ランドスケープ-武満徹/西村朗/細川俊夫/三善晃/矢代秋雄/ロータス・カルテット
(TELDEC CLASSICS INTERNATIONAL 3984-25015-2/ワーナー・ミュージック・ジャパン WPCS-10426)

少し前までは「今年は雪が少ないですねえ」なんて職場の人と話していたのが一転、大雪に埋もれ毎日猛吹雪にさらされている雪国A市。

こういう時にこそつめた~いアイスを食べたりするのがまた一興って感じなんですが、それと同じような感じで「雪ジャケ」アルバムを鑑賞するっているのもまた乙なものじゃないかと思っているんです。

というわけでたまたま目について聴いてみた作品がこれ。

女性だけで編成された(と言うかたまたまそうなっただけなんでしょうが)日本の弦楽四重奏団、ロータス・カルテットによる、日本の現代音楽作曲家の弦楽四重奏曲の傑作集(98年ベルリン録音)からオープニングナンバー。

ドビュッシーやバルトーク、シェーンベルク、ストラヴィンスキーらトンガリ系大作曲家の影響を感じさせはするものの、日本人ならではの淡い彩りに包まれたメロディセンスが素晴らしい逸品です。

スロウテンポの楽章ではどこまでも続く雪に覆われたたおやかな大地を眺め、自らの体に宿る温もりを感じるさま、急速調の楽章ではジャケット通りの、吹きすさぶ雪嵐に傘を向け懸命に抗うさまが頭に浮かびます。

実際、北東北の厳しい冬を過ごしていると体の中を音楽が吹き抜けるような気持ちになることが多いです。

まあそんなのは音楽に関わっている人間だけかも知れないのですが、とにかく冬はよく頭の中で音が鳴ります。

完全にこのジャケットに惑わされちゃってますが、その時の気分にとても合うような曲なんですよね、この矢代作品は。

別に冬をテーマにした作品ではないようですが(笑)。

まあ無理矢理記事アップということで。

何にしてもこの「雪ジャケ」は素晴らしいですし、収録作品もこの矢代曲だけでなく、西村朗、細川俊夫、武満徹、三好晃と日本を代表する大作曲家揃いで、演奏もなかなか切れ味良く楽しませてくれます。

景気も天候もお寒い今年の日本の冬ですが、みなさん各自のお気に入り「雪ジャケ」「冬ジャケ」作品でも眺めつつ音を味わい、寒がるだけでなく冬を丸ごと満喫し豊かに過ごしませんか。


Personnel:小林幸子(VLN),茂木立真紀(VLN),山碕智子(VLA),斎藤千尋(CEL)

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Glass / Rorem / Bernstein: Violin Concertos / Serenade
(DEUTSCHE GRAMMOPHON 445 185-2)

先日、話題の映画『幻影師アイゼンハイム THE ILLUSIONIST』を観に行きました。

映画自体は、19世紀のウィーンの街並み(チェコで撮影したもの)とか主人公のアイゼンハイム(エドワード・ノートン EDWARD NORTON)が魅せるイリュージョンショウの数々など、映像美の点では結構良かったんですが、ミステリファンとしては「そんなの最初から見え見えじゃん!」という感じで、オチにはあまり驚けませんでした。

まあ最後のショウでアイゼンハイムが×××に・・・・というのはちょっと面白かったんですが。

ラストで一気にフラッシュバックを畳み掛け、真相を暗示するという手法も『ユージュアル・サスペクツ USUAL SUSPECTS』そっくりですしね~。

まあしかしウール警部役のポール・ジアマッティ PAUL GIAMATTIは犬っぽくてかわいくて良かった。

で、一緒に観に行った相方が「音楽良かったね」と言うので「あれは現代音楽家のフィリップ・グラス PHILIP GLASSだよ」と答えたら、「だから君が一人でうんうんうなずいてたのか」と言われました。

