マイナス金利

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※白崎一裕【解説】 → 坂本貴司【要約・感想】


ようは「金融緩和」でお金を刷っても市場に出回らない大きな理由に、市中銀行がお金を日銀に預けて利息を得ているから。

そのためお金を預けていると逆に「カネ」をもらうぞと、日銀が「マイナスの金利」を導入し、市中銀行に積極的な融資を促したということです。

しかしその結果、円高と株安に見舞われています。

僕は正直この政策に賛否の判断を付けるほど知識がないので、今後の動向を見守りたいと思います。
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現在日本の「子どもの貧困率」は約16%です。
これは子どもの6人に1が貧困状態におかれていることを意味します。

子どもの6人に1人が修学旅行に行けません。
子どもの6人に1人が給食費を払えません。

これは親世代、つまり社会全体の貧困化を意味します。

日本のGDPは世界第3位。
これは一般的に世界で3番目に豊かだということを意味します。

「豊かさ」とはなんでしょうか?

・平成28年1月23日(土)
・13:30~16:30(受付時間 13:00)
・場所:栃木県弁護士会館4F
(宇都宮市明保野町1-6)

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争いごとがあり、どちらかの立場(見方)に立たなければならなくなった場合、自分の利益になる側に立つのが通常の行いと言えます。しかし、私は福祉(貧困)の現場ではこれは当てはまらないと思っています。私達は当事者の間で最も弱い立場の人の側に立たなければなりません。それはそうしないと弱い人の側に全ての矛盾が押し付けられるからです。
現実社会に置き換えると障がい者、高齢者、子どもは弱い立場となります。障がい者はその障がいの故に自己実現は健常者より困難となります。高齢者は以前は自分で出来ていたことが出来なくなり判断力も鈍ってきます。子どもは自分の意思を整理し、人に伝える術、力を持っておらず、また、保護者の保護を受けないと生きていけません。
当たり前のことですが、強い人は強く、弱い人は弱いのです。問題が起こった場合、弱い立場の人はその問題を解決する術を持てません。このような場合、第三者は弱い人の立場に立たなければならないでしょう。そうでないと力の強い人の意見のみが通る社会となります。
貧困家庭、特にその子どもにおいては最も弱い立場にあると言えます。そしてそこには弱い立場の故、様々な問題が現れてきます。そんな時、私たちは立場の強い側として、自らの考えを押し付けるのではなく、弱い立場の子どもの側に身を置いて一緒に考えなければらないでしょう。私たちが子どもの立場になって考えると問題の本質が見えてくるのではないでしょうか。そして、それを解決していかなければならないでしょう。
私はこのことをしっかりと認識して行動して行きたいと思います。
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~弱い者達がさらに弱いものを叩く~

