対談34『赤信号も命令されればみんなで渡る』
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対談34 『赤信号も命令されればみんなで渡る』
七雲: 前回の続きです。
もし「上」が1+1=3と言い出したら、
あなたはどうしますか?
緑子: 仮定の話とは言え、
それだけ聞いてるとなんだか馬鹿みたいなテーマじゃな。
こんなくだらんコトを殊更に議論しなければならない、
という事自体がもうくだらなくてたまらん。
七雲: 「上」とは、上司・会社・学校・行政・国家など、
「逆らうと不利益が起きる相手」です。
緑子: 私の考えは前回述べた。
1+1が2なのか3なのか、ウヤムヤにしてるような人間を、
他の面で信頼しろといっても土台無理な話じゃ。
七雲: そのウヤムヤを彼らなりの美辞麗句で飾ると、
「理想論を振りかざさない、現実に即した大人の対応」
とかになるんでしょうけど。
緑子: さすがは言霊の国、物は言いようじゃ。
だがのぅ、1+1=3を否定できなかった瞬間に、
その人の放つ言葉は輝きと信頼性を失う。
「私は上の状況次第で、いつでも真実が言えなくなる人間です」
そう看板ブラ下げて歩いてるようなものじゃからな。
テレビの「硬骨」コメンテーターたちが、
突如生彩を失った感があるのも、要はそれじゃよ。
これはつまり人間性の問題であり、試金石なのじゃ。
七雲: 1+1は何?……なんていう言葉遊びのうちはまだいいです。
でももし……
上司が「リコールになったらウチの会社が傾くから、
プレーキの欠陥は公表するな」と命令してきた時、
理想論を嫌い現実に従うタイプの人間が、
「いいえ。絶対に欠陥を公表すべきです」と拒絶できますか?
妻子を路頭に迷わす覚悟で、ですよ?
緑子: 残念ながら理屈的にはかなり困難、
ということになるわなー。
そもそもみんながみんな拒絶できてたら、ここまで企業不祥事は頻発していないよ。
七雲: 言い方を変えると、
1+1=3にすら反対できない人は、
状況によっては容易に不祥事の加担者になりうる、とも言えます。
緑子: だから試金石だと言っておる。
流れに身をまかせ、長いものに巻かれて、周りの顔色を窺い、群れから決して離れず、
上が言えば1+1が 3にも 4にも 0にもなる。
それでは「上」がモラル違反を命令してきた場合に、拒絶するのは難しかろう。
七雲: 仮に個人一人一人が善良であったとしても、
企業ぐるみ地域ぐるみ国家ぐるみの犯罪や不祥事は、
そんな風土では逆に起きやすくなる……とも言えます。
緑子: 善良だから一人なら渡らない赤信号も、
命令されればみんなで渡る。
……というヤツか。 悲しい話だ。
七雲: 続きます。















