12月4日は青森市まで新幹線開通ということで前日までは一部で盛り上がっていた我が市ですが、その肝腎の日は天気が大荒れで東北新幹線はダイヤが乱れ、JR東北線から所属が変わった私の利用する路線「青い森鉄道」もその記念すべき全線開通の初日から1時間近くの遅れというトホホぶり。

青森ってやっぱり面白い(笑)。

さて、そんな巷のてんやわんやには目もくれず、相も変わらずポーランドジャズを初めとしたひたすらマニアックな音楽のコレクトにひた走っているオラシオです。

そんな中、最近情報を拾っていて見つけた私が大好きなアーティストの最新情報をいくつかお知らせします。



RETRO/DAVID FRIEDMAN & PETER WENIGER

私のフェイヴァリットミュージシャンの一人、マレット奏者のデイヴィッド・フリードマンが自身のTAMBOUR TRIOのサックス奏者ペーター・ヴェニガーとのデュオスタンダード集を発表!


SENHORAS DO AMAZONAS/JOAO BOSCO

ブラジルの天才SSW、ジョアォン・ボスコが他流試合量産マシーンのNDR BIG BANDと共演です。ドラムがキコ・フレイタス KIKO FREITASのBOSCO TRIOがアンサンブルの芯らしいので、BOSCOやFREITASとしばしば共演していた超絶ベーシスト、故ニコ・アスンサォン NICO ASSUMPCAOの生前にこの企画が実現しなかったのが悔やまれるばかり。

Senhoras Do Amazonas/Joao Bosco

ORQUESTRA A BASE DE SOPRO DE CURITIBA/ARRIGO BARNABE

こちらはブラジルの変態楽師アヒーゴ・バルナベーの最新作にしてライヴDVD!初期の名曲「サボール・ヂ・ヴェネーノ SABOR DE VENENO」の再演が嬉しいですね。

Ao Vivo / Arrigo Barnabe 【DVD】

VEJA O SOM/JOVINO SANTOS NETO

ブラジルの変態と言うとエルメート・パスコアゥ(パスコアル) HERMETO PASCOALも忘れちゃいけませんが、そんな彼のバンドでキーボードを長らく担当したジョヴィーノ・サントス・ネトの2枚組最新作。ブラジルの有名ミュージシャンだけでなく、マイク・マーシャル MIKE MARSHALL、グレッチェン・パーラト GRETCHEN PARLATO、ジョー・ロック JOE LOCKE、ダヴィド・サンチェス DAVID SANCHEZら他ジャンルのゲスト参加が面白そうです。

Veja O Som/Jovino Santos Neto

VAGIF MUSTAFAZADE(DVD)

数年前、アゼルバイジャンのジャズの創始者的存在である天才ピアニスト、ヴァギフ・ムスタファザデの録音のほぼ全てを収録した6枚組CDセットが発表されたのですが、あっと言う間に入手困難になり、どうしても欲しかった私は困惑していました。しかし!!!その6枚分の音源を2枚のDVDに収めたものがアゼルバイジャンのウェブショップで(もちろんオフィシャル。バッタもんではありません♪)発売されているのを発見しました。ご興味のある方はどうぞ。

http://azer.secure-shops9.com/product.asp?itemid=455&catid=43


LIVE IN INDIA/DON ELLIS

死後ますます評価が高まっている変拍子ビッグバンドアーティスト、ドン・エリスですが、そんな彼の死の直前のインド・ツアーの一幕が収録された音源が発掘されたようです。小編成バンドによる演奏ということで、彼独特の暗号のような変則拍子がキレまくっているみたいですよ。聴くのが楽しみです。

Live in India/Don Ellis

もし、あなたの人生に入ることができるなら/行川さをり

この方存じ上げませんでしたが女性ヴォーカリストで、この作品はギターとのデュオのようです。なぜこのアルバムを挙げたかと言いますと、HERMETO PASCOALの超・超名曲&私的フェイヴァリットナンバーのうちの1つ「ピポカ PIPOCA」や、エドゥ・ロボ EDU LOBOの美しいバラッド「ベアトリス BEATRIZ」をカヴァーしているからです。

