Thinking every day, every night

夢想家"上智まさはる"が人生のさまざまについてうわごとのように語る


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全く目新しい情報ではありませんが、iOSの文字入力で不便に感じていることに対する対処方法について備忘のためにまとめてみました。

 

当ブログの以下の過去記事もあわせてご参照ください。

→『iOS 8のお便利機能と裏ワザ』(2014.11.03)

 

ここで取り上げる不満は2つ。

・全角スペースを入力したい

・キーボードでカーソル移動したい

 

 

■全角スペースを入力したい

 

iPhoneで標準仮想キーボードで全角スペースが打てないというと、iPhoneユーザ以外の人は一様に驚きます。

それくらい日本人にとって全角スペースは重要ですよね。

 

「だから言わんこっちゃない。欧米人の作るものを使うからそうなるんだよ」という乱暴な論理がこの件ばかりは頷けてしまいます。

 

ただ、アップルも全く対応する気がないわけではなく、iPad使いならご存知の通り、iPadの標準キーボード(日本語ローマ字入力)には「全角」というキーがあって、これに続けてSPACEキーを押すと、全角スペースを入力することができるんです。

 

ですから「全角スペースを入力したい」という要望はiPhone限定の要望になります。

「タブ文字を入力したい」というのは

 

対処法は私が思いつく限り、以下の3通りあります。

 

1. ユーザ辞書に擬似的に登録する

2. 連絡先アプリに擬似的に登録する

3. サードパーティ製のキーボードを使う

 

 

◆1. ユーザ辞書に擬似的に登録する

 

簡単に思いつくのは、ユーザ辞書に登録してしまえ、ということ。

ところがそう簡単な話ではありません。

なぜなら、全角スペースを辞書登録しようとしてもそもそも登録できないのです。

 

そこでどうするかというと、他の文字と組み合わせて登録します。

もちろん、文字入力して変換後、その文字を削除する必要があり、ひと手間増えてしまいますが、入力できないよりはましというもの。

 

1. 「設定」>「一般」>「キーボード」>「ユーザ辞書」と進みます。

 

2. 右上の「+」ボタンをクリックすると、登録画面が表示されます。

 

3. 「単語」欄に「 😁」などと入力します。(1文字目に全角スペース、2文字目は普段使わない目立つ文字がいいでしょう)

 

ところで、そもそもこのときに全角スペースをどうやって入力するか、ですが、たとえば、Safariでこのブログ記事を開いて、上記の部分をコピーして「単語」欄にペーストすればいいでしょう。

 

4. 「よみ」に「くうはく」などと入力し、保存します。
 

5. メモ帳などを開き、「くうはく」と入力してみましょう。

 

変換候補に上がっていることがわかるはず。

最初は変換候補の上位に登らないかもしれませんが、何度も入力・変換しているうちにトップに近くに出てくるようになりますし、「く」と入力しただけでトップ近くに出てくるようになります。

 

 

ただし変換候補上は「😁」と表示され、1文字目の全角スペースは表示されないので注意。しかし選択すればちゃんと「 😁」と入力されます。

 

 

バックスペースキーをタップして「😁」を削除して出来上がり!

この最後の操作が余計ですが仕方がありません。

 

 

◆2. 連絡先に擬似的に登録する

 

最初の方法では余計な文字が入力されてしまうところが不満なところですね。

こちらの方法なら全角スペースをそのまま登録できます。

ただし、今度は変換候補の中からタップで選択できないという欠点があります。

 

この方法は、日本語文字変換に、連絡先アプリに登録された連絡先も候補として出て来る仕様を利用します。

 

1. 「連絡先」アプリを起動します。

 

2. 右上の「+」ボタンをタップすると新規連絡先登録画面が開きます。

 

3. 「姓」に全角スペース文字を入力します。

 

4. 「姓(フリガナ)」に「くうはく」などと入力し、保存します。

 

5. メモ帳などを開き、「くうはく」と入力してみましょう。

  

すると変換候補のなかに空白がみえるはず。

運が良ければ「く」だけでもいいかもしれません。

 

変換候補それぞれの間の区切りが空白なので、変換候補としての全角スペースは分かりにくいですが、少し空白が長いので何となく分かるはず。

 