で、「グラス気に入ったなら、いい演奏一つ持ってるよ」ってことでお薦めしたのがこのヴァイオリン協奏曲。

グラスの音楽と言うとやっぱりあのいつまでも同じ、という究極のミニマリズムですよね。

件の『幻影師~』の音楽もそんな感じで、それに偶然と言うべきかどうなのか、この曲の第1楽章にそっくりです(笑)。

他の演奏者のものがあるのかどうか調べていませんが、私が持っていて断然お気に入りなのがこのギドン・クレーメル GIDON KREMERがソリストを務めたヴァージョン。

クリストフ・フォン・ドホナーニ CHRISTOPH VON DOHONANYI指揮ウィーン・フィル WIENER PHILHARMONIKERとの93年録音。

クレーメルはやっぱりこういうけれんのある、一風変わったコンセプトに貫かれた曲をやると抜群に巧いですよね。

オーケストラのメリハリっていうのも効果大なわけですが、クレーメルの妖しい切れ味のヴァイオリンがこの螺旋のようなメロディを奏でることによってこそ、一陣の旋風のような音像が立ち上がるのですよ。

それにミニマリズムって言っても全然単純じゃなくて、第1楽章からシンプルに聴こえても6拍子や5拍子が交錯する変拍子の嵐。

ミニマルの陶酔とはまた違った意味での、じわじわと体を疼かせる官能美のようなものを感じさせるのもまたクレーメルのなせる業か。

そういうエロティックなムードが満点なのは第2楽章かな。

炸裂する打楽器陣と高速のユニゾンを奏で突っ走る第3楽章も快演。

普通協奏曲ってソロ楽器のヴァーチュオージティ全開のバカテクフレイジングとダイナミックなオケとの協奏ならぬ競争って感じのものが多いのですが(それはそれで最高なんですけれど)、このグラス曲は全然違う発想で、それこそ「協奏曲」の名にふさわしい気がします。

グラスも色々イメージが先行してどうも手が出なくって、という作曲家の典型だと思うんですが、彼の魅力が解り易く味わえるのでまずはこの曲なんかどうでしょう。

あるいは、『幻影師アイゼンハイム』を観るか(笑)。

とりあえずこの画像掲載盤は神の子レナード・バーンスタイン LEONARD BERNSTEIN作曲の、プログレテイスト満載の傑作「セレナード SERENADE」も併録していて超お薦めです!

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ミッシャ・マイスキー
バッハ:無伴奏チェロ組曲 全曲

初めて聴く曲がどんなヴァージョンか、というのはとても大事なことで、それによってその曲のその人の人生における立ち位置はほぼ決まってしまうからです。
最初のヴァージョンが凄く良いものだと後のものがつまらなく聞こえてしまいますし、ひどいヴァージョンだった場合、なかなかその曲を聴く気にならないでしょうし悪いイメージが付きまとってフィルターがかかってしまうのじゃないでしょうか。
ジャズの場合でもそういうことがほとんどなのに、ましてや音符が固定化されたクラシックという音楽の場合なおさらだと思います。
大風呂敷を広げてみましたが何が言いたかったわけでもなく(笑)、単にこの大バッハの「無伴奏チェロ組曲全曲」を初めて聴いたのがこのミーシャ・マイスキーの演奏だった、というところにつなげたかっただけでした。
正確にはこの盤というわけではなく、高校の時に放送されたNHK教育か何かのライヴ映像で初めて聴いたんです。
高校の時には私はもうベーシストでしたから、同じ4弦の低音楽器であるチェロから紡ぎだされる小宇宙のようなサウンドは正直衝撃でした。
今考えると、このマイスキーの演奏だったから良かったのだと思います。
彼の解釈は非常にメロディアスでよく歌い、その上シャープで輪郭がはっきりした発音を基調としているためこの楽曲群の構築美がうまく耳に入って来るんですよね。
古楽器ではないものの、バロック特有のスウィング感も彼なりに表現しているのだと思います。
最近久しぶりに聴いてみたのですが、この曲はやっぱりこの盤のものが私にとっては一番良くて、ずーっと聴いてしまいます。
ちなみにこれは彼の一回目の録音で85年盤。
確か彼のデビューから2枚目のアルバムだったような。
彼はしばらく強制収容所に入れられて労働をさせられていたので、同郷の異才ヴァイオリニスト、ギドン・クレーメル GIDON KREMERのように早くからの録音がないのです。
99年の再録音とは違いますのでご注意を。
超名盤と言われるカザルスやロストロポーヴィチは重すぎて全然気持ち良くありませんでした。
ちなみにマイスキーの演奏は87年の映像もあるみたいです(↓下掲)。
初めて見た楽器の「独奏もの」の映像が至高の演奏だったために私自身の「独奏欲」が生まれ、長い年月を経て結局今はバンドよりも一人でやった方がいいんじゃないかと言われるプレイヤーになってしまいました(笑)。
エレベ独奏用のピースも時々作りますしね。
何にしてもマイスキーの演奏は素晴らしいです。
彼のアプローチに対して批判も多いであろうことは予想出来ますが。
こういうのを聴くと、つくづくクラシックという音楽はジャズのように「どんな音を選択したか」ではなくて「どんな音の出し方を選択したか」なのだなあと思います。
無伴奏チェロ組曲(全曲)
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BBC交響楽団, ディーリアス, デイビス(アンドリュー), エルガー
愛の挨拶~イギリスの優しき調べ/デイヴィス

