ヴァイルといえばいつも
昔、まだ近所の大型スーパーに立派なワイン売場があり、しかもその一角にドイツワインのコーナーがあった
そんな夢のような時代。陳列棚の一番高いところにある、鍵のかかるガラス戸の付いた棚に、青いエチケットの
スマートな茶色いボトルが並べられているのをいつも物欲しそうな顔で眺めていた。ロバート・ヴァイル醸造所 の
ベーレンアウスレーゼ、フルボトルで約4万円也。バブルの夢未だ覚めやらぬ時代ではあったが、売れないらしく
いつ行っても陳列棚の主のように鎮座していたものだ。その頃の影響か、いつしかヴァイルの青いエチケットには
一種の魔力を感じるようになってしまった。見かけると深く考えもせずに衝動に駆られてつい買ってしまうのだ。
もちろん高いのは買えないけれども...と、ここまで書いて来てふと以前にも同じ様な事を書いたような気が
してきた。慌ててヴァイルの過去記事を調べてみると、あった。ここ にまったく同じ様な事を書いている。うーん、
歳をとるとはこういう事を言うのだろうか。せっかく書いたので消さずにそのまま記事にするが、どうせ実生活や
仕事中にも同じ様な行動をとっているんだろうな、ああみっともない。(/ω\)
とりあえずこのボトルも瓶詰め後1年近くを経過した現段階では、大なり小なり元気のなくなっている時期に
差し掛かっている事が予測される。それにもかかわらず青エチケットの誘惑に勝てずに買ってしまった...と
こう導入部分の話をまとめるつもりだったのだが。ま、とにかく開けることにするか。
淡黄緑色。香りは梨、ライムなどの柑橘だが閉じ気味。舌に軽い微炭酸の刺激。酸は力強く骨太。果実味は
そこそこしっかりとした存在感。ミネラルは密度は濃いがやや平板と言うか単調。夏みかん主体で、微かに
フローラルなフレーヴァー。全体になかなか凝縮感はあるものの、味わいの焦点のピンボケ感は否めない。
抜栓当初目立ったアフターの苦味は時間とともに目立たなくなり、やはり柑橘のフレーヴァーが主体。
翌日は爽やかな梨や青リンゴ系の香りが開く。酸がおとなしくなったせいで果実感がマッタリと前面に出ている。
ラインガウの何たるかを少しでも知ろうと口に含んではグチュグチュして吟味してはみたものの、八方美人的で
どうも特徴が掴めない。ただ青い新鮮な果実の味わいが堪能出来るのが何よりも嬉しい。84/100
2008 Riesling Kabinett trocken
Weingut Robert Weil (Kiedrich/Rheingau)
A P Nr 34 003 029 09,Alc 11%vol,Euro13.03