プロフィール/おぐら たかのり 弁護士・とちぎ総合法律事務所(栃木県弁護士会・労働社会保障部会所属) 日本労働弁護団常任幹事・栃木県労働弁護団事務局長

「弱い者達が夕暮れ さらに弱いものを叩く~」この前、街中で、ブルーハーツのトレイントレインの歌を耳にしました。
この歌詞を聞くと、企業における労働者階層の問題を私はいつも考えてしまうので、今回はこの話を書くことにします。企業内の構造は、昔は、労度組合と経営側の2極化の争いであったといえます(いわゆる労使対立)。労働条件をよりよくしようとする労働組合と、何とか抑えようとする経営側。そして、ときどき話し合いがまとまらずストライキが起こることもありました。
これが、非正規の労働者が増えてくることによって、非正規労働者は正社員を妬んだり(賞与や昇給などの待遇面)、正社員は非正規労働者にひどくあたったりハラスメントをしたりすることにより2極の対立構造ではなく、いわば「労労対立」となってしまったのです。正社員は給与の安い非正規労働者の待遇が改善されれば、自分たちの賞与や給与が減る関係にあるので、非正規の待遇改善を積極的には求めません。
さらに派遣労働が増えることによって、労働者の階級はさらに分断されることになりました。派遣社員は食堂が使えないなど福利厚生面などで差別的に取り扱われているといいます。また雇用期間の更新にも制限があり定年までその会社で勤務することは難しいことが多いのです。他方、非正規社員からもさらに弱い者たちとしてハラスメントの対象となることもあります。
こういった構造のせいでしょうか。最近は、ストライキで迷惑した記憶はありません。某労働組合は、ストライキ用の積立金が余っているとも聞きます。労働組合はストライキを実施するだけの力をなくしまったのです。
ストライキが、裁判所からも妨害されているケースがあります。少し前に、三重の裁判所で信じられないような仮処分が出されてしまいました。裁判所は、病院においてストライキをやってはいけないという使用者側からの仮処分の申し立てを、労働組合側の言い分を全く聞くことなく、2012年8月22日に一方的に仮処分命令を出してしまったのです。結局、その後、労働組合は病院側に損害賠償請求を提起し、その仮処分が違法であることは明らかとなりました(名古屋高裁平成26年11月27日)。もっとも、ここで私が問題を提起したいのは、そのような仮処分を堂々と出す人物が裁判官をしているということです。ストライキを経験したことのない若い世代の裁判官はストライキなんてみんなに迷惑をかけるからけしからんと考えたのでしょうか。司法も保守化してしまっています。
さて、話を労使構造の話に戻しましょう。近時は労働組合の中にも非正規を取り入れる動きが出てきていると聞きますが、派遣労働者の取り込みはまだまだだと思います。現在の4極の対立構造の中で、一番おいしい思いをしているのは経営者に違いありません。日本を世界で一番企業が活躍しやすくする国造りを目指すという政権は、派遣法制・労働時間規制の改悪をもくろんでいますが、労働者側が一体となって抵抗できていないのも、この4極対立の構造も影響していると思います。
どうしたらよいのか答えを持っているわけではありませんが、問題提起をさせてらいました。ぜひみなさんと議論していければと思います。

武器はカメラとペン 坂本貴司

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プロフィール さかもとたかし 栃木県真岡市出身。1975年8月1日生。(株)ジャパン・エフエム・ネットワーク、BS衛星放送「歌舞伎町ろまーぬゅ」でフォトジャーナリストとして作品発表。

率直にですが、日本の社会構造は歪(ゆが)んでいると思っています。
社会は「経済成長」「国際競争力」といったものを国民にあおり立てて「働け働け~」と、大合唱しています。ブラック企業を野放しにして長時間労働を正当化しています。政府はブラック企業対策などと、耳ざわりのいいことを言っていますがザル法ばかりで中身がありません。労働基準監督署などは黙認しているのがほとんどです。世間からバッシングされるのを恐れてたまに大きいところを叩いたりしますが、それもパフォーマンスで終わっています。より公正な労使関係を作ることを目指しているのなら、労働組合の作り方や、権利意識というものを学校教育で教えていくべきです。
しかしそんなことはしないのが日本社会。無知な労働者ほど都合のいい存在はありません。
労働者の使い捨てが今のトレンドです。過労死・過労うつ・過労自殺…。こんなもの気にしません。経済成長のためにね。
なんのための経済成長なのでしょう?誰のための?大きな疑問です。日本はGDP世界第3位の経済大国です。世界の3番目に豊かな国だということらしい。しかし日本社会は本当に豊かなのでしょうか…?OECD加盟諸国中、日本の相対的貧困率は4番目に高い。日本の相対的貧困率は約16%。つまりこれはどういうことかというと、年収125万円以下、月収でいうと約10.4万円以下で生活している人が6人に1人いるということです。これらの低所得者を生み出しているのが、非正規雇用(派遣社員・契約社員・アルバイト・パート)が労働者全体の約4割にまでのぼっているということです。
大変異常な日本社会の現実ですね。
日本の労働者はキツイ仕事を長時間させられ、怒鳴られ、罵倒され、徐々に精神が崩壊し何もかも投げ捨てて自らの人生にピリオドをうってしまいます。生きられないのです。生きるのが辛いのです。低所得者ほど辛いです。一生懸命働いても、まともな生活ができるほどの賃金を得られない。日々襲うのは「絶望」だけ。年間の自殺者は約3万人。無縁死(餓死など)も約3万人です。
僕の目から見てこの現実が「正常な社会」とは思えない。このまま社会構造が体制や権力者の都合のいいようにより不公正な方向に進んでしまうと、日本社会は底辺からメルトダウンし「普通の人」が生きられない社会になってしまいます。
僕はこのような「狂った社会構造」を変革し、公正な社会秩序の構築に尽力したいと考えています。武器はカメラとペンしかありませんが、実存をかけた勝負をしていきたいと思っています。
関東信越国税局の平成26年度の査察の概要によれば、告発の多かった業種は宿泊業とクラブ・バーという。宿泊業の中には生活困窮者に衣食住の提供を持ちかけて、生活保護費を受給させ全額を徴収し、狭隘な環境に衣食住させる、いわゆる「貧困ビジネス」などが含まれているそうだ。
また、低額宿泊所の入居者から生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」で得た所得から約6184万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた宿泊所運営者で元機械製造会社社長が、さいたま地裁で懲役1年6月、執行猶予3年、罰金1500万円を言い渡された。
一般的に生活保護世帯は最低の生活費をやり繰りするわけだが、そんな人を食いものにする一昔には考えられなかった唖然とするような悪質な犯罪が横行している現状をどうすればいいのだろう。
一方、川崎市では簡易宿泊所で火災が発生し、10人が死亡。 全焼した2軒の宿泊所には宿泊名簿があったが、74人のうち70人が生活保護の受給者で、生活保護を受け行き場のない高齢者の事実上の終のすみかとなっていたという。火元になった宿泊所は事実上の3階建てで、建物の内部は部屋が細かく仕切られ、1部屋は3畳ほどの、広さでキッチン、風呂、トイレは共同利用で、1泊約2,000円だった。月額にすれば6万円だから、まともなアパートに入れるはずだが、現状はいろいろな制約があり入居は叶わないという。
今後、ますます独居老人が増える。フクシマは解決したとし、戦争法案、オリンピックに邁進する現政権を打倒しない限り、将来はない。
プロフィール しまだやすじ 労働組合わたらせユニオン書記長

