Thinking every day, every night

夢想家"上智まさはる"が人生のさまざまについてうわごとのように語る


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4月期のTVドラマもほぼ最終回を迎えつつありますが、早めに終了した番組の後番組もいくつか始まっています。

 

4月期として取り上げられず、次の7月期ドラマとしても取り上げられない端境期のドラマになってしまいそうですが、なかなか面白そうなので、ここで取り上げておきます。

 

以下の2つのドラマです。

 

・『水族館ガール』(NHK総合・火22:00) 6/17~
・『朝が来る』(フジテレビ系・土11:40) 6/4~

 


◎『水族館ガール』(NHK総合・火22:00)全7話

 

 

いわゆる「ドラマ10」枠で、大人の純愛ストーリーとして好評を得た『コントレール』の後番組になります。

 

総合商社から左遷で子会社の水族館に出向させられてきた冴えないOL(松岡茉優)が、本気で水族館の動物たちや飼育員たちと向き合い成長していく物語。

松岡茉優は女優として飛び抜けたオーラは感じませんが、こういった自信も誇りも責任感も欠けた現代っ子が崖っぷちに立たされて、職業人として一念発起し、がむしゃらに頑張って成長を遂げていくような作品には、相変わらずドンピシャ、ハマり役といえますね!

 

ちょっと心配なのが、主人公があまりにも簡単に自分の道をみつけることができる「ご都合主義」に陥らないか?という点。

松岡茉優は親しみやすいというか、わりとお調子者的なイメージが強いので、あまりにも簡単にハードルを乗り越えてしまうと、視聴者に共感どころか「現実はそんなに甘くない」とか「結局限られた天才の話かよ」といった反感を招く危険性があります。

初回から、気難しいC1(イルカの名前)がずっと封印していた「C1ジャンプ」を主人公の目の前で見事に演じてしまったので、一挙に心配になってしまいました。

 

共演は、お相手の水族館員に桐谷健太、同僚の水族館員に内田朝陽澤部佑西田尚美石丸幹二、水族館館長に伊東四朗、主人公の両親役に山西惇戸田恵子など。

 

梅雨のジメジメした憂鬱さを吹き飛ばし、初夏の爽やかさを思いっきり感じさせてくれる作品に仕上がっています。

 


◎『朝が来る』(フジテレビ系・土23:40)

 

 

辻村深月の同名小説のドラマ化。


中学生のときに産んだ子どもを特別養子縁組で他人に譲り渡した少女(川島海荷)。
不妊治療の末、出産を諦め、その男児をもらい受け、実子のように育ててきた夫婦(安田成美田中直樹<ココリコ>)。


数年後、少女が居場所を失い、窃盗を犯し、会ってはならない我が子に会いに来て、それまで幸せに暮らしていた家庭に波紋が広がり…。

 

16年ぶりのドラマ主演となる安田成美のあのおっとりと透明感あふれる演技は健在。


しかし唯一の、そして最大の不安材料は、制作があのフジテレビ系昼ドラドロドロ愛憎劇で有名な東海テレビだということ。

いや、東海テレビさんが悪いということではなく、この番組が昼ドラ的な性格をどんどん強めていくことへのごく個人的な警戒心です。

 

フジテレビ系昼ドラは今年2016年の3月末をもってその長い歴史を終えましたが、それが形を変えてこの時間帯に移ってきたとすると、これから主人公夫婦や実母の少女のたどる運命がこれでもかこれでもかというほど悲惨なものになりそうで…。

すでに第3話まで放送されていますが、その傾向が出てきていますよね。

 

実を言うと、原作の小説は読んでいないものの、その書評はいくつか読んでいて、主人公たちがどんどんわるい方向に落ち込んでいって、ラストも救われたようには見えないことへの賛否両論がかなり巻き上がっているのを知っているので、なおさら不安なのです。

 

せっかくのTVドラマ化なので、いい意味で脚色して、ぜひ生きていてよかったと思えるような前向きの作品に仕上げてほしいものと願っています。

 

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5月末の平日の夜に、ホテル椿山荘東京の庭園を訪れて、ホタルを観賞してきました。

 

椿山荘といえば、セレブや著名人が結婚する結婚式場として有名な、ちょっと敷居の高いホテル。
ここの庭園にホタルが自生していて、毎年この時期になると、ホタルが美しく飛び回る姿を見せてくれます。

しかも料金は無料なんです! 椿山荘さんったら、太っ腹~!!

 

ホテル椿山荘東京HP  庭園  庭園マップ

 

ホタルが最もよく観賞できる時期は5月下旬から6月いっぱいにかけて。

無数のホタルが飛翔する姿を見たければ、風のない晴れた日が最適。

雨の日はあまり飛びませんが、発光はするので、そこそこ美しい姿を見ることはできるようです。

また室内にビオトープも用意されていて、雨に濡れずにホタルを見ることができます。

最適な時間帯は、完全に日没しきって真暗になる午後8時以降。

 

 

◆アクセスは裏門(冠木門)がおすすめ

 

最寄り駅は地下鉄有楽町線の江戸川橋。

東西線の早稲田から行けないこともありませんが。

江戸川橋からは徒歩10分程度です。

 

「だけど天下の椿山荘は敷居が高いなあ」と思っているあなた。

確かに正面玄関から入って庭園まで降りていくのは気後れしますね。

 

しかし安心してください。

裏門にあたる冠木門(かぶきもん)から入れば、バツの悪さを一切感じることはありませんよ。

 

しかも正面玄関だと駅から上り坂をずっと登る必要がありますが、裏からなら神田川沿いの平坦なお散歩コースを歩いていけます。

椿山荘の建物が崖の上にあって、庭園が崖の下(斜面)に広がっているので、このようなことになっています。

ただし、遊歩道は暗く人通りもまばらなので、夜間の女性の一人歩きは注意が必要かもしれません。

また水辺なので蚊が跳んでいる可能性があるのと、暑い日は神田川のドブの臭いが気になる時があるかもしれません。

 

 

 

 

遊歩道を10分ほど歩くと、冠木門に辿り着きます。

 

 

 

入り口脇にパンフレットなど置いてあります。

もちろん無料で自由に出入りできます。

開門時間は午前10時から午後9:30まで。

 

 

◆暗くなるまで庭園を散策

 


門を入ると、きちんと手入れされた広大な日本庭園が広がっています。

三重塔「圓通閣」や茶室「残月」など国の登録有形文化財に指定されている史跡や、神社、石碑など多数のモニュメント、料亭・蕎麦処などが点在し、ここがホテル内とはとても思えません。

 

 

秋の紅葉も、さぞ素敵なんでしょうね!

 

山道のベンチから三重塔を臨む

 

三重塔の丘からチャペルを見下ろす

 

チャペルの脇には滝が音を立てて流れ落ちています。

この滝の裏側に小さなビオトープがあり、雨の日でもホタルを観察することができます。

 

庭園を縦断する広大な池の端からチャペルとホテルを臨む


まだ明るいですが、すでに庭園全体がライトアップ!

 

三重塔も見事にライトアップ

 

近くに寄るとこれまた幻想的です。

 

 

◆幻想的なホタルの舞いに感動!

 

辺りが真っ暗になるのは午後8時ごろ。

ホテル下のほたる沢に弁慶橋というおしゃれな橋がかかっており、そこがホタルの観察スポットになっています。

到着するとすでに多くの人が集まって歓声を上げていました。

まだ5月と、早い時期だったので、それほど混雑もせず、橋の欄干に寄りかかって、思う存分ホタルの飛び交う幻想的な光景を観察することができました。

 

「ホタルを写真や動画に収めるのは難しいよ」とのアドバイスをネットでいただいていましたが、確かに撮れはするものの、残念ながらここに掲載できるほどのものはありませんでした。

 

なお、写真撮影は禁止されていませんが、フラッシュは厳禁ですので事前にOFFにしておきましょう。

 

 

◆至れり尽くせりの椿山荘に感謝!

 

チャペルの脇あたりに建物の入口があって、トイレやフロントへの案内板が掲げてありました。

さっそくトイレを利用させてもらいました。

ふかふかの絨毯を敷き詰めた施設の中は、ポロシャツにジーンズにバックパックのラフなスタイルの身には場違いに感じましたし、もしもフロントの前を通らなければならないとしたら嫌だなあと思っていたのですが、そんなことはなく、すぐに手入れの行き届いたトイレを利用することができました。

 

途中に客室がずらっと並んでいて「XXX家様、YYY家様」などの札が掲げてあるのを見ると、ここが天下の椿山荘だということが実感されます。

 

帰りも冠木門から出てもよかったのですが、せっかくなので社会勉強も兼ねて、正面玄関から帰ることにしました。

 

3Fのフロントまでたどり着くのに結構苦労しましたが、夜も遅いので、それほど宿泊客やスタッフと顔を合わせることもなく、無事帰還しました。

 

 

それにしても、これだけの規模の庭園を毎日きちんと整備して、しかもこれを無料で開放しているのですから、もう驚くばかりです。

 

ちなみに、椿山荘は、元は明治の立役者のひとり、かの山県有朋の邸宅跡で、「椿山荘」という名称も山県有朋が自ら自宅に名付けた愛称なのだそうです。

その後、戦時中に空襲で一度消失し、再建され、ガーデンレストランとなって現在に至ります。

 

以上、都心で幻想的なホタルの舞を存分に楽しむことができて大満足の5月の一夜でした。

 

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5月下旬の平日に国立科学博物館で開催中の企画展『生き物に学びくらしに活かす』を見てきました。

タイトル的に地味で、どちらかというと大人向けの内容でしたが、意外と掘り出し物の企画でした。

 

 

・名称  :企画展『生き物に学びくらしに活かす』

・会場  :国立科学博物館(東京・上野公園)
・会期  :2016年4月19日(火)―2016年6月12日(日)   
・開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)

      毎週金曜日は~20:00(入場は~19:30)

・休館日 :月曜日

      ※ただし5月2日と6月6日は開館 
・料金  :一般・大学生 620円  

      高校生以下および65歳以上 無料  

      ※同時開催中の『恐竜博2016』や常設展の

      入場券があれば、無料  

 

国立科学博物館 企画展公式サイト

 

 

「バイオミメティクス」を具体的な製品や実用技術の展示により分かりやすく紹介する企画展です。

「バイオミメティクス」とは、生物学と工学が連携・協働し、生物に学びながら私たちのくらしをより良くすることを目指す新しい学問です。

 

主催は、科研費新学術領域「生物規範工学」と国立科学博物館。

共催が、高分子学会バイオミメティクス研究会と公益財団法人山階鳥類研究所。

 

