足利事件の再審公判で再生された録音テープの公表をめぐり、菅家利和さん(63)の弁護団の対応が二転三転している。証拠物の目的外使用が法で禁じられているためだ。

 弁護団は、法廷での再生後、テープを複製したCD-ROMと内容を書き起こした「反訳文」を報道各社に配布すると発表。地検側にも通告していた。

 これに対し、21日の公判の冒頭、佐藤正信裁判長が「証拠の複製物の第三者への配布は刑事訴訟法違反。弁護側は配布を差し控えるべきだ」とクギを刺した。

 弁護団は「(テープの内容は)虚偽の自白で、菅家さんや事件の被害者の名誉やプライバシーを害するものはない」と主張しているが、配布を見合わせ、22日の閉廷後に再度協議するとしている。

 佐藤裁判長が指摘したのは、刑事訴訟法第281条の4の「目的外使用禁止」条項が、裁判での証拠の法廷外使用を禁じているからだ。この規定は、証拠が流出することによって、被害者のプライバシーが侵害されるのを防ぐことを目的として、平成16年の法改正の際に盛り込まれたが、識者やメディアからは「公益性のある資料の公開を禁じる可能性もある」と批判が上がっている。

 ジャーナリストの大谷昭宏氏は「こういう形で人は誘導され、自白してしまうということを国民に知ってもらうことが大切。本来であれば、法曹三者は進んでメディアにテープを公開すべきだ」と指摘する。

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