15年前の阪神大震災直後から兵庫県が被災地の公立小中学校に配置してきた心のケア担当教員が、今年度限りで役割を終える。被災した最後の世代が中学校を卒業するためだ。しかし、「子供の心の問題は震災に限らない」と存続を期待する声もある。
 県の公立小中学校対象の調査では、突然泣きだす、落ち着きがなくなるなど、被災のショックで心の問題を抱えた子供は一時4000人を超えた。担任を持たずに授業時間も少ないケア担当教員は、最大時200人以上配置され、個別指導でこうした生徒らを支えてきた。年2回の研修で得た専門知識を生かし、担任や保護者、スクールカウンセラーや外部機関との橋渡し役も果たした。
 神戸市立井吹台中では、校区内に市内最大の復興住宅があることもあり、今もケア担当教員の配置が続く。記憶がなくても、被災による転居や親の失業、離婚など2次的要因がストレスとなる場合は多い。同校にも経済的理由で進学を断念する生徒や暴力などの問題行動を起こす生徒もいたという。
 同校ケア担当教員の柚木晃教諭の主な役割は、彼らの話を「聞く」ことだ。「1対1でじっくり話を聞くと落ち着く。担任には言えない話を聞く先生がいることは効果がある」と話す。
 こうした取り組みもあり、震災で心の問題を抱えた生徒は減少。今年度は全県で中3のみ74人となった。
 ただ、いじめや虐待、発達障害など子供が抱える問題は多様化しており、柚木教諭は「震災の冠を外した心のケアが必要な子は増えている」と指摘する。実際、教室に入れない生徒を受け入れるため同校内に2年前に設置した通称「別室」を訪れたのは、震災と無関係な生徒も多いという。 

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