ただ最初に述べたように、なぜかこれを変換候補列からタップして選ぶことができません。したがってキー右側の「次候補」キーをタップすることで選択する必要があります。

これがこの方法の唯一の難点です。

 

 

◆3. サードパーティ製のキーボードを使う

 

世の中には多くのアップル純正以外のキーボードアプリが存在します。

その中のいくつかがありがたいことに全角スペースの入力をサポートしています。

これを使うのが実は最も手っ取り早い解決方法です。

この方法なら、先に挙げた2つの方法の欠点も克服しています。

 

無料アプリなら、たとえば「みんなの顔文字キーボード」。

 

 

ただ、それらのほとんどすべてのキーボードアプリが、着せかえや絵文字・顔文字入力などのニーズに応えることに注力しており、それが私のような「見た目は標準キーボードでいい」という「普通志向」のユーザには逆に障壁になっています。

 

私自身もいったんはサードパーティのキーボードを入れてみたものの、余計な機能や標準コーボードからの「改悪」が煩わしく、結局、標準キーボードに戻って今に至ります。

 

 

◆タブ文字入力について

 

タブ文字についても全角スペースと同様、第1の方法と第2の方法が使えます。

第1の方法では、たとえば「    😁」(1文字目にタブ文字)などでユーザ辞書登録。

第2の方法では直接「   」(タブ文字)で連絡先に登録。

タブ文字をサポートしているサードパーティ製キーボードアプリを私は知りません。

 

 

 

■キーボードでカーソル移動したい

 

文章を編集しているとき、当然、前に戻って修正したいことが多々あります。

このとき、修正したい部分をタップすればいいわけですが、ぴったり挿入ポイントに合わせることは結構たいへんです。

近辺を適当にロングタップしてカーソル部分を拡大表示し指を移動させれば望みの位置にカーソルを移動することはできるのですが、現実にはこれが結構至難の技。

電車やバスの中で揺られながらではなおさらです。

誤って複数文字選択することになり、しかも選択した文字が丸ごと消えてしまうという事態に遭遇したことのある人も多いと思います。

 

私の思いつく対処法は以下の3通り。

 

1. iPhoneで画面を横向きにして編集する

2. サードパーティ製キーボードアプリを使う

3. 3D Touchでキーボードをトラックパッドに

 

 

◆1. iPhoneで画面を横向きにして編集する

 

実はiPhonen限定すれば、標準キーボードでカーソルの矢印キーが使えます!!

ただしiPhoneを横向きにして編集する必要があります。

 

 

これならiPadでも、というよりiPadだからこそ出来てよさそうなものですが、なぜかiPadでは横向きにしてもこのようなキーボードは現れてくれません。

 

 

◆2. サードパーティ製キーボードアプリを使う

 

iPhoneを横向きに使うのは性に合わないとかiPad使いの場合は、サードパーティ製のキーボードアプリを使うしかなさそうです。

 

カーソルキーを備えたキーボードアプリとしては、たとえば先ほど挙げた「みんなの顔文字キーボード」、有料ですがかの有名な「ATOK」など。

無料の「Yahoo!キーボード」はなかなか良いアプリだったのですが、残念ながら2016年6月をもってサービスを終了してしまいました。

 

 

◆3. 3D Touchでキーボードをトラックパッドに

 

iPhone 6sやiPhone 7のような3D Touch機能に対応する機種では、ソフトキーボードを強く押すと、キーボードがパッドに変わり、その上で指を滑らすと、文章中のカーソルがその動きに追随して移動するようになります。

 

 

一見、文章中に直接指を当てて動かすのと同じように思われますが、実際にやってみれば分かりますが、文章中に直接指を当てると、その指が邪魔になって、先に挙げたような思わぬ誤動作を招いてしまいがち。この方法だと格段に精度が上がります。

 

というわけで、私はこの3番目の方法でカーソルを動かすことにしています。

もし非常に揺れる場所での編集を余儀なくされたときには、iPhoneを横向きにして編集します。

 

 

今回は2つの不満だけを取り上げましたが、また時間がとれたら、他のTipsについても取り上げたいと思います。

 

 

以上です。

 

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iPhone7では、スピーカーがステレオになり、上部の受話部分と底部の発話部分の両方からシャッター音が出るようになりました。

