京都検定のテキストによると、1月の花簪(かんざし)は「松竹梅」ということになっているが、別にこの3点がそろわないといけないというものでもないらしい。いろいろな組み合わせがある。

 今回、モデルを務めてくれた舞妓・豆沙久(まめさく)さんは梅の花と一緒に稲穂の簪を挿している。当然、稲穂は本物。この1年が実りの多いものに-という願いが込められているのだろう。

 稲穂の簪は7日の祗園甲部の始業式、つまり仕事はじめの日に挿すことになっている。撮影日が始業式の翌日ということもあるのだろうか、ちょっぴり得をした感じがした。

 稲といえば、やはり伏見区の伏見稲荷(いなり)大社。秦伊呂具がもちを的に矢を射たところ、もちが白い鳥になって稲荷山まで飛び、そこに稲が生えたことから祭ったという言い伝えがある。社殿裏の千本鳥居をくぐり稲荷山山頂まで行くと市街地も見渡せ、最高の気分が味わえる。

 また正月三が日には京都一の初詣で客を集め、2月の初午(はつうま)大祭のときも商売繁盛、家内安全を願う大勢の参拝客でにぎわう。

 花街も「実り」という言葉を大切にしている。8月1日の「八朔(はっさく)」がそうだ。「田の実の節」とも言われ、豊作を祈る日。花街では「田の実」が「頼み」に通じることから、黒紋付で日ごろ世話になっている芸事のお師匠さんやお茶屋などへの感謝の意を込めてあいさつ回りを行っている。

 豆沙久さんは舞妓にあこがれ、青森からこの世界に入り、昨年5月からお座敷に出ているという。しかし、そのデビュー前の1年間は「仕込みさん」として屋形で行儀作法、言葉遣い、しきたり、芸事などをみっちり教えられたと思う。

 記者も九州から京都に出て30年たつが、どうしても京都人になり切れない部分がある。それは言葉。外面は何とかなるが、イントネーションはどうしようもできない。そのことを豆沙久さんに言ってみると、「それ、ようわかります」と万全な花街ことば、イントネーションで返ってきた。

 「やはり、鍛えられているヮ」(園田和洋)

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