2011年09月01日

原発・正力・CIA / 有馬 哲夫

テーマ:
本書の題名は「原発 正力 CIA」だが、読後に感じる重要度から並べると「CIA 正力 原発」ということになる。
正力松太郎という稀代のメディア王がいかにしてその野望を成し遂げようとしたのか。

正力の背後に控えて彼を操ろうとしていたのはCIA。
最終的には決裂に至るものの、CIAがいかにして日本という国を操ろうとしていたのかが良くわかる。
いや、現在も巧妙に操っているのだろう。

非常に権力欲が強く、どうにかして総理大臣の椅子が欲しい正力。

もともと正力は、日本全国のテレビ、電話、電報、FAX等を統合する通信網の展開を行おうとした。
通信網を独占する真のメディア王を目指していた。
しかし、既に高齢でもあった彼は、様々な利権を手中にするには権力を一手に握る総理大臣を目指すことが近道であると気づく。

一方、反共の砦として日本を使いたいCIAは、正力を資金的にバックアップすることによって日本の世論を反共に誘導しようとしていた。
まず、ここで両者の利害は一致する。

そこに、ビキニ諸島の水爆実験によって第五福竜丸が被爆してしまうという事故が起こる。
高まる日本での反核運動を懐柔すべく、核の平和利用を言い出した米国に対し、原発推進の先頭に立つことにより政治的優位に立とうとする正力。
CIAも正力の魂胆を正確に分析し、政治的に利用されることを警戒していた。

正力松太郎の後半生とは、CIAとのしのぎ合いの人生だったということだ。

正力にとって原発とは、総理への道の道具でしかなかった。

ただし、本書を読むと良くわかるが、もちろん原発の導入は正力の意思だけによるものではない。
電力業界、そしてエネルギー安全保障の観点からの政治的な勢力(中曽根氏等)も推進派だった。
その中で、もっとも不純な理由から原発を利用しようとしたのが正力だった。
故に彼は「原子力の父」などではない。

そして、公正なメディアなんてこの世に存在しないということも改めて良くわかる。




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