私・純子が会社から休職のための書類をもらってきた次の日、

ついに精神科…夫・光良が前医から紹介された医院にかかる日が

やってきたのだった。


なにこのめまぐるしい日程。

そして土日休んだらもう、月曜は私ひとりでまた会社に書類を届けに

行くのである。疲れるヒマもない。


この精神科は、消原市立病院精神科と違い開業医院で、

入院設備を持っている。


光良は、入院を要するそううつ状態として、

そこに紹介されたのだ。


だが、消原市民病院から出された抗うつ剤服用をやめて以来、

彼の感情の起伏はおだやかになり、

クスリを飲む前の状態にもどってきたようだった。


やっぱりクスリのせいじゃないかな…。


メジャーな副作用としてそう状態が出るなどということは

ネットで調べても載っていなかったのだが…。

それ以外に、考えられない。

だから、きっと大丈夫なはず。

今度のお医者さんなら、彼の症状がストレス性のものだと

見抜いてくれるさ、私はそう祈った。

そして入院を必要とする状態ではないことも。


私が抗うつ剤での治療にいちゃもんをつけたのだから、

もし今回の医院で彼の症状が内因性…クスリが原因ではなく、

彼の内部からくるものであったら、私の判断ミスということになる。


とにかく、新しいドクターにセカンドオピニオンをとれるのだ。

いい方向にころぶと信じたい。

彼と自分を信じて、ドクターにおまかせしてみるしかなかった。


医院に向かうと、平日昼間ながらかなりの車の数。

ネットでの口コミも読んでみたが、人気のある医院らしい。

結婚前、親との確執があったとき2,3度相談させてもらったことが

あるのだが、こちらの話をよく聞いてくれて態度も慎重なおだやかな

ドクターだった。


だから、安心して彼をまかせようと思った。


もしも私の予想した…ストレス性の適応障害という結果が出なくとも、

市立病院のみたてと同じくそううつだという診断がくだされたとしても、

私はここのドクターになら、彼の治療をまかせられると思った。

ここの先生が入院しなさいというのなら、本当にそうなのだろう。


予約が午後だったが、精神科の特徴としていち患者にかける時間が

長いということがある。問診を丁寧にしていると、クスリでポンというわけには

いかないので、ひとりで1時間以上もドクターと話すことも珍しくはない。


我々のときも、予約時間から1時間近く待つことになった。

待合室も常にギュウギュウであった。

だがソファーの座りやすさと、適温に調整された暖房の効果で

緊張していたはずの私さえ眠くなってしまう。

パステル調のお花の絵も飾ってあるし。

この待合室、リラックス効果ありすぎ


どうしようもなく眠たくなって、意識をたもてなくなりそうなころ、

彼の名が呼ばれた。

私はつきそいとして、診察室前まで移動した。


「どうぞよろしくお願いします。

妻ですが、同席した方がよろしいですか?」


まずは彼ひとりで、というお話だったので私はそのまま

待合で待つことにした。


そして数十分も過ぎただろうか、彼が診察室から出てきた。(つづく)


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