そのせいか、カメラやスクリーンショットなどのシャッター音が、これまで以上に巨大な音を出します。

 このシャッター音が嫌なために、多くのユーザが消音可能なサードパーティ製のカメラアプリを専ら使うことになるわけですが、解像度の点で純正アプリに劣るというデメリットがあり、一長一短があります。

 

ところが、iPhone 6S、6 Plus、7、7 Plus、同等のiPadなど、3D Touchに対応している機種の所有者に朗報です。

iOS10では純正のカメラアプリでもシャッター音を消すことができるようになっています。

 

また、旧機種(すべての機種ではありませんが)でも、方法は若干違いますが、シャッター音を消すことが可能のようです。

 

その方法ですが、いずれも「AssistiveTouch」機能を使います。

 

 

■予備知識「AssistiveTouch」

 

AssistiveTouch」とは、トップページ(ホーム画面)に白い透過性の◎を表示し、それをクリックすることでいろいろな動作をショートカットで簡単に実行することができるお便利機能であり、以前からiOS使いには必携のツールといえます。

おそらく多くの人が使っていることでしょう。

 

これを使うためには、「設定」>「一般」>「アクセシビリティ」とメニューを辿り、そこで「AssistiveTouch」をON にします。

 すると画面に透過性の白い「」ボタンが現れます。

 

ここまでは既知の情報です。

 

 

 

■「3D Touchのアクション」を使う方法

 

ここからがカメラのシャッター音を消す方法。

 

1. 先程のアクセシビリティ」画面から「AssistiveTouch」>「最上位メニューをカスタマイズ...」>「3D Touchのアクション」とタップしていきます。

 

2. すると動作割り当ての選択リストが表示されるので、その中から「消音」を選択します。

 


 

3. すると画面にAssistiveTouchの白い「」アイコンが表示されるので、これを単なるタップではなく、強く押しこめば(3D Touch)、見事、消音設定がなされます。

 

こうすれば、あとはカメラアプリを起動して何度シャッターを押しても音は発せられなくなるはず。

 

ただし、音量ボタンで音量を変えたり、ミュージックアプリで音楽を聴いたり、再起動したりすると、消音設定が解除されるので注意が必要です。

この他にどのアプリや操作が消音設定に影響を与えるかは不明です。

 

AssistiveTouchの3D Touchでの消音はトグルになっているので、消音が効いているか気になるのであれば、一度押してみましょう。

それで消音が解除になってしまったら、もう一度押せばいいのです。

 

※トグルで消音をOFFにしてしまう(つまり音を出す設定にしてしまう)と、たとえサイレントモードにしてあっても、音が出てしまうという思わぬ副作用があるようです。これはちょっとやばいかも…(2016.9.22)

 

 

 

■AssistiveTouchのメニューアイコンに設定する方法


消音を設定する方法として、上で示した「3D Touchのアクション」機能を使ったもののほかに、同じ設定画面にあるメニューアイコンに動作を割り付ける方法も可能です。

 

しかもこの方法なら、3D Touchに対応していない旧機種でも可能だと思われます。

 

※旧機種で確認しないで書いたのですが、できないとの報告があるようです。

もしそうならごめんなさい。(2016.9.21)

続報ですが、できる機種とできない機種があるようです(2016.9.22)

 

 

設定方法ですが、以下の通りです。

 

 

1. アイコン表示の下部にある「−」「+」を何度かタップして、アイコンを「カスタム」ひとつだけにする。

 

 

2. 残った「カスタム」アイコンをタップすると、割り当てる動作の一覧が表示されるので、その中から「消音」を選択する。

すると「カスタム」アイコンが「消音」アイコンに変わる。

 

 

3. すると画面上にAssistiveTouchの「◎」アイコンが現れるので、それをタップする。

 

これで消音状態になります。

 

 

ただし、この方法の難点は、AssistiveTouchで「消音」の機能ひとつだけしか使えなくなることです。

AssistiveTouchをスクリーンショットやシェイクやホームボタンなどのショートカットとしてフル活用していたユーザにとっては、それらを使えなくなるので非常に悩ましいところです。

 

また、この機能は実は正式な新機能ではなく、バグのせいでたまたまできている可能性があります。

 

 

 

もし3D Touch機能に対応している機種をお持ちなら、最初に紹介した「3D Touchのアクションを使う方法」をおすすめします。

 

以上です。

 