ヴォーン=ウィリアムズ、完全にバカにしていました。

聴いてもいないのに。

名盤選集などで彼の音楽に対する評者の言葉は私がそそられないものばかりで、それはそれで的確に彼の音楽を捉えていたのでしょうが、やはり音楽は「百文は一聴にしかず」なのですねえ。

なぜ私がこれを聴くことになったのかと言うと、フィギュアスケートの今年度グランプリファイナルで、女子シングル優勝のキム・ユナがフリーの演技でこれを使っているのを聴き、「いい曲だな~」と思ったからです。

ちなみに、キム選手は昨年の浅田真央選手に続き、ジュニアからシニアに上がっていきなりのグランプリ優勝。

この若い天才2人のバトルはこれからもどんどん熾烈になっていきそうです。

それはさておき、この曲には「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」というサブタイトルがついており、揚げひばりの鳴き声を模したヴァイオリンの独奏がたっぷりと楽しめる作品となっています。

しかしこのメロディ、美しいなあ!

ロングトーンでは昇り行く朝日をバックに揚げひばりが空を舞うような高揚感を感じさせ、トリルでは穏やかなさえずりを思わせ。

どこか日本的とも言えるシンプルでつい頭の中で鳴らしたり歌ったりしてみたくなるような旋律には、普遍的な魅力が湛えられています。

ゆるやかに、ドラマティックに盛り上げる管弦セクションも素晴らしく、胸の奥でキューンとなってしまうようなノスタルジィが喚起されます。

計14分ほどの曲ですが、あっと言う間にドラマは終わってしまいます。

こんないい曲を今まで知らなかったなんて!

他にもこのような魅力を持った曲を多く書いている作曲家なのでしょうか、ヴォーン=ウィリアムズは?

ちょっと色々聴いてみなければいけませんね。

私が聴いたのは上記画像リンクのアンドリュー・デイヴィス指揮BBC交響楽団による90年代前半の演奏です。

ところで、ヴァイオリンによる胸キュンメロディとドラマティックな波のようなオケ、ということで本作を聴きながら連想した曲があります。

坂本龍一の『ラスト・エンペラー』サントラの「メイン・テーマ」です。

これも大好きな曲です。

坂本の天才が爆発していると思います。

この2曲、同じような感動が味わえ、同じような構造を持っている気がするのですが・・・・。

というわけでこの2曲は最強メドレー決定!

サントラ, 坂本龍一
ラスト・エンペラー
クレーメル(ギドン), ベルリン・ドイツ交響楽団, マイセンベルク(オレグ), チャップリン, オガーマン(クラース), ボレイコ(アンドレ), ロータ, ドゥナエフスキー, ドレズニン, ピアソラ
ル・シネマ ~フィルム・ミュージック

私にとって、「よく解らない」「大作曲家」の筆頭が武満です。

とにかく内外の評判が高く、世界的に最も作曲家としての成功を収めた人であると言っても過言ではないと思うのですが、しかしメロディが「解らない」、何がしたいのか「解らない」、そしてそれぞれの曲の違いが「解らない」。

