9月16日(日)~17(月)


「勝手にウッドストック 2012」@神奈川県相模湖。


行ってきましたよ、勝手にウッドストック。
バンバンバザールの主催により、毎年この時期に行なわれている野外フェス。
場所は神奈川県相模湖畔・みの石滝キャンプ場。
今年で12回目になるそうだ。


前から気になっていたフェスだったのだが、ぼくはヨメと友達のSちゃんと共に今回ようやく初参加。
いつもチケットが売り出されてすぐソールドアウトになるこのフェスだが、なるほどそれも納得。
一度行ったら必ずまた行きたくなるわけで、リピーターが大勢いるのだな。


参加形態は4つのコースに分かれているのだが、ぼくらは1泊2日の後半満喫コース(Cコース)。
集合時間が10時ということでずいぶん余裕を持って早めに出発したつもりだったが、連休中日の渋滞に巻き込まれ、車中3時間ちょい。
大幅に集合時間に遅れ、ボート場に着いたのは11時半頃。
来年も行くならさらに早朝に出るか、または新宿から70分程度だそうなので電車で行くかを考えねばならぬな。


相模湖のほとりから小さな船に乗って会場へ。
現実世界から「音楽と仲間とお酒と語らいの好きな人たちだけのいる小島」へ渡るイメージ。
それらが好きな人たちにとっちゃ言わば楽園。
こんなにもピースフルなところがあったのか、っていう。


昼頃に会場に入ったため、出迎えの演奏と初っ端のバンドは終わっていたが、まぁ「全部観るぞ」ときばって動くのはこのフェスには不似合い。
ある種のユルさが魅力だということは到着してすぐ理解できたので、まずはバンガローに寝具を運んで(そう、このフェスは全員がバンガロー泊。テントも寝袋もいらないのだ)、ちょうど配給が始まったところらしいカレーを食べながら本夛マキさんの歌を聴いた。


そこからはビール飲んだり知り合いのバンドのメンバーと喋ったりしつつ、その場のムードに合わせてがっつくことなくライブを観る。
タイムテーブルなんてものもなく、いい音が聴こえてきたらステージ前にふらりと動くという感じだ。


この日観たのは、きいやま商店、みち、ザ・たこさん、BLOODEST SAXOPHONE、良元優作、ポカスカジャン、バンバンバザールDX、ナオユキ。


一緒に行ったともだちSちゃんが前に宮古島で観て絶賛していた「きいやま商店」(石垣島出身のトリオ)は、笑いの要素多めながらもダンスと演奏にキレがあり、どこか素朴さも残しつつも実にエンターテインメントなあり方。
応援したいという気持ちにならずにはいられない。
沖縄から来たお客さんもけっこういたみたいでしたね。


ソラミミスト・安齋肇とクレイジーケンバンドの小野瀬雅生によるデュオの「みち」は、アシッドなフォーク・スタイルで♪ヒゲヒゲヒゲ~ヒゲヲソ~リ~ と珍妙な歌を披露。
四人囃子の「一触即発」を思い出させるプログレ・フォーク展開になったりする場面も面白かったです。
それと「次はザ・たこさんです」と言う司会に安齋さん、「福島でザ・たこさんを観たけど、すごくよかった」みたいなことを言ってましたね。


そのザ・たこさんのヴォーカル・安藤は、崖の上から登場。
野外のたこは必ず何かしらやってくれるのでこっちの期待も通常ライブより大きくなるのだが、今回も地の利を活かした観客巻き込み型のパフォーマンスでライブ王の貫禄を見せた。
このところ新曲多めのライブが多かったが、この日は30分の短い時間とあって定番曲中心。
そんななかで久々の「愛の讃歌」はとりわけグッと響いた。


ブラサキことBLOODEST SAXOPHONEによる極上のジャンプ~ブラス・ジャズと白で統一した衣装は、背景の森と陽の光にひときわ映えていた。
彼ら、11月のビッグ・ジェイ・マクニーリー来日公演のバックを務めるそうですね。


