ANNA MARIA JOPEK at ブルーノート東京,12/26 2nd SET
テーマ:ポーランドジャズ JAZZ POLSKIポストクリスマスの12月26日の夜、移転先をうろ覚えでさんざん迷った末にようやく辿り着いたブルーノート東京。
ブログやツイッターでお世話になっているk_17gさんとロビーで無事ご挨拶が出来、1st SETが終わって次々と出て来る人の波を眺めつつお話しながら、当夜の主役ANNA MARIA JOPEK アンナ・マリア・ヨペク(アナ・マリア・ヨペック)がここまでの集客が出来るまでの人気者に登り詰めたことをひしひしと実感していました・・・・
そう、この日の彼女の公演に、ポーランド大使館さんからご招待いただいたのです。
クリスマスシーズンに来るのはだいぶ前から知っていましたが、この時期は昼の仕事も忙しいため、正直行くのは全くの想定外でした。
が、大使館さんからイヴェント開催の打診があり、それに備えて日程が調整出来たので、こちらも無事行くことになったのです。
というところまで決まってからビッグニュースが。
あの天才ピアニスト兼作編曲家のKRZYSZTOF HERDZIN クシシュトフ・ヘルヂンがメンバーとして同行するというじゃありませんか!
このお知らせには本当に興奮させられました。
k_17gさんにも半ばジョーク半ば本気でお話したのですが、HERDZINは今日本では巷で話題の上原ひろみと矢野顕子のデュオライヴアルバムの、その2人を足しちゃったくらい凄い人なのですから。
しかも他のメンバーはおなじみの、MAREK NAPIORKOWSKI マレク・ナピュルコフスキ、ROBERT KUBISZYN ロベルト・クビシン、PAWEL DOBROWOLSKI パヴェウ・ドブロヴォルスキといった超絶若手プレイヤーたち。
それにJOPEKは最近新作を3枚同時発売して乗りに乗っていますし、また、クリスマスの時期にポーランドの音楽家が演奏する、ということには日本で考えられる以上に気合が入る何かがあるのです。
その何かとは、ポーランドの人々に深く根付いているKOLEDA コレンダ=クリスマス・キャロルの文化。
言わば彼・彼女らのソウルです。
アメリカで黒人がブルーズやゴスペルをその精神的支柱としたように、ポーランド人も古くから伝統として受け継がれてきたそれを自身の幹とし、現代の最先端の音楽と密接に結びつけつつ発展の礎として来ました。
クリスマスシーズンにポーランド人の精鋭の音楽を聴く、ということにはそういう面もあるのです。
セットリストは新作の『POLANNA ポランナ』やこれまでたくさんセルフカヴァーもしてきたおなじみの名曲たち、そしてもちろんコレンダも。
HERDZINはピアノ以外にパーカッションやDUDUKと言われる縦笛、さらには歌も歌ったりと相変わらずのマルチ天才っぷり。
彼はYOU TUBEに色んな楽器で弾いたJOHN COLTRANE ジョン・コルトレインの難曲「GIANT STEPS ジャイアント・ステップス」の動画を挙げているくらいの、スーパーマルチプレイヤーでもあるんですよ。
しかしそれでピアノの濃度が薄まるわけでもなく、シャープなバッキングと、ポーランドのピアニスト中ではむしろ異質な明るく転がるようなタッチでバリバリ弾きまくっており、時間的にはピアノに専念する割合が減っても彼がまぎれもない天才ピアノ奏者であることを当夜のオーディエンスは確信したでしょう。
あと、この日吹いていたDUDUKは、KRZYSZTOF KIESLOWSKI クシシュトフ・キェシロフスキの映画作品(特に『DEKALOG デカローグ』や『LA DOUBLE VIE DE VERONIQUE ふたりのベロニカ』)がお好きな方は聴いてすぐピンと来たと思います。
そう、80年代から彼の映画のサウンドトラックを担当していたZBIGNIEW PREISNER(PREJZNER) ズビグニェフ・プレイスネルがそれらサントラ中でよく使用していた、大変に印象的で叙情に満ちた音色のあの楽器なのです。
そんなところにも、ポーランド魂が炸裂していたわけですよ。
コンサートの初め頃、紙を読みながらではありましたが、大変に聴きやすい日本語でアドリブで節をつけながらJOPEKが語ってくれたことによれば、「この日の歌は愛の歌ばかり。皆様が深い愛に包まれますように」とのことです。
そのシンギングMCが終わった直後、ヒュー・グラントに似ていなくもないイケメンドラマーのDOBROWOLSKIのバカテクロングドラムソロが始まったのには内心少し爆笑してしまいましたが。
しかしそのソロも凄かったですし、随所に挟まれるバンドのインタープレイが本当に歌もののバックバンドのレヴェルを数十倍も凌駕したアグレッシヴ&ハイレヴェルなもので、こういうところにもポーランドヴォーカル音楽の凄さが現れているんですよね~。
そして、JOPEKのヴォーカルをセクシーとか官能的とか今まで思っていた人は、おそらくこの日を境にその印象が180度変わってしまったのではないでしょうか。
彼女は物凄くエネルギッシュに歌いますし、アドリブもたっぷり。
声量も音程もステージングのアグレッシヴさも素晴らしいもので、あの独特のウィスパーヴォイスによるシンギングは、実はとてもソウルフルなものなのだと、生で聴くと肌身で感じます。
そして、彼女を含めたバンドメンバー全員がとても仲がいいのも見ていて楽しくなります。
優しい微笑みを絶やさずに超絶プレイを連発するナイスガイベーシストKUBISZYNと、立ち上がってからのよたよたダンスをしながら高速弾き倒しのコントラストが微笑ましくも口あんぐりのハイテクギタリストNAPIORKOWSKIの2人は特にいいムード出してます!
私は何でもかんでもライヴ見なければ本当のところは解らない、という暴論には与しないスタンスなのですが、「本当のところ」かどうかはさておき、このJOPEKのバンドはライヴを見たら全く違ったイメージを感じる典型的な例なのではないでしょうか。
ポーランドを代表する知名度を持つ彼女の音楽がこんなにも熱くソウルフルで楽しいということはつまり、そのままこの国の音楽の美しさの奥に秘められた情熱と、その熱さとは違う「篤さ」とも言うべき温かく人間的な何かを証明してくれているように思えます。
そして、それらを生み出す非常に重要なファクターになっているのが彼女が過去のアルバムから一貫して重点的に採り上げているコレンダやトラディショナルソングなのです。
また、ポーランド語のSZやCZなどといった二重子音のもたらす独特の響きは、まるで三味線や親指ピアノの「さわり」(=ビビリ音。サスティン音)と同じような効果があり、人間の脳を気持ち良くさせ、特に音楽的に聴こえるのではないか、というのが私の説でして、ライヴでそのポーランド語の響きが空間を揺らしながら耳に滑り込み、観客をより一層魅了していたように思います。
ブルーノート東京なので短いながらも、しっかり練られたプログラムで主人公JOPEKの歌も超絶バンド演奏も、観客を温かい気持ちにさせてくれる様々な趣向もたっぷり楽しませてくれる本当に素晴らしいステージでした。
こんな凄いライヴが楽しめただけでも夢見心地なのに、当夜はさらにサプライズがあったのです・・・・
それについては次の記事をお楽しみに!
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1 ■ヨペク様
ヨペクが来日していたのですね。3日間も。
行きたかったなあ。行かなくちゃならなかったなあ。
オラシオさん、青森から仕事をやりくりして参加するとは、すごい!すごい!!
その情熱に頭が下がります。
今年も、よろしくお願いいたします。
続編って何かな?