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当サイトで「私の音楽遍歴」シリーズとして番外編も含めて計18回ほど連載していますが、最後の投稿から早2年6ヶ月が経とうとしています。
というわけで、久しぶりに「私の音楽遍歴」シリーズをお届けします。

 

→ 参考: 過去の「私の音楽遍歴」シリーズ一覧

 

「私の音楽遍歴」シリーズは私が小学校6年生から中学生にかけての年代に始まり、私の人格形成に影響を与えてくれたアーティストや音楽たちを紹介してきました。

まだ紹介も道半ばで全然紹介しきれていない印象ですが、ここでもう一度原点に戻って、1970年前後の隠れた?名曲について触れたいと思います。

「隠れた」といっても、仮にも「名曲」と名づけられるものなので、多くの本当に歴史の中に埋もれてしまった無数の作品たちに比べればむしろ「有名どころ」なのであって、「名作の割にはメディアであまり振り返られることの少ない」というくらいの意味合いですが。

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

1970年前後の隠れた名曲といえば、以下の3つの作品がなぜか組みで思い出されます。

 

・『あなたの心に』〜中山千夏
・『真夜中のギター』〜千賀かほる
・『回転木馬』〜牧葉ユミ

 

 

◆『あなたの心に』〜中山千夏
1969年 オリコン最高位2位
作詞:中山千夏
作曲:都倉俊一(作曲家としてのデビュー作)

 

 

中山千夏さんというと私より上の世代なので実はあまりピンとこないのですが、若くから多才なマルチタレントとして活躍。
女優、歌手、声優、作詞家、エッセイスト、小説家、その後、市民活動家として活躍し1980年には参議院議員に当選。議員辞職後も人権や反戦などの市民運動を続けて現在に至ります。

 

声優としてはひょっこりひょうたん島博士の声や、もう少し後ではじゃりン子チエの声の出演で有名ですね。ボーイッシュでハキハキした声が印象的でした。

 

作詞家としては、この『あなたの心に』をはじめとして、『ドロロンえん魔くん』(1973~1974)のOP/ED(歌も本人)、『山ねずみロッキーチャック』(1973年)のOP「緑の陽だまり」などが有名ですね。

 

歌手としては、声の魅力もさることながら、歌に思いを込めるのがとても上手な、表現力豊かな歌い手というイメージです。

 

『あなたの心に』は私が小学校4年生のころ出た作品で、正確にいうとリアルタイムで聴いて感動したわけではありませんが、数年後の多感な青春期に本人やCoverで何度となく耳にして、心の琴線を震わせた記憶があります。

 

作曲家の都倉俊一といえば、ピンクレディーや山口百恵らアイドル歌謡を手がけビッグヒットを連発させた70年代を代表する作曲家のひとりですが、この『あなたの心に』は弱冠21歳、作曲家としてのデビュー作にあたります。

 

名曲なだけあって、その後も、辛島美登里岩崎宏美石川ひとみ、声優の林原めぐみなど多くのアーティストがカバーしていますね。

 

 

◆『真夜中のギター』〜千賀かほる
1969年 オリコン最高位4位
作詞・作曲:吉岡オサム、河村利夫

 

『あなたの心に』を聴くと、この『真夜中のギター』がすぐに心に浮かんできます。

2曲とも、多感な青春時代の不安定な私の心を癒やし、穏やかにしてくれた作品です。

 

 

この作品は、宝塚歌劇団、松竹歌劇団(SKD)と並ぶ三大少女歌劇団のひとつ、OSK日本歌劇団で活躍していた千賀かほるの歌手としてのデビュー曲(当時21歳)で、千賀かほるはその年の日本レコード大賞新人賞に選ばれています。

ちなみに先ほど紹介した中山千夏と千賀かほるは同い歳で、歌手としてのデビューも同じ1969年、デビュー曲が大ヒットした点も共通しています。
 

 

◆『回転木馬』〜牧葉ユミ
1972年
作詞:片桐和子
作曲:Bob Bogle(ザ・ベンチャーズ)

 

この作品は先の2つとは発表年が異なり、3年後の1972年の作品です。

また、先の2作品ほど当時売れたわけではなく、後になって、いろいろな人にカバーされることによりじわじわと根強い人気を得た作品といえるでしょう。

 