取り上げられていた主な生物と応用技術は以下のとおり。

・フナクイムシ … トンネル掘削などのシールド工法

・オナモミ種子(ひっつき虫) … 面状ファスナー

・モルフォチョウの構造色 … 構造色繊維モルフォテックス

               超多層フィルムMLF

・チョウやガのモスアイ構造 … 低反射、撥水性素材

・カジキマグロの皮膚 … 親水性素材と競技用水着

・クジラの胸ビレの構造 … 風力発電回転翼

・魚群の非衝突性 … 日産自動車ロボットカー「エポロ」

・タコの吸盤 … バスケットシューズの靴底

・鳥の飛翔方法 … 省力性・静音性・安定性に富む飛翔

・ハコフグの外形 … バイオニックカーのフォルム

・フクロウの翼前縁のセレーション … 新幹線パンタグラフの静音性

・カワセミのくちばし … 新幹線の形状(トンネル騒音の低減)

・ワシの獲物捕獲時の足の動き … ロボットの動作

・鳥の羽毛のリフレット構造 … 航空機体の空気抵抗低減

・鳥の羽毛の構造色 … ポリドーパミン粒子による構造色素材

・カブトムシの前翅固定装置 … ?(今後の研究)

・カブトムシの後翅のセレーション … ?(今後の研究)

・海綿の体内のガラス質の骨片 … 低コスト高品質の光ファイバー

・ウバウオの吸盤 … 高性能吸盤

・サメの肌(鱗) … 水抵抗の少ない水着や船舶、旅客機

           水中での防汚素材

・トンボの翅の凹凸 … 低風力から稼働する安価な風力発電

・シロアリの巣 … 環境負荷の少ない空調

 

また、これらを研究するための技術として、以下のような技術が紹介されていました。

・SEM(走査型電子顕微鏡)

・ナノスーツ法

・生物SEM画像データベースと画像検索

・オントロジーの整備と

 異分野間の意思疎通可能なデータベースの実現

 

 

■バイオミメティクスとは

 

「バイオミメティクス」という言葉は通常、生物の形態や構造、能力などを模倣し、モノづくり、すなわち高額技術に応用することをいいます。

日本語では「生物模倣技術」などと訳されます。

この用語は1950年代後半に、米国の神経生理学者、オットー・シュミットによって提唱されました。

しかしその源流は15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチにまでさかのぼることができるそうです。

 

バイオミメティクスの歴史

 

バイオミメティクスの過去の代表的な実用例として、トンネル掘削工事におけるシールド工法が挙げられます。

掘削機の先端がフナクイムシの丸く開いた口の形状をヒントに考案されています。

 

フナクイムシ

 

また、ゴボウやオナモミ(ひっつき虫)の種子がセーター等にくっつくことにヒントを得て、面状ファスナーが開発されました。

オナモミの表面のSEM写真を見ると、先端がU字に曲がったカギ状になっており、面状ファスナーでは、輪になった細い糸とカギ状の太い糸とが混じって植え付けられています。

 

 

■昆虫とバイオミメティクス

 

◆昆虫のモスアイ構造

 

モスアイ構造とはその名の通り、ガやチョウの複眼表面にある微細構造で、光の透過、低反射性、超撥水性などの、複合的な機能を備えています。

これは直径150~200ナノメートルほどの突起が規則的に配列する「ナノパイル」または「ナノニップル」という微細構造によって実現されています。

最近ではモスアイ構造が、昆虫の複眼だけでなく、トンボやセミの翅などの透明な部分にもあることが分かってきました。

 

セミやトンボの透明翅、不透明翅のモスアイ構造

 

ジョナスキシタバ(ガ)の複眼と

アサギマダラ(チョウ)複眼のSEM写真

 

ベニスカシジャノメの透明翅表面のモスアイ構造

 

 

モルフォチョウの翅が青く輝く原理を応用して、2003年に日本で、世界初の構造色繊維が開発されました。

それが帝人(株)の「モルフォテックス」という繊維です。

モルフォテックスは一見ただの白い繊維ですが、太陽光や室内照明を受けて、モルフォチョウのような独特の青い光沢を発します。

 

同じ原理は繊維だけでなく、さまざまな樹脂製品にも応用されており、最近の注目すべき成果として、

超多層のフィルム「テイジンテトロンフィルム MLF」

三菱レイヨン(株)の透明フィルムモスマイト」などが発表されています。

 

 

透明フィルム「モスマイト」(三菱レイヨン)のSEM写真

 

 

微細構造の解析を促進させた技術が、SEM(走査型電子顕微鏡)と、ナノスーツ法です。

ナノスーツ法とは、界面活性剤の薄い皮膜にプラズマ処理を施すことにより、試料の完走や真空による変形や液分の逸失を防ぎ、軟弱な生物の組織や生体ですら、SEM観察を可能にした技術です。

このナノスーツ法の発明自体も、無処理でSEM観察可能な昆虫を研究することによって実現したバイオミメティクスの成果なのだそうです。

 

 

■海洋動物とバイオミメティクス

 

◆高速遊泳する魚の表面構造

 

ミズノ(株)は、カジキの高速遊泳を支えているのが皮膚表面の粘液と考え、表面にジェル加工を施した親水性素材「マーリンコンプ」を開発。(「マーリン」はカジキの英語名)

水着の表面に、それまでの水着に採用されていた撥水性素材とこの新しい親水性素材を並べると、それぞれの表面での流れの違いでたて渦が発生し、水流が乱れず、水の抵抗を8%減らすことに成功したそうです。

 

マーリンコンプの表面に発生するたて渦のイメージ

(親水性素材と撥水性素材を並べて水抵抗低減)

 

 

◆衝突を避ける魚たちの動き

 

魚類の群れはお互いや障害物や捕食者を巧みに避けて移動します。

これを自動車に応用すれば、渋滞や交通事故をなくせるのではないかと考えられます。

会場では日産自動車(株)のロボットカー「エポロ」(EPisode O RObot:エピソード・ゼロ・ロボット)が展示されていました。

入場者が前を通ると、レーザー光でそれを感知し、ロボットが向きを変えます。

 

日産自動車のロボットカー「エポロ」のデモ

 

この他、クジラの胸ビレを風力発電機に応用した例も紹介されていました。

ザトウクジラは胸ビレ前縁にあるコブで、ヒレの上に小さい渦を発生させることにより、大きな抵抗となる大きな渦の発生を抑え、低速遊泳での大きな揚力を可能にしています。

これを風力発電の回転翼に応用することで、風を効率よくとらえることに成功しています。

 

 

■鳥類とバイオミメティクス

 

さて、そろそろ息切れしてきたので、あとはざっと流しますね。ご了承ください。

 

鳥の応用としては、航空機そのものがまさにバイオミメティクスの成果といえます。この他にもこの分野の研究成果は多いですね。


たとえば、フクロウの翼前縁部の「セレーション」と呼ばれるノコギリの歯のような構造が羽音を消すのに役立っており、これが500系新幹線のパンタグラフに応用され騒音防止に役立てています。

また、カワセミのくちばしの形状を新幹線の先端の形状に応用することで、トンネル突入時の騒音の低減に役立てています。

 

 

■その他

 

工業的にガラスを作るためには高炉が必要ですが、深海に棲む海綿の一種、ヤマトカイロウドウケツは、体内を構成するガラス骨片(二酸化ケイ素)を深海の低温環境で作り出しています。

しかもそのガラス繊維は断面が層状になり、光ファイバーと同等の光伝送性能があり、強度も高く、より柔軟であるといわれています。

この方法を解明し利用することができれば、低コストで高品質の光ファイバーが期待できます。

 

ヤマトカイロウドウケツ

 

 

■最後に

 

なかなかハードな内容の企画展でしたが、産業での具体的な応用例を展示するなど、ビジュアルにも力を入れていて、とても興味深い仕上がりになっていました。

何より、先端的な研究分野って、夢があってワクワクしますよね。

 

科学博物館の企画展では大抵の場合、1枚ぺらのパンフレットがあるだけですが、今回はフルカラー22ページの冊子が入り口の脇に設置・配布されていて、力の入れようが伺われました。

 

同時開催の『恐竜博2016』の入場券があれば、この企画展は無料で入れるので、抱き合わせて訪れてみるといいかもしれません。

 

もちろん、常設展の観覧がてら足を伸ばしてもいいでしょう。

 

以上です。

 

 

 

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・名称  :日伊国交樹立150周年記念

      カラヴァッジョ展

・会場  :国立西洋美術館(東京・上野公園)
・会期  :2016年3月1日(火)―2016年6月12日(日)  
・開館時間:9:30~17:30(入場は17:00まで)

      毎週金曜日は~20:00(入場は~19:30)

      ※ただし以下の期間は~20:00まで時間延長  

       6月1日~4日、6月7日~11日
・休館日 :月曜日

・料金  :一般 1,600円 大学生 1,200円 

      高校生 800円 中学生以下 無料 

 

展覧会公式サイト

 

5月下旬の平日金曜日の昼過ぎに、東京上野公園の国立西洋美術館で6月12日まで開催されている『カラヴァッジョ展』に行ってきました。

 

当日はG7伊勢志摩サミットの警備の一環で、持ち物の中身を晒しての手荷物検査および金属探知機による身体検査があり、入り口に渋滞が発生していましたが、会場内の混雑度はそれほどでもありませんでした。

 

かの若冲展(5時間待ち)が終了した直後の平日だったことが功を奏したのだと思いますが、これから会期末に向けて、入場者は増えていくものと思われます。

 

 

■カラヴァッジョについて

 

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)は、バロック期を代表するイタリアの画家です。

 

時代としては、ルネサンス期の少し後にあたります。


ルネサンス盛期のミケランジェロやラファエロ、レオナルド・ダ・ビンチらの圧倒的な成果は、人々に「ミケランジェロ以前の芸術はもはや超克された」という意識をもたらし、ミケランジェロが到達した理想的な芸術的手法(マニエラ[maniera])を原点にして、それを模倣あるいは発展させることこそ、これからの芸術のとりうる姿だとする「マニエリズム」の潮流をもたらしました。
しかし「マニエリスム」は次第に形式主義に陥り、語源ともなったいわゆる「マンネリズム」の状況を迎えます。

 

そこに風穴を開けて、バロック絵画の時代を切り開き、同時代およびその後の絵画史にも多大な影響を与えたのがカラヴァッジョだと考えられています。

 

 

カラヴァッジョの絵画の特徴は、

徹底した写実性叙情性あふれるドラマティックな構図

そして、のちに「テネブリズム」という絵画スタイルに発展する

光と陰の明暗を強烈に対比させる表現(キアロスクーロ)にあるとされます。

 

