すき焼きとジルヴァーナ・その2
嫁さんが親戚筋から箱入りの高そうな牛肉を貰って来た。
日頃何かと頂き物をするので、ちょっとばかりグリュンハウスのリースリングを託けてみたところ
それが霜降り肉に化けて帰って来たという訳。ありゃ~、こんなんやったら時々持って行ってエエもんもらわな。
ということで今夜はすき焼きである。「すき焼きに貝殻石灰土壌のジルヴァーナってのはどうだろうか?」
手元にあるシュペートブルグンダーのどれを開けようか思案していたところ、急にまたつまらない事を思い立った。
そう言えば以前 フランケンの雑色砂岩土壌のジルヴァーナを試したことがあった。我ながら懲りないものだが
早速ホルスト・ザウアー醸造所 の2010年産ジルヴァーナ・カビネット・トロッケンを開けたのであった。
スクリューキャップを捻ってグラスに注ぐと、若いカビネットには似つかわしくなく濃い。黄金色がかった黄色。
過熟感のある黄色いフルーツの香りで、スワーリングすると仄かに青いバナナやマンゴーの香りとともに
湿った木や土臭さを感じる。若いんだか歳いってるんだか分からない香り。酸はマイルド。
果実味は口当たりマッタリと肉厚でジルヴァーナらしいが、やや中抜け的な水っぽさを感じなくもない。
ただ、ジルヴァーナにしてこの後味のキレの良さはさすが。サッパリと淡白なミネラルは程好い存在感。
酸も中盤から存在感を増してアフターへと綺麗に伸びる。青い果実のフレーヴァーも心地良い。
香りと同じく、フレッシュ感と落ち着き感の両者が共存する面白い飲み口。85/100
ワインアトラスでこのエッシェルンドルファー・フュルシュテンベルクFuerstenbergという畑を確認してみた。
すぐ下に隣接する特級畑ルンプLumpと同じく、貝殻石灰やコイパーから成る土壌ということだが
標高が高いぶんルンプに比べると水捌けが良いのか土壌が軽いせいか、とにかくサッパリ淡白な味筋である。
すき焼きを食べながら飲んでいると、ごく自然な感じでしつこい味付けを洗い流してくれる聖水の如く。
思い付きで合わせてみたが、意外な相性の良さに驚いた。貝殻石灰土壌だから相性が良かったのだろうか?
それはそうとこの頂き物の肉。立派な箱に予想以上にたくさん入っていたので普段なら奪い合いになるところが
「おい、肉から食えよ」という珍しい展開。結局食べ慣れないものを食べ過ぎて、また胃もたれしてしまった。
いくらジルヴァーナが洗い流してくれると言っても限度がある。当分肉はいらん。
2010 Escherndorfer Fuerstenberg Silvaner Kabinett trocken
Weingut Horst Sauer (Escherndorf/Franken)
A P Nr 4397-049-11,Alc 11.5%vol,7.70€