誤解しないでいただきたいのですが、私は武満をダメだと言っているわけではありません。

ただ、本当に解らないんですね。

私は美しい曲名が好きで、初めて武満の「鳥は星型の庭に降りる」や「地平線のドーリア」「雨の樹」「カトレーン」などのタイトルを見た時、どんな美しいメロディが聴けるんだろう、と妄想で身震いしたものです。

しかし・・・・。

日本の現代作曲家で、吉松隆という人が結構好きなのですが、それは彼の音楽には剥き出しとも言っていいぐらいのメロディへの希求心があるからなんです。

その吉松は「メロディのない音楽の撲滅」を謳っているんですよ。

でも、彼は武満を心の底から愛しているようなんですね。

???

私には武満と吉松の音楽の共通点が全然見えなくて、ひょっとして自分は何も解っていないんじゃないだろうかと真剣に悩んだものです(笑)。

ここでちょっと話を文学に振ります。

ちょっと前から奥泉光という人にはまってよく読んでいます。

ごく最近、メタミステリの傑作と名高い『ノヴァーリスの引用』という作品を読みました。

読んでいて気付いたのが、彼は安易なオノマトペをほぼ完全に使わず必ず言葉で説明することと、非常に熟語などの言葉の密度が高いということです。

こんな文章、普通生真面目で読んでいられないと思うのですが、彼の文章は何故か読ませるのです。

はっきり言って、語彙のない人間には理解不能なぐらい非常な濃度を持って言葉が並んでいるのですが、読みやすい読みにくいを超えた、その文字を読んでいくことに読者を対峙させる否応ない力を持ってもいます。

もちろん、どことなく漂うユーモアのせいもあるとは思いますが。

最初は一瞬難解です。

うわっ、疲れそうだな、と思います。

しかし、文字を読むということの根源的な楽しみ、しっかりと向き合って牛歩の遅さなれども、しっかりと咀嚼しながら一言一言噛み締め飲み込んで行くことの快楽、それを味あわせてくれるんですね。

で、武満の音楽もそうなんじゃないかと。

解りにくさゆえの、耽溺。

それを呼び込むあいまいな音塊。

まさにスタニスワフ・レムの名作『ソラリス』と彷彿とさせる、有機生命体としての海のような、ゆるやかにさざめく音の群れ。

最近それに気付いてきました。

クレーメルの上掲画像のアルバムを聴いたら入っていた、旧ソの映画監督アンドレイ・タルコフスキーの『ノスタルジア』にインスパイアされて作られたこの曲との出会いが、たまたま文学についての考えが変わって来た時期に重なったんですよ。

例のごとく最初は解らなかったんですが(笑)、じっくり聴いて行くと、じわーっと独特のメロウな旋律が浮かび上がってくるではありませんか。

この感じ、この快感、最近感じたことがあるな~と考えていたら、奥泉作品を読む時の感じに思い至ったのです。

また、曲の違いが解らないと言いましたが、逆に言うとそれはどの曲を聴いても武満カラー全開、1曲聴いただけで彼の全てが解るという、まあある意味奇跡のような状態なのですね。

とても好きな、とはまだ言えませんが、何かもっと聴いてみようかな、と思っています。

この曲がどうこう、という記事ではありませんでしたが、上でも申し上げましたように、この曲を聴くだけで武満の全てが解るとも言えます。

色々演奏があるようですが、やっぱりここはギドン・クレーメル様のヴァージョンを。

他にもチャップリンの「スマイル」のクラウス・オガーマン編曲の素晴らしいヴァージョンや、プロフィギュアスケイターのカート・ブラウニングがピエロのプログラムで使っていたギヤ・カンチェリの「ラグ・ギドン・タイム」、15分にも及ぶ超絶技巧と南米風味の嵐、ミヨーの「屋根の上の牡牛」などなど名演数多しのアルバムですのでお薦めです。


↓これは文中で触れた奥泉光の『ノヴァーリスの引用』

奥泉 光
ノヴァーリスの引用
ゴールウェイ(ジェームズ), ハチャトゥリャン, チョン(ミュンフン), ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団, ゴールウェイ, マゼール, マゼール(ロリン), バイエルン放送交響楽団, プロファンター(ハンスイェルク), ロドリーゴ
ジェームズ・ゴールウェイの芸術 VOL.7 20世紀I

