とある法学徒の社会探訪

このブログでは、一法学徒から見た社会の様子をつらつらと書きつづっていきたいと思います。
それと同時に日本に足りない「法教育」の足しにでもなれば…
※本ブログの趣旨等について「はじめまして」(カテゴリー:ブログ・2012年1月17日付)をご覧ください


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私が法学部に入学して民法総則と呼ばれる分野の講義を聴き始めた時あまりに分からず、その後学部を出るまで軽い「民法アレルギー」のような状態でした。その総則の講義を担当していた先生は民法学界の重鎮の一人でしたし、その先生の書籍を私も今や座右の書の一冊として置いていますし、さらにはその当時の講義のレジュメも非常に丁寧で今でも保管してあります。
しかし、高校を出て、もちろん入門科目はありましたが、憲法と同時に聞き始めた民法総則は全く異世界だったのです。と同時に、その原因はそこで使われる用語がよくわからなかったという点にあったのだということも、今となってはわかります。

民法の世界で(あるいは民法の講義で)聞く用語には多くの紛らわしい言葉があります。今回はそのうちの一つ、「停止条件」と「解除条件」について。
停止条件は民法127条1項に規定があり、「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。」とされています。具体例としては「○○したら××してあげる」というときの、「○○」が停止条件でして、固い説明としては、「法律行為の効果の発生が将来発生するかどうか不確実な事実にかかっている場合」とされます。
他方、解除条件は同127条2項の「解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。」という規定に端を発し、具体例としては「××するけど○○したらそれチャラな」というときの「○○」です。固い説明としては、「法律行為の効果の消滅が将来発生する不確実な事実にかかっている場合」です。

この説明を聞いて、「あぁ、なるほど」と言われると少し不安になります。というのも、直観的には「あれ?実態は同じじゃね?」と思われるからです。それを如実に表す場面のひとつが、民法721条の「胎児は、損害賠償の請求権については、既に産まれたものとみなす。」という規定を巡る問題です。なお、民法721条が念頭においているのは、例えば父Fが事故死したとして、母Mが胎児Cの分と一緒に損害賠償請求を加害者Aに対してなすことを許すというものです。
前提として、民法上の権利義務の主体になれるのは、生まれてからです(民法3条1項)。すると民法721条はその例外になるわけですが、もしこの場合に子供が死産となってしまった時に問題が生じるのです。
考え方のベクトルは当然2つあり、1つは胎児の段階から権利能力が認められ、死産した時には遡及的にそれが消滅するという解除条件説です。そしてもう1つが、権利能力がないという原則を活かして、生きて生まれたことをもって遡及的に権利を認めるという、いわゆる停止条件説です。

多分これでもなかなかわかりません。しかし決定的に違うイメージがここにはあります。それが次のようなイメージなのです。
停止条件は、条件の発生不発生の前には法律効果がありません。そして条件成就以降効果が発生します。その効果を過去に及ぼす(つまり遡及させるか)は別の問題です。数直線的には、点線が続いていて、条件成就でその先(あるいは過去も)実線になり不成就確定で過去の点線、その先もろとも消えるイメージです。
反対に、解除条件は条件の発生不発生の前から法律効果が存在します。そして条件成就以降効果が消えるのです。その効果は往々にして過去に及ぼされますが、これも必然ではありません(例えば、賃貸借契約の中で解除条件が付される場合)。数直線的イメージとしては条件の発生までは実線で、条件成就によりその先が(あるいは過去の実線も)消され、不成就確定で今後実線が消される心配がなくなります。

確かにパッと見の実態は同じです。しかし、法律家にとってこの差は時に大きな問題を惹き起こします。「今度の定期試験で満点取ったら高級ステーキおごるよ」というのも実は争いの種になり得るのです。
さて、この「今度の定期試験で満点取ったら」は解除条件とは理解できないのでしょうか。いずれと解釈することで、どんな違いが生じるでしょうか。


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