理想化された世界や夢物語ではなく、現実世界で目の前にあるものを見たままに写しとるという、現代的な視点からは至極当り前の写実主義・自然主義を、絵画の世界で初めて確立したのが、このカラヴァッジョだということで、本国イタリアでもその功績は非常に高く評価されており、硬貨や紙幣にもカラヴァッジョの姿が描かれたことがあるそうです。

 

 

■本展覧会の見どころ

 

本展では、カラヴァッジョの11作品に、同時代あるいは少し後の時代の熱烈なカラヴァッジョ追従者、いわゆる「カラヴァジェスキ」たちの作品40点を加えて、合計51点が展示されています。

 

「な~んだ、本人作はたったの11点か」と嘆くなかれ。

カラヴァッジョの現存する真作とされる作品は60点強ですが、移動不可能な作品が多数あるため、そのうちの11点が集まる本展は日本で過去最多世界でも有数の規模なのだそうです。

 

最大の見どころは、本邦のみならず世界初公開となる『法悦のマグダラのマリア』でしょうか。

 

さらには、キアロスクーロの典型を提示した晩年の『エマオの晩餐』、3人の画家が同じテーマで競作したとされる『エッケ・ホモ』など、数は少ないですが、西洋美術史に顕著な影響を与えたという解説が頷けるような印象的な作品がずらりと顔を揃えています。

 

 

■展示作品の振り返り

 

展示は以下のセクションに分かれていましたが、ここでは敢えて年代順に並べて振り返ろうと思います。

 

 I  風俗画:占い、酒場、音楽
 II 風俗画:五感

 III 静物

 IV  肖像

 V 光

 VI  斬首

 VII  聖母と聖人の新たな図像

 

 

1590年代(カラヴァッジョ20歳代)の初期の作品には、個人的にはあまり惹かれません。

下の3枚の作品『果物籠を持つ少年』『トカゲに噛まれる少年』『バッカス』にはいずれも何やら男色的な雰囲気の漂う、ぽっちゃり・むちむち型の中性的な男子が何か物言いたげな顔をしてこちらをじっと見つめています。

男の子たちの顔がみな似通っているのは当時のカラヴァッジョの好みなのか、それともカラヴァッジョ自身を描き出そうとしたのか…

 

好き嫌いは別にして、ここには確かに、聖書の世界や理想化された人物造形ではなく、現実世界で息をし情念を発露する人間が生き生きと描かれており、手に抱えた果物は妙にリアルです。

 この頃の作品にはまだ写実性はそこまで徹底・追求されておらず、ドラマチックな一瞬の場面の切り取りな注力しているように見えます。

 

カラヴァッジョ《果物籠を持つ少年》 1594年頃 油彩・カンヴァス
70x67cm ローマ・ボルゲーゼ美術館

 

 

下の『トカゲに噛まれる少年』 もそのいかにもギャグっぽい構図が当時の人々にはさぞかし斬新だったでしょうね。

漫画のひとコマに「イテッッ!!」などと擬音つきで出てきそうなショットです。

 

カラヴァッジョ《トカゲに噛まれる少年》 1596-97年頃
油彩・カンヴァス 65.8x52.3cm
フィレンツェ・ロベルト・ロンギ美術史財団

 

 

 下の『バッカス』と名付けられた作品は、その名が示す通り、神話の世界に依拠するはずですが、描かれているのは、背徳的な匂いのする、男とも女とも判じがたい現代の若者の半裸像です。

 

カラヴァッジョは生前すでに時代を変革する革新的な画家として名声を得ていたようですが、その反面、あまりの斬新さ故に、しばしば教会などの依頼主から受け取りを拒否されたり、描き直しを要請されたりしたようです。

 

カラヴァッジョ自身の素行の悪さも、世間のそういう取り扱いの大きな要因になっていたようです。

会場でも、眼を見張るような作品の合間合間に、カラヴァッジョの人となりを紹介するパネルがいくつも挿入されていましたが、食堂で店員に皿を投げつけて訴えられるは、乱闘騒ぎをおこすは、果ては殺人事件で逮捕されるなど、まともな市民生活を送っていたとは到底思えない状況に、思わず苦笑してしまいました。

 

カラヴァッジョ《バッカス》 1597-98年頃
油彩、カンヴァス、フィレンツェ・ウフィツィ美術館

 

 

下の「女占い師」は後にカラヴァジェスキのひとりであるシモン・ヴーエも同一タイトルで作品を描いています。

女占い師は親密そうに男の手をとり手相を占っていますが、そこに注意を逸らしておいて、指輪だのポケットの中身だのを盗もうとしている一瞬を剥ぎとって描いています。

 

2つの絵を比較するといろいろ面白いですね。

 

写実性の観点からはシモン・ヴーエの方が徹底しているように見えます。

しかし物語性というか、人物の心の交歓とか感情の表現という観点から見ると、むしろカラヴァッジョの作品の方がこちらに訴えかけてくるものがあると感じるのは私だけでしょうか?

 

また、シモン・ヴーエの作品が、カラヴァッジョがその画風を確立して死んだずっと後の1617年に制作されていることに着目すると、カラヴァッジョが後に確立した手法を使って自身の若描きの『女占い師』を後に描き直したとしたらどうなっていたか?という観点から比較してみてもいいかもしれませんね。

 

カラヴァッジョ《女占い師》 1597年頃 油彩・カンヴァス
ローマ・カピトリーノ絵画館

 

シモン・ヴーエ《女占い師》 1617年 油彩・カンヴァス
97.5x134.5cm フィレンツェ・ピッティ宮パラティーナ美術館

 

 

下の作品『ナルキッソス』は、上に挙げた初期の作品より2~3年あとの作品ですが、初期の作品にあまり顕著ではなかった光と陰の明暗を強烈に対比させる表現(キアロスクーロ)が見事な芸術性として結実しているのが見て取れますし、カラヴァッジョの作品の特徴がすでにすべて備わっています。

 

ギリシャ神話のナルキッソス(ナルシス)に題材をとりながら、そこに描かれたのは現代の日常服を着た少年。

暗い背景の中に向かって右側から差す一条の光に照らされて光る少年の上半身と両腕と片足の膝小僧。

それらが透明な湖面に反射してうっすらと浮かび上がるさま。

絶妙の構図といえます。

 

カラヴァッジョ《ナルキッソス》 1599年頃
油彩・カンヴァス 113.3x94cm
ローマ・バルベリーニ宮国立古典美術館

 

 

これ以降は、カラヴァッジョ円熟期以降の作品。

(といっても、30代半ばの作品ですが)

 

下の作品『エッケ・ホモ』(よく「この人を見よ」と訳されますね)は、聖書「ヨハネの福音書」の一説で、処刑される前のイエス・キリストを描いた作品ですが、まさに見るものの目の前でドラマが繰り広げられているような生々しい臨場感があります。

宗教的な偶像性は感じられませんね。

 

カラヴァッジョ《エッケ・ホモ》 1605年頃
油彩・カンヴァス 128x103cm
ジェノヴァ・ストラーダ・ヌォヴァ美術館ビアンコ宮

 

 

下の作品『エマオの晩餐』は、イエスキリストが処刑の3日後に復活を果たし、2人の弟子とともに晩餐に招待されたという聖書「ルカの福音書」の一説を主題にした作品で、カラヴァッジョの特徴が最もよく現れた代表作です。

 

同じ主題を古今の多くの画家が描いていますが、そのほとんどが全体に一様に明るいか、イエスキリスト自身から神々しい光が放たれて周囲を照らすような作品になっていますが、カラヴァッジョのこの作品では、真っ暗な背景のなか、あくまで一方向の遠い先にある光源からの光を受けて、イエスキリストもその他の人々も、その他の静物も分け隔てなく同じような陰影で自然な形で描かれています。

 

この作品の構図も、先に挙げた『ナルキッソス』と同様、絶妙ですね!

 

ちなみに、この作品もそうですが、カラヴァッジョは晩年、デッサンなしに直接カンヴァスに筆を入れるのを信条としていたそうです。このエピソードも彼の卓越した技術力を物語っています。

 

カラヴァッジョ《エマオの晩餐》 1606年 油彩・カンヴァス
141x175 cm ミラノ・ブレラ絵画館

 

 

そして最後を飾るのは、世界初公開となる本展覧会の目玉『法悦のマグダラのマリア』

この作品は、長いこと行方不明とされていた作品で、2014年に個人蔵されていたところを見出され、その後の科学調査や鑑定の末、真筆と認定されました。

 

晩年のカラヴァッジョが手元に残し、旅先でもいつも携えていた数少ない作品のひとつで、彼がイタリアのポルト・エルコレで不慮の死を遂げた時、彼の荷物に含まれていた「1枚のマグダラのマリアの絵」がこれであると考えられています。

ちなみに、この作品が制作されたのは、彼が殺人を犯してローマから逃亡し近郊の町で身を隠していた時期だそうです。

 

「展覧会の目玉」と言われると天邪鬼の私はその時点で一歩も二歩も引いてしまいます。

今回もそうで、ほとんど期待せずにこの作品の前まで足を運んだのですが、この作品を見るや足が動かなくなってしまいました。

それほどの衝撃、感銘でした。

 

どう表現したらいいのでしょう。

 

今にも死にいりそうな、身悶えするようなエクスタシー。

抑制された情景描写の中で強烈に発散されるエロティシズム。

それはもはや宗教的か官能的かという判断を拒んで私の心に突き刺さります。

 

展覧会に出向く前にインターネットで画像を見ていたのですが、そのときは何の感動も受けなかったのです。

ところが、この目で実物を見たとたん、鳥肌が立って何分もの間その場を立ち去ることができませんでした。

カラヴァッジョ自身がずっと手元においていたというのも、きっとそれだけお気に入りだったのだろうと容易に想像できました。(本当のところは分かりませんが)

 

これを生で見ることができたというだけで、この展覧会を見に来てよかったと心底思いました。

 

カラヴァッジョ《法悦のマグダラのマリア》 1606年
油彩・カンヴァス 個人蔵

 

 

カラヴァッジョは殺人罪の許しを請うためにローマに向かう道すがら、熱病にかかって、38歳という短い生涯を閉じます。

この若さでその後の西洋美術の進展に多大な影響を及ぼしたというのですから、もしもっと長生きしていたらと思うと実に残念な気がします。

 

そういえば、会場のところどころにカラヴァッジョの発言集みたいなものがパネルとして貼り出されていたのですが、ことごとく、唯我独尊というか、自信過剰というか、大言壮語の連続で失笑!

