2011-12-14

GIRL TALK / MONIKA BORZYM

テーマ:ポーランドジャズ JAZZ POLSKI

(SONY MUSIC 88697755432)


ANNA MARIA JOPEK アンナ・マリア・ヨペクは相変わらずバリバリの人気ですし、AGA ZARYAN アガ・ザリヤンは国内盤が出た上に来日もするしで、ポーランドジャズヴォーカリストの勢いが止まらない昨今ですが、そんな上昇気流をさらに倍加させたような超豪華なデビューアルバムが登場しました。

彼女の名前はMONIKA BORZYM モニカ・ボジム。

名前並べるだけで充分凄いのでやってみますが、プロデュースがMATT PIERSON マット・ピアソン、レコーディングメンバーにLARRY GRENADIER ラリー・グレナディア、ERIC HARLAND エリック・ハーランド、SEAMUS BLAKE シーマス・ブレイク、AARON PARKS アーロン・パークス、STEVE CARDENAS スティーヴ・カーデナスなどがアルバムのほとんどに参加。

さらにアレンジャー兼メンバーとしてGIL GOLDSTEIN ギル・ゴールドスタイン、チェンバーセクションの一角には、BORZYMがアメリカでの音楽留学時代に師事したトランペッターGREG GISBERT グレッグ・ギスバートも参加。

普通に名前の通ったジャズヴォーカリストですらこれだけのメンバーを揃えるのは無理でしょうに、まだ名も知れていない、しかもマイナー国ポーランド人のデビュー作にこの面子とは、奇跡以外の何物でもありません。

ところで、上に挙げたアーティストたちはポーランドのジャズシーンと何らかの形で関わりを持つ人たちがほとんどなのをお気づきでしょうか。

HARLANDはLESZEK MOZDZER レシェク・モジュジェルなどと共演・録音済み、SEAMUS BLAKEもベーシストPIOTR LEMANCZYK ピョトル・レマンチクの後日発表のアルバムに参加しています。

GOLDSTEINはJOPEKのアルバムにアレンジャーとしてもプレイヤーとしても積極的に出入りし始めていますしね。

また、GISBERTと並行してBORZYMがアメリカ時代に音楽を習っていた講師陣の一人にイタリア出身のDANTE LUCIANI ダンテ・ルチアーニがいます。

彼はポーランドの気鋭のハードバップグループWIERBA & SCHMIDT QUINTET ヴィェルバ&シュミット・クィンテットの最新作『BLACK MONOLITH ブラック・モノリス』に参加しています。

ということでこの超絶のデビュー作は、これまで世界でポーランドの実力派ミュージシャンたちが築き上げて来た人脈の総決算として生まれたものなのかも知れませんね。

しかし、親の七光りならぬ「人脈の七光り」だけでこれだけのメンバーが忙しい中集まってくれるわけはないのが厳しいジャズ業界。

このとてつもないレコーディングプロジェクトが実現したのは、BORZYMがそれだけその実力に期待を寄せられている素晴らしいシンガーだということです。

少し猫声寄りの、クセのある声質ではありますが、非常に通りの良い発声で、それにポーランドヴォーカリストの特徴でもある完璧な音程で堂々と歌いきってます。

亡くなったAMY WINEHOUSE エイミー・ワインハウスの「YOU KNOW I'M NO GOOD」を筆頭に、以下FIONA APPLE フィオナ・アップルの「EXTRAORDINARY MACHINE」、RACHAEL YAMAGATA レイチェル・ヤマガタの「EVEN SO」など、主に英米のコンテンポラリーヴォーカルミュージックの女神たちのレパートリーからの美味しい選曲と、スカーンと空中に放たれスコーンとダイレクトに心と体に飛び込んでくる素晴らしい歌唱でグイグイ聴かせてくれます。

ビッグバンドアレンジを施されたCHARLES MINGUS チャールズ・ミンガス作曲/JONI MITCHELL ジョニ・ミッチェル作詞の「DRY CLEANER FROM DES MOINES」の怒涛のスウィング感、そしてグルーヴの邪魔になるものはバッタバッタとなぎ倒して行くかのようなBORZYMのノリノリの歌いっぷりは単純にカッコいい!

MARISA MONTE マリーザ・モンチの静謐な名曲「ABOLOLO アボロロー」のカヴァーも嬉しいですねえ。

この作品、適度にビターな大人なムードも含んでいますし、何よりオシャレでハイクォリティですし、アレンジもさることながらいい曲いっぱい詰まっているんですよね。

プレゼントにもぴったりな素晴らしいアルバムだと思います。

BORZYMはこれだけのスーパーサウンドをバックに、「頼りないけどお膳立てしてみた」感が全然ないどころか、末恐ろしいことにバンドとの一体感が只者ではないです。

これからの活躍が楽しみです~。

この特徴ある声で歌うポーランド語ソングも聴いてみたいですね。

まあとにかく、素晴らしいデビュー作ありがとうございました、と言いたい気持ちでいっぱいにさせられる極上の作品です。

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