義經とは何者か

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『義經記』を十一月迄に讀まないといけないのだが、まだ本さへ入手してゐない。最近は忙しくて賦録の更新さへ儘ならない。


義經と楠木正成は、或る意味で良く似た武將である。どんな處が似てゐるのか。眞面(まとも)な武士でない處である。


幼い頃から武士の作法をしつけられた訣ではないので、武士に比べて發想が自由である。そして勝率が高い割に人望がない。


教養は楠木正成の方が高さうである。義經は教養が無い分、正成のやうに宋學にかぶれて理不盡な行動を採つたりはしない。


家柄は義經の方が良いが、諸詮は庶子である。頼朝の人望には遠く及ばない。正成はそれでも小規模ながら自前の軍隊を有つてゐたが、義經にはそれもない。


どちらにせよ、二人とも同時代の武士には支持されてゐたやうには想へない。後世に正成の評判が良くなるのは宋學にかぶれた御蔭だが、諸詮は惡黨の小戰(こいくさ)しか出來ない男だ。


どちらも同時代の人には、眞面な武士とは想はれてゐなかつたのではないか。卑怯な事をして勝つ嫌な奴と思はれていた、といふのが正解だらう。


彼等の戰法が高く評價されるのは、當時の武士の作法が忘れられた時代になつてからの事なのである。つまりどちらも、天下を狙へる器ではなかつたのだ。
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