もし、あなたの人生に入ることができるなら/行川さをり

LES NATIONS-FRANCOIS COUPRIN/MUSICA ANTIQUA KOLN

ラインハルト・ゲーベル REINHARD GOEBEL率いる凶悪古楽集団ムジカ・アンティクワ・ケルンが70年代から80年代にかけてドイツのアルヒーフ ARCHIVレーベルに残した名盤の数々の復刻が止まらねえ~!私が愛してやまないフランソワ・クープランの「諸国の人々」までもとうとう復刻。しかも名演と名高いルベル REBELの「四大元素」もカップリング!凄い!ここまで来たらMAK最高の名演と謳われるカール・フィリップ・エマニュエル・バッハ CARL PHILIP EMANUEL BACHの「2台のチェンバロのための協奏曲」や大バッハの「トリオ・ソナタ集」、さらにはレコードでは3枚組のヴォリュームで出ていた名コンセプトアルバム『バッハ以前のドイツ室内楽』のコンプリートCD化もお願いしたいですね。

クープラン、フランソワ(1668-1733) / F.クープラン:諸国の人々、ルベル:四大元素...

THEMES FROM THE SONGBOOK-GIYA KANCHELI/GIDON KREMER-DINO SALUZZI-ANDREI PUSHKAREV

グルジアの作曲家ギヤ・カンチェリが映画音楽として残した作品集をギドン・クレーメル、ディノ・サルーシ、アンドレイ・プシュカレフという変則ユニジャンルトリオがカヴァーしたアルバム。カンチェリの仕事として大好きな、カルト脱力SF映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』のテーマも入っている!しかもPUSHKAREVはマレット奏者。私にとっては美味しいことずくめの作品です。

Kancheli: Themes from the Song/Kremer

TORTURE NEVER STOPS/FRANK ZAPPA

バンドメンバーだった超テクギタリスト、スティーヴ・ヴァイ STEVE VAIが「世界最高の超絶技巧バンド」と自賛した80年代初頭のフランク・ザッパ・バンドの伝説の超名演、ハロウィンコンサートが国内版正規DVD化。2時間弱、何十曲にも及ぶオールメドレースタイルのハイテクニックアンサンブルに狂喜して下さい。今度は歌詞も楽しめますね♪

イヴニング・ウィズ・フランク・ザッパ デューリング・ウィッチ・ザ・トーチャー・ネヴァ.../フランクザッパ,Frank Zappa

PHILLY'76/FRANK ZAPPA

エディ・ジョブソン EDDIE JOBSON、テリー・ボジオ TERRY BOZZIO、パトリック・オハーン PATRICK O'HEARNといったプログレ系白人の若手に、全身これファンク&ブルーズの塊のような黒人レイ・ホワイト RAY WHITEという小編成布陣に黒人女性ヴォーカリストのビアンカ・オーデン BIANCA ODENが加わった76年フィラデルフィアでのライヴ。ブート業界では長らく名演の地位を欲しいままにして来た音源です。しかしザッパ・レコーズ ZAPPA RECORDSは高いなあ・・・

Frank Zappa - Philly ’76/Frank Zappa
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(SAIDERA RECORDS SD-1022-4H)


この1週間ほど熱に冒され寝込んで・・・・と行きたかったところですが、職場の事情があり休めないのでふらふらになって働いてました(泣)。

そんな中ぐったりしながら休憩中や通勤帰宅時に携帯にダウンロードしたものをず~っと繰り返し聴いていたのがこのフェビアン・レザ・パネの3枚組ピアノソロアルバム。

全29曲3時間弱の大作で、1984年から2001年までの作品をピアノ独奏で演奏しています。

もちろんピアノソロ用の曲が大半なのでしょうが、中にはトリオ作品でもやっていた曲もあったりと、新録再録にかかわらずパネのサウンドヴィジョンがよりストレートに楽しめる、まさに集大成のようなアルバムだと言えるでしょう。

彼はお父さんがインドネシアン、お母さんが日本人という出自を持つピアニストで、たくさんのアルバムに参加しているのでその名をご存知の方も多いでしょうね。

サイドミュージシャンとしての活動は一応ジャズプレイヤーとして、という感じなんだと思うのですが、ソロアーティストとしてはもう少しジャンル分けし難い音楽をやっています。

どちらかと言えばニューエイジミュージックに近く、それをもっとクリエイティヴにしたようなフィーリングでしょうか。

色々なフォーマットで活動している彼ですが、そんな中でもソロピアノは柱とも言えるもので、彼がプロシーンにデビューしたのもその独奏プレイに対する評判がきっかけだったようです。

