十姉妹日和

つれづれに書いた日記のようなものです。


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「今回の北朝鮮動乱とはなんだったのか」

 

 北朝鮮の核、ミサイル開発をめぐるアメリカと北朝鮮との駆け引きはどうやら長期戦になりつつある。
 そうした中、交渉のカギを握る中国は、北朝鮮の動向に神経をとがらせながらも、様々なアプローチを試みているようだ。

 

 先日、北朝鮮ははじめて中国のこうした態度を明確に名指しで批判した。

 

北朝鮮が中国を名指し批判――中国の反応は?
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/post-7540.php

 

 これを中国が米中の合意のもとで北朝鮮への働きかけを強めている成果と見るか、あるいは中国と北朝鮮による「台本のある芝居」なのかはまだ判断できないが、いずれにせよ米国と中国の関係がここに来て変化しつつあることは間違いない。

 

 もともとアメリカのトランプ大統領は、他国の政治制度にあまり関心があるタイプではなかった。


 大統領選挙の中でもロシアとの関係改善に前向きだったように、交渉の相手国がアメリカの価値観・・・つまり「自由と民主主義」という
理念を共有できない相手であったとしても、それがアメリカの利害になるのならば、あまり大きな問題ではないと考えているのだろう。

 

 これはシリアのアサド政権に対する態度や、今度の北朝鮮問題でのアメリカの姿勢にもよく反映されている。

 

 今回、北朝鮮をめぐるひとつのキーワードは「デッドライン」という言葉だった。


 北朝鮮は先月28日にも中距離ミサイルの発射実験を行っているが、このときのアメリカ、そして中国の反応は非常に事務的で淡々としたものだったといっていい。


 一方で、トランプ大統領は先月化学兵器を使用したアサド政権に対して、トマホークミサイルによる明確な「報復攻撃」を行っている。

 

米、シリア政府拠点にトマホーク50発 初の直接軍事行動
http://www.cnn.co.jp/world/35099428.html

 

 つまり北朝鮮のミサイル発射実験は「まだ許容のできる範囲」ではあるが、シリアのそれは看過できないというわけだ。

 

 こうしたことを踏まえると、アメリカはおそらく北朝鮮の政権を崩壊させるといった意図があるわけではなく、この「デッドライン」を北朝鮮が踏み越えた場合には相応の報復を行うという姿勢を示すことが今回の一連の行動の目的であり、長距離弾道ミサイルの発射や、核実験を今後も続けるのならば「そのときには相応の措置をとる」と暗に示したものと思われる。

 

 そして中国もアメリカのこうした考えに概ね賛同したのではないか、と見るのがおそらくは正しかろう。


 そうなると、この一連の行動は朝鮮半島で米中がそれぞれに影響力を行使する形での、管理体制を作りあげることが当初からの目的であり、北朝鮮がそれを受け入れるのであれば、アメリカとしても北朝鮮の体制崩壊などを目的としたものではないと最初から考えていたように感じられるのだ。

 


「存在感を増した日本、親北朝鮮へ傾く韓国」

 

 こうした米中による新しい北東アジアの秩序の構築に向けた動きは、当然周辺国にも大きな影響を及ぼすことになる。


 というよりも、これはすでに今回の「朝鮮半島動乱」をめぐる動きの中で、おおよその方向性が見えてきたと思われる。

 

 まず、わが国である日本は、おそらく今回の動乱の中で、最大の成果を上げた国といっても過言ではなかった。

 

 安倍総理はトランプ大統領と先月から頻繁に電話会談を行い、また米軍と自衛隊も共同訓練を積極的に実施するなど、アメリカの同盟国としての役割を果たすことに専念した。


 こうした事実を踏まえれば、おそらく日本がアメリカの重要な「戦略的パートナー」であることは否定することはもはやできないだろう。

 

 さらに安倍総理はまた、ロシアのプーチン大統領、英国のメイ首相と相次いで会談を行い、岸田外務大臣もアメリカのティラーソン国務長官とともに安全保障理事会での北朝鮮包囲網の構築に向けて積極的な働きかけを行ってきた。

 

安保理閣僚会合 厳格な対「北」制裁を追求せよ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20170429-OYT1T50118.html

 

 こうした行動により日本はアメリカのパートナーでありながら、同時にロシアや英国とも接近することで、北東アジア地域での存在感を示すことにまずまず成功したといえる。


 同時に安倍政権が目指してきた「戦略的互恵関係」という方針が概ね評価された、というわけである。

 

