2011-12-16

EUROPEAN BRAZIL PROJECT / HANS FICKELSCHER

テーマ:ポーランドジャズ JAZZ POLSKI
European Brazil Project/Hans Fickelscher
(RODENSTEIN RECORDS ROD 31)

ポーランド人、あるいはポーランド系のミュージシャンを追っていると時々とてつもない「当たりくじ」を引くことがあります。

このアルバムもそう。

ドイツのドラマーHANS FICKELSCHER ハンス・フィッケルシャーの作品ですが、ポーランド出身のパーカッション&打楽器奏者BODEK JANKE ボデク・ヤンケがメンバーとして参加していなければ出合うことはおそらくなかったでしょう。

ただ、アルバム名から察するにヨーロッパ系のミュージシャンたちによるブラジリアンな演奏、ということなのでそういう意味ではとても興味は湧きます。

この「EUROPEAN BRAZIL PROJECT」ですが、ドイツ人の女性ヴォーカル、ピアノ、ドラムにイタリア人のベース兼ギター、フランス人のハーモニカ、そしてポーランドのJANKEというセクステット編成となっています。

フランス人のハーモニカ奏者は話題の才人OLIVIER KER OURIO オリヴィエ・ケル・ウリオ。

彼のファンにとっても引っかかり点が出来ましたね。

そんな多国籍メンバーでブラジルライクなサウンドに挑戦すると思しきこのグループですが、実はブラジル曲のカヴァーはジョビンの「CHEGA DE SAUDADE シェガ・ヂ・サウダーヂ」しかありません。

あとはシャンソンの代表曲「SOUS LE CIEL DE PARIS パリの空の下」以外全てメンバーのオリジナルなのです。

まずはベテランピアニストPETER FULDA ペーター・フルダのペンによるオープニングナンバー「FADO」の圧倒的な世界に酔いしれましょう!

もうこの曲は何度聴いたか判りませんよ。

真のキラーチューンです。

タイトル通りにファドを思わせる郷愁感たっぷりの旋律、美しく爪弾かれるピアノのイントロに乗ってハートにダイレクトに飛び込んで来るSILKE STRAUS ジルケ・シュトラウスの伸びやかなスキャット、リズムインしてからのカラフルなグルーヴとダイナミックな展開、全てが完璧な最強のオープニングです。

何よりも完璧なのが、最初にアドリブを展開するSTRAUSからKER OURIOへのバトンタッチのタイミングとフレイジング!

早くも1曲目にして、聴き手の感情の昂ぶりはここで頂点を迎えるはずです。

KER OURIOのアレンジにより切れ味の良いヨーロピアンジャズワルツと化した「パリの空の下」は、このアルバムを貸した職場の同僚が凄くはまってしまった快演。

巻き舌炸裂のSTRAUSのフランス語も味がありますよ。

続くテイクもカヴァーの「CHEGA DE SAUDADE」で、こちらはアンニュイなジャズボッサ。

こちらのポル語も雰囲気あるんですがビミョ~だなあ(笑)。

メロディアスに絡みまくるFRANCO PETROCCA フランコ・ペトロッカのエレベと波打ち際の白い泡のように美しくさりげなくつかの間に現れ消える幻想的なタッチのFULDAのピアノソロが素敵です。

「FADO」以外で愛聴しているのはPETROCCA作曲の「SAMBA FOR BANDA CAJA」。

恋心に浮き足立つ乙女の心を表現したかのごときファニーなメロディと7拍子のサンバリズム。

カワイイ系のSTRAUSの声質をとてもよく活かした曲でもあると思います。

よく披露宴でオシャレなBGM流すじゃないですか?

私はこの曲はかなりいい感じなんじゃないかと思っているんですよ。

昨年行われた相方の妹さんの披露宴で、相方が少し選曲任されたのでこの曲薦めたところ、自分が気に入るもの以外はかけたくない!と言われ却下されましたが・・・。

ってアンタその変なセンスで選んだらみんな引くじゃん。

私のような「技巧派リスナー」が大好きな大ユニゾン大会+超絶ベースソロが炸裂する高速ラテンアコースティックフュージョン「CHEVERE」も最高にカッコいいっす!

ピアノソロに移る前に一瞬テンポをガクッと落としてサルサビートになるのも直後のスピード感が気持ち良くていいです。

しかしFULDAのピアノのアドリブは長くないけど密度が濃くてそれでいてさっぱり後味の典型みたいな美味しいプレイですな~。

これもPETROCCAの作曲です。

ミニマル/スピリチュアルな薫りが全編に横溢したラストナンバー「GABRIEL'S LAUGH SONG」は情感たっぷりなメロディと極上のグルーヴに興奮した身体の火照りをクールダウンするのに最適な飛翔感に満ちたテイク。

こういう曲を自前で用意出来るところにFICKELSCHERの非凡なサウンドヴィジョンが透けて見えますね。

このアルバムも大好きで何回聴いたか判らないんですが、やっとご紹介出来ました。

上述の私の同僚も特に音楽好きということもない普通の趣味の女性ですが、ムチャクチャはまったと言ってましたし、多くの人にアピールするポピュラリティも兼ね備えた素晴らしい作品だと思います。

ぜひ聴いて下さい。


Personnel:SILKE STRAUS(VO),OLIVIER KER OURIO(HCA),PETER FULDA(Pf),FRANCO PETROCCA(EB,AG),BODEK JANKE(PERC),HANS FICKELSCHER(DS,PERC)

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