ピアニズムを活かした日本人アーティストってなるとどうしても坂本龍一のことを思い浮かべてしまうんですが、ここで聴かれるパネの演奏は、坂本に比べるとリリシズムや強度の強いメロディの点で薄味ではあるものの、ナルシシズムも良い意味で薄い(笑)。

あと、ジャズを忌み嫌っている坂本の音楽よりもインプロヴィゼイション度は高いです。

プロデュースとエンジニアリングをセイゲン・オノが担当しており、私にはよく判りませんがオーディオファンの方にもきっと喜んでいただける高音質な作品集なんじゃないでしょうか。

パネのオフィシャルウェブサイトのトピックスコンテンツなんかを昔のから読んでいると、いい意味で試行錯誤しつつキャリアを重ねて来た彼の、プロフェッショナルも必ず持っていなければならないアマチュアイズムがよく出ていて微笑ましい感じです。

そして、それは音にもしっかりと刻印されています。

自分の作品を、そして音自体を演奏出来るという喜びに満ち溢れているような、そんな印象を強く残します。

時にブラジルのミゥトン・ナシメント MILTON NASCIMENTOめいた素朴なヴォイス(あそこまでヘタウマ/マジカルじゃないですが)も交え、本当に色~んなタイプの曲をずらりと並べています。

中には乳製品のCM音楽(何じゃそりゃ)っぽいのとか、問答無用にプログレテイスト濃厚な曲とか、ひたすら同じアプローチをとりながら微妙にコードが変わって行くタイプのものとか、最初はインパクトがなくてもじわじわと効いて来るので何度も何度も聴いてしまうのです。

高熱の中働き続けて本当に苦しかったので、雑音をシャットアウトするために没入出来る音楽が欲しかった。

このアルバムはぴったりでしたね。

じわじわ効いて来る、と書きましたが、表面的な聴き易さの奥に隠されたパネの音楽の高いクリエイティヴィティがまさに薬のように両耳から体全体に浸透して行き、仕事を続ける力を注入してくれました。

パネ自身もこの時の録音には没入したみたいで、たった2日間で録り終えたのだそう。

何はともあれ、一家に一枚、日常の友としてあってもいいかなという素晴らしい音楽です。

ガラス張りで息も吹きかけられない崇高な大家の芸術ではなく、自由に触って楽しめる親しみ易い彫刻のような、そんな演奏だと思います。

そしてつまりそれは、我々が触る=聴くことによって形を変えて行く、印象が変わって行く、そういう芸術だということなんですよね。

下手に恐れ多い作品などより、もっと味わいに満ちた深淵が開いているとも言えそうです。

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ぶっ生き返す/マキシマム ザ ホルモン

マキホルっていうのは勝手に私がつけた略称で、ファンがどう呼んでいるのかは知りません。

相方がアニメ版『Death Note』の主題歌が結構いいんだ、と言うので聴いてみたら、このマキシマム・ザ・ホルモンの「What's Up,People ?」という曲で、はまってしまいました(笑)。

コア/デスメタルやレッチリ、オアシスなどのミクスチュア系サウンドも視野に入れた結構幅広い音楽性を誇るバンドで、何より巧いのがいい!

曲構成も巧みですね。

メロディもキャッチーでいいです。

私と相方はリズムセクションがいいセンスしていないバンドには目も向けないことで共通しているのですが、このバンドは本当に演奏力が卓越しています。

ルックスはいつも便所スリッパ(便所なる言葉は嫌いなのですがあえてこの言葉を使います笑)を履いている、ギター&ヴォーカルのマキシマム・ザ・亮君(でも声はカッコいい系)始め、言うなれば「バッチィ系」ですが、この手のバンドのドラマーが女性というのも面白いですね。

しかもバンドサウンドの核を担っているっぽい存在ですし、歌も歌うわ、ヘッドバンギングしまくりでパワフルなオカズを叩きまくるわでカッコいい!