 一方で、日本と明暗が分かれる形になったのが大統領不在の韓国だった。

 

 今回、韓国は北朝鮮と並ぶ最大の当事国でありながら、ほとんど存在感がなかったといっていい。


 日本が北朝鮮の「暴発」を警戒する中で、韓国は驚くほど冷静(危機感がないともいえる)であり、むしろ日本が北朝鮮の行動を危険視することを批判する論調なども韓国の大手紙では見られた。

 

参考
http://japanese.joins.com/article/206/228206.html

 

 これは現在もまだ朝鮮半島が「休戦中」であることを考えれば、日本人の感覚としてはどうにも理解ができない。


 韓国は北朝鮮の暴発を警戒していないのだろうか。
 つい数年前にも韓国は北朝鮮からの砲撃を受けたばかりなのに。

 

 実はこうした韓国の反応に背景には、今回の韓国大統領選挙の候補者支持率にも見られるある特徴がある。

 

 現在、大統領選挙の首位を独走しているとされるのは左派系最大野党が推す文在寅候補だ。

 

 実は彼は昔から韓国を観察していたいわゆる「コリアンウォッチャー」には割合に馴染みがある人物だろう。それというのも、文氏の
盟友だった人物こそ「あの」故廬武鉉元大統領だからである。

 

 廬武鉉大統領といえば、ネットでは数々のエピソードが存在する。

 

 「国際会議などのあちこちで日本の悪口をいっていた」

 「でも行動がいちいち面白いから憎めない」、

 「アメリカの高官からも頭ちょっとがおかしいと思われていた」

 

 などなど。

http://www.sankei.com/world/news/140118/wor1401180002-n1.html

 

 確かに廬武鉉氏は、単純な「反日大統領」ではなく、ある種日本のインターネットで人気を博した名優とさえいえる存在だった。


 おそらく、日本では「宇宙人」といわれた鳩山元総理以外彼に匹敵する人物はいない。

 

 さて、そんな廬武鉉氏だが、彼の最大の問題点は一貫して「反日」だったことではなく、むしろその「従北」姿勢だろう。

 

 金大中政権の誕生以降、韓国では南北の融和ムードが急速に広まったこともあり、その路線を継承した廬武鉉政権もまた北朝鮮に対しては常に様々な配慮を繰り返していた。

 

 とくに2006年に北朝鮮が長距離弾道ミサイルテポドンの発射実験を行った際には、しばらく沈黙した後で。

 

「北朝鮮がミサイルを発射したのはいくら考えても理解できない。
しかし日本の政治家らによる先制攻撃発言により事態がさらに悪化する恐れが出てきた。 日本のこうした態度は東北アジアの平和に深刻な影響をもたらす。これは退くに退けない状況」

 

 と発言するなど、とにかく北朝鮮を刺激することを避けていたようだ。
(そしてなぜか責任を日本になすりつけようとしたが、これは「いつも通り」である)。

 

当時2ちゃんねるに引用された記事
http://live14.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1152762811/l50

 

 こうした当時の韓国の姿勢に絡んで、盧武鉉大統領の秘書室長を務めていた文氏が2007年に国連で北朝鮮人権決議案の採決が行われた際、事前に北朝鮮に意見を求め、韓国が棄権することを決めていたという疑惑が当時の外交通商相に暴露され、日本でも大きな注目を集めた。

 

文在寅氏、北朝鮮「内通」疑惑の火消しに躍起 親北ぶりは相変わらず テレビ討論
http://www.sankei.com/world/news/170424/wor1704240003-n1.html

 

 だが意外にもこうした暴露は現在のところ大統領選挙にほとんど影響を与えている節がない。


 これは韓国がすでに北朝鮮との関係をめぐり、「対立」から「融和」へと再び転換しようとしている兆候を示すものと見ることができる。

 つまり今の情勢に対する危機感の薄さと同じように、韓国の人々はもはや北朝鮮を「脅威」とは考えていない、というわけである。


「変えることのできなかった『サンドイッチコリア』」


 さて、韓国の方針は独立後、ほぼ一貫して米国の庇護を受けた親米路線であったといっていい。
 実際、廬武鉉政権時代には韓国国内でも「反米志向」が強まったことはあったが、これを転換するまでにはいたらなかった。

 