あの「アランフェス協奏曲」で有名なスペインの作曲家、ホアキン・ロドリーゴによるフルートのための協奏曲が、この「パストラル協奏曲」です。

またの名を「田園協奏曲」。

個人的に「アランフェス」に全く良さを感じないので、初めて聴いた時は全く期待していなかったのですが、これは良い曲でした。

この曲は一言で言えば「明るいプログレ」(笑)。

独奏フルートは物凄い超絶技巧を要するらしいですが、こちらは長寿&人気番組『世界の車窓から』でも見ているような気分で、田園風景の中をゴトゴトと突っ走る列車を頭の中に思い描き心地良い伸びやかさにひたれる良か曲です。

弦のピチカートをバックにしてひたすら16分音符でフルートがさえずるオープニングが4+3拍子の実に判り易い変拍子でプログレファンは随喜の涙。

途中でいつの間にか4拍子に変わっていますが、それぐらいスムースでシンプル、快適なメロディ展開で非常にポップなんです。

パオーンと響き渡る金管陣もシンフォニックと言うよりはむしろコミカルでカラフル。

快速で駆け抜けるこの第1楽章だけでもう聴き手の心をわしづかみ。

露と靄に包まれた明け方を思わせるリリカルでゆったりとした静けさに満ちた第2楽章の息の長いメロディも大変に美しいです。

前半部はフルートとストリングスのゆるやかな掛け合いで戯れ、後半はおもむろにスピードアップ&金管がシンフォニックに盛り上がるパートを挟みミドルテンポのワルツに乗って、牧歌的なメロディが綴られます。

また徐々にテンポを落として行って冒頭のメロディで閉じる展開も非常にドラマティックで良いです。

第3楽章ではもちろんアレグロにテンポアップ。

朝から昼にかけてだんだんと陽が昇って行くような明るいハーモニーの中、フルートが快速の旋律をどこまでも輝きを失わず吹き切ります。

フルートのその陽気なスピード感に負けぬように、オケパートも切れが良くカラッと乾いたポップなカウンターリフで応酬、曲の明るさ、気持ち良さをどこまでも高めて行きます。

テクニカルな曲なのに非常に後味がさっぱりしていて、何度聴いてもすかっとする佳曲だと思います。

大仰な「アランフェス」よりこっちの方が名曲と思うのですがね~。

この曲はフルート界のカリスマの一人、ジェイムズ・ゴウルウェイに献呈されています。

もちろん初演もゴウルウェイ。

私が持っているのはパトリック・ガロワ&イオン・マリン指揮フィルハーモニア管弦楽団のヴァージョンです。

ニホンモニター株式会社ドリームライフ事業部
リヒャルト・シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」全3幕

オペラ史上に残る名演と名高い、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルによるザルツブルク音楽祭の初年である1960年のリヒャルト・シュトラウス『ばらの騎士』の演奏がとうとうDVD化されます!

昔ヴィデオとLDで出ていたそうなのですがとうに廃盤入手困難になっていました。

主人公の元帥婦人を演ずるのは今年の8月に亡くなったソプラノ界のクィーン・オブ・クィーン、エリーザベト・シュヴァルツコプ。

この映像は、スーパー名演だったそのザルツブルクでのライヴ録音に合わせる形で後から全員全編の舞台演技を収録しています。

アフレコの演技版ですね。

これはこの作品を映画として公開することを前提にした収録方法で、ライヴそのままは楽しめないものの、クォリティが格段に上がるというわけです。

以前これと同じ方法で撮ったというフルトヴェングラー指揮のモーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』を観たことがあるのですが、「これ、本当にライヴなのかな?」と思うぐらいで全く違和感なくライヴ演奏を疑似体験できると思いますよ。

前から観たい観たいと思い続けていた演奏だけに、ようやく願いが叶いそうで嬉しいですね。

12/20に発売ということで、もちろん国内盤日本語字幕付き!