ちなみにそのドラマー、ナヲは普通のお姉ちゃんという感じです。

さらにちなみに、亮君と彼女は姉弟です。

もろレッチリのフリー好きだろうというのが丸判りのベースの上ちゃん、デス声担当のダイスケはんのルックスも勘弁してよ、ですし歌詞も拒否反応すれすれの世界と言えばそうなのですが、不思議と嫌悪感が湧かないのは彼らのサウンドが素晴らしいからでしょう。

肝腎の音楽がビシッと一本通っていることで初めて、彼らの半分わざとやっているルックスやポーズが楽しめるのです。

ここ最近、私の頭の中には上掲『Death Note』のエンディングテーマ「絶望ビリー」という曲が流れまくって止まりません(笑)。

相方はもはまっているようです。

彼らの詳細についてはオフィシャルウェブをご参照いただくとして、その「絶望ビリー」をYou Tubeでご覧いただきましょうか。

後半に出て来るのが本物のマキホルです。

月刊GIGSのインタヴューで亮君が答えているように、このバンドとにかくヘッドバンギングが凄いです(笑)。

まさに一丸となって振ってますね。


http://www.youtube.com/watch?v=im6sr1kQb90

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今回のアンケートと連動して、個人的に嬉しい嬉しい初CD化&再発の情報をお知らせしたいと思います。



AUTUMN/DON ELLIS(WOUNDED BIRD)


鬼才変拍子オタクビッグバンドリーダー、ドン・エリス最後の砦、アル・クーパー AL KOOPERプロデュースの名盤『オータム』がようやくの再CD化!10ウン年前に大阪の某ジャズ専門ショップで一度見かけたきり絶望的レア盤になってました。本当に素晴らしいアルバムですので皆様ぜひ!

Don Ellis
Autumn

PEPPER'S POW WOW/JIM PEPPER(WOUNDED BIRD)


そしてこれはサックス奏者ジム・ペッパーの、ウルトラネタ曲「ウィッチ・タイ・ト」収録アルバム。私はビリー・コブハム BILLY COBHAMが参加しているのでアナログを購入したのですが、とうとうこれもCDになったのかと感慨深いです。スピリチュアルなジャズロックが展開されている、言い難い味を持つ一枚。

Jim Pepper
Pepper's Pow (Jim Pepper/Wounded Bird)

HERE AND NOW/DON CHERRY(WOUNDED BIRD)


そしてどうしたんだワウンディッド・バード!このレーベルは凄いっっ。ドン・チェリーのマイケル・ブレッカー MICHAEL BRECKER、トニー・ウィリアムズ TONY WILLIAMS、レニー・ホワイト LENNY WHITE等参加のぶっ飛びジャズロック作をリイシュー。これ昔日本盤CD出てましたが廃盤でした。


CHANSONS POUR LES PETITES OREILLES/ELISE CARON


ONJなどで気を吐いた超絶女性スキャッターのネジクレシャンソン風ジャズアルバム。03年作の嬉しいリイシュー。

Elise Caron
Chansons Pour Les Petites Orei

NOTE'N' NOTES/

COLD BLUES/MICHEL PETRUCCIANI(OWL RECORDS)


ペトちゃんの名盤。アウルよりリイシュー。


RIO RIA/JEAN PIERRE MAS(OWL RECORDS)


これは初CD化のはず。ピアニスト、ジャン・ピエール・マとベーシストCESARIUS ALVIMとのデュオ。


BORN AT THE SAME TIME/STEVE GROSSMAN(OWL RECORDS)


ダニエル・ユメール DANIEL HUMAIR、故ミシェル・グレイェ MICHEL GRAILLIER参加の言わずと知れた名盤。確かボーナストラックも入っているはず。一度CDになってましたがめでたく復刻。


FEEL/

AURA WILL PREVAIL/

LIBARATED FANTASIES/

I LOVE THE BLUES,SHE HEARD MY CRY/GEORGE DUKE


ザッパバンド脱退後のジョージの、プログレフュージョン&ブラコン路線の大傑作群がどどっと再&初CD化。


TRIO OF DOOM


ジョン・マクラフリン JOHN McLAUGHLIN、ジャコ・パストリアス JACO PASTORIOUS、トニー・ウィリアムズの幻のトリオの全音源が発掘。凄い時代になりました。

Trio of Doom
The Trio of Doom Live
Clammbon
LOVER ALBUM

クラムボンは、東京にいた頃偶然夜中にやってた何かの音楽番組で「シカゴ」という曲のライヴ映像を観てから結構注目しているバンドなんです。

でも個人的に、何枚目かからまではちょっとはっきりしないんですが、一時期試行錯誤と言うかストレートさを失っているように感じて最近は全然聴いてなかったんですよ。

ところで話がいきなり変わるんですが、日本のポップソングのマイベストの一つが真心ブラザーズの「(エンドレス・)サマーヌード」という曲なんです。

で、妙に聴きたくなって先日図書館で検索したら、何とクラムボンがやっているじゃありませんか!

