いました。

阪神大震災以降は、自分がなんとかこの会社を立て直さなければと
いう意識が芽生えましたが、親父を否定しまくる「自己本位」の
まさに「オレオレの事業承継」の後継者でした。


経営者・後継者のみなさんは、この「オレオレの事業承継」の
段階にいることはありませんか?


次回は、レベル3「ワクワクの事業承継」について述べます。
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2011-08-25 12:31:09

事業承継3段階その1「ボケボケの事業承継」

テーマ:大島康義の独り言
日々の事業承継支援の実践の中で気付いたのは、
経営者と後継者が親子の場合、事業承継は、両者の意識や関係性から、
3つの段階(レベル)があるということです。


この3つの段階を低いレベルからわかりやすく表現すると、

レベル1「ボケボケの事業承継」の段階、
レベル2「オレオレの事業承継」の段階、
レベル3「ワクワクの事業承継」の段階

となります。


私自身が事業承継の支援を行う場合、経営者と後継者が
これらの3つのどの段階にいるかを把握し、
「ワクワクの事業承継」になるような働きかけを
するようにしています。


今回から3回にわたって、
この事業承継の段階(レベル1~レベル3)について
述べてみたいと思います。


まず今回は、レベル1「ボケボケの事業承継」についてです。


「ボケボケの事業承継」の段階の経営者は、ほとんど
事業承継について意識がありません。

なんとなく事業承継を
「将来のことだし何とかなるだろう」と思っている。

あるいは、
「業績も低迷しているし、どうせ俺の代で終わるかも」と
経営者としては無責任な姿勢が見受けられます。


また、この段階の後継者は、事業承継をあたかも
他人事のように捉えています。

事業承継のことは「親父が考えてくれているだろう」と、
親父任せにしている。

あるいは、「いずれ時期が来たときに考えたらいい」と
高をくくっている。

もしくは、「業績も悪いしあまり考えたくない」と、
事業承継について考えること自体を放棄しています。



このように、経営者・後継者の両者の意識や姿勢が、
「他者依存」、「無責任」、「現実逃避」であるため、
両者とも事業承継について真剣に考えることはなく、
当然具体的な行動を起こすこともありません。


もちろん事業承継の取り組みは、いつも先送りとなっています。



さらに、この「ボケボケの事業承継」の段階での
経営者と後継者の関係は、「ボケボケ無関心型」と
「ボケボケ仲良し型」の2つに類型されます。


●「ボケボケ無関心型」

経営者と後継者はお互いに対する関心が薄く、
行動を共にすることは少なく、ほとんど会話もありません。


●「ボケボケ仲良し型」

経営者と後継者は会話も多く、よく一緒に出かけたりと、
関係は良好です。

しかし、経営や事業承継などの重要な会話は
ほとんどありません。

つまり、親子としての関係は良好なのですが、
経営者と後継者としての関係や役割意識が希薄なのです。



「ボケボケ無関心型」、「ボケボケ仲良し型」のどちらにしても、
事業承継の問題は、水面下で悪化の方向に向かっているか、
取り返しのつかない状況に陥っていることが多くあります。

ところが、当事者自身は、それに気付かず、
いわば「ボケボケ」の状態にあるのです。


この段階の経営者・後継者に対しては、
このまま事業承継の取り組みを行わないと、
どのような事態が起こるのかを具体的にお伝えし、
危機感と主体者意識をもっていただく働きかけを行います。


そして、レベル2「オレオレの事業承継」、もしくは、
レベル3「ワクワクの事業承継」の段階に進んでいただくわけです。


私自身が、企業後継者であったとき、親父の会社に入社してから、
阪神大震災までは、まさに、この「ボケボケの事業承継」の段階に
いました。
 

経営者・後継者のみなさんは、この「ボケボケの事業承継」の
段階にいることはありませんか?


次回は、レベル2「オレオレの事業承継」について述べます。

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2011-02-18 12:31:39

先代のキャリア

テーマ:大島康義の独り言
後継者の方から寄せられるよくある相談のひとつに、
先代の問題があります。

例えば、このような相談です。

「私は、親父の会社を継ぎました。
 代表取締役社長になって、すでに3年。
 親父は現在、取締役会長です。
 現在は、私自身、会社のほとんど全てを掌握しており、
 業績も上向いてきました。
 問題は、親父のことです。
 今は、もう親父がいなくても特に困らない状況ですが、
 毎日のように会社に来て、社員に説教したり、いろいろと
 私と異なる指示をしたりして、社内を引っかき回すのです。
 やめてほしいと申し入れをしているのですが、
 なかなかやめてくれなくて。
 強く言うと、逆に意固地になって、ますます言動が
 エスカレートすることもあるのです。
 そんな親父をどうしたらいいでしょうか?」


この後継者は、しっかりと実権を掌握し、先代がいなくても
困らない状況まで来ているのですから、ある意味、
事業承継がしっかり進んでいる良い例かもしれません。

しかし、実際、このように引っかき回されたら困るのも
わかります。


さて、このような場合、どうするか?


