保育園に入園できない待機児童の解消が課題となる中、東京都品川区が今年度から小学校の余裕教室を利用し、保育園の分園を開設した。全国の小学校には多数の余裕教室があるが、こうした例はまだまれ。今後、こうした転用は進むのか。(津川綾子)

 ≪安くて早い≫

 品川区は今年度、区内の2小学校で余裕教室を保育園分園として活用を始めた。その一つ、区立三木小学校は1階の2教室を「区立西品川保育園」の分園とした。5歳児21人がここに通うことで本園に余裕ができ、前年度より定員が24人増えた。

 受け入れに当たって、昨年まで小学1年が使っていたクラスルームと「学年の部屋」の2室や廊下を保育園のために改修。黒板はホワイトボードにし、廊下の滑り止め、トイレに小さな補助便座を付けた。5歳児の平均身長は6歳児(小1)より約6センチ、7歳児より約12センチ低いため、手洗い場の蛇口も13センチ低く直した。

 区立中延小学校でも同様に区立中延保育園の分園(5歳児)を開設。改修費用は2校で計約3千万円。「新設より、かなり費用は抑えられた」と同区の伊崎みゆき待機児童対策担当課長は話す。

 メリットは費用面だけではない。待機児童問題にスピーディーに対応できる。同区の場合、昨秋に構想が具体化し、半年で準備が整い、新年度に間に合った。

 ≪柔軟な発想が必要≫

 こうした例は全国的にはまだまれだ。学校施設の学校教育目的以外への転用は過去に制約があり、国庫補助金の返納が伴うことがあった。しかし、少子化を背景にそうした制約や手続きは徐々に弾力化。保育所への転用手続きは平成9年から大幅に簡素化された。

 ただ、文部科学省によると、約6万1千ある小・中学校の余裕教室のうち、保育所としての活用は43教室(21年5月現在)にとどまる。

 なぜ、保育園への活用が進まないのか。「学校側に『ここは教育の場』という意識が強いのか、保育園にも使えるという発想がないのかもしれない」と三木小の林誠校長は指摘する。現に全国の余裕教室の9割は「ランチルーム」など学校施設として活用されている。だが、同小で保育園に改修した1室も元は「学年の部屋(多目的室)」で、今は「3年の部屋」だった多目的室を1~3年生で共有して済ませている。

 余裕教室の柔軟な活用を促すため、文科省と厚生労働省は冊子「余裕教室の有効活用」を作成、今年3月に都道府県教委に配布。冊子には余裕教室を保育所として活用する事例や、厚労省の「安心こども基金」による補助制度が利用できる場合があることを明記した。

 ≪小1プロブレム解消≫

 余裕教室の保育園への活用には教育面での効果の検証も鍵となりそうだ。

 先月16日、三木小で行われた保育園児の歓迎会。小学生が園児の手を優しく引く姿を見た同小2年の男児(7)の保護者(42)は「兄弟が少ない今、年少者をかばう気持ちが養われそう」と期待する。「保育園児が小学校の雰囲気を知れば、卒園後の小学校生活へのスタートがスムーズとなり、小1プロブレムの解消につながる」(伊崎課長)との声もある。

 林校長は「小学生が優しさをはぐくむ良い機会にもなる。教育的なメリットも他校にどんどん伝えていきたい」と話している。

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