どんな演奏になっているか聴きたくなって、早速借りて来たというわけです。

このアルバムはオリジナルは一曲もなく、完全にカヴァー集なんですが、「カヴァー」と「ラヴァー」をかけているようですね。

しかし採り上げている曲が面白いんですよ~。

矢野顕子の「プレイヤー」とかジュディー・シルの「ザッツ・ザ・スピリット」、ビートルズの「アクロス・ザ・ユニヴァース」などの有名曲はまあ解るんですが、イギリスのプログレジャズロックバンド、ソフト・マシーンの「アズ・ロング・アズ・ヒー・ライズ・パーフェクトリー・スティル」とかYMOの「以心電信」、バウ・ワウ・ワウの「アイ・アム・ノット・ア・ノウ・イット・オール」などの何ともマニアックなセレクションも!

彼らは非常にバランス良くポップス以外の音楽の要素、ジャズとかテクノとかクラシックとかを取り入れているバンドだと思うのですが、そういうスタンスがとてもよく表れた選曲になっています。

で、肝腎の「サマーヌード」はどうかと言うと・・・・・。

オリジナルよりもずっとテンポとテンションを落としたダルなヴァージョンになっていて、原田郁子の気だるいヴォーカルがその雰囲気によくマッチしています。

歌詞の内容は基本的にパートナーの過去への嫉妬の歌だと思うのですが、こういうゆるさでやられるとまた違ったニュアンスが出て来るように感じるのも面白いですね。

ただ、このスタジオの練習風景をそのまま録音しました、というようなルーズな作りは賛否両論でしょうね。

あと、久しぶりに聴いて思い出したのですが、この曲に限らず本作収録のゆったりとしたナンバーで強く感じるのは、ノリの良いしゃきっとした曲とは違って、原田の特徴的なヴォイスの魅力に頼っているような一本調子なニュアンスなんです。

そういうのを感じたので聴くのを止めちゃったのです。

まあ良くも悪くもそれはそれで個性なので、それにどっぷりはまる人もいればそうでない人もいる、趣味の問題でしょうが。

私としては、生ピ系サウンドを主軸にしてミトのグルーヴィなベースが突っ走りひねったアレンジで唸らせる、そういう彼らの演奏が好きなので、「サマーヌード」もガンガンにやって欲しかったかなあ。

でも、この曲のメロディの素晴らしさがよく表現出来ていると思います。

ソフト・マシーン曲のカヴァーぶりも大変に素晴らしく、曲の良さを伝えつつも自分たちのものにしている、カヴァーのお手本。

自分の好きな曲をこのレヴェルでやって欲しかったなどとないものねだりの欲望が鎌首をもたげてくること必至(笑)。

好き嫌いはあるにしても非常に完成度・充実度の高いカヴァーアルバムだと思うので、巷で流れているバカ売れ曲みたいなのだけが日本のポップだと思い込んで絶望している方にはぜひお薦めします。

昨日、ちょっと海を渡って某都市(国内)に遊びに行って参りました。

で、ひさしぶりにまともなCDショップを覗いてみたら、いやいや、色々嬉しい作品が再発されているようじゃないですか。

やはりネットでチョコチョコ見ているだけでは限界がありますね。

ネットショップも素晴らしいけれど、こうやってパッと出会えるのが実店舗の良いところですよね。

我がA市にはそういう存在が皆無なのが痛いです。

ではでは個人的に気になった再発情報とは・・・・。


ジョアン・ジルベルト
ライヴ・アット・ザ・19th・モントルー・ジャズ・フェスティバル(紙ジャケット仕様)

とうとう出ちゃった、天才ジョアンの最高傑作の名高いモントルーライヴのオリジナル2枚組仕様CD。以前の1枚ものは、2曲削って1曲足すというわけのわからない編集だったのです。ジョアンファンは両方手元に置きましょう。

チェット・ベイカー, デヴィッド・フリードマン, バスター・ウィリアムス, ジョー・チェンバース
ピース(紙ジャケット仕様)

デイヴィッド・フリードマンが音楽監督として仕切った、チェット・ベイカー後期の大傑作がさらに未発表テイク1曲を追加して再復刻!ジャケも音楽も最高に美しい名盤ですので、これはマスト。