オペラってどういうものなんだろう?と思っていらっしゃる方は、この至高の名演から手始めに・・・・・という贅沢極まりないスタートを切る、というのもどうでしょう。

そして、オペラファンの方にはもう説明は不要の作品ですよね。

私に限らず(私は別にオペラファンではないのですが)、このDVD化を待ち望んでいらっしゃった方は多いと思います。



ついでにいくつかクラシック作品の中から面白そうな情報を・・・・


イッツ・オール・アバウト・ザ・ミュージック/マルク=アンドレ・アムラン(DVD)

稀代の超絶技巧ピアニスト、アムランのインタヴュー&ライヴ映像。嬉しいことにポーランドのゴドフスキによる変態アレンジショパン練習曲やガムランの要素を取り入れた早過ぎた傑作「ジャワ組曲」をやってくれています。また、第3部では生演奏を鑑賞されたゆうけいさんに衝撃を与えたというヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団とのブゾーニ「ピアノ協奏曲」第4楽章のライヴも収録されているようです。これは素晴らしい内容ですねえ。早く観たい!


↓参考アルバム

Leopold Godowsky, Marc-André Hamelin
Godowsky: The Complete Studies on Chopin's Etudes

Kaikhosru Sorabji, Fredrik Ullen
Kaikhosru Sorabji: 100 Transcendental Studies, Nos. 1-25
超難解バカテクピアノ曲ばかり作る奇人作曲家ソラブジの『100の超絶技巧練習曲集』の25番までを収録したディスク。なぜ25番までかと言うと、全曲演奏すると何時間もかかってしまうからだそうで・・・。この曲集はどんなものなんでしょう?ソラブジの音楽を聴いたことがないのでちょっと楽しみです。

Friedrich Gulda, Friedrich Gulda, Josef Zawinul
Friedrich Gulda: Music for Two Pianos
クラシック界の飄々才人フリードリッヒ・グルダとジャズ界の天才ジョー・ザヴィヌルが共演した作品集。「2台のピアノとバンドのための変奏曲」というグルダのオリジナルではWDRビッグバンドがバックについているようです。

アップショウ(ドーン), ドッグズ(アンダルシア), ゴリジョフ
ゴリジョフ:Ayre(声と室内アンサンブルのための)
幅広いレパートリーを誇る、現代音楽シーンになくてはならないソプラノ歌手、ドウン・アップショウによる現代音楽家ゴリジョフの声楽作品と、ルチアーノ・ベリオの超名作「フォーク・ソングズ」のカップリング。驚異的な技巧を要する作品でも非常に柔らかく温かいイメージを出せる彼女の活動には結構注目しているので、これも楽しみです。彼女に関しては、ぜひケント・ナガノ指揮のメシアン『アッシジの聖フランチェスコ』のライヴ映像を発掘して欲しいところ。

Raaf Hekkema, Niccolo Paganini
Paganini: Caprices
パガニーニの「24のカプリース」のサックス版!だそうです。当然重音奏法あり。この曲の他楽器編曲は多分パトリック・ガロワのフルートヴァージョンとかが極北でしょうけれど、変なこと考える人がいるなあ(笑)。う~ん気になる!

旧ソ連のヴァイオリンの至宝、ダヴィド・オイストラフの室内楽の名演10CDボックス

私が敬愛するヴァイオリニスト、オイストラフの10枚組の「室内楽」ヴァージョンが出ます!「協奏曲」ヴァージョンも素晴らしかったですが、これも凄いです。ド廃盤『オイストラフ・イン・プラハ』にしか収録されていなかったブルガリアのヴラディゲロフのテイクなどもしっかりカヴァー。これはぜひ聴きたい、欲しい!



Alexander Borodin, Nikolay Andreyevich Rimsky-Korsakov, Jos van Immerseel, Anima Eterna Orchestra, Midori Seiler
Jos van Immerseel Dirige Rimski-Korsakov & Borodine
オランダのインマゼール率いる古楽器オケ、アニマ・エテルナによるリムスキー・コルサコフの「シェエラザード」!カップリングはボロディンの「中央アジアの草原にて」と「韃靼人の踊り」という最強コンビ。古楽器でやるこれらの名曲、一体どんなもの?

