わりと近隣、小平市のホールでブラス・アンサンブル のライブを聴いてきたのですね。

結成は1970年と言いますから、何とも息の長い活動歴のあるカナディアン・ブラス。

その妙技のほどを堪能してまいりました。


カナディアン・ブラス演奏会@ルネこだいら大ホール


しかしまあ、44年に渡る活動歴となりますと、さすがにメンバーの入れ替わりは必至なのか、

5人のメンバーのうちで見たところかなりお歳を召したと思われるのはテューバお一人。

プログラムの解説によれば、結成時のオリジナル・メンバーとの由、

つい映画「25年目の弦楽四重奏」 のクリストファー・ウォーケンを思い出してしまいましたですよ。


とはいえ、この40余年の間に変わったのは、メンバーばかりではありませんですね。

元より余り譜面を見ながら演奏するより、暗譜での方が多いのですけれど、

時折譜面台に載せるのは何かと思えば、「ipad」(のようなもの)でありました。


で、こうしたことを利点として、5人ともどもステージを降りてホール内に散り、

近くに座っている観客に譜面ならぬ「ipad」を持ってもらうというご協力を得て、

ホール内にブラスの響きが充満するというパフォーマンスを演じてみせたり。


この時には、予めのアナウンスでご協力いただく方へのお願いとして

「くれぐれも余計なところは触らないように」なてことで笑いを取るサービスも忘れないのですね。


まあ、こんな具合で、いわゆるクラシック音楽の演奏会とは一線を画すショーアップがある、

だもんでブラス・アンサンブルの「ライブ」てないい方をしたわけでありますよ。


予めそんなふうに思ってはいましたけれど、

今回のショーアップ度合いはまたひとしおでしたですねえ。

これもまた時代の流れで、どんどんそうした傾向が加速しているのでしょうか。


極めつけだったのは、プログラム最後に演奏されたビゼーのオペラ「カルメン」からの抜粋。

通常4時間かかるという(休憩時間を含めてでしょうか)この曲をダイジェスト版で

「10分でおおくりします!」と。


ですが、オペラとしての理解を促すべく?

トランペット のひとりはカルメンに、もうひとりはミカエラにそれぞれカツラを持って登場。

ホルンはドン・ホセで軍帽を、トロンボーンはエスカミーリョで闘牛士の帽子をかぶっている。


では、テューバの御大はといえば、何と頭には角、おしりにはしっぽを付けて牛の役ですよ。

見事な演奏と同時に展開される宴会芸のようなカルメンのストーリー、

ライブならでは!ではなかろうかと思うところでありました。


もちろんクラシック系はもとより、ジャズでもポップスでもと

実に汎用性のあるブラス・アンサンブルですからプログラムの多彩さも魅力なわけでして、

音楽の幅の広さを称して「バッハからビートルズまで」などとも言われますが、

今回はバッハ の小フーガト短調があったかと思えば、ビートルズの「ペニー・レイン」もある。


で、この「ペニー・レイン」ですけどね、

レコードでしか聴いたことのないピッコロ・トランペットによるハイ・ノートの輝かしいメロディーを

実際に聴けるというのはなかなか得難いもので、それだけでも感動ものではないかと。


賑々しいばかりでなくって、ブラームス のワルツなどはしっとりと聴かせてくれたりもしましたし、

多様な音楽を一度で聴けてしまうブラス・アンサンブルの演奏会。

お聴きになられたことの無い方も、近くホールにどこからかやってくることがあれば、

騙されたと思って聴いてみてくださいまし。

楽しいですよ。


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