Eduardo Gudin
Eduardo Gudin & Vania Bastos
Eduardo Gudin
Pra Tirar O Chapeu

ブラジルの名曲錬金術師、エドゥアルド・グヂンの2枚が再発!特にヴァニア・バストスとの双頭リーダー作は、以前『サウーヂ!ブラジル』シリーズの一枚として国内盤が発売されたものの激廃盤と化していたので嬉しい限り。皆さん、これを機会にグヂンの音楽の素晴らしさを知って下さい。

マッコイ・タイナー, ヒューバート・ロウズ, ポール・レンツィ, ロン・カーター, ビリー・コブハム, レイモンド・ダステ, リンダ・ウッド
フライ・ウィズ・ザ・ウインド

ビリー・コブハム、木管&ストリングズ参加のマッコイの大傑作がな、な、何と1000円で!!長らく国内盤は廃盤だったので、これは素晴らしい。

ジョアン・ドナート
ア・バッド・ドナート(紙ジャケット仕様)

ジルベルトがライヴなら、ドナートはスタジオ盤の傑作。私昔これ原盤で持ってましたが、売ったらムチャクチャ安く買い叩かれました(笑)。全ての音がグルーヴのためにあるかのような圧倒的にアッパーなサウンド。変態印満開のイケイケビート&チープささえ狂おしくいとおしいメロディの数々。まあとにかくどこにもない音ではあります。

アストル・ピアソラ, オラシオ・マルビチーノ, フェルナンド・スアレス・パス, パブロ・シーグレル, エクトル・コンソーレ
セントラル・パーク・コンサート

何かうちのブログ、最近定番みたいなんばっかりになってテンション落ち気味ですね・・・。

すみません、ちょっと仕事の加減で書く時間があまり取れなくなってしまって。

というわけで本日も定番でGO!

タンゴの鬼才にして、現代音楽シーンの中でも最も重要な作曲家、アストル・ピアソラの第2期黄金五重奏団による、ニューヨークはセントラル・パークにおける87年の超絶ライヴ盤です。

テンションの高さや曲目という面から見て、本人が最も気に入っていると言う『タンゴ・ゼロ・アウア(アワー)』のライヴヴァージョンと言ってもいいと思います。

ピアソラのライヴは、過去の『レジーナ劇場』『ライヴ・イン・ウィーン』『AA印の悲しみ』『ザ・ニュー・タンゴ』といったアルバムでも世界遺産級と評判が高いですが、この録音も負けず劣らず、人によってはこちらを取るほどファンが多いアルバムでもあります。

しっかし、名曲「ムムキ」や「ミケランジェロ(’70)」がライヴで聴けるとは、もう家宝ものですよ、この演奏は!

岡本太郎ではないですが、「タンゴは、爆発だっ!」と見得を切っているかのような根性入りまくりの3-3-2のリズム、そしてピアソラ音楽独特の哀愁と狂気に満ちたメロディ、効果音のような特殊奏法の数々・・・。

はっきり言って、この音楽は奇形です。

ピアソラ本人なら恐らく「ロコ(き○がい)」と表現するでしょう。

しかし、どうしてこんなにいびつで禍々しいまでのムードに包まれた音が、こんなにも激しく心を打ち、美しく響くのでしょうか。

彼の音楽が持ち得た魅力は、解析不可能な音楽史上に残る大きな謎です。

まあ変拍子やポリリズム、ポリトーナル、対位法の導入など、ピアソラミュージックを非常に芸術性の高いものたらしめている理論的な説明は不可能ではないんですが・・・・・。

それをさせるのが「野暮」であるかのように感じさせてしまうむき出しのエネルギー、生命感があるんですよね。

この録音は、彼が89年に最後のグループとしてセクステットを組むたった2年前ですから、もう超晩年も晩年。

それなのにこんな凄まじい演奏をしてのけるのですから恐れ入ります。

パブロ・シーグレル、フェルナンド・スアレス・パス、オラシオ・マルヴィチーノ、エクトール・コンソーレらメンバーたちも全員一丸となって血が迸るような素晴らしいプレイぶり。

大胆な即興、スコアであっても感情をめいっぱい込めた力強く繊細な音色、そして脈打つリズム。

このメンバーでしか出せない音空間です。

曲が終わるごとに起こる大歓声で、観客の熱狂もダイレクトに伝わって来ます。

この日のセントラル・パークには、音楽の神が降り立っていたのでしょう。

楽器演奏者の端くれであるこの私に、大勢の人たちの前でこんな演奏をしてみたいと思わせる数少ないアルバムの一つです。


Personnel:ASTOR PIAZZOLLA(BANDONEON),PABLO ZIEGLER(Pf),FERNANDO SUAREZ PAZ(VLN),HORACIO MALVICINO(EG),HECTOR CONSOLE(WB)