2015年4月に生活困窮者自立支援法が施行され、6ヶ月が経過しました。
この制度は、「生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金その他の支援を行うための所要の措置を講ずる」(厚生労働省パンフレット)として、貧困家庭の子どもたちへの学習支援の財源確保をしていることなどの評価すべき点もある一方、新たな相談窓口が生活保護の水際作戦を担う『防波堤』として機能してしまう恐れや、中間的就労に悪質業者が入り込んで、生活困窮者が劣悪な労働に従事させられ、労働市場全体の劣化を招く危険性も指摘されていました。
厚生労働省は9月14日、都道府県など自治体の担当者を集めた会議を開催し、6ケ月経過した生活困窮者支援制度の実施状況について明らかにしました。その資料を基に制度の概要と実施状況について述べてみます。

1. 制度の概要
① 自立相談支援事業の実施(必須事業)
全国すべての福祉事務所設置自治体において自立相談支援事業として相談窓口が設置されました。窓口に配置された支援員が相談を受けて、相談者と一緒にどのような支援が必要かを考え、具体的支援プランを作成します。必要に応じて自宅にも訪問し、生活困窮者を早期に把握、早期に支援することが期待されています。
② 住居確保給付金の支給(必須事業)
離職などにより住居を失った、又は失う恐れの高い生活困窮者で、所得が一定水準以下の場合には、就職に向けた活動をすることなどを条件に一定期間家賃相当額が支給されます。(現行の住宅支援給付の制度化)
③ 就労準備支援事業の実施(任意事業)
「社会との関わりに不安がある」「他の人とコミュニケーションがうまく取れない」など直ちに就労が困難な生活困窮者に対して、6ケ月から1年の間、プログラムに沿って、一般就労に向けた基礎能力を養いながら就労に向けた支援や就労機会の提供を行います。生活習慣形成のための指導・訓練(生活自立段階)、就労の前段階として必要な社会的能力の習得(社会自立段階)、事業所での就労体験の場の提供や一般雇用への就職活動に向けた技法や知識の取得の支援(就労自立段階)の3段階。通所によるものや合宿によるもの等が想定されています。
④ 一時生活支援事業の実施(任意事業)
住居のない生活困窮者であって、所得が一定水準以下の場合に、一定期間(3ケ月を想定)内に限り、宿泊場所の提供や衣食の供与等を実施します。
⑤ 家計相談支援事業の実施(任意事業)
失業や債務問題などを抱える生活困窮者に対して家計状況の「見える化」と根本的な課題を把握し、相談者が自ら家計を管理できるように、状況に応じた支援計画の作成、相談支援、法テラスなど関係機関へのつなぎ、必要に応じて貸し付けのあっせんを行います。
⑥ 生活困窮世帯の子どもの学習支援事業(任意事業)
子どもの学習支援をはじめ、日常的な生活習慣、仲間と出会い活動できる居場所づくり、進学に関する支援、高校進学者の中退防止に関する支援等、子どもと保護者の双方に必要な支援を行います。
⑦ 就労訓練事業(いわゆる「中間的就労」)
長期離職者、ニート・ひきこもり、心身に課題があったり、精神疾患を抱える人、生活保護受給者など、就労準備支援事業を利用しても一般就労への移行が難しい生活困窮者を対象に、「就労訓練事業」によって就労の機会を提供します。社会福祉法人、NPO、営利企業などが生活困窮者に対し、就労の機会の提供を行うとともに、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な「就労訓練事業」を実施する場合、申請に基づき都道府県知事等がその事業を認定します。
利用者は、雇用契約を締結せず訓練として就労を経験する形態(非雇用型)、雇用契約を締結したうえで支援付きの就労を行う形態(雇用型)のいずれかで就労します。
⑧ 費用
自立相談支援事業・住居確保給付金は国庫補助3/4、就労準備支援事業・一時生活支援事業は国庫補助2/3、家計相談支援事業・学習支援事業は国庫補助1/2
2.制度実施状況
厚生労働省は2015年4月末日における生活困窮者自立支援制度の事業実施状況について、全国901福祉事務所設置自治体の調査結果を公表しました。
① 任意事業の実施状況(実施予定を含む)
事業の種類 2014年
モデル事業 2015年
実施自治体数 2015年
実施割合
就労準備支援事業 100自治体 253自治体 28%
一時生活支援事業 57自治体 172自治体 19%
家計相談支援事業 80自治体 205自治体 23%
子どもの学習支援事業 184自治体 300自治体 33%
