ŻEGNAJ, ZBYSZKU !
テーマ:ポーランドジャズ JAZZ POLSKIポーランドのジャズシーンにおいて、アメリカのそれで例えるならばRON CARTER ロン・カーターのような重鎮ベーシストZBIGNIEW WEGEHAUPT ズビグニェフ・ヴェゲハウプトが先日急逝されました。
享年57歳。
折りしもポーランドのジャズメディアでは、彼の健康上の理由による演奏活動からの一時リタイアを励ますための、シーンのスタープレイヤー総出のライヴが昨年12月の18日に開催され話題を呼んでいたところでした。
出演メンバーについては↓のリンクをどうぞ
http://www.jazzforum.com.pl/news.php?action=show&id=1996
出演者の願いも空しく、この偉大な音楽家は亡くなってしまいました。
さて、このWEGEHAUPTの名前をこうやって挙げただけでは多くの人は、「そんなに凄い人なの?」と半信半疑でしょうね。
そこで、日本のジャズファンの皆様に知っていただくべく、彼のキャリアの主なものをここに記すことでこの素晴らしいベーシストへのはなむけとさせていただきたいと思います。
ちなみに、記事タイトルはポーランド語で「さようなら、ズブィシェク」(「ZBYSZEK ズブィシェク」は「ZBIGNIEW ズビグニェフ」の愛称で、ZBYSZKUはその呼格=呼びかけの時の格変化です)というような意味です。
リーダー作
SAKE
WEGE
TOTA
ご覧のように彼のリーダー作のタイトルは全てアルファベット4文字になっています。ファーストの『SAKE』は84年なのですが、セカンドは約20年後の2005年に発表されています。
ファーストではANDRZEJ OLEJNICZAK アンジェイ・オレイニチャクとJANUSZ SKOWRON ヤヌシュ・スコヴロンという、当時の名フュージョンバンドSTRING CONNECTIONからのメンバーを2人入れています。後にセルフカヴァーすることになる名曲「MANANA マニャーナ」や「FOUR ROSES フォア・ローゼス」もすでにここに収録されています。特に前者は、後にこの国のナンバーワンシンガーの一人であるAGA ZARYAN アガ・ザリヤンが日本盤も発売された傑作『LOOKING WALKING BEING ルッキング・ウォーキング・ビーイング』中で「THE STARS ARE AS LONELY AS US 星もひとりぼっち」としてカヴァーしたことも記憶に新しい作品。
セカンドからはピアノに「抽象派」ピアノの才人MARCIN MASECKI マルチン・マセツキやトランペッターJERZY MALEK イェジィ・マウェクを中心としたクァルテットで、なかなか玄人好みなビターなサウンドを展開しています。
ピアノトリオ作品への参加
STANDARDS LIVE / WLODEK PAWLIK
LIVE IN KYIV / WLODEK PAWLIK
ANOTHER FORM OF COMMUNICATION / WOJCIECH KONIKIEWICZ
LIVE IN TYGMONT / KRZYSZTOF HERDZIN
WASOWSKIEGO I PRZYBORY / WOJCIECH KAROLAK
彼がベーシストとしてどれだけスタイリストであったかを知りたければ、何と言ってもヴウォデク・パヴリクの2枚がオススメです。特に、ウクライナのキエフでのライヴ盤『LIVE IN KYIV』ではトリオ3人の超絶技巧とキレキレのアンサンブルが楽しめます。プチプチした、スタッカート主体のドライヴする演奏に、私がポーランドのRON CARTERと言った意味がお解りいただけると思います。
クシシュトフ・ヘルヂンのライヴ盤にはポーランドジャズ史上極北のヴァイオレンスな名演「VOYAGE」が収録。
反対に長老クラスのヴォイチェフ・カロラク作では滋味に溢れたどっしりとした演奏。
その他重要作品
LAST CONCERT / ZBIGNIEW NAMYSLOWSKI
WITHOUT A TALK / ZBIGNIEW NAMYSLOWSKI
PLAYS KOMEDA / ROBERT MAJEWSKI
TRIBUTE TO ZBIGNIEW SEIFERT / JAREK SMIETANA
BELCANTO SEMPLICE / KRZYSZTOF HERDZIN
DANCING FLOWERS / KRZYSZTOF HERDZIN
KILIMANJARO / ZBIGNIEW SEIFERT
EXTRA BALL / EXTRA BALL
CRAZY GIRL / JANUSZ MUNIAK
MEZIPRISTANI / RUDOLF DASEK
SKOWRON SHOW / VARIOUS ARTISTS
主だったものを集めてみました。歴史的なものではギタリストJAREK SMIETANA ヤレク・シミェタナ率いる名フュージョンバンドEXTRA BALLの通称「赤玉盤」。SMIETANAの名曲「KRAKOWSKI FESTIWAL JAZZOWY クラクフ・ジャズ・フェスティヴァル」オリジナルヴァージョン収録。あとはあのANDREW CYRILLEも参加したチェコのギタリストルドルフ・ダシェクの84年作など。
ポーランドジャズの聖人KRZYSZTOF KOMEDA クシシュトフ・コメダの曲をやっているテナー奏者ヤヌシュ・ムニャクやトランペッター、ロベルト・マイェフスキの作品も渋味がある名盤です。特にマイェフスキ盤はオラシオ的にKOMEDAアルバムの最高峰と考えているアルバム。
あとやっぱり外せないのは奇天烈大魔神ズビグニェフ・ナミスウォフスキの作品でしょう。プログレ好きも狂喜乱舞させるライヴの『LAST CONCERT』、ナミさん名曲の筆頭与力「WESTERN BALLAD ウェスタン・バラッド」収録のチェコ盤『WITHOUT A TALK』。
WEGEの近年の参加作で要注目なのは、夭逝のヴァイオリニストZBIGNIEW SEIFERT ズビグニェフ・ザイフェルトに捧げた、かつての盟友SMIETANAの作品。世界から9名のトップヴァイオリニストを迎えて録音した現代ジャズロックの大傑作です。
WEGEやSMIETANAは上記のように、そのSEIFERTの力押しライヴ『KILIMANJARO』に仲良く参加しています。
ポーランドジャズ聴き始めの頃から、彼のプレイは常に私を魅了し続けてくれました。
4枚目のリーダー作はどういうものになるだろう?とか色々わくわくしていたのですが、もう彼の参加作品が発表されることはないのですね。
最近はポーランドでもベーシストの超絶化が著しく、ある意味では彼のプレイもやや時代がかったものになりつつあったのも事実ですが、それでも彼の演奏には非常に独特の味がありました。
好き嫌いはさておき、あの唯一無二のグルーヴは誰にも真似が出来ないと私は思います。
急逝が残念でなりません。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
あなたが聴かせて下さった音楽と、それに向き合った時間は、永遠に私の中で宝物として輝き続けます。
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