坂本龍一
1996

坂本龍一はやはり天才的なメロディメイカーだと思わずにはいられません。

ロックやプログレから入った人はYMOに、サントラやクラシックから入った人は彼のサントラの名作に、民俗音楽から入った人は最近のジョビンものや、昔のアジアン&沖縄テイストのアルバムに、必ず行き着いてしまいます。

その幅広い坂本の活動の根本には、独特の美意識と醒めたセンスを持ったメロディが息づいていると思います。

野生動物保護や反戦メッセージを音楽に強く込め始めた頃から彼の音楽には興味がなくなってしまったのですが、チェロとヴァイオリン、そして自身のピアノのみによるアコースティックな三重奏による過去の代表曲の再演であるこのアルバムを聴くと、彼の天才にしびれてしまいます。

しかもそのチェロはブラジルの天才ジャキス・モレレンバウン、ヴァイオリンはロンドンの鬼才エヴァートン・ネルソン!

2人とも器楽奏者としてはもとより、アレンジの才能を高く買われている音楽家。

広い視野で音楽を見ることの出来るこれ以上ない人選で坂本のヴィジョンを深く理解した演奏となっており、それぞれの曲の最高のヴァージョンなのではないかという素晴らしいアルバムなのですよ。

敬愛する武満徹や、ドビュッシー、フィリップ・グラスなどなど様々な大家の影響が感じられる部分もありますが、それがいかにも坂本印なメロディというフィルターを通ることにより、どんな幅広いスタイルの曲でも「坂本龍一」という一つのコンセプトの元に統一されている印象を残すのはさすが。

しかし彼の作った映画音楽は物凄い名曲ばかりですね。

「ラスト・エンペラー」「戦場のメリー・クリスマス」「シェルタリング・スカイ」などなど・・・・。

特に「ラスト・エンペラー」は本当に凄い曲です。

美しい美しい、打ち震えるようなメロディと、巧みに組み込まれた変拍子、まるでプログレのようにダイナミックに変化する曲展開とハーモニー。

一音の無駄もない音楽とはこのこと。

たった3人で演奏されることにより、より一歩坂本の音楽の深淵に踏み込んだような気にさせてくれます。

室内楽と捉えても稀有の美しさを誇るこのアルバム、これぞ真の「現代音楽」。

上述したように最近の坂本には全く関心がなくなりましたが、このアルバムはこれからもずっと聴き続けて行くと思います。

色々なイメージで受け取られている彼でしょうが、このアルバムだけでも本当にたくさんの人に聴いて欲しいですね。


Personnel:坂本龍一(Pf),EVERTON NELSON(VLN),JAQUES MORELENBAUM(CEL)

イーグルス
ホテル・カリフォルニア(紙ジャケット仕様)

何を今さらの名盤であります。

本作のタイトル曲は、ポピュラーミュージック史上に残る名曲であることは間違いありませんし、実際私もよく聴きました。

音楽には微妙なヒエラルヒーがあって、クラシックが至上のもので、それより落ちるがまあテクニックや理論が必要ということでジャズ、その下にはロックやらファンクやらがあり、最下層にアイドル系ジャンクポップスなどがあり・・・・・。

おっとっと、違いますよ違いますよ、私はそんな階層性など露ほども信じてはおりません。

しかしとりあえず、何が一番「高級な」音楽と思うかとアンケートをとれば、とりあえずこの日本では「クラシック」という回答が大多数を占めるであろうことは想像に難くないですよね。

それが真実であるかどうかはさておき。

確かにクラシックは純然たる構築音楽で、そのスコアに込められた情報量も非常に多いのが特徴です。

「この音の連なりはこうでなくてはならないんだ」という徹底的に考え抜かれた末に生み出された音楽と言えましょう。

その頑強な構築性=高級・至高とは必ずしも思いませんが、それがこの音楽の価値の一つであると思われており、かつ実際にそうであると私も思います。

そして当然、他の音楽には他の良さがある・・・・・のですが、そのクラシックの構築性に太刀打ち出来るほどの豊かで確かな構造を誇る他ジャンルの音楽はないかな?と考える時があります。