 

しかしそれくらいでなければ、たったひとりでルネサンスや当時のアカデミズムの権威に風穴を開け、革新することなどできないですよね。

 

 

以上です。

 

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恒例の2016年4月期のTVドラマ見どころをお送りしようと思いつつ、身辺が異様に忙しく、今クールのドラマも早や折り返し点となってしまいました。

 

ということで、「見どころ」ではなく「中間評」の形でお届けします。

 

毎度しつこく断りますが、当サイトの記事は、青春もの・純愛もの・感動モノ至上主義で、事件ものや軽いノリのエンターテインメント作品が苦手な私の独断と偏見の産物であることにご注意ください。
視聴率とはほぼ確実に反比例します(苦笑)


■期待度別講評

 

全般に、それほど期待していなかった作品に予想外に面白いものが多く、結果として継続視聴する番組を減らすことができず、嬉しい悲鳴状態となっています!


◆期待度A (毎週ワクワク)

 

◎『ラヴソング』(月21 フジ)
  http://www.fujitv.co.jp/lovesong/index.html
見る前は、藤原さくら福山雅治のCD販促番組か、アミューズの新人抱き合わせ売り込み企画なんだろうと高をくくっていたのですが、藤原さくらの女優本気度が予想以上!


吃音で世間にうまく順応できない児童養護施設出の少女の姿をまさに本人がそうなのではないかと勘違いしそうなくらいに上手く演じています。

しかも煙草が離せない結構荒々しい肉食系女子。
こんな迫真の演技をしては、本業の歌手としてのイメージに傷がつくかも…などという躊躇は微塵もない潔さ。

 

ドラマの内容も、タイトルから想像するような単なる純愛ものではなく、3K職場の実態とか、夢が果たせず挫折した人々の心に残るシコリとか、学校や職場での嫉妬やいじめの問題など、現代社会の歪を、社会派ドラマとして突き放すのではなく、当事者の目の前の問題としてうまく掬い上げています。

 

恋愛カップルとして福山雅治藤原さくらの組み合わせはあり得ないと見る向きもあるかもしれませんが、これは敢えて狙っての起用だと思いたい。

つまり、はじまりはあくまでカウンセラーと患者。そこに恋愛感情への片鱗は見えない方がいい。

それが元アーティストと才能ある歌手の卵との関係に発展し、そしてそこに患者のカウンセラーに対するいわゆる「陽性転移」が芽生え、それが本物の恋に発展して…

 


◎『ゆとりですがなにか』(日22 日テレ)
  http://www.ntv.co.jp/yutori/
宮藤官九郎の作品は個人的にはどちらかというと苦手な方なんですが、岡田将生松坂桃李柳楽優弥のトリプル主演とくれば期待しないほうが変。
そして、蓋を開けてみると、期待に違わぬ面白さ。
脚本と演出と役者がマッチすると質の高い作品が生まれるという、ある意味当り前の事実を実感。

 

旧世代 vs いわゆる「ゆとり世代」という単純な対立概念でないところがいいですね。
また、戯画化する対象との距離感が離れすぎず付きすぎず、絶妙の間で描かれているので、視聴者が自分や周りのこととしてドラマの世界を同化しやすい一方で、現実世界で疲弊し袋小路に陥りがちの自分自身を一歩引いた視点で相対化(客観視)することにより、心に余裕をもたらし、明日への活力を蘇らせることができる、そんな作品になっていると思います。

 

岡田将生松坂桃李柳楽優弥がみんなして三者三様のヘタレぶりなところが最高ですね!

 


◎『世界一難しい恋』(水22 日テレ)
  http://www.ntv.co.jp/sekamuzu/
今クールで最も嬉しい誤算がこの作品。

NHK朝ドラでブレイクした波瑠がラブコメディのヒロインに挑戦。
お相手は恋愛物には不似合いな?大野智
どちらも「はまり役」とは言いがたいので、それほど期待していなかったのですが、これもうれしい誤算です。

 

大野智が切れ者のホテル経営者という設定はやはり違和感バリバリですが、恋愛未経験で一目惚れの美人社員にジタバタする様子はむしろ適役といっていいでしょう(笑)

 

あと、見直したのが、秘書役の小池栄子
ときには厳しい恋の指南役として、そして時には不安な心を暖かく包み込む実の姉のように、大野智演じるボンボン社長を健気にサポートする姿が実に自然体で、ドラマ全体に安定感をもたらしてくれています。
初めて演技をした頃は「パッと出のモデルが、見た目の派手さで起用されただけのにわか女優」くらいに思っていましたが、その後の女優としての成長ぶりには眼を見張るものがあり、ここへきてそこにさらに自信と貫禄が出てきた印象です。(上から目線での発言に見えたらごめんなさん)

 


◎『私結婚できないんじゃなくてしないんです』(金22 TBS)
  http://www.tbs.co.jp/watashi_kekkon/

中谷美紀が15年ぶりの主演。
視聴する作品をどちらかというと俳優で選ぶミーハーな私としては、中谷美紀藤木直人が主演という時点で、「とりあえず様子見」の範疇に入れていたのですが(おふたりとそのファンの方々、ごめんなさい)、これも蓋を開けてみるとすこぶる面白く「赤丸急上昇」!

 

何といっても、中谷美紀が3枚目の「行き遅れ」女医を、臆したり怯(ひる)んだりすることなく体当たりで演じ切っていることが成功の第一ポイントでしょうか。
社会的に成功した「意識高い系」のセレブ女医が、こと恋愛とか婚活に関しては、自信も強引さも無くオロオロするばかり。
しかしそのドタバタするところが逆に愛すべきかわいらしさにもなっている、そんなヒロインを中谷美紀が好演しています。

 


◎『火の粉』(土23 フジ)
  http://tokai-tv.com/hinoko/
深夜枠だと侮っていたら大間違い。

ユースケ・サンタマリアはこの手の何を考えているかわからない不気味な隣人役をやらせると相変わらずピカ一ですね。

 

裁判で無罪放免された一家惨殺事件の容疑者が、裁判長の隣に引っ越してきて、家族同然の付き合いをしようと近づいてくるお話。
その過程で次々と失踪事件やら殺人事件やら不審な出来事が発生し、ユースケ・サンタマリアの凍りついたような不気味な笑顔が私たちの心に冷水を掛けます。

 

初回から怪しいオーラ満々で、この先何話も持つのだろうか?と余計なお世話を焼いてしまいますが、目が離せません。

 


◎『僕のヤバイ妻』(火22 フジ)
  http://www.ktv.jp/yabatsuma/index.html
浮気の果てに妻を殺そうとした矢先、妻の誘拐事件が発生し、対処するうちに妻への想いをよみがえらせるも、実は誘拐は妻の自作自演であり、夫への復讐劇の始まりだったというストーリーの心理サスペンス。


初回~第2回までで、早くも誘拐が妻の自作自演であることが分かってしまうという展開の早さに「えっ! これからどんでん返しが何度も待ち構えているってこと?」

 

このドラマの目玉は何といっても、木村佳乃の不気味な良妻?悪妻?ぶり。
すべては伊藤英明演じるダメ男の心を繋ぎ止めたいがための健気な策略なのか?それとも夫のことはとっくに見放していて、その先の深謀遠慮の果ての冷徹な行動なのか?

 

また、単なるお隣さんにしては、キャラ立ちしすぎているキムラ緑子高橋一生の歳の差カップルも、何やら裏がありそうで、事件にも絡んできそうな気配。

回を追うごとに登場人物がすべて悪人に見えてきて、真相は混迷を極めてきます。


◎『重版出来!』(火22 TBS)
  http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/

コミック編集部を舞台にした内幕物って、TVドラマではこれまであまり見当たりませんでしたから、放送開始前から楽しみにしていました。

純粋なドラマとしてではなく、単に業界内幕を覗き見するという意味でも十分見る価値があると思います。

 

出演者の顔ぶれを見ると、松重豊、安田顕、荒川良々、高田純次、生瀬勝久、オダギリジョー、小日向文世、ムロツヨシ、滝藤賢一、要潤、濱田マリ…って、どれだけ曲者(くせもの)を揃えればいいの? これで当たらなかったらどう責任取るんだよ?(笑)って感じで、このラインナップだけでもすでに勝負あり?

 

ただ最大の気がかりが、連続ドラマ初主演の黒木華(「華」と書いて「はる」と読む)。
舞台で鍛えられているだけあって、若いに似ず上手い役者さんなんですが、「昭和顔」というか、家に嫁ぎ夫を陰で支える大人しいお嫁さんといった印象があまりにも強いため、主役には決定的に向かないのでは??と思って見始めました。
が、良い意味で期待を裏切られました。

 

本人もこれまで同じような役どころばかり回ってきてイメージが固定化しつつあることに危機感を持っており、ここは勝負だと心得ていると思います。
若干張り切りすぎで「元気いっぱいさ」が空回りしている節も無きにしもあらずですが、おそらくは元々の原作がそんな感じの女の子なんでしょう。


作中では黒木華演じる黒沢心は日体大柔道部出身とのことですが、何やら『YAWARA!』の柔ちゃんを彷彿とさせますね。
うん、『YAWARA!』の実写映画化があればまさにハマり役かも。(ちなみに『YAWARA!』は過去に一度、浅香唯主演で実写映画化されています)

 


◆期待度B (毎週普通に楽しみ)


◎『コントレール』(金22 NHK)
  http://www.nhk.or.jp/drama10/contrail/
過去に通り魔に夫を殺され現在は小さな飲食店を営む未亡人(石田ゆり子)が、行きずりのトラック運転手(井浦新)と運命的な出会いをし恋に落ちていきます。
そのトラック運転手が、何と、亡き夫を助けようとして、結果として誤って死なせてしまった男だということが分かり…

大人のラブストーリーというと判で押したように、不倫による家庭崩壊、そしてドロドロ愛憎劇になりがちですが、この作品はそういう「汚らわしさ」から逃れ、ピュアさに徹しているところが良いですね!