まず意識を向けていただきたいこと。

それは、会社を譲り渡す先代の状況と気持ちです。


経営者の中には、会社を後継者に譲ったあとは、

「これで、やっと自分の人生を自由にできる」

「今まで忙しくてできなかった音楽活動を再開しよう」

「田舎に土地を借りてゆっくり野菜でもつくって
 のんびり老後を過ごそう」

というような人もいます。

そういう人は、あっさりと責任ある立場から身を引き、
会社には必要なときだけ来るという感じになります。


しかし、上記のような経営者は極めて少数派。


多くの経営者は、会社を後継者に譲ったあとも、
なかなか経営の第一線から離れようとしません。


それは、もちろん、後継者が独り立ちできるように
支援するという意味合いもあるでしょう。


しかし、多くの場合、それだけではなく、
どうしても心と体が会社の方に向かってしまうという
習性のゆえなのです。



 何十年と、ほとんど毎日会社に来ていた。

 毎日、お客様と会ってきた。

 現場を回って、社員に指示をしてきた。

 常に考えることは、会社のこと。

 事業をもっとよくするには、どうすればよいか。

 資金繰りは回るか。

 社員は元気か。

 機械は問題なく動いているか。

 家のことや家族のことは、ゆっくり見ている暇もなかった。

 遊びも、取引先とのゴルフなど会社関連。

 自分の人生の大半は会社経営。


そのような人生を送ってきた先代が、代表取締役の座を
譲ったからといって、急に変われるものでしょうか。



また、先代には、どうにも処理できない気持ちの問題が
あるのです。


 後継者に譲ったとはいえ、

 会社のことが気になって気になって心配で仕方がない。

 責任や役割がなくなり、気楽になる反面、

 自分の居場所が少なくなっていき、寂しい。

 自分の価値が感じられなく、むなしい。

 自分のやることがなく、いたたまれない。

 やはり、自分がいないとだめだとみんなに感じてもらいたい。

 自分の存在感を示したい。


会社以外のことで関心を向ける対象があればいいのですが、
そういった対象がなければ、当然、先代の頭の中は
会社のことでいっぱいのままです。


考えてみれば、そんな先代が、会社のことが気になり、
ついつい会社に来て指示をしたがるのも理解できるわけです。

先代は、自分では「会社のことはもう任したんだから」と
思おうとしても、どうしても自分の気持ちが
抑えられない状況にあります。

そういう状況で、「困るからやめてくれ」と言われると、
よけいに気持ちが鬱積していきます。

無理やり、会社に来られないようにしてしまうと、
先代が鬱になるか、ぼけてしまうこともあるので、
注意が必要です。



そこで、着目していただきたいのが、
「キャリア支援」の概念です。

近年、学校や大企業などを中心に「キャリア支援」が
脚光を浴びていますが、その「キャリア支援」を先代に
適用するのです。


「キャリア」とは、一言でいえば、「人生そのもの」のこと。


「キャリア支援」とは、個人が望ましい人生を送るための
支援であり、その考え方や手法が学問として
体系づけられています。


その中で、先代に適用できる切り口が2つあります。

「職業的発達段階」と「キャリアの役割」という切り口です。


一つ目の「職業的発達段階」というのは、
個人の職業人としての発達は主要な諸段階を経るというもの。

その段階は、
「成長期」・「探索期」・「確立期」・「維持期」・「解放期」
の5段階となっています。


ちょうど、事業を譲り渡す先代の職業的発達段階は、
「維持期」から「解放期」に変わる節目にあたります。

「解放期」とは、職業的活動を徐々に減らし、
新しいライフスタイルを形成していく段階です。

つまり、これまでの職業的な制約から解放されて、
真に自由になっていく、すばらしい段階なのです。


先代に、明確にその認識をもってもらうような
働きかけをするのです。



二つ目の切り口である「キャリアの役割」というのは、
キャリア=人生をさまざまな役割の組み合わせであると
とらえる考え方です。

「キャリアの役割」には、
「息子/娘」・「学生(学ぶ人)」・「職業人」・「市民」・
「ホームメーカー(家事をする人)」・「余暇を楽しむ人」・
「配偶者」・「父/母」・「祖父/祖母」
などがあります。

その役割の内容や密度は、人生の時期によって、また、
個人の価値観によっても変わります。


そして、人生で味わう満足度やストレスは、
役割の数や組み合わせに直接関係すると言われています。


ちょうど、事業を譲り渡す前の先代のキャリアの役割は、
「職業人」の占める割合が圧倒的に高く、
その他のキャリアの役割は最低限しか果たしていない
ことが多いのです。

つまり、一日のほとんどの時間とエネルギーを
社長という「職業人」の役割に使っている状態が
長年続いてきたということです。


そして、事業を譲り渡すというのは、この圧倒的シェアを
占めていた「職業人」の役割がなくなるということになり、
一挙に不安や空虚感が襲ってくるとともに、自らの存在価値が
感じられなくなる危機に直面するということなのです。


しかし、もちろん「職業人」だけが、キャリアの役割では
ありません。

「配偶者」として、妻との時間をとったり、
「余暇を楽しむ人」として、これまでできなかった趣味に
没頭したり、「市民」として、ボランティア活動をしたり、
「学生(学ぶ人)」として、新たな学びを始めたり、
別のキャリアの役割を充実させることのできる時期なのです。


ただし、「職業人」という役割も、完全にゼロにしてしまう
必要はありません。

以前よりも全体に占める割合を減らして、以下のように
「職業人」という役割を行うことも考えられます。


・軍師役として後継者を支援する。

・社内行事や業界団体に参加する。

・小さな規模で好きな商売をする。

・過去の経営経験や人生経験などを生かして、
 講師業や相談業などのフリーランス活動をする。


事業を後継者に譲ったあとは、
職業人の役割が減少するがゆえに、
新たなキャリアの役割を充実させることのできる
すばらしい時期になるということなのです。


先代に、明確にその認識をもってもらうような
働きかけをするのです。



すなわち、先代には、事業承継を機に、

『経営の達人から人生の達人』

へとスムーズに移行してもらうのです。



先代が譲ってくれたから、そして、協力してくれたから、
今の自分があるのですから、後継者は、譲り受けた会社を
しっかり経営して、先代に安心してもらうとともに、
恩義のある先代の状況と気持ちに配慮し、
先代のキャリアを支援する。


これが、先代の問題を解決するために必要な
後継者の心得ではないでしょうか。
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