栃木県では、就労準備事業を実施しているのが宇都宮市のみ、一時生活支援事業の実施はゼロ、家計相談事業が栃木市・矢板市・那須塩原市の3市、子どもの学習支援事業は14市すべての自治体が取り組んでいます。
② 自立相談支援事業
自立相談支援事業の運営方法については、40%が直営、49%が委託、11%が直営+委託となっています。委託先としては、社会福祉協議会が約80%と多く、次いでNPO法人や社会福祉法人(社協以外)が10%程度となっています。事業の実施場所としては、役所・役場内が約60%、委託施設内が40%弱となっています。
栃木県では、直営が足利市・日光市・小山市・真岡市・さくら市・那須烏山市・となっており、委託が宇都宮市・栃木市・佐野市・鹿沼市・大田原市・矢板市・那須塩原市・下野市となっています。委託先はすべて社会福祉協議会です。
③ 就労準備支援事業
就労準備支援事業の運営方法については、約90%の自治体が委託で実施しており、委託先はNPO法人と社会福祉協議会が約30%と多く、次いで社会福祉法人(社協以外)が20%となっています。
④ 家計相談支援事業
家計相談支援事業の運営方法については、約90%の自治体が委託で実施しており、委託先は社会福祉協議会が70%と最も多くなっています。
⑤ 一時生活支援事業
一時生活支援事業の運営方法については、直営が約半数となっており、他事業と比較すると最も多い。
⑥ 子どもの学習支援事業
子どもの学習支援事業の運営方法については、委託が約60%となっており、委託先はNPO法人が約40%と最も多い。
実施形態としては、学習支援型90%、居場所の提供型と進路相談型が50%、養育支援型と中退防止型が30%などとなっています。また、学習支援型では、集合形式60%個別指導形式40%訪問形式30%となっています。(いずれも複数回答)学習支援型は平均で週3・6回実施されています。
支援対象世帯としては生活保護世帯が最も多く90%を超えています。次いで就学援助受給世帯が40%、ひとり親世帯と住民税非課税世帯が30%となっています。
⑦ 自立相談支援事業における支援員の状況
支援員は全国で4200人、職種別では相談支援員が2300人(55%)となっており、以下就労支援員、主任相談支援員の順になっています。兼務の状況では、生活困窮者自立支援制度以外の事業を兼務している割合が50%あります。支援員の体制は概ね人口に比例して配置数が増えています。保有資格については、3職種とも社会福祉士・社会福祉主事の割合が多くなっています。
⑧ 就労訓練事業所の認定状況
6月末時点で認定就労訓練事業所は全国で57ケ所、利用定員合計288名、審査中が31件、今後申請予定件数157件となっています。認定事業所の法人種別は高齢者関係の社会福祉法人が最も多く、次いで株式会社となっています。栃木県では就労訓練事業の申請は今のところ出されていません。
3.生活困窮者支援制度の今後
9月の都道府県など自治体の担当者を集めた会議で、厚生労働省の社会援護局長は「7月までの相談件数は全国で8万5千件に上り、任意事業を実施する自治体は増えている。一方で任意事業を一つも行っていない自治体が全体の45%に上る。」と話しました。厚生労働省は新規の相談件数について人口10万人当たり月に20件を目安にしていましたが、7月までの実績はその8割程度。支援プランの作成は目安の半分にも満たないものとなっています。
最初にも述べたように、生活困窮者自立支援制度については、問題点も指摘されています。この制度はあくまで「生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図る」ことを目的としているのであって、生活保護が必要な人には、保護の受給が認められることが保障されなければなりません。また、中間的就労に悪質な派遣業者などが参入して新たなビジネスチャンスとさせないための監視が必要です。
この生活困窮者支援制度がうまく機能するかどうかは、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)の理念が社会に定着するかどうかにかかっていると思います。自治体担当者や支援員、住民との対話を通じてその理念を深めていく必要があります。
福祉事務所に来訪したものの生活保護に至らない人は年間40万人いるといわれています。その人たちの一部はおそらく生活保護が必要な人ですが、残りの多くの人たちにとってこの生活困窮者自立支援制度を利用して、安定した生活を取り戻すことができる可能性があります。今後、生活困窮者自立支援制度がうまく機能するような取り組みをみんなで考えていきましょう。