私もご多分に漏れず、若手新人歌手の登竜門だったオーディションTV番組『スター誕生』で、山口百恵をはじめとする何人かの候補者がこの曲を歌っているのを聴いて、「あっ、良い歌だな」と心に止めたのが始めでした。

 

 

ちなみに『スター誕生』では牧葉ユミの当時の他の作品、たとえば『見知らぬ世界』や『冒険』なども好んで歌われていて、桜田淳子が前者を歌ったのは有名です。

おそらく当時の牧葉ユミが20歳前後で、挑戦者の年齢に近く、親近感と歌いやすさがあったのでしょうね。

→ ♪『冒険』 (ニコニコ動画) 

→ ♪『見知らぬ世界』 (Yuotube)

 

特に山口百恵が歌った『回転木馬』は印象的で心に残っています。

いま聴き返しても決して完璧な歌唱ではないのですが、強い意志というか芯が感じられて、稚拙さを補って余りあるという感じ。

といっても当時の私は実は桜田淳子派で、どうして山口百恵が売れるのか不思議で仕方ありませんでした。

 

◇山口百恵・スター誕生決戦大会での『回転木馬』

 

 

 

あと、この作品の特徴は、作曲があのザ・ベンチャーズだったこと。

 

60年代終わりから70年代はじめにかけて、ザ・ベンチャーズはなぜか日本の歌に興味を持ち、日本情緒と欧米のロックを融合させたような作品を多数生み出し、そのいくつかを日本人アーティストにも提供しています。

その多くがヒットに結びついたところはさすがザ・ベンチャーズ

それらの作品群は日本の歌謡界で「ベンチャーズ歌謡」という名で呼ばれました。

 

欧陽菲菲の『雨の御堂筋』が有名ですが、ここでは中でもとても日本情緒のある作品を2つだけ紹介します。

→ ♪『京都慕情』〜渚ゆう子 (Youtube)

→ ♪『京都の恋』〜渚ゆう子 (Youtube)

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

70年前後の名曲といえば、以下の2曲も組みで思い出されます。

 

・『白い色は恋人の色』〜ベッツィ&クリス

・『恋人もいないのに』〜シモンズ

 

 

◆『白い色は恋人の色』〜ベッツィ&クリス
1969年 オリコン最高位2位
作詞:北山修
作曲:加藤和彦

 

ベッツィ&クリスは、ハワイ出身のベッツィとアイダホ出身のクリスによるフォークソングデュオ。

1969年、ハワイ・ソングの団体の一員としてたまたま来日していたところをスカウトされてあれよあれよという間にデビュー。

この『白い色は恋人の色』はそのデビュー曲で、オリコン週間ランキング最高2位、翌年の1970年にかけてヒットし、1970年の年間ランキングでも11位のロングヒット作です。

 

ハイトーンボイスによる天使の歌声のような透明感溢れるハーモニーが、たどたどしい日本語との相乗効果?でお茶の間を席巻しました。

 

いま聴いても色褪せない至高のハーモニーですね。

 

 

 

 

◆『恋人もいないのに』〜シモンズ
1971年 デビュー曲 オリコン最高位21位
@作詞:落合武司
@作曲:西岡たかし

 

シモンズは、大阪出身の田中ユミ、玉井タエからなる女性デュオ。
高校時代から地元でライブ活動をし、1971年、高校卒業後に上京してメジャーデビューします。

シモンズ」というグループ名は、敬愛するサイモンとガーファンクルの「サイモン(Simon)」からとったとのこと。
また高校時代には上で紹介したベッツィ&クリスのカバーなども好んで歌っていたそうで、当然、彼女ら音楽とその成功はシモンズのデビュー後の音楽活動に陰に陽に大きな影響を与えていたと思われます。

 

ここで取り上げた『恋人もいないのに』はデビュー曲にあたりますが、実は当初はふたりのデビュー曲は、あの教科書にも取り上げられるほどの大ヒット曲『あの素晴しい愛をもう一度』になるはずだったそうです。
ところが結局この曲は当の作詞作曲者である北山修加藤和彦が歌うことに決まったため、急遽『恋人もいないのに』を歌うことになったのだそうです。

