5丁の猟銃を所持する狩猟歴約20年のベテランは、銃口を人に向けるとためらうことなく引き金を引いた。大阪府羽曳野市の居酒屋で3人が殺害されたライフル銃発砲事件で、自殺した大阪市環境局職員、杉浦泰久容疑者(49)。大物狙いの狩猟愛好家として知られ、イノシシやシカの肉を知人らに配る一方、怒ったときの口癖は「鉄砲で撃ったろか」。前途多望なアルバイトの若者まで凶行の巻き添えとなった。

  [フォト]発砲3人殺害、自殺の大阪市職員は妻に暴力「迷彩服の“変人”」

 府警や府猟友会によると、杉浦容疑者が狩猟の免許を取ったのは平成4年9月。5年から銃を入手し始め、犯行当時はライフル2丁、散弾銃3丁の所持を届け出ていた。猟友会関係者の間では大物狙いで知られ、「羽曳野署で行われる銃の一斉検査ではいつも手伝いに参加し、警察にも協力的だった」という。

 近所では、獲物の肉などをおすそ分けする一方で、怒ると「撃ったろか」とすごんだ。離婚や一人娘の親権をめぐってもめていたという妻(48)には暴力を繰り返し、亡くなった義母の田中美子さん(66)は「別れさせなあかん」と何度も口にしていた。

 勤務先の大阪市環境局幹部はこの日、市役所で記者会見して謝罪。「普通の職員だったが、(職場の)斎場の利用者らにもぶっきらぼうな態度をみせることがあり、口数は少なかった」と話した。同僚との折り合いも良くなかったという。

 市によると、6年に市に採用され、19年9月には禁止されているマイカー通勤をしていたとして減給処分を受けたことも。昨年4~5月に糖尿病で連続23日の病気休暇を取得。犯行前日の11日は公休、12日は有給休暇を取得していた。

 今年度に入って逮捕された大阪市職員は13人。平松邦夫市長は「市の長い歴史でこれほど悲惨な事件を起こした職員はいない。亡くなった人や遺族の気持ちを察すると言葉にならない」と沈痛な面持ちで語った。

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