奨学金問題と立ち向かおう

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小 倉 崇 徳

プロフィール/おぐら たかのり 弁護士・とちぎ総合法律事務所(栃木県弁護士会・労働社会保障部会所属) 日本労働弁護団常任幹事・栃木県労働弁護団事務局長


1 はじめに
はじめて反貧困ネットワーク栃木通信に投稿をします弁護士の小倉といいます。よろしくお願いします。詳しい自己紹介は後にするとして、今日は奨学金問題についてお話したいと思います。
「奨学金」というと、多くの方が苦学生のために国が貸してくれる優しい制度、をイメージすると思います。しかしながら、そのような牧歌的な時代はもう終わり、今は「教育ローン」と化しているのです。私は、奨学金問題対策全国会議に加盟し、栃木県において奨学金問題に苦しむ方々のために活動を行っているのですが、奨学金が抱える問題についてこれから説明していきます。

2 貸与制の問題点
問題の根幹は、日本の奨学金のほとんどは、返還が必要な貸与制であるというところにあります。諸外国では返さなくてよいいわゆる給付型の奨学金も多いのですが、日本では一握りにしかすぎません。
また、利息の問題もあります。代表的な奨学金である日本学生支援機構(機構)では当初、無利子の奨学金(第1種)の一時的な補完措置とされた有利子の奨学金(第2種)が、拡大を続け、今やその事業予算は無利子の3倍です。延滞金の利率も年10%と高く、返しても元金が減らないケース少なくありません(奨学金問題対策全国会議HPより)。
大学などの高等教育機関を出ればその多くが正社員として安定してきたのは高度経済成長の時代であり、今や社会全体の約4割が非正規となっています。実際、機構の奨学金の3か月以上の延滞者のうち、46%の人が非正規労働者又は職がなく、83.4%が年収300万円以下です。このように返済が本人の責めによらない理由で滞ってしまうのです。

3 保証人の問題
さらに、保証人の問題もあります。サラ金などの多重債務者の場合は、自己破産手続きによって経済的にリセットし、やり直すことができます。しかし、奨学金には多くの場合、連帯保証人(親など)のほかに、保証人(親戚など。機構によれば原則として4親等以内の親族で、連帯保証人と別生計の者)も担保として抑えているのです。親だけならばともかく、親戚には迷惑がかけられないとして、法的な救済を得られない人が多数いるのです。