石田ゆり子井浦新という、ともに透明感のある役者さんが、この大人のピュア・ラブストーリーにピッタリはまっていて、青春映画を見るような何とも切ない気持ちに誘われます。

 

 

◎『早子先生、結婚するって本当ですか?』(木22 フジ)
  http://www.fujitv.co.jp/hayako/index.html

教育現場が舞台になるドラマは久しぶりの感じ。
といっても学校のドラマというよりは、日々の仕事に流されて漫然と生きている、特別な野心も燃えるような恋愛も無関係な「普通の」独身女性の物語ですね。

 

ドラマは松下奈緒演じる早子先生の一人称の独白で進行するのですが、あえて低いトーンでの語り口が、「普通の人」感を出していて、視聴者が等身大の自分に重ねることを容易にしているような気がします。

 

殺伐としたドラマとか逆にドタバタ喜劇が多いなか、ホッと息つけるドラマです。
逆にいうと、インパクトに欠けるところが欠点でしょうか?
そういう意味では同じ婚活ネタで同じクールの『私結婚できないんじゃなくてしないんです』とは好対照ですね。
どちらが良い悪いではなく。

 


◎『99.9』(日21 TBS)
  http://www.tbs.co.jp/999tbs/
「99.9」とは、日本の刑事事件で検察が起訴したもののうち有罪となる確率。

この大きな壁に果敢に挑戦する弁護士たちを描く1話完結の法廷ドラマ。

ちょうど木村拓哉の『HERO』と似たようなドラマですね。

弁護士と検察と攻守ところを変えていますが。


キムタクは良くも悪くも「型破り」な熱血漢で、検察「らしくない」自由奔放さが特徴ですが、松本潤演じる弁護士は何かと妙なこだわりを持つちょっと性格的に怪しげな「草食系変人」?

 

正直、まだ松本潤演じる弁護士の人物像を捉えきれていないところがありますが、この松本潤と、前髪パッツンの爽やか榮倉奈々、そして彼らを軽蔑しながら図らずも手助けする役回りを演じてしまう「不良」弁護士・香川照之のコンビが何とも良い味を出していて、次回も見てみようという気にさせてくれます。

 

 

◎『トットてれび』(土20 NHK)

  http://www.nhk.or.jp/dodra/tottotv/

これはドラマとしての楽しさというより、昭和テレビ史を追体験できることの楽しさから見ています。

おそらく視聴者の年齢層によって受け止め方が異なるのではないでしょうか?

若者からすれば、初めて目にするものばかりで新鮮な驚きの連続かもしれません。

私にとっては子供の頃の懐かしい映像の連続で、ノスタルジーに浸り切っています。

そtれにしても、NHK教育の『チロリン村とくるみの木』や『ブーフーウー』『ひょっこりひょうたん島』黒柳徹子が声の出演をしていたとは知りませんでした。

 

 

◎『毒島ゆり子のせきらら日記』(水24 TBS)

  http://www.tbs.co.jp/busujima/

深夜枠ですが、これは予想外に面白い。

番宣で「二股」だの「深夜の昼ドラ」だのという言葉が飛び交っていたので、どうせお色気体とドロドロ愛憎劇に前田敦子が体当たり演技するという話題性だけの作品だろうと高をくくっていましたが、内容は全然違っていました。

まあ、主人公・毒島(ブスじま)ゆり子の生き方は非倫理的で、決して褒められたものではありませんが。

 

内容は全然違いますが、やはり放送開始後にブレイクした『民王』と雰囲気が似通っていると感じたのは私だけでしょうか?

 

 

◆期待度C (様子見~脱落寸前)

◎『お迎えです。』(土21 日テレ)
福士蒼汰土屋太鳳が、この世に未練を残す幽霊を成仏させてあげるバイトに勤しむ物語。

一話完結で、さまざまな人間模様(幽霊模様?)を描きますが、この手の作品はいかに視聴者を飽きさせないかが最大の課題。

個人的には毎回お決まりの土屋太鳳福士蒼汰の尻に食らわせる強烈なキックが最大の楽しみ(笑)。

 

◎『OUR HOUSE』(日21 フジ)

視聴率的に裏番組のフジ『99.9』に完全に食われた形となりました。

少しだけお姉さんになったセーラー服姿の芦田愛菜がどんな演技を見せてくれるかが第一の興味の的でしたが、残念ながら初回から空回りしている感が否めません。

これがテレビドラマではなく舞台の上でなら、それほど違和感を感じないのかもしれませんが、茶の間からじっくりテレビ画面を見るシチュエーションではもっとナチュラルな演技でなければドラマの世界にどっぷり浸かることができなくなります。

回を追うごとに落ち着いてくれればいいのですが…

 

◎『不機嫌な果実』(金23 テレ朝)

まさに昼ドラ的な深夜ドラマ。

原作の林真理子の同名小説を直接読んだわけではありませんが、そもそも原作の内容そのものが私の好みと相容れないのだと思います。




◆期待度X (未視聴につき判断保留)

 

ブルーレーレコーダに溜め込んだまま、まだほとんど未視聴なため、とりあえず判断保留でここに置きました。

もう少し時間ができたらまとめて視聴しようと思います。

 

◎『ドクターカー』(木24 日テレ)

◎『ディアスポリス』(火25)

 

◎『ナイトヒーローNAOTO』(金24 テレ東)


■曜日別番組一覧

 

【月】
◎『ラヴソング』(月21 フジ)
【火】
◎『重版出来!』(火22 TBS)
◎『僕のヤバイ妻』(火22 フジ)
◎『神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎』(火25 TBS)
◎『ディアスポリス』(火25)
【水】
◎『警視庁捜査一課9係』(水21 テレ朝)
◎『世界一難しい恋』(水22 日テレ)
◎『毒島ゆり子のせきらら日記』(水24 TBS)
【木】
◎『警視庁・捜査一課長』(木20 テレ朝)
◎『鼠、江戸を疾る2』(木20 NHK)
◎『グッドパートナー』(木21 テレ朝)
◎『早子先生、結婚するって本当ですか?』(木22 フジ)
◎『ドクターカー』(木24 日テレ)
【金】
◎『ドクター調査班』(金20 テレ東)
◎『私結婚できないんじゃなくてしないんです』(金22 TBS)
◎『コントレール』(金22 NHK)
◎『不機嫌な果実』(金23 テレ朝)
◎『ナイトヒーローNAOTO』(金24 テレ東)
◎『その『おこだわり』、私にもくれよ!! 』(金25 テレ東)
【土】
◎『トットてれび』(土20 NHK)
◎『お迎えです。』(土21 日テレ)
◎『火の粉』(土23 フジ)
◎『昼のセント酒』(土24 テレ東)
◎『HiGH & LOW 2』(土25 日テレ)
【日】
◎『99.9』(日21 TBS)
◎『OUR HOUSE』(日21 フジ)
◎『ゆとりですがなにか』(日22 日テレ)

 

以上です。

 

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アメーバブログの新エディタでは長らくYuotubeの埋め込みコードを貼り付けるとエラーになっていたのですが、4/27付のスタッフブログで、ようやくYoutube埋め込みコードに対応した、との朗報が。

 

ところが、喜び勇んで貼り付けてみると、あいかわらずのエラーが…??

 

ネットを見ると、できている人とできていない人が混在しているようで、解決策が見当たりません。

 

そこで自分なりにいろいろ試してみたのですが、原因と回避策が見つかりましたので、ご報告します。

 

 

■エラーの原因と回避方法

 

どうも、Youtube埋め込みコードの一部にハイフン「-」が存在する場合に、これが禁止ワードとみなされるようです。

 

具体的には、Youtubeの埋め込みのパラメータのうち、「プライバシー強化モードを有効にする」という項目をONにする(チェックボックスにチェックする)と、以下のようなコードが生成され、URLにハイフンが現れます。

 

<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube-nocookie.com/embed/XXXX?rel=0" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

 

チェックボックスのチェックを外すと、以下のようなコードが生成され、ハイフンはURLに含まれないため、エラーにはならなくなります。

 

<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/XXXXI?rel=0" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

 

ちなみに、ハイフンはどこにあっても駄目なわけではなく、NG箇所はごく限定されているようです。

たとえば、".com/"の後ろにハイフンが来てもエラーにはならないようです。

 

 

■そんなに修正が難しい??

 

しかし、ハイフンが入るか入らないかでNGになるというのはおそらくアメーバ自身も自覚していない現象なのではないでしょうか?

だから、どういう条件でエラーが発生するか自体を認識できないでいるのでは?

 

ハイフンを受け入れるよう早急に修正してほしいものですが、おそらくすぐには対応できないかもしれません。

というのも、前回の不具合解消も、2/9に新エディタが公開されてから対応まで3ヶ月近くを要しているからです。

 

そんなにたいへんな修正にはならないと思うのですが…

 

 

■{ご参考)Youtube埋め込み対応前の状況

 

ちなみに、前回のYoutube埋め込みができない不具合の原因と暫定対応方法も私なりに分析済みです。

4/27に不具合が解消されたので、もはや無用の知識ですが、もしも今後、同様の現象が起きたときのために記載しておきます。

 

以下がYoutubeで作成した埋め込みコードの例です。

 

<iframe width="420" height="236" src="https://かくかくしかじか?rel=0" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

 

アメブロの新エディタを開き、「HTML表示」タブを選んで、上記のタグをコピペします。

この時点で「表示を確認する」ボタンをクリックして表示できるか確認してみてください。

中身は白抜きになりますが、エラー無く表示できるはずです。

 

その後、「通常表示」タブに戻ってください。

今度はYoutubeの埋め込みが中身までちゃんと表示されます。

 

そして再び「HTML表示」タブに戻ります。

そして「表示を確認する」や「下書き」「全員に公開」などをクリックすると、エラーなく処理されます。

 

ところが、ここで「通常表示」タブをクリックして通常表示にしてから「表示を確認する」や「下書き」「全員に公開」などをクリックすると、何と今度は「記事内容に禁止タグが入力されています」とエラーが出るようになります。

 

では何が悪いのだろうともう一度「HTML表示」タブを開いてみます。

すると埋め込みタグが次のようになっていることが分かります。

 

  <iframe width="420" height="236" src="https://かくかくしかじか?rel=0" frameborder="0" allowfullscreen="">
  </iframe>

 

比較できるように元のコードを再掲します。

 

<iframe width="420" height="236" src="https://かくかくしかじか?rel=0" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

 

違いが分かりにくいですが、新エディタが、インデントなど見た目を整形し、コードに文法不備があったら修正していることが分かります。

 

 ・「allowfullscreen」に「=""」を付加

 ・「</iframe>」を改行

 ・開始の「<iframe ~」の前にSPACEを2つ挿入

 ・最後の「</iframe>」の前にSPACEを2つ挿入

 

この編集後のコードは文法的には間違いないのですが、なぜかこれを(4/27以前の)新エディタは禁止タグ扱いにしていました。

 

つまり、新エディタは、ユーザが入力したコードを勝手に整形し、そのせいで自分のチェックルーチンのトラップにひっかかってしまっていたのです。

なぜ整形後のコードがチェックに引っかかるのかは不明ですが。

 

この不具合の暫定的な回避方法ですが、整形させなければいいのです。

すなわち、「HTML表示」タブのままで「下書き」なり「全員に公開」なりをすればいいのです。

一度でも「通常表示」にしてしまうと裏で整形されてしまいます。

 

ただ難点は、一度「下書き」なり「全員に公開」なりして、エディタ画面を抜けてしまうと、次に(修正しようとして)エディタで開いたときに「通常表示」タブで開いてしまうので、その時点でコードが整形されてしまい、エラーを発してしまう点です。

その際には、また「HTML表示」で整形されてしまったコードを元に戻す作業をする必要があります。

 

以上です。

 

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いやあ、いろいろ忙しくてサイト更新できないでいましたが、おかげさまでようやく戻ってきました!