という感じですか・・・・・・・。

持つべきものはお金ですなあ(笑)。

Bo Holten, Michala Petri, Thomas Koppel, Copenhagen Philharmonic Orchestra, KREMERata BALTICA
Los Angeles Street Concerto: Michala Petri plays Thomas Koppel

デンマークの超絶技巧女性リコーダー奏者、ミカラ・ペトリにのめり込むきっかけとなった、彼女の母国の代表的な作曲家トーマス・コッペルのリコーダー協奏曲「ムーンチャイルズ・ドリーム」。

コッペルは先日亡くなったようで、彼に捧げるというコンセプトで「ムーン~」以下リコーダー協奏曲3曲を録音しています。

ドリーミーなメロディと唖然とするほどの超絶技巧が持ち味の同曲、今度はどんな演奏になっているのでしょうか。

そしてどちらもペトリに献呈されたと思しい他2曲も聴いたことないので非常に楽しみです。

クラシックはあんまり・・・・という方にも絶対に聴きやすくてはまってしまう、ポップでプログレライクな曲ですので、入り口としてもお薦めです!

興味のある方は上のリンクから購入出来ます。

(ARCHIV PRODUKTION 419 256-2 A H)


ぐっ、ぐふふふ。

ようやく手に入れましたぜ、狂気の古楽集団ムジカ・アンティクァ・ケルンの最高の名演と名高い、大バッハの息子カール・フィリップ・エマヌエルの「2つのチェンバロのための協奏曲」。

クラシックを聴き始めた数年前からず~っと探していたのです。

これが・・・・・・・なかった、本当に見つからなかった。
やっと某所でお安く購入することが出来ました。

ドッキドキの初聴き・・・・・・。

しかしカール・フィリップって訳解らないですよね。

曲展開が非常に唐突です。

頻繁に微転調(?)を繰り返しますし、思いつきで作曲しているとしか思えないところがある。

なんかそういうの、次世代の天才メロディメイカー、モーツァルトに通じるところがあると思います。

でも、彼は曲調そのものは併録のヴィルヘルム・フリーデマンに影響を受けているんですよね。

実際に尊敬もしていた、と何かの本で読んだおぼえもあります。
ヴィルヘルムも悪くない作曲家ですが、やっぱり生理的快感はカール・フィリップの方が強いですね。

名手アンドレアス・シュタイアーとロバート・ヒルによる協調しているような競争しているようなツインチェンバロ、クイケン3兄弟やアーノンクールらとはまた違うスタンスで「シャープでアブない古楽」を推進して来た鬼才ラインハルト・ゲーベルの統率によりチェンバープログレみたいな切れ味鋭い演奏をする全盛期のMAK、本当に最高です。

チェンバロの持つあのコンピューターミュージックみたいな音色と、複雑にリンクしあったツインスコアが脳内麻薬の分泌を誘発する!

特に、第1楽章のタイミングが全く読めない「ザン!」というキメの連続とか、もうたまりません。

普通キメってある程度の繰り返しがあるものじゃないですか。

しかしこの曲のこのキメはそういうのがなくて本当に思いつきのタイミング。

格ではヨハン・ゼバスティアーンに及ばないものの、この動物的とも言える変態ぶりが彼の魅力なんです。

パオーンというホルンとかもいたるところで変な感じで被さって来ますし。

スピーディで生命力豊かなまさに「アンサンブル」を感じるバンド演奏も冴え渡り、あのテレマンの『ターフェルムジーク』や未CD化の大バッハの『トリオ・ソナタ』、同じく大バッハの『ブランデンブルク協奏曲』、驚天動地のアレグロで突っ走るあのパッヘルベルの『カノンとジーグ』などと並ぶ彼らの代表的な名演と言えるでしょう。

まさに興奮する、「眠たい人のための」クラシック。

一気に目が覚めます。

これほどの演奏が激レア廃盤になっているその現実が信じられません。

以前本盤が見つからないので曲をとりあえず知るために聴いたトン・コープマン指揮のアムステルダム・バロックのヴァージョンとは全く違う曲に聴こえるのも驚きです。

片方のチェンバロを担当したシュタイアーがレコード芸術誌のインタヴューで「あれは名盤だよね」と自画自賛するのもうなずける出来です。

このアルバム、併録でヴィルヘルム・フリーデマンの「2チェンバロ協」と「2チェンバロソナタ」が入っているのですが、後者が大変に素晴らしいのです。

特に第一楽章のメロディ!