それからザ・たこさんの山口さんにすすめられて初めて観たのが大阪のSSW、吉元優作さん。
なるほど、特徴のある歌声と歌詞が心にブッ刺さり、これは改めて真剣に聴かなくてはいけないな、と。
集中して歌詞を聴きとりたくならないではいられない、引っ掛かりの強い“歌”なのだ。


ポカスカジャンはテレビでは観ていたものの、ナマを観るのは初めて。
それはもうとてもテレビにゃ絶対のせられない放送禁止ネタがふんだんで大笑い。
とりわけサンボマスター・山口くんのマネは絶品だったな。
それにしてもこのフェスには、笑いのある音楽というものが実に映える。


そしてこのフェスの主催者でもあるバンバンバザールがこのステージのクロージング。
カンザスシティバンドの下田さんやブラサキのメンバーらも加えた特別編成で賑やかに&軽やかにスウィングしてみせたそのステージにみんながカラダを揺らした。
文字通りの一体感。
夜の森をバックにした演奏とおもいおもいにカラダを揺らして楽しむ観客たち(そのなかにはこのフェスの出演者の姿もチラホラ)の様子がまるで映画の一場面のようにも感じられた。


バンバンのステージで華やかにライブが終わった……かと思いきや、すぐさまステージの横の位置にスポットがあたり、そこにひとりで立っていたのはコートを着たスタンダップコメディアンのナオユキだった。
毒と自虐のトーキング・ブルーズは、ポエトリー・リーディングにも通じる詩的さと独特のテンポ感があって、引き込まれずにはいられない。
音楽は鳴っていないのだが、しかし非常に音楽的なのだ。
そして立ち姿も話の抑揚の付け方も身震いするほどかっこいい。
しかも、こういうときにこう考えてしまう自分というものに1ミリのブレも揺れもなく、逆説的に精神の強靭さを感じたりも。
レニー・ブルースとか好きだったりもするのかな。
思い返せばこの日もっともガツンとやられたのがナオユキさんの話芸であった。


ぼくはちょいと風邪気味だったこともあって、このあとわりと早くに酔いがまわってバンガローに戻って即寝してしまったのだが、深夜は深夜でいろんな出演者が混ざってのセッションが繰り広げられた様子。
また、出演者の予定には入ってなかった梅津和時さんも来て深夜のセッションに混ざり、閉会時にはソロ・ライブもあったそうだ(ぼくらは仕事の都合で一足先に会場を出てしまったので、残念ながらそれは観られなかった)。


と、それぞれのパフォーマンスもどれも素晴らしいものだったが、やはりこのフェスならではの魅力はといえば、パフォーマンスそのものよりもまずあの環境であり、観客と出演者の文字通りの一体感。
出演者と観客の間に少しの壁もなく、一緒にお酒呑んだり音楽聴いて揺れたりできるあの感じなのだなと、初めての参加にも関わらずそれがわかって、気の早い話だが来年も行くぞ(できれば2泊で)と心に決めた自分なんである。

そしてこうも思う。勝手にウッドストックは野外フェスのひとつの理想形だなと。


いつも大きな話題になる大規模なフェスにはない気持ちよさがここにあり。
いつも大きな話題になる人たちには奏でられない音楽がここにあり。
それはちゃんと音楽を聴いてきた人たちだから見つけたり感じたりすることのできるものでもあって。
こういう音楽とかこういう演奏者たちを好きな自分はそれを知らないで過ごしている人たちに対して「それはもったいことだよ」と言いたくなってるところもちょっとある。
だからこういう音楽やこういう出演者さんたちをもっとなんかの形で広く紹介したいし、そのよさをもっと言葉にしたほうが、しないでいるよりずっといいんだよなと、このフェスから帰ってきてそんなふうにも思ったりしているぼくだった。



「怒るくらいなら泣いてやる」

「怒るくらいなら泣いてやる」

「怒るくらいなら泣いてやる」

「怒るくらいなら泣いてやる」

「怒るくらいなら泣いてやる」

「怒るくらいなら泣いてやる」



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