ポーランドジャズ今年のベストテイクTOP10
テーマ:ポーランドジャズ JAZZ POLSKIまだ半月以上残っていますが、今年もポーランドジャズのリリースラッシュは凄まじい勢いでした。
数が、と言うよりむしろ質のアッパー度が尋常でなかったように思います。
おかげで購入しなくてはいけないものの割合が飛躍的に増え、給料をもらった数日後にはほとんど消えている、という生活をひたすら余儀なくされました。
私はこうして、来年もポーランドジャズに経済的には痛めつけられつつ、途方もない感動も与えられ続けるのでしょう。
今回は、今年発表されたアルバム群の中から特に素晴らしかったナンバーを10曲選んで、この国のジャズの今年の豊作ぶりを総括させていただきたいと思います。
表記法は、
曲名
アーティスト名 / アルバム名
です
ぶっちぎりの1位
NIGHT TRAIN TO YOU ナイト・トレイン・トゥ・ユー(君のもとへ、夜汽車が)
MARCIN WASILEWSKI TRIO マルチン・ヴァシレフスキ・トリオ / FAITHFUL フェイスフル
地震直後にこの曲を聴いたことで、「音楽の神が傷つけられた私たちに授けてくれた曲だ」とすら思ったほど感動しました。同じように感じた方は多いと思います。また、勝手に邦題もつけ、JRのCM曲に使ってもらおう運動を孤独に開始しております。ぜひオサレ鉄子さんの旅のテーマ曲になって欲しいと思います。ちなみに、ポーランド映画には鉄道が結構出て来るんですよ。
以下順不同
NEVER WILL I MARRY
MARTA KROL マルタ・クルル / THE FIRST LOOK
素晴らしく豊かに響く中音域の声を持った驚異の新人女性歌手のデビュー作より。この曲の本来持つ絶望に、かすかな希望の光を持たせたような絶唱。人生を歩むことの力強さや尊さを感じるテイクだと思います。バックのクァルテットの演奏も凄まじいです。
UCIEKAJ,UCIEKAJ ウチェカイ・ウチェカイ
ANNA MARIA JOPEK アンナ・マリア・ヨペク / POLANNA ポランナ
もうすぐ来日公演もする歌姫が先月に3枚一挙同時発売した新作の中の1枚、ポーランド民謡をテーマにした作品より。GIL GOLDSTEIN ギル・ゴールドスタインの壮大でプログレッシヴなアレンジ、甘い毒を孕んだGONZALO RUBALCABA ゴンサロ・ルバルカバのピアノなどなど聴き所たっぷりの鉄板テイク。
ON PRAYER
AGA ZARYAN アガ・ザリヤン / A BOOK OF LUMINOUS THINGS
ポーランドの歌姫と言えば日本ではまだこれからなれど、すでに本国では上のJOPEKを凌ぐ人気と評価を勝ち得ているザリヤンも挙げないわけにはいかないでしょう。大詩人CZESLAW MILOSZ チェスワフ・ミウォシュの作品をメインテーマに、凄腕メンバーを従えて満を持して録音した本格的な新作より最もアグレッシヴかつプログレッシヴなテイクを。
ON THE WAY TO ROAD 11
RGG / ONE
今年の何が奇跡かって、上述MARCIN WASILEWSKI TRIOとこの秘宝トリオRGGがほぼ時を同じくして空前の傑作を発表したことでしょう。冒頭のタイトル曲に惹かれる方が多いようですが、私はラストのこの清涼な演奏を。
THE LAW AND THE FIST
LESZEK MOZDZER レシェク・モジュジェル / KOMEDA コメダ
今年はKRZYSZTOF KOMEDA クシシュトフ・コメダ生誕80年の記念すべきコメダイヤーでもありました。そのKOMEDAに捧げるというピアノソロの新作は、少しウィンダム・ヒルっぽい甘口の内容になるんではないかという私の予想を叩き潰してくれる超傑作でした。曲はKOMEDAが同名(ポーランド語では『PRAWO I PIESC プラヴォ・イ・ピェンシチ』)の刑事映画のために製作した主題歌をカヴァーしたもの。マカロニウェスタン風味のサウンドを導入しながらもポーランドフォークロア音楽の根っこを透明水彩画のように透けさせてみせるKOMEDAの離れ業を、現代的な音楽に再構築してより焦点をあてたMOZDZERの天才にノックアウト必至です。
VIETATO FUMARE ヴィエタート・フマーレ
MAREK NAPIORKOWSKI TRIO マレク・ナピュルコフスキ・トリオ / KONKUBINAP コンクビナプ
私は「技巧派リスナー」(=テクニカルなものに惹かれるリスナー)なので、やっぱりこういうのには弱いのでした。上述JOPEKのバンドメンバーとして来日する、今やシーンで1,2を争う売れっ子となっているNAPIORKOWSKIとROBERT KUBISZYN ロベルト・クビシンの2人に超・超絶テクニシャンドラマーCEZARY KONRAD ツェザルィ・コンラトが組んだスーパーフュージョンギタートリオのライヴから。
THE STUDENT PROTEST
RAFAL SARNECKI ラファウ・サルネツキ / THE MADMAN RAMBLES AGAIN
新進気鋭のギタリストのこのセカンドは、何とFRESH SOUND NEW TALENT フレッシュ・サウンド・ニュー・タレントからの世界メジャーデビューとなりました。しかもレーベルカラーからはかけ離れた変態っぷり。このオープニング曲を聴いた時、ようやくあの奇才ZBIGNIEW NAMYSLOWSKI ズビグニェフ・ナミスウォフスキの後継者が現れたと興奮したものです。
WELCOME PILL
ADAM BALDYCH アダム・バウディフ / MAGICAL THEATRE
変格ヴァイオリンの勇者BALDYCH待望の新作はまた作風を変えて伝統音楽を現代的グルーヴでミキサーにかけてハードなフュージョン仕立てにしたような感じ。メンバーの情報事前に見た時は要らないと思われたギターとトランペットがしっかりはまっているサウンドになっているのが見事でした。
WHITE DARKNESS
WIERBA & SCHMIDT QUINTET ヴィェルバ&シュミット・クィンテット / BLACK MONOLITH
今のところポーランドでは珍しいタイプのバリバリハードバップ&モードな、ストレートアヘッドな音楽性を全面に押し出した若手グループの最新作。イタリアのベテラントロンボーン奏者DANTE LUCIANI ダンテ・ルチアーニをゲストに迎えたセクステットによる録音です。真っ当に音を鳴らし、パリッとジャズマナーに添って高らかに歌い上げるかっこよさをこれでもかと聴かせてくれる素晴らしい演奏だと思います。
次点
I'M CONFUSED
JULIA SAWICKA PROJECT ユリャ・サヴィツカ・プロジェクト / BREATHING SPACE
真夜中の独り酒のお供に完璧にフィットする素晴らしいジャズソング。今年この雑誌付録のミニアルバムでデビューした新人女性歌手のいきなりのヒット。チェコの天才DAVID DORUZKA ダヴィト・ドルーシュカのミステリアスに浮遊するギターワークも効いてます!
今年もやはりと言うかやはり、ヴォーカルものの素晴らしさが圧倒的でした。
正直他にも色々挙げたいものはあるのですが、個人的にたくさんリピートしたテイクを中心に選びました。
多分みなさんにとっては、一年間にポーランドジャズを少なくとも11枚も聴いているということ自体が驚きかも知れませんが、いずれはそれが普通のジャズファンの状態になるよう頑張りたいと思います。
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