先ほど、退院をしたばかりのポンコツ野郎です。
自分で言っといて何ですが、僕は”ポンコツ”という言葉が大好きです。


「もう既にポンコツだからとか、勝ち目があるとかないとか、そーいうことじゃない。… 俺はそうやってここまで来た。そして、これからもだ」

敬愛する「あしたのジョー」で、主人公 矢吹丈がヒロイン白木葉子に放った台詞です。

「ポンコツ」という言葉を聴くと、反射的にこの大好きなシーンを思い出してしまいます。
僕にとっては、愛着と痛みと切なさを感じる言葉なのです。

以下は、完全な私の主観に基づく認識であることをお断りした上で、少々長くなりますが、場面の解説をさせて下さい。

ジョーがずっと目標にしていた世界王者 ホセ・メンドーサとの一戦の当日。
上の台詞は、ジョーのパンチドランカー症状を見抜いたヨーコが、その世界選手権試合の棄権を懇願するために控え室まで押しかけた場面でのヒトコマです。

この後、ヨーコはジョーに愛を告白し、ジョーは驚きつつも
「リングでよ、世界一の男が俺を待ってるんだ。だから…行かなきゃな」
とヨーコに感謝を示し、でも彼女を振り切ってリングに向かいます。

ジョーの夢は、チャンピオンになるというよりも、ライバル達の思いを拳に乗せて完全燃焼することだったからです。

自らが葬り去ってきた戦友たちの情熱を背負って燃え尽きることが彼にとっての贖罪であり、最強と認めた男と闘ってボクシングに殉じることが、彼にとっての愛を形にすることだったのです。

即ち、最高の舞台で自からの滅却を図ることこそが、その愛を完全形にするための唯一の不器用な方法なのです。

この時点でのヨーコは
「お願いだから、私のためにリングにだけは上がらないで。この世で一番愛する人を、廃人となる運命の待つリングに上げることは、絶対にできない!」
とジョーを引き留めます。

愛する人の身体を思いやるのは当然ですが、見方を変えれば、「自分の恋愛感情 > 好きな人の夢」とも言えるし、ただでもポンコツ=「不完全」な彼が、「完全」燃焼することで更に不完全な存在になることを受け入れられないでいるとも取れます。

実際ヨーコは、ジョーに壊されて廃人となった「あの可哀想なカーロス・リベラ(白木葉子談)」を見ている訳だし、彼女の財力で建てた(?)サナトリウムに、廃人となったジョーをカーロスと仲良く放り込んで世話するなんて未来図からは目も背けたくもなるでしょう。
(そんなカーロスを、ジョーはとてつもなく優しく慈しむ目で見ていたのが印象的ですが…)

しかし、そんなヨーコの願いも虚しく試合は始まります。
ホセの猛攻にボロボロになりながらも何度も立ち上がるジョーを見ていられなくなったヨーコは、一度は試合会場を後にしますが、帰路の車中で翻心。

「もう逃げない。これから全てが始まるのよね。そうよね」
と、会場に引き返します。

一方、ジョーの疲弊を見かねたセコンドの段平は(物語の中では母性として描かれています)、次の回で少しでもよろけようものならタオルを投げると伝えますが、ジョーはそのタオルを投げ捨てます。

その時、リングサイドに駆けつけたヨーコはジョーに叫びます。

「打つのよ矢吹くん!悔いの残らないように力一杯!…私見ている」

ここにきてヨーコは、彼の思いを全て受け入れ、どんなことがあろうとも彼の夢に寄り添って共に進む覚悟を示すのです。

どんどんポンコツになっていくジョーの可能性を、それでも信じようとする渾身の思いは伝わり、これまで頑なに反発していたヨーコを初めて受け入れたジョーは大きな力を得るのです。

(段平と同じく囲い込もうとする(=母性的であった)ヨーコの愛が、背中を押す=父性的な愛をも伴った瞬間、ジョーがヨーコを受け入れたようにも思えます)

その後、ジョーは怒涛の反撃に転じ、ベストパフォーマンスを演じますが、善戦空しく破れ去り、「真っ白に燃え尽きる」ラストシーンを迎えます。

天涯孤独を貫くつもりの男が人生の最後で愛を受け入れ、夢との実現と共に完全燃焼したのです。

愛する人の夢を後押したがために、愛する人そのものを失ってしまったヨーコの胸中は、思いに余るものがありますが、その時、ジョーは、究極のエクスタシーと共に燃え尽きたのではないでしょうか。

そして私は、その「不完全の中に完全を見る」ロマンチシズムに、「不完全性を愛でつつ可能性を信じ切る」大きな愛を感じて咽ぶのです。

これはかなり極端でイビツな例かもしれません。

でも、私もジョーのように、命を懸ける何かが見つかったなら、それに身を挺して完全燃焼したいと願うし、ヨーコのように、大切な人が夢を見つけたなら全身全霊で応援したいと思うのです。

長くなってしまいましたが、僕にとって「ポンコツ」とは、愛とロマンチシズムもって胸に響く言葉なのでした。

無事退院することができて、明日からは日常生活が戻ってきますが、いつか燃え尽きるその日までロマンと共に進みたいものです。
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