それはジャズのスウィング感はクラシックにはないもので・・・というお互いにないもの同士を突っつき合わせることではありません。

クラシックの非常に精度の高い構築性に、そのまんま構築性で対抗出来る他ジャンル作品はないのか、ということです。

そこで私が真っ先に思いつくのがこの名曲「ホテル・カリフォルニア」なんです。

美しいコーラスワーク、哀愁のギターアルペジオ、歌うベースライン、タム回しのフレイズまでスコアライズされたステディなドラム。

いつも同じことをやっている、と切り捨ててしまうのが憚られるほど、どの音もビシッと決まっています。

そしてこの曲の高い構築性の白眉とも言えるのが後半の長いギターソロリレー。

本当にもう、一緒に歌えてしまうぐらいメロディアスですよね!

このプレイが本当にアドリブで出てきたものなのか、あらかじめ作ったものなのかは、この圧倒的な完成度と感動の前にはどうでも良い。

そして、その素晴らしいテイクを選んでオフィシャルヴァージョンに持って来たメンバーたちの慧眼に恐れ入ると同時に、ライヴでも完全にスコアライズされたものとして演奏してもいつも興奮させる、まさに壮大なシンフォニーを聴いたかのような充実感が味わえるのです。

正直最初にこの曲のライヴヴァージョンを聴いた時は、「アドリブせんかい!」と感じてしまいました。

しかし、違うのです。

いつも同じ、このタム回し、ギターソロを奏でることによりこの曲の世界が初めて完成するのです。

これは、クラシックに擦り寄った価値観で聴くということでなく、問答無用のロックの名曲なのにも関わらずそのような聴き方をしても楽しめてしまう、そんな豊かな音楽性を持った曲だということだと思います。

同様に、ロックやジャズを聴く耳で聴いても納得出来てしまうクラシックの曲もあることでしょう。

こういう曲を1曲でも生み出せたアーティストは幸せでしょうね。

(NABEL RECORDS NABEL 4656)


超絶技巧のピアノと、縦横無尽のスキャットテクニックを兼ね備えた女性ミュージシャンって、結構惹かれます。

日本の矢野顕子とかアゼルバイジャンのアジザ・ムスタファ・ザデ、ブラジルのタニア・マリアなんかがそういう「技巧派弾き語りスト」に挙げられるのではないでしょうか。

この記事ではもう一人、素晴らしいシンガーをご紹介したいと思います。

ルーマニアのアンカ・パルゲルです。

ドイツのピアニスト、クラウス・イグナツェクと多数のアルバムを録音している彼女、それらの作品ではもちろんイグナツェクにピアノを任せっぱなしなんですが、この完全独り弾き語りアルバムでピアノの腕前もイグナツェクに負けず劣らずの超一流であることを見せつけました。

この作品が素晴らしいのはそれだけではありません。

全12曲、全てがルーマニアのトラッドを彼女流にアレンジしたナンバーなんです。

まさに「カルパティアン・カラーズ」!

日本人好みの泣きと哀愁に満ちた素朴なメロディが、パルゲルのジャズィなフィルターを通して見事に弾き語り用の曲として甦っています。

しかし七色の声とは彼女のようなシンガーのことを言うのでしょうね。

子供を優しくあやす包容力と丸みのある声から、少女のような可憐な声、怪鳥系のウルトラスキャットまで本当に一人の人間が歌っているのか信じられないような多彩な声色を使い分けています。

しかも東欧系の近接和音ハーモニーをつけて多重録音して、時にはオペラティックに壮大に盛り上がったり、あるいは高速ユニゾンで駆け抜けたり。

アドリブスキャットとユニゾンでピアノを弾いたり、民族楽器を模した口笛を吹いたりとやりたい放題です。

それでいて非常に聴き易い落ち着いた作品になっているのは彼女のそういうテクニックがまさに当たり前のこととしてしっかり根付いているため。

ただひたすら、ピアノと声の織り成す豊かなサウンドに聴き惚れるのみでしょう。

各種音楽要素がしっかりと絡み合った、これぞユニジャンルミュージック、女性ヴォーカルものの傑作でしょう。

彼女は上記イグナツェクとのアルバム他多数作品があるのですが、この作品はそんな中で一番シンプルでかつ一番素晴らしいアルバムだと私は思ってます。


↓イグナツェクとの共演盤2作、あとリーダー作1作です

Parghel & Ignatzek
Indian Princess
Parghel/Ignatzek/Rassinfo
Airballoon
Anca Parghel
Soul, My Secret Place