まずは陸上競技サイトの更新を済ませ、これで完全復帰です。

 

これからもよろしくお願いします。

 

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2016年1月期のドラマも終了し、すでに4月期ドラマも続々スタートしている今日このごろ。

遅ればせながら、恒例のドラマ評をお送りします。

 

いつもはドラマ開始時に「見どころ」記事や、始まって間もない時期に「中間評」など書くのですが、今1月期はタイミング的にいろいろ忙しくて、何も書けないまま、このドラマ評になってしまいました。

 

なお、毎度お断りするように、この評価記事は、青春もの・純愛もの・感動モノ至上主義で、事件ものや軽いノリのコメディに価値を見い出せない私の独断と偏見の産物であることにご注意ください。
視聴率とはほぼ確実に反比例します(苦笑)

 

また、取り上げた作品は地上波に限定しています。
さらにテレビ東京の作品は東京ローカル限定の可能性が高いですが、ご了承ください。

 

■総評

 

今クールのドラマに対する皆さんの評価はいかがでしょうか?

 

完全に成功したかどうかは別にして、意欲作が多い充実したクールだったというのが私の感想です。

一方で「つまらなかった」「早々に脱落した」という感想も多く聞かれそうです。

これらは決して相反するものではなく、意欲作=視聴率が伸びないという現象はしばしば起こりがちな現象ですね。

視聴者の多数派ニーズと制作者側の意図の間にどうしても温度差が出てくるのは否めない事実です。

 

私の中で評価が高かったのは具体的には以下のような作品です。

・『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』

・『わたしを離さないで』

・『逃げる女』

 

また、今クールは、最近には珍しく、純愛もの、求愛ものが多かったですね。
その性格上、幅広い視聴者層には支持されないため、視聴率が低迷傾向になるのは避けられませんが、私としては願ったりのクールでした。
おかげで、観るべき番組が多すぎて嬉しい悲鳴状態でしたが。

 


■各賞発表

 

◆大賞
◎『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』
(月21 フジ)

 

講評:

いまや押しも押されぬCM女王有村架純民放連ドラ初主演作であり、25年前に大ヒットし社会現象にまでなった『東京ラブストーリー』や最近でも『Mother』などで根強いファンを持つ気鋭の脚本家坂元裕二が満を持して送り出す「現代の東京ラブストーリー』とあって、始まる前から期待は極大。

 

まさに王道の月9ラブストーリーかと思いきや、これ、「月9」というより、どちらかというと「木10」のテイストでしたね。
作品の雰囲気があの倉本聰『北の国から』に通じるものがありました。

 

「月9かくあるべし」というルールなどありませんが、ドラマを気楽に見たいという視聴者や月9にトレンディーで華のある都会の雰囲気を期待する視聴者にとっては、週のはじめから重すぎる内容だったかもしれませんね。
この点に関しては個人的には全く無問題でしたが、賛否両論、評価が分かれるところでしょう。

 

それより、私が少し引っかかったのは、まさに倉本聰の作品でもいえることなのですが、脚本家の思い入れやこだわりによる独特のセリフ回しや間(ま)、言動が鼻につく場面がここかしこにあって、それが感情移入の妨げになったところ。

 

具体的な例を示せずに批判だけするのはたいへん申し訳ないのですが、「これ、田舎から上京してきた君らが共通に体験した『あるある』だろ!」とか「この会話は、いつか使いたいと大事に温めてあったものなんだよ」とか「さあ、ここが泣き所だよ!」といった脚本家のつぶやきが、役者の背後から聞こえてくるような明け透けさというか押し付けがましさを感じていまうんですよね。

 

それが脚本の自意識過剰に由来するのか、過剰演出の問題なのか、俳優の表現力の問題なのか、はたまた視聴者としての私が捻くれすぎているだけなのか、その辺の原因分析は難しいところですが。

 

とさんざん文句を言いつつも、この作品を「大賞」に選んだわけですから、そういった違和感を吹き飛ばしてしまうほどの圧倒的な「トキメキ」「ワクワク」「ウルウル」感を与えてくれる極上の青春群像劇であることに間違いありません!

 

田舎から都会に出てきた若者が共通に抱く不安や葛藤や孤独。そして郷里への反発と執着の入り混じった感情のせめぎ合い。これは普遍的なテーマですね。

 

これに加えて、不安定な非正規雇用の拡大、ブラック企業の横行、それを背景に進行する若者の精神的荒廃といったきわめて今日的な問題にも果敢に取り組み、ドラマに奥行きを与えました。

 

「月9最低視聴率を更新」というニュースも流れましたが、この作品が特に失敗だったわけではないと思います。

ただ、最初に述べたように、月9ではなく、木10などの方がふさわしかったかもしれません。(木10だったとしても、視聴率が変わったとは思えませんが)

 

個人的な興味として、これまで女優として今ひとつ弾けきれていない有村架純が主演女優としてどこまで脱皮できるかという点がありましたが、これについては微妙でした。
作中人物になりきれていないというか、どこまでも「アイドルタレント有村架純」の顔が前面に見えてしまうんですよね。

いや、魅力的な女優さんであることは間違いないんですよ! さらなる成長に期待したいですね。

 

 

◆優秀作品賞
◎『逃げる女』
(土22 NHK)

◎『わたしを離さないで』(金22 TBS)
◎『あさが来た』(月-土8 NHK)

 

講評:

『逃げる女』

この作品をひとことで言うと「ドラマ制作の玄人好みのドラマ」といえるのではないでしょうか?

素人の私が言うのも何ですが。

作品としての「品質」という点で評価すれば、この作品が大賞になってもおかしくないと思いました。

ただし、ここではあくまで「私の好み」という点を重視したため、泣く泣く優秀作品賞に挙げるにとどめた次第です。

 

風光明媚な長崎県平戸や佐世保を舞台に繰り広げられる一種の「ロードムービー」ドラマでありながら、このスリルと緊迫感、臨場感といったらどうでしょう!

温かい南国の風景のはずが、主人公や登場人物の不安や絶望を反映して、北国の殺伐・荒涼とした風景にも見えてくる、まさに演出の妙。

とりわけカメラワークの秀逸さには眼を見張るものがありました。

「逃げる女」らしく主人公の走る姿や歩く姿が全編に溢れるのですが、それを手持ちのカメラで追いかけながら撮影すれば臨場感MAX!

またあるときは固定カメラの遠景からズームイン・ズームアウト。

素人の私が説明すると基本中の基本しか説明出ませんが、とにかくさまざまな技術を適材適所に適用して、心理描写を見事に映像表現に昇華できていました。

 

この作品でさらに話題をさらったのは、途中から主人公と行動を共にするようになる殺人犯の若い女性役を演じた仲里依紗鬼気迫る演技

個人的には演技がちょっとオーバーアクション気味かなとも感じられましたが、親の愛情を知らずに孤独のなか、世間から爪弾きにされるように育ってきた人間の、世界に対する憎悪、自暴自棄ともとれる破壊衝動、そしてだからこそ主人公に寄り添って無意識に救いを求めようとする(がそれをうまく表現できない)未成熟な魂の叫びを、存分に表現していました。

 

『わたしを離さないで』

日本生まれで英国に帰化し英国を代表する現代作家として知られるカズオ・イシグロの同名小説のドラマ化とあって、これをどう料理して現代の日本に当てはめることができるのか、興味深いものがありました。


ストーリーとしては、人に臓器を提供するだけのために生まれてきたクローン人間の子どもたちが、生きる意味を模索しながら、その短い生涯を懸命に生きる姿を描く、非常に重いテーマの作品。

 

しかし、この作品を、将来的に現実化する可能性のある遺伝子操作によるクローン人間とその生命倫理の問題に矮小化してしまってはもったいないでしょう。

同じ問題は、単に食すためだけに、牛や豚や馬を大量生産し、「家畜」という免罪符によって、生命を平然と絶つ現代人にもあてはまるはず。

また、人種などマイノリティが差別的な(ときには非人間的な)扱いを受け、それに抗議しても、大多数の人々に声が響かないという現状にもあてはまるでしょう。

 

そういう意味で、私たちは感性のアンテナをより敏感に張り巡らせば、この主人公たちにも、さらには周りの一般大衆たちにも、感情移入できるはずだです。

このドラマはそういうことを考える機会を与えてくれたという点で高く評価したいと思います。


『あさが来た』

これについては以前すでに「2015年10月期TVドラマ 中間評」で解説済み。

久々に「朝ドラ」らしい朝ドラだと感じたとおり、高視聴率に終わりましたね。

 

ただ前半が出色の出来栄えだったのに比べて、やることをやり終えた感のある後半(商売の一線から半ば退き、日本初の女子大設立に向け尽力するあたりから)はやや失速気味だったかな~とも個人的には感じられました。

やはり「ハイカラさんが通る」みたいな型破りなお転婆少女が大人になっても変わらず破天荒な行動で世間を動かしリードしていく、みたいなストーリーを見たいんですよね。

その点、後半は「棘」がとれて、仲睦まじい夫婦的な雰囲気に満たされてしまったところが個人的な不満点でした。

 

 

◆上智まさはる お気に入り賞
◎『ダメな私に恋してください』
(火22 TBS)
◎『スミカスミレ』(金23 テレ朝)

 

寸評:

『ダメな私に恋してください』

アラサーの肉食系・非モテ・ダメ女子が元上司に恋するシンデレラ系恋愛ファンタジーをフカキョンこと深田恭子と今をときめくDEAN FUJIOKAが好演。

深田恭子はどう見ても非モテ女子には見えませんが…

それにしても、気がついたらもう33歳になる深田恭子が、相も変わらぬ「不思議少女」ぶりで「主任ぃ~ん♡」などと「ぶりっ子」しても、そこに少しも違和感や嫌らしさが感じられないどころか、むしろ「ぶりっ子」の円熟味が増し完成形に向かっているとすら感じられるのはどういうことでしょう。

これはもはや他の追随を許さぬ「才能」ですね!