 しかし、この10年あまりの間に韓国をめぐる情勢で大きく変化したのが、隣国中国の台頭である。

 

 これにともない、韓国では経済的にも中国に依存する傾向が強まってきた。

http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM30H07_30042017FF8000/

 

 もともと韓国は日本と比べても貿易依存度の高い国であり、それだけに中国の経済成長による恩恵が大きかったのは間違いない。


 だが、そうした中国への傾斜は韓国社会にとってはいずれ大きなマイナスとなる危険をはらんでいた。

 それは両国の接近が中国との外交軋轢がそのまま国内経済に響いてくる可能性も増大するということである。
 これが現実となったのがアメリカのミサイル迎撃システムTHAAD配備問題だった。


 THAADは北朝鮮の弾道ミサイルに対する防衛策の一環であるとされているものの、中国はこれを中国のミサイルに対する備えであるとして、韓国批判のトーンを強めるとともに、様々な形での嫌がらせを行いはじめた。

 

 とくにTHAAD配備のために土地を提供した韓国ロッテへの「報復」はすさまじく、様々な理由をつけて中国国内のロッテマート店舗に
営業停止措置を行うなどして、すでに韓国ロッテは多額の営業損失を出している。

 

韓国ロッテ「限界近い」 中国のTHAAD報復で損失膨らむ
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2017/05/05/0500000000AJP20170505000700882.HTML

 

 中国とすれば、韓国がすでに貿易では中国に半ば依存しているにも関わらず、安全保障ではアメリカに追従しているのが気に食わない、というのが本音にあるのだろう。


 韓国国内にはこうした中国の措置や、最近のアメリカの韓国を軽視したような動きに反発の声はあるものの、いかんせん韓国には米中の間で立ち回れるほどの外交的カードというものがない。

 

【コラム】中国よ、米国よ、韓国が屈すると思うのか
http://japanese.joins.com/article/798/228798.html

 

 こうした韓国の「板挟み」は、今後おそらく韓国にとってアメリカか中国かという選択を突きつけることになっていくだろう。

 

 そしてそのときには、今の韓国の動きを見ていると、どうやら彼らはすでにアメリカよりは、今後中国、北朝鮮との関係を重視する方向へとまとまりつつあるように思えるのである。


「中国を信用しない北朝鮮、米国を信用しない韓国」

 

 

 前回の記事で、私は「北朝鮮がもっとも警戒しているのは中国ではないか」と書いたが、翻って韓国を見てみると、韓国では「アメリカの安全保障に頼っていても韓国のためになるのだろうか」という疑念が次第に強まっているように感じられる。

 

 確かに廬武鉉政権は「親北」だった。
 しかし、北朝鮮は少なくとも韓国が融和的な姿勢で援助などを行う限り、韓国を攻撃するような姿勢は見せなかった。

 

 そもそもアメリカの安全保障政策は本当に韓国のためになるのか。

 

 今度のTHAADの配備にしても、韓国の防衛が目的ではなく、日本やアメリカの防衛が本命であるなら、それで中国からの批判の矢面に立たされている韓国は最大の被害者ではないか。

 

 こうしたいくつもの疑念が文候補の支持率に結びついているのではないかと思うのである。


 そこで今後を考えてみれば、韓国にとっては中国への接近はむしろ優位である側面も強い。

 

 当然、中国に接近すれば政治的に取り込まれるリスクはある。しかし、もはや拡大する中国の影響力を抑えるには、あまりにも韓国は
距離が近過ぎる。


 そして北朝鮮との関係でも、米国の安全保障を頼るにするよりも、素直に援助をして、融和ムードを強めていくことが将来のためになるという考えも間違いとはいえない。

 少なくとも、韓国が「援助もと」であれば、北朝鮮は自分からそれをつぶそうとは思わない、というわけである。

 

 そうした予測はともかく、今回、北朝鮮がアメリカとの交渉を優先する中国に苛立ちを感じているのと同様に、韓国も半島の問題であるにも関わらず、二国間での交渉を優先しているアメリカへの不信を増大させたのは確かだ。

 

 こうした中で、韓国はどのような選択をするのか。

 それによって北東アジアの情勢がどのように変化するのか。

 まだそれは未知数ではあるものの、いずれ北東アジアの情勢もいよいよ大きな転換点を迎えようとしているのは間違いないだろう。

 

 

 今回も読んでいただき、ありがとうございました。

 

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