シモンズが歌う『あの素晴しい愛をもう一度』も聞きたかった気がしますが、それでもこの『恋人もいないのに』は60万枚を超える大ヒットとなり、シモンズはこの曲で1971年の日本レコード大賞新人賞を受賞することになります。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 70年前後の名曲は他にもたくさんありますが、特に思い出深いのは次に紹介する新谷のり子『フランシーヌの場合』です。

 

◆『フランシーヌの場合』〜新谷のり子
1969年 デビュー曲 オリコン最高位4位
作詞:いまいずみあきら
作曲:郷伍郎


新谷のり子さんは1946年北海道生まれで本名「あらやのりこ」といい、私もずっとそのように呼んでいましたが、歌謡界の重鎮、淡谷のり子に酷似しているということで、芸名は読み方を変えて「しんたにのりこ」が正しいそうです。

 

歌手を夢見て高校中退して上京し、銀座のクラブで歌いながら、1969年にメジャーデビューを果たします。

フランシーヌの場合』jはそのデビュー曲で、約80万枚の大ヒットとなりました。

 

フランシーヌ」とは、ベトナム戦争とビアフラ戦争への抗議のために1969年3月30日に焼身自殺したフランス人女性、フランシーヌ・ルコント(Francine Lecomte)のこと。

この事件に触発された作曲家の郷伍郎がすぐさま創作したのがこの『フランシーヌの場合』で、作詞者のいまいずみあきらというのは郷伍郎の奥さんです。

 

いわゆる「反戦歌」で政治色が入るのに賛否両論あると思いますが、当時小学校高学年で政治の「せ」の字も分からないガキンチョだった私の心にも十分染み入る名曲といえます。

 

新谷のり子さん自身、デビュー前から政治に興味を持ち、成田闘争など政治活動に積極的に参加し、その後の生涯でもそれがずっと続いた人なので、この作品への思い入れは大きかったのだろうと思います。

 

ちなみにこのデビュー曲の発売日は、1960年に国会前のデモで警官隊と衝突し22歳の若い命を失くした樺美智子さんの命日であり、反安保の日と制定された6月15日にあえて設定されたのだそうです。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

ついでに、最後に、上で紹介したような癒し系の作品ではなく、当時の幼い音楽未熟者にとって、とても斬新で、今で言う「ポップ」で、心が躍動するような作品として、とても印象深く記憶に残っている作品を挙げておきましょう。

 

 

◆『真夏の出来事』 〜平山みき
1971年 オリコン最高位5位
作詞:橋本淳
作曲:筒美京平

 

平山みきは1949年生まれ。デビューして2年目、デビュー第2作がこの『真夏の出来事』でいきなり大ヒットし、この曲はこの年の日本レコード大賞作曲賞を受賞します。

 

平山みきの斬新なハスキーボイスと、湘南海岸を思い起こさせるポップでドラマチックな描写が当時とても斬新でした。

 

 

 

他にももっとたくさん「隠れた名曲」があり、いくらでも紹介したいところですが、きりがないので、今回はここまでにしておきます。

 

 

以上です。

 

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2016年7月期のTVドラマもスタートしてほぼ3分の1ほど経過し、恒例の「見どころ記事」としては少し遅気に失した感があるので、今回も前回同様「中間評」としてお届けしようと思います。

 

ただし、毎度お断りするように、ここで書く評価記事は、青春もの・純愛もの・感動モノ至上主義の私の独断と偏見の産物です。
事件ものとかエンタテインメント作品は不当に低く評価している可能性があります。
視聴率とはほぼ確実に反比例します(苦笑)

 

また、取り上げた作品は地上波に限定しています。テレビ東京の作品については放送地域が特に限られていると思いますがご容赦ください。

 

■総論

 

全体に「まじめな」作品が多いクールとの印象です。
「まじめな」作品とは、気楽に「ながら見」できるエンターテインメント系ではなく、職場や学校や家庭での生き方を少々息苦しくても真正面から捉えて問題提起している作品、いわゆる「正統派ドラマ」と言ってもいいですが、そもそも厳密な定義などできるわけないので、あくまで「印象」です。

 

あと、「まじめ」とはむしろ逆ですが、グルメものも目に付きますね。
『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』、『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』『侠飯~おとこめし~』
『好きな人がいること』まで入れてしまうと広げ過ぎか?

