いま、メディアで目にする機会が多い「朝食」というテーマ。雑誌やテレビ、本、コミックで話題となり、それに呼応するように朝食を提供する店も増えた。そんな世の中の流れはありつつも、朝食を食べる派、抜く派は依然として存在する。ちなみに記者は抜く派である。
そんな価値観を覆したのが、この『BRUTUS』4月1日(水)発売号の「続・最高の朝食を。」特集だ。
著名人の朝食から、日本中、世界中のカフェ・レストラン等の朝食が怒涛のごとく登場する。しかもどれも、食欲を刺激しまくる。気づけば、「今度この朝食を食べてから出社しようかな」などと考えているから、いやはや、すごい影響力である。
ほかにも、食のプロが朝食で使っている調理道具、パンをおいしく食べるためのテクニック、松浦弥太郎さんが食のプロに教えてもらう朝食レシピなどもあり、「朝食のAtoZ」が網羅されているのだ。
しかし、最も興味深いのは、前述した著名人やいろんな職種の人々の朝食インタビューだ。誰が何を食べているかにとどまらない。その人の「らしさ」や、意外な一面が垣間見える。
例えば、冒頭のブロードキャスターのピーター・バラカンの朝食は優雅。全粒粉ベーグルとミルクティーで胃を満たしつつ、仕事のソースでもある新聞や音楽に耳を傾ける(ベーグルを「名盤片面」と表現するキャッチも秀逸!)。
女優の前田敦子は、意外にも食いしん坊な一面を発揮している。朝からこんなものまで……! と、前田敦子観が変わったくらいだ。
政治家の小沢一郎さんは朝食の話というよりも、アレを40~50飼っているという事実に驚きを禁じえず。
そして一番感銘を受けたのは、ぎんさん娘姉妹の朝食が紹介されていることだ。御年97歳になる三女、94歳の四女、92歳の五女の朝食は、スタンダードながらも優しい思い出と健康の秘訣に満ちている。
他にも、アートディレクターによるアーティスティックな朝食や、現代美術作家のシンプルすぎる朝食、写真家のフォトジェニックな朝食、そして人気者の柴犬(!?)「まる」の朝食まで、朝食を通して各人の日常に思いを馳せられるのが楽しい。
朝食とはつまり、その人を映す鏡。あなたはどんな朝食を食べて、どんな時間を過ごしてたいと思うだろうか。記者はとりあえず、素敵な人間になるための一歩として、朝食をきちんと食べることから始めようと決意した。
BRUTUS(ブルータス) 2015年 4/15 号 [雑誌]