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夢想家"上智まさはる"が人生のさまざまな物事についてうわごとのように語る


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2週間ほど前の記事で恐縮ですが…

→「うさぎ年だから?…陸連が三段跳び復活作戦

日本陸上競技連盟が、「跳躍ニッポン」復活をかけて、三段跳び強化に乗り出すという記事です。
かつて三段跳びを専門としていた私としては、何とも嬉しい限りです…

それにしても現在の日本の三段跳びの凋落ぶりはどうでしょう?
世界と戦うどころか、現在の競技水準と選手層は1980年代、いや70年代にも及ばないと言っては言いすぎでしょうか?

若い人たちはかつて三段跳が日本の「お家芸」と呼ばれていた栄光の日々があったことをご存じないかもしれませんね。ちょっとサマリーしてみました。

◇日本三段跳の輝かしい歴史

1928年 織田幹雄、アムステルダム五輪で15m21で
1932年 南部忠平、ロサンゼルス五輪で15m72の世界記録
1936年 田島直人、ベルリン五輪で16m00の世界記録

※日本がオリンピック3連覇を果たした時代です!
日本にもこんな時代があったんです!

1956年 小掛照二、16m48の世界新記録をマーク
1972年 井上敏明、16m67の日本新記録をマーク
1981年 中西正美、16m76の日本新記録をマーク
1986年 山下訓史、17m15の日本新記録をマーク
※現在の世界記録はジョナサン・エドワーズ(英)の18m29(1995年)

日本の三段跳の歴史はあたかも1986年で終わったかのようです。
実は三段跳の日本記録は、円盤投げの1979年に続いて古い記録になります。
(15000mなどのマイナーな種目は除く)

☆ジョナサン・エドワーズの世界記録


次に日本歴代10傑を見てみましょう。

1位 17m15 山下訓史 1986
2位 17m02 杉林孝法 2000
3位 16m98 石川和義 2004
4位 16m88 小松隆志 1994
5位 16m76 中西正美 1981
6位 16m71 植田恭史 1984
7位 16m67 井上敏明 1972
8位 16m67 渡辺容史 2001
9位 16m66 安西啓  1991
10位16m63 村木征人 1972

10位以内に70年代の記録が2つ、80年代の記録が3つ残っています。
逆に2005年以降、10位以内の記録が皆無です。

さて、ではこの低落ぶりは根本的なものなのでしょうか?それとも日本のお家芸復活の可能性はあるのでしょうか?

三段跳というと何となく走幅跳を3つ分つなげただけのように感じるかもしれませんが、実はかなり違います。そのことは走幅跳と三段跳のトップ選手の構成を比べてみると一目瞭然です。両方の種目で一流の成績を出している選手は予想外に少ない(ほとんどいない)ことがわかるでしょう。

ごくごく大雑把にいうと、三段跳で重要なのは、もちろん第一に走幅跳の跳躍力ですが、それに加え、3度の踏み切りにおいてその衝撃に耐えつつ跳躍力とスピードの減衰を抑えることができる足腰の強靭さテクニックです。
この足腰の強靭さとテクニックにおいて、日本人が世界に伍する余地が十分にあると思います。

ただ、他の種目や他のスポーツ競技でもそうであるように、競技としての成熟が進むと、テクニックによる格差は相対的に小さくなり、身体的な能力差がモノを言うようになります。
そうなると一般的に身体的能力で劣る日本人にとっては不利であることが否めません。
三段跳においても然りで、実のところ、世界記録が17m後半から18m台に突入した1980年代以降、特に、スリムで身長の高い選手が世界のトップを占める傾向が強いように感じます(あくまでも印象ですが)

とはいえ、他の種目に比べると、やはり日本人にとって親近性の高い種目に間違いないと思います。
世界記録を作る必要はないのです。
現在の日本記録並みの記録をコンスタントに出すことができれば、それだけで国際試合で十分世界トップと戦うことができます。

選手の育成についてひとこと。
陸連は「都道府県の陸上競技協会と連携を深め、才能のある中高生を、指導者とともに育成していく方針」とのことですが、身体の成長期に三段跳に特化した強化を行うことには慎重になるべきです。
三段跳は足腰に強い衝撃を与える競技であり、過度な練習が成長期の選手に与える影響は計り知れません。
私自身、それを分かっていながら、やはり目先の成績に心を奪われ、過酷な訓練を自らに課してしまった苦い経験があります。たとえば、朝礼台の上から片足で飛び降りる練習を繰り返したり、片足で校庭の端から端へ100mくらいを何度も往復したり、さらに重りを持って負荷をかけたりなどなど。
そのせいかどうか、検証しようもありませんが、私の足の長さは完全に成長を止め、小柄で胴長短足の体型になってしまいました(苦笑)
この時期はいろいろなスポーツを満遍なくこなし全身の身体能力を伸ばすのが、複合的な技術を必要とする三段跳の能力アップへの近道です。ちょうど指揮者としての教育が総合的な音楽教育や個々の楽器の学びの後、20代で行うのがいいのと同じ感じですね。
なので、「強化」の名のもとに選手の性急な成績への執着を助長することのないよう注意することが重要だと思います。

最後に三段跳のトリビアをいくつか…
・三段跳の蹴り足は交互ではなく、右→右→左、もしくは左→左→右である
・踏切板から砂場までの距離は13m(高校は11m、中学は9m)。下手な選手が跳ぶと砂場まで届かず、硬い地面に尻もちをつくはめになる(笑;さすがに着地する前に諦めるでしょうが)。かといって距離を短くすると強い選手は3歩目の跳躍時砂場に着地してしまう(実際、中学最高記録14m58を跳ぶと3歩目は9mを超えると思われます)
・国立競技場の第4コーナーにある掲揚柱、通称「織田ポール」の高さは、織田幹雄がアムステルダム五輪で記録した15m21cmである
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