大家でも変態でもないけど隠れファンが多い彼の魅力全開の、ふわっとした浮遊感のある素晴らしいメロディなんです。

隠れ名曲ですね。

ぜひぜひ再発をお願いしたいものです。


↓シュタイアーのチェンバロによる名演を載せておきます。

シュタイアー(アンドレアス), バッハ
バッハ:パルティータ(全曲)

↓あと、MAKの代表的名演「パッヘルベルのカノン」も・・・。

Jaap ter Linden, Johann Sebastian Bach, George Frideric Handel, Johann Pachelbel, Antonio Vivaldi, Reinhard Goebel, Wilbert Hazelzet, Andreas Staier, Henk Bouman, Musica Antiqua Köln
Pachelbel, Bach, Bach and others
アース(モニク), ラヴェル
ラヴェル:ピアノ作品全集

フランスの近代印象派音楽は、いわゆる旋法主体のそれまでの音楽体系の転換期でもありましたし、独自の魅力を放つ作曲家を多数輩出した実り多き時代でありました。

フォーレやプーランクなど愛すべきコンポウザーがいっぱいいますけれど、やはり別格なのがクロード・ドビュッシーとこのモーリス・ラヴェルでしょう。

前者の茫洋とした管弦楽の天才、『前奏曲集』に代表される朝靄のような美しくも妖しいピアノ曲の持つ輪郭のなさにくらべると、ラヴェルの音楽はよりかっちりとした、カラフルな魅力があると思います。

まあラヴェルというと誰しも思い浮かべるのがあの「ボレロ」ですが、最近彼のピアノ曲集を聴いて久しぶりに打たれた曲があります。

この「水の戯れ」です。

もちろんドビュッシーの影響過多の中作曲した作品ですが、ピアノ曲としてはいわゆる「印象派」的サウンドを最初に聞かせた作品なんです。

当然ドビュドビュの「版画」「映像」や「前奏曲集」よりも早いです。

しかし!

この冒頭のメロディのきらめくような美しさ、透明なロマンティシズムはどうですか!

澄み切っていながらも多層的な輝きを見せる水のたゆたう様を見事に描写した素晴らしいピアニズム。

ミドルテンポの4拍子で16分主体の音作りながら時折入る流れるようにスムースな複雑な変拍子、鍵盤をグリッサンドしながらポンポンポンと他の音を爪弾くまさに絵画的な手法。

私のように作曲なんかしていると、どうしても一つ一つの音を分解して考えがちなんですが、このラヴェルの発想はむしろ、鍵盤という一つの水の流れに指を触れさせその流れが変わり、様々なハーモニーになって行くという感じなんじゃないでしょうか。

その滔々とした美の世界にただただ目を閉じて聴くのみです。

推薦盤は、フランス出身で今はもう故人の女性ピアニスト、モニク・アースのものを。
サンソン・フランソワやアルヘリッチなどの超名手の名演を押しのけ、着実にセールスを伸ばしている、それでいて実に素晴らしい演奏となっているヴァージョンです。

クリアなタッチと端正にまとめた小粋なセンスが魅力だと思います。

他にも「夜のガスパール」「亡き王女のためのパヴァーヌ」などの名曲も収録されています。


↓夜のガスパールと言えばこんな超絶演奏もあります。

Maurice Ravel, Robert Schumann, Martha Argerich
Martha Argerich: Live from the Concertgebouw 1978 & 1979 - Schumann, Ravel / Argerich

オランダはアムステルダムのコンセルトヘボウにおける、絶頂期のアルヘリッチのライヴ録音。
躍動感に満ちた「スカルボ」での32分音符連打、濃密なロマンティシズム、もうたまりません!
嫌いだったクラシックに一気にのめり込むきっかけとなった思い出深い盤の一つです。