 

というわけで、本当は個人的に今クールで最も楽しく観ることが出来た作品であり、深田恭子最優秀主演女優賞に推したいくらいのところを、「大人の」自分がそれを制したため、代わりに私の名を冠した特別賞を贈ることにしました。

 

『スミカスミレ』

母の介護に明け暮れ、独身のまま60歳を迎えた老婆(松坂慶子)が、屏風に描かれた化け猫(及川光博)の霊力により、女子大生(桐谷美玲)に若返って、キャンパスライフや恋愛を謳歌するという荒唐無稽の現代のファンタジー。

あえて悪人を登場させず、とことんファンタジーに徹した作りがよかったですね。

桐谷美玲が主演ということで見始めましたが、もうひとりの主演(久々の?主演となった)松坂慶子が夜の11時を過ぎて、若い姿から本来の年寄りの姿に戻ってしまうときのアタフタする姿がとても可愛いかったですね!

松坂慶子といえば、1970年代はじめにTVドラマ『おくさまは18歳』『なんたって18歳!』岡崎友紀演じるヒロインのライバル役として出演していたのが当時18歳~19歳のころなので、今回のドラマでまさにそのときと同年齢の役柄を演じたことになります。



◆最優秀主演女優賞
◎広末涼子/内田有紀(『ナオミとカナコ』(木22 フジ))

  ◆次点:水野美紀(『逃げる女』)

  ◆次点:波瑠(『あさが来た』(月-土8 NHK))

 

寸評:

広末涼子内田有紀合わせ技で一本!

『ナオミとカナコ』で、夫のDVに悩む女性とその親友が、止むやまれず夫を殺害し、替え玉を使って隠蔽工作したあげく逃亡を図るという難しい役回りを、ダブル主演の広末涼子内田有紀がよく演じきったと思います。

特に内田有紀は、若い頃はボーイッシュで活発なイメージで熱烈なファンを獲得しながら、歳を重ねるにつれ、その立ち位置からの脱却に苦労していたようですが、2012年の『最後から二番目の恋』あたりから、どこか吹っ切れたような印象を持ちます。

前クールの『偽装の夫婦』では大人しく女性らしい同性に恋する母親役を演じて新たな魅力を発揮し、この『ナオミとカナコ』でも、DVに悩む気弱な若妻が夫の殺害を企て葛藤するさまを見事に演じ切りました。

 

 

◆最優秀主演男優賞
◎遠藤憲一
(『お義父さんと呼ばせて』、『逃げる女』)

  ◆次点:高良健吾(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』)

 

寸評:

数年前までは端役のチンピラの印象しかなかった遠藤憲一が、このところドラマに映画にCMにと引っ張りだこで、今や押しも押されもせぬお茶の間の主役になっています。

2015年の『民王』で主役の総理大臣をコミカルに演じて新境地を開拓したと思ったら、今クールは『お義父さんと呼ばせて』『逃げる女』の2作品に登場。

かたや商事会社の熱血企業戦士、かたや冤罪事件を後悔する刑事。

いずれも味のある迫真の演技でドラマを引き立てました。

 

 

◆最優秀助演女優賞
◎仲里依紗
(『逃げる女』)

  ◆次点:吉田羊(『ナオミとカナコ』)

  ◆次点:高畑淳子(『ナオミとカナコ』)

 

寸評:

上の優秀作品賞の寸評でも書いたように、文句なしに仲里依紗を選出。

演技過剰の嫌いが無きにしもあらずですが、主役をも喰ってしまうほどの無二の存在感はお見事というほかありません。

ヤンキー的な役柄が固定化しつつあるのが今後に向けた課題ですかね。

 

次点はともに『ナオミとカナコ』で老練な演技を魅せつけた吉田羊高畑淳子

吉田羊仲里依紗がいなければ間違いなく最優秀助演女優賞に選出していたところでした。殺された弟の無念を晴らすべく犯人を追い詰めるその鬼気迫る演技は、どちらが殺人犯か分からないほどで、お茶の間の視聴者を凍りつかせ、作品に緊迫感を与えました。

ラストで海外逃亡しようとするナオミとカナコを成田空港で寸前に追い詰めたとき、虚空を見上げて「ウォー」と叫んだ姿がいまだに目に焼き付いています。

 

同じく次点の高畑淳子は、在日中国人社長を片言の日本語で見事に演じて、作品に深みと旨味を出すことに貢献していたと評価して選出しました。

 


◆最優秀助演男優賞
◎DEAN FUJIOKA
(『あさが来た』
              『ダメな私に恋してください』)

 

寸評:

NHK朝ドラ『あさが来た』で明治の実業家、五代友厚を演じてお茶の間の女性たちのハートを鷲掴みにしたディーン・フジオカが、民放ラブコメディ『ダメな私に恋してください』で厳しさと優しさを兼ね備えた先輩を演じて、さらにファンの胸をキュンとさせましたね。

俳優としての出自とか立ち位置が斎藤工にも似たところがありますが、斎藤工がどこか影というかひねたところが見え隠れするのに対して、ディーン・フジオカの場合は裏がなくてどこまでも表という印象。

この透明感はとても貴重ですが、それが今後に吉と出るか凶と出るかはまた別問題。

 


◆ライジングスター賞
◎高畑充希
(『東京センチメンタル』、
        『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』)

 

寸評:

高畑充希といえば、これまで正直、主役というより、ヒロインの職場の同僚とか、親友のフリして嫉妬でヒロインを脅かす役など、どちらかというと脇役やヒール役の印象が強かったのですが、このところ、一皮むけて、堂々と主役を張れるようなオーラを備えてきたように感じています。

若いとはいえ役者としての芸歴は長く、もともと演技力には定評がありましたが、何か転機となるものがあったのか、実績と自信の積み重ねが自ずと役者としての「箔」を形成してきたということか。

今クールは『東京センチメンタル』と『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』に出演し、いずれもいい味を出していました。

最優秀助演女優賞をあげてもおかしくなかったのですが、上で書いたように主演女優としての魅力も兼ね備えてきた昇り龍の女優という意味で「ライジングスター賞」を授与しました。

4月開始のNHK朝ドラの主役が決定しているので、期待大ですね!

 

 

◆優秀音楽賞

 

◎手嶌葵明日への手紙」(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』)
◎aikoもっと」(『ダメな私に恋してください』)
◎EXILE ATSUSHI + AINo more」(『ナオミとカナコ』)
◎Julia ShortreedNever Let Me Go」(『わたしを離さないで』)

 

 

以上です。

 

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今日、日比谷線の秋葉原駅を使ったら、発車メロディーがAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」に変わっていたぞ。

いや、それだけ。

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2月初旬の平日に、東京上野にある東京都美術館で開催されている『ボッティチェリ展』に行ってきましたので、簡単にご報告します。

 

 

・名称  :ボッティチェリ展

・会場  :東京都美術館(東京・上野)
・会期  :2016年1月16日(木)―2016年4月3日(木)  
・開館時間:9:30~17:30(入場は17:00まで)

      毎週金曜日は~20:00(入場は~19:30) 
・休館日 :月曜日、3月22日(火)

      ただし、3月21日(月)、3月29日(火)は開室
・料金  :一般 1,600円 学生(大学、専門学校) 1,300円 

      高校生 800円 65歳以上 1,000円

      中学生以下 無料 

 

東京都美術館HP

展覧会特設サイト

 

■本展の特徴

イタリア・ルネサンス期を代表する巨匠の一人、サンドロ・ボッティチェリ(1444/45-1510)の日本で初めての本格的な回顧展です。

 

ボッティチェリの作品は、多くが板に描かれ、きわめて繊細なため、これまで、まとまった数の来日は叶いませんでした。

 

今回、日伊国交樹立150周年記念ということでイタリア政府の全面的な協力を得て、フィレンツェはじめ世界各地から20点以上ものボッティチェリの作品を集めることが実現しました。(現存するボッティチェリの作品は全世界でわずか100点くらいといいますから、結構な数を集めましたことになります)

ただし、ボッティチェリの代表作と目される『ヴィーナス(ウェヌス)の誕生』や『春(プリマヴェーラ)』は今回展示されていません。

 

さらに、ボッティチェリの師フィリッポ・リッピや、弟子でありライバルでもあったフィリッピーノ・リッピの作品なども交え、合計約80点を展示して、巨匠ボッティチェリの初期から晩年までの画業と、15世紀フィレンツェにおける絵画表現の系譜をたどります。

 

ボッティチェリの時代背景

ときはルネサンス期。

 

ルネサンスといえば、言わずと知れた14世紀から16世紀にかけて興った古典古代(ギリシア、ローマ)の文化を復興しようという一大文化ムーブメントですね。

14世紀にイタリアで始まり、やがて西欧各国に広まり一大勢力となりました。

 

ルネサンスを定義するのは難しいですが、素人的に分かりやすいのは、主にキリスト教信仰に基づく「硬直化した不自然な人間表現」を是とする時代から、そういう呪縛から解き放たれた「自然な人間表現」へ転換を意図したという捉え方。

 

このふたつの指向性は、有史以来、その時代、時代で主流になったり、取って代わられたりということを繰り返しながら今日に至っています。

 

まあ、政治でも何でも、時代の趨勢が左右の両極端を行ったり来たりして歴史が進むというのは世の常のようです。

 

技法や見た感じから区別すると、中世の絵画が主にテンペラを使った淡く単調ながらも明るい色使いなのに対して、ルネサンス以降は、次第に、表現の自由度が高く、ぼかし表現や透明感のある描写が可能で、モチーフを自然な質感で写実的に描き出すことが可能な油彩技法へと推移していきます。

 

ルネサンス芸術は、美術史上、黎明期(14世紀)、初期(150世紀-15世紀後半)、盛期(15世紀後半-16世紀前半)、そして後期のマニエリスム期(16世紀前半-16世紀末)などと分けて語られることが多いようです。
綺麗に分けられるものではないと思いますが、概ね、レオナルド・ダ・ビンチ、ラファエロ、ミケランジェロの「三大巨匠」以降を「盛期ルネサンス」と呼び、それ以前を「初期ルネサンス」と呼ぶようです。

 

そしてボッティチェリ初期ルネサンスの芸術家に数えられています。

時代的にはほとんど同じだし、ボッティチェリとレオナルド・ダ・ビンチは一時期、同じ工房で仕事をしていたんですけどね。

 

 

 

■ボッティチェリの特徴

ルネサンス期の同時代の芸術家たちが、科学的な遠近法や明暗法を駆使した自然主義的な表現に向かうなか、ボッティチェリは中世美術を思わせる装飾的、象徴的な様式を貫きました。

先ほど挙げたテンペラから油彩への移行という観点からも、ボッティチェリはほとんどの作品をテンペラで制作しています。

つまり、急進的なルネサンス推進派からすれば、どちらかといえば保守勢力なわけですね。

 

