2017年1月13日(金)

 

渋谷クラブクアトロで、遠藤賢司・祝!生誕70年「エンケン祭り」。

 

感動した。昨年6月にがんで闘病中との報があったが、不滅の男はやはり不滅。痩せられはしたが、歌声の力に少しの衰えもなく、むしろ以前とは別種の迫力があった。命が暴れ、魂が歌となり、見得を切る姿までが美しかった。

 

出演は主役のエンケンさんのほかに、曽我部恵一、湯川潮音、大槻ケンヂ、遠藤ミチロウ、大友良英、鈴木慶一、PANTA、フラワーカンパニーズ、そしてアンコールにサプライズで山本恭司。

 

ゲスト陣はエンケンさんのリクエストによるオリジナル曲とエンケンさんの曲のカヴァーを歌うというのが基本構成。湯川潮音さんによる「ミルクティー」、大槻ケンヂさんと湯川潮音さんのデュエットによる「哀愁の東京タワー」、遠藤ミチロウさんの「おやすみ」とオリジナルの「オデッセイ・2017・SEX」、大友良英さんとエンケンさんによる「夜汽車のブルース」、鈴木慶一さんの「塀の上で」、PANTAさんの「悪たれ小僧」と「時代はサーカスの象にのって」(←ド名曲)、フラカンの演奏に途中でエンケンさんが加わった「東京ワッショイ」などが強く印象に残った。

 

しかし破格だったのはやはりエンケンバンド。トーベンさんとトシさんとのトリオのあり方と鳴り音はまるでジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスだ(とか思ってたら一瞬アメリカ国家のあのフレーズも挿んだりしてたので、その意識はご自身にもあるのかもしれない)。またエンケンさんがソロで歌った「44年目のカレーライス」の歌詞にもグッときて僕は泣きそうになった。

 

だが、この日の白眉は全員揃っての「不滅の男」のさらにそのあと、エンケンさんだけ残り、そして山本恭司さんがギターで入って歌われた「夢よ叫べ」だった。山本恭司さんの幽玄なギターと、エンケンさんの魂の歌。その合わさりに鳥肌がたった。歴史に残る(記録としても残してほしい)、それは圧倒的な名演・名唱だった。

 

ずっとずーっとエンケンさんは素晴らしい「純音楽家」だけど、闘病を経てさらに凄みが増した印象。鼓舞する歌にしても愛の歌にしても「純」故に風景までがそこに立ち現れる。「史上最長寿のロックンローラー」としてトコトン・ズンズン生き続け、歌い続け、立ち続けてほしい。