 

なかでも『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』『侠飯~おとこめし~』は、いずれも腕の良い料理人が浮浪者だったりヤクザだったりとちょうど似たような設定の作品なのですが、その料理人たちの弟子的な役柄として、それぞれ柄本佑柄本時生の兄弟(柄本明の息子たち)が配役されており、図らずも兄弟対決みたいな感じになっています。
というか、ときどき2つの作品の設定が頭のなかでこんがらがってくるときがあります(笑)

 

また、これもあまり意味はありませんが、タイトルに固有人名を冠したものが多いのも今クールの特徴?
『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』『営業部長 吉良奈津子』『遺産相続弁護士 柿崎真一』『徳山大五郎を誰が殺したか?』
これにあだ名まで含めると『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』『とと姉ちゃん』『闇金ウシジマくん』

 


■期待度ランキング一覧

 

※期待度順に並んでいます

 

◆期待度A (期待にわくわく)
◎『好きな人がいること』(月21 フジ)
◎『仰げば尊し』(日21 TBS)
◎『はじめまして、愛しています。』(木21 テレ朝)
◎『時をかける少女』(土21 日テレ)

 

◆期待度B (かなり気になる)
◎『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(日21 フジ)
◎『家売るオンナ』(水22 日テレ)

◎『朝が来る』(土23:40 フジ)…終了

◎『せいせいするほど、愛してる』(火22 TBS)
◎『水族館ガール』(金22 NHK)

◎『そして誰もいなくなった』(日22:30 日テレ)

 

◆期待度C (気になるが、とりあえず様子見)
◎『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(火22 フジ)
◎『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(金23 テレ朝)
◎『営業部長 吉良奈津子』(木22 フジ)

 

◆期待度D (あまり期待しないが、とりあえず様子見)
◎『神の舌を持つ男』(金22 TBS)
◎『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』(金20 テレ東)
◎『死幣』(水24:10 TBS)


◆期待度E (最初から脱落)
多数につき省略

 

 

 

■作品別コメント

 

◆期待度A (期待にわくわく)

 

◎『好きな人がいること』(月21 フジ) 
http://www.fujitv.co.jp/sukinahitogairukoto/index.html
海辺(おそらく湘南あたり)のレストラン、パティシエ、イケメン3人兄弟、シェアハウスとくれば、本格的な「月9ドラマ」の期待が高まるのは必然。

 

設定的には竹内結子主演の『ランチの女王』によく似ていますが、どうなるでしょう?
竹内結子の場合、役者としてのはち切れんばかりの新鮮な魅力と、ランチが本当に好きなんだなあと思わせる演技力がドラマ成功の決め手だったと思うのですが、桐谷美玲の場合はどうもパティシエに命をかけてきたというふうには見えないところが難しいところ。
そこを無理やり押し込んでいくと違和感のある人物造形になってしまうので、ここは桐谷美玲の軽口でちょっとおっちょこちょい、キュートでツンデレで小悪魔的なところを脚本や演出でうまく活かしていくドラマづくりが問われますね。

 

また、王道月9ドラマという錦の御旗のもとで、手垢の染みついた紋切り型のくさい台詞やどこかから借りてきたような恋の駆け引きやストーリー展開を見せつけられると、それは違うだろう、と目の肥えた月9ファンから反発必至で、月9枠に挑戦する制作スタッフにはつくづく難しい時代になったものだと同情しきり。

この作品も今のところ、ぎりぎりのところを綱渡りしている印象で、これ以上とってつけたような展開を見せられると、いくら恋愛もの好きの私でもついていけなくなる可能性があります。


期待度トップとしましたが、あくまで私の大好きな胸キュンのラブコメ正統派ドラマに対する期待値(願望)であって、今クールで一番のお気に入りになると予想しているわけではありません。

 


◎『仰げば尊し』(日21 TBS)
http://www.tbs.co.jp/aogeba-toutoshi/

高校吹奏楽部の実写ドラマは珍しいですね。
『ROOKIES』の吹奏楽版みたいだなと思ったら、脚本・演出はまさにそのままでした。(演出:平川雄一朗ほか、脚本:いずみ吉紘ほか)
実話に基づき不良グループが更正して部活動で全国大会を目指すというストーリーとしては、かなり古い話ですが『スクール☆ウォーズ』に似ていますね。

 