4 厳しい取り立て
奨学金だから取り立てが厳しくないと思ったら大間違いです。延滞を1~3か月しただけで本人や保証人への架電督促や通知(職場 連絡を含む)、サービサー(債権回収業者)への回収移行や個人信用情報機関(いわゆるブラックリスト)への登録を予告してきます。
さらに延滞が4か月となると、回収をサービサーに委託し、延滞9か月になるとほぼ自動的に裁判所に支払督促申立てをしてくるのです。また、2010年度からはいわゆるブラックリストへの登録が開始し、2年間で登録件数は1万件を突破したといいます。さらに、返済能力を無視した執拗な取立てで、借り手の返済能力を無視した、無理な支払いを求められることが多いのが特徴です。さらには、借り手に法律的な知識がないので、時効にかかった奨学金も請求し回収しています。私が経験したケースでも、サラ金でさえ遅延損害金をカットしてくれ元本で和解してくれるのに、機構は弁護士介入日までの遅延損害金・利息はカットしてくれないのです。また、免除の手続きもきちんと教えてくれない上、延滞をなくしてからでないと認めないなどの無茶な運用が行われているのです。

5 まとめ
いまや「奨学金のせいで結婚ができない」という声が上がる時代になっています。ぜひ、反貧困ネットワーク栃木でも取り上げてゆき、みなさまと奨学金という名の「教育ローン問題」に取り組んでゆければと考えております。

僕を救った「考える力」

テーマ:
坂本貴司

プロフィール さかもとたかし 栃木県真岡市出身。1975年8月1日生。(株)ジャパン・エフエム・ネットワーク、BS衛星放送「歌舞伎町ろまーぬゅ」でフォトジャーナリストとして作品発表。


人間の生きる社会とは何なんだろうといつも考えています。僕がこんなこと考えて何になるんだろうとも思いますが、考えずにはいられません。

普通に小学校・中学校・高校を卒業した僕の「常識」の中にあったのは、「社会は正しい」ということでした。なぜなら、そう教わってきたからです。僕は真面目な男です。純粋に先生の言葉を聞き、「社会の常識」なるものに忠実でした。

社会人になり働き始めると、「社会人とはなかなかベビーだな~」と思いました。仕事でわからないことを先輩に聞くと「いちいち聞くな」と怒鳴られ、その結果失敗すると、「何で聞かないんだ」と怒鳴られます。八方塞がりで心が病んでいきます。仕事のやり直しを何回も命じられ家に帰れません。泊まり込みでの作業です。

「残業代」などもらったことがありません。「残業代」の意味ってなんだろう~と、「ちょっと」疑問に思いました。しかし「ちょっと」だけです。なぜなら、僕は社会に対して誠実な男だったからです。

ちまたでは国際競争力が「うんぬんかんぬん」。グローバリズムにより「どうだこうだ」。経済成長のために「なんだかんだ」。新自由主義で「けんけんがくがく」。市場原理主義だから「あーだこーだ」。

「競争・競争・働け・働け…。」

こういう状況に置かれると、人間は空を見ます。僕は気がふれると決まって新宿歌舞伎町の路上で缶ビールを飲みました。ここは一晩中明るくてにぎやかだからです。寂しさを紛らわせてくれます。神経をのこぎりで切り刻まれるような職場での毎日を忘れさせてくれます。路上にいるホームレスの方々とのおしゃべりが僕を励ましてくれました。

僕は心も体もクラッシュし、「ノイローゼ&うつ病」。「肝機能低下&急性膵炎&十二指腸潰瘍」で退職し、東京から栃木の実家に帰郷しました。

僕は社会に対して【忠実】であり【誠実】だったので、仕事で「壊れた」自分を責めました。「なんて情けない人間なんだ」と。仕事をできない自分を落伍者だと恥じました。友達や親戚から引きこもっていることで陰口を叩かれました。そんな僕に手を差し伸べてくれたのが、【知識】でした。新聞を読み、ネットを調べ、いろいろな人たちの本を読みました。そこで得られたのは【考える力】でした。

僕がフォトジャーナリストとしての志を取り戻し、「反貧困ネットワーク栃木」で活動している理由は、「社会とはなんだろう」というテーゼに対する答えを探しているからです。僕が経験してきた「社会」が正常なわけありません。人間の生きる社会に絶対などありません。常にその時代に生きる人々が探し求めるものです。そして生まれてきた人が、すべからく生まれてきたことを喜べる社会を目指し模索することが、人間に与えられた叡智だと考えています。