このことが、レオナルド・ダ・ビンチらとほとんど同時代人であるにもかかわらず、「初期ルネサンス」画家に分類され、その後も19世紀後半まで西洋美術史の主流から忘れられた存在になってしまった大きな原因のひとつなのでしょう。

 

しかし、当時のボッティチェリは、あのメディチ家から殊のほか寵愛され、注文が後を絶たないほどの当代きっての売れっ子芸術家だったようです。

我が道を行くレオナルド・ダ・ビンチが手記の中で唯一名前を挙げているのがボッティチェリということです。

 

現代的な観点からすれば、中世的な荘厳な美術を継承・追求しつつ、新たなルネサンスの潮流の礎のひとつとなった点で、とても重要な画家のひとりと考えていいのでしょう。

 

■展覧会の構成

展覧会は以下の4つの部屋から構成されていました。

ごく簡単に言えば、年代順にボッティチェリとその周辺を辿っていくわけです。

 

第1章 ボッティチェリの時代のフィレンツェ
第2章 フィリッポ・リッピ、ボッティチェリの師
第3章 サンドロ・ボッティチェリ、人そして芸術家
第4章 フィリッピーノ・リッピ、ボッティチェリの弟子からライバルへ

 

■第1章 ボッティチェリの時代のフィレンツェ

まずはボッティチェリ本人ではなく、その時代背景を語るものとして、ヒスイやアメシストなどで出来た杯、ブロンズ製のメダル、その他工芸品や彫刻、絵画などが展示されていました。

ここは省略。

 

■第2章 フィリッポ・リッピ、ボッティチェリの師

ボッティチェリは、1464年~1467年の間、フィリッポ・リッピ(1406-1469)の工房で修行時代を過ごし、基礎を作り上げました。20歳そこそこの年齢ですね。

師の画風や技法がボッティチェリのその後に多大な影響を与えたのは当然ですね。

 

当時は、芸術作品を芸術家とその弟子らから構成される「工房」で多人数で制作するのが一般的だったようです。

ちょうど日本のマンガやアニメの制作現場に似ていますよね。手塚治虫の作品は手塚プロ名義で弟子たちが分業で制作にあたるというように。

 

ですから画家を志す場合、まずは有名な芸術家の工房に入り、そこで下働きの経験を積みながら、いずれは独立していくというステップを積むのが一般的だったようです。

 

下の絵がフィリッポ・リッピの作品です。

 

フィリッポ・リッピ《聖母子》 1436年頃
板に移されたテンペラ、27.3x21cm、ヴィチェンツァ市民銀行蔵

 

■第3章 サンドロ・ボッティチェリ、人そして芸術家

フィリッポ・リッピが1466年に拠点を移すと、フィレンツェに残ったボッティチェリは、アンドレア・デル・ヴェロッキオ(1435頃-1488)の工房に出入りするようになります。

 

ヴェロッキオは、多くの弟子をとったことで有名です。

あのレオナルド・ダ・ビンチも弟子のひとりでした。

レオナルド・ダ・ビンチ(1452-1519)がヴェロッキオの工房に入ったのが1466年、14歳のときなので、ちょうど同じ頃に21~22歳のボッティチェリも工房に出入りするようになったと考えられます。

 

レオナルド・ダ・ビンチがゼロからのスタートだったのに対して、ボッティチェリは一説では、弟子というより、すでにヴェロッキオの共同制作者的な立場だったとも言われます。

 

下の作品はそのヴェロッキオ工房時代の作品で、母子像としては上のフィリッポ・リッピの『聖母子像』を踏襲しつつも、幼児キリストの描き方はヴェロッキオの影響を色濃く反映しているそうです。

枠いっぱいに広がるアーチとその後方のバラ、そして床面に遠近法を用いて奥行きを描出し、母子のリアリティを前面に押し出そうとするところにルネサンス絵画の特徴の一端が見えます。

しかし、聖母子像そのものにはいかにも中世的な威厳が保たれています。

 

ボッティチェリ《バラ園の聖母》 1468-69年頃

テンペラ・板、124x64cm、フィレンツェ ウフィツィ美術館

 

 

ボッティチェリはその後、1470年に師のフィリッポ・リッピが亡くなると、自らの工房を構え、大々的に大型注文を受けるようになります。

 

下の作品はそうした急速に名声を獲得しつつあった時期の作品です。

右隅にいてこちらを向いているのがボッティチェリ本人。

その後方でやはりこちらを見ている青い服の人物が注文主の商人ラーマ。

そして幼児キリストに手を差し伸べている博士と中央下の白衣の2人の博士、その後方の黒衣の横顔の男、左隅の剣を持った男がメディチ家の一族と言われていて、ラーマをメディチ家と同じ絵に描くことにより、ラーマ家のステータスを世間に示そうとしたものと思われます。

 

「東方三博士の礼拝」はその後、レオナルド・ダ・ビンチも制作を試みますが、草稿の段階で頓挫し、ボッティチェリの弟子でありフィリッポ・リッピの息子でもあるフィリッピーノ・リッピがその後を引き継いで完成させるというエピソードがあります。

 

ちなみにこの頃、ミケランジェロ(1475-1564)が誕生しています。

 

 

ボッティチェリ《ラーマ家の東方三博士の礼拝》 1475-76年頃

テンペラ・板、111x134cm、フィレンツェ ウフィツィ美術館

 

 

下の作品は、メディチの愛人で当時フィレンツェ一番の美人として知られていたシモネッタを理想化して描いたものといわれています。

現代の観点からこれを見ると、ラファエル前派唯美主義の画家たちにつながるものが確かに認められるような気がします。

 

 

ボッティチェリ《美しきシモネッタの肖像》 1480-85年頃

テンペラ・板、65x44cm、丸紅株式会社

 

 

下の作品は本展のパンフレットや図録の表紙にも使われたボッティチェリの代表作のひとつ。

ちょうど『ヴィーナスの誕生』と同時期の作品であり、まさにボッティチェリの最も油の乗り切った時期の作品と言っていいでしょう。

またこの頃、ラファエロ(1483-1520)が誕生しています。

 

 

ボッティチェリ《聖母子 (書物の聖母)》 1482-83年頃

テンペラ・板、58x39.6cm、ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館

 

 

下の作品はギリシャ神話の世界を描いたもので、当時の家具調度品の装飾に好まれて使われた図柄のようですが、この作品がボッティチェリと工房の手によるものと初めて言及されたのは、1949年のことだそうです。

ボッティチェリ作として残された下絵や壁画に、この絵の一部と類似のものが存在することが主な根拠のようです。

 

工房での分業体制は、全体の構図をボッティチェリが決め、工房の弟子たちが各部を分担して描き、主要人物の顔や衣装など重要部分には後からボッティチェリが仕上げの筆を入れるという体制をとっていたと言われています。

 

 

ボッティチェリと工房《パリスの審判》 1485-88年頃 

テンペラ・板、81x197cm

ヴェネツィアチーニ邸美術館(ジョルジョ・チーニ財団)

 

 

下の作品は、ボッティチェリの功成り名遂げた晩年に近い時期のもので、なかなか興味深い作品です。

遠近法を効かせた全体の構図、背景の建物の精緻な描写、登場人物らの三者三様のダイナミックな動きなど、画家の高度な技術を誇って「どうだ!」と言わんばかりです。

 

タイトルにあるアペレスとは古代ギリシャで最も著名だった画家です。

アペレスは友人の画家がエジプト王プトレマイオス4世の前で自分を誹謗したことに抗議する意味で『誹謗』という作品をプトレマイオスに送りました。

ボッティチェリのこの作品は、その『誹謗』の復元を試みたもので、当時、複数の画家たちが自らの技量が古代画家に匹敵することを誇示するべく、同じ主題を手がけていたのだそうです。

 

作品全体が暗喩に満ちていて、中央の青い服の美しい女性が「誹謗」。

彼女に髪を掴まれ引きずられながら手を合わせているのが「無実」。

誹謗の手をとって玉座に向かって手を伸ばしているのが「憎悪」。

玉座に座っているのが「不正」で、両側から耳元に囁いているのが「無知」と「猜疑」。

そして右端にひとり立っている裸体の女性が「真実」を意味するのだそうです。

 

面白いのは、中央から右側の人々の様々な身振りや視線が流麗かつダイナミックな構図を構成している一方で、右端の裸の女性がひとり中世宗教画的な不自然な姿で直立している点。

しかもその女性の姿がどこかで見たような姿だと思ったら、あの『ヴィーナスの誕生』の女性の姿とそっくりなことに気づきます。

違うのは右手を上げているか胸に当てているかという点と容貌だけです。

 

 

ボッティチェリ《アペレスの誹謗(ラ・カルンニア)》1494-95年頃

テンペラ・板、62x91cm、フィレンツェ ウフィツィ美術館

 

 

■第4章 フィリッピーノ・リッピ、ボッティチェリの弟子からライバルへ

最後に、フィリッポ・リッピの息子であり、ボッティチェリの弟子でライバルでもあったフィリッピーノ・リッピ(1457-1504)の作品が展示されていました。

フィリッピーノ・リッピはボッティチェリより12~13ほど年下で、1472年、15歳頃からボッティチェリの工房で修行を開始していたようです。

そして1488年ごろにはすでに独立して、ボッティチェリを脅かすような存在になっていたとのこと。

しかし、没年はボッティチェリより早いんですよね。

 

 

フィリッピーノ・リッピ《幼児キリストを礼拝する聖母》 1478 年頃

テンペラ・板、36.5x20cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館

 

 

■最後に

観覧する前、無宗教者の私としては、宗教画や神話の世界を描写するボッティチェリの作品に、正直、食指が動きませんでした。

というか、近代以前の大昔の画家という以外に、どの時代のどんな画家か、全くイメージを持たない状態でした。

 

そういう意味では、この展覧会で多くの作品に接することにより、その画風と技法、時代背景と周辺の画家との関係性のあらましを効果的かつ具体的に把握することができ、ボッティチェリに対する理解が大いに進んだと喜んでいます。

 

ただ、やはり急ごしらえの素人の浅はかな知識だけでは、初期ルネサンス期の画家としてのボッティチェリと、盛期ルネサンス期のレオナルド・ダ・ビンチやラファエロらとの専門的な観点での細かい相違点など、思いも寄りません。(しょぼ~ん)

 

会場内のショップではお決まりの図録を購入。2400円(税込)也。

図録は硬い表紙の豪華な装丁で、全260ページ、フルカラー。

解説や年表がためになります。

 

 

図録

 

 

以上です。

 

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