全国大会初出場にして連続優勝・一躍強豪校へという快挙を達成した実話にもとづくため、最終的には大団円に向かうものと思われますが、「現実世界はそううまく行かないよ」という斜に構えた視聴者の視線にどう応えることができるか?(実話だからというのは応えにはなりません)

 

1話、2話を見る限り、歳をとってずいぶん丸くなった寺尾聰の「のほほん」とした好々爺ぶりがとてもいい味を出していて、この人なら不良グループの暴力を柔らかく受け止め幼稚な反抗心を骨抜きにしてしまうこともリアルに可能かもしれないと思わせるものがありますね。
いいキャスティングだと思います。

 

また、この作品のもうひとつの注目ポイントは、次世代を担うであろう若い俳優たちです。いわゆる二世タレントが何人も出演しています。
真剣佑  ←千葉真一の二世
村上虹郎 ←村上淳、UAの二世
太賀   ←中野英雄の二世
石井杏奈 ←最年少のE-girlsメンバー
北村匠海 ←俳優にして音楽ユニットDISH//のメンバー
佐野岳  ←ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト・グランプリ
などなど

 


◎『はじめまして、愛しています。』(木21 テレ朝)
http://www.tv-asahi.co.jp/hajimemashite/
特別養子縁組を題材に、子どものできない夫婦が本当の親子になろうと奮闘する作品ということで、地味で重苦しい作品になることがあらかじめ予想されました。
しかし脚本が『家政婦のミタ』『女王の教室』などの遊川和彦なのでストーリーとしてしっかり「見せてくれる」ことを期待しています。

 

問題はそれより、尾野真千子江口洋介という、およそ夫婦とか子育てに縁がなさそうな二人をよりによって夫婦役に起用したキャスティング。
1,2話を見た感想としては、夫婦とか家庭といった枠におさまること自体に向いていないピアニストがさらに難しい特別養子縁組に挑むという設定のようなので、尾野真千子はむしろ適役なのかもしれないと思い直しました。

 

いずれにしても、尾野真千子が普通の主婦を演じるこの手のホームドラマでも全然違和感がないというのは意外な発見でした。

というかこれが尾野真千子の俳優としての底力なのかもしれませんね。

 

それに比べると江口洋介が楽天的で飄々とした夫を演じているのですが、江口洋介ってこんなに演技が下手だったっけ?というくらい、夫の脳天気ぶりがオーバーアクション気味で、少し鼻につく感じ。
そう見えて実は頼りがいのある夫なんだよということを強調するために敢えて「狙った」演出をしているのかもしれませんが。

 

それより何より、子役の横山歩くんの名演技が光っていますね。
横山歩くんは前クールの『ドクターカー』剛力彩芽演じる主人公の一人息子役を演じていましたが、一転して、親のDVとネグレクトで笑顔と会話をなくし心を閉ざしてしまった男の子を見事なほどに演じきっていて、その演技力には驚くばかり。

 


◎『時をかける少女』(土21 日テレ)
http://www.ntv.co.jp/tokikake/
見どころ記事を書こうと思ったら、次週が最終回とのこと(苦笑)
言わずと知れた筒井康隆のSFジュブナイルのTVドラマ化。
私の知る限り、これまで実写映画化3回、アニメ映画化1回、TVドラマ化がこれで5回ほど。
1970年代のNHK少年ドラマシリーズ『タイムトラベラー』原田知世主演の角川映画『時をかける少女』で育った世代の人間としては、この作品には抜き去り難いこだわりがあって、ドラマ化や映画化が企画されるたびに、妙な期待と台無しにしないでほしいという警戒心と不安の混在した複雑な心境で見守ることになります。

 

今回はどうだったでしょう?

 

原作の筒井康隆さんの了解を得たうえで、原作とは別の新しいオリジナルのストーリー展開を試みたとのことで、「アナザストーリー」と割り切った方がよさそうです。


実際、SFっぽさはほとんど影を潜め、高校生たちのひと夏の甘酸っぱい恋と友情の青春ドラマが前面に押し出された作品に仕上がっています。

若手女優有望株の黒島結菜の新鮮な魅力が存分に引き出された作品といえるでしょうが、反面、兄弟のように仲良く育ってきた少女と2人の少年にそれぞれ恋心が芽生え、三角関係が生じ、友情と恋の狭間に揺れ動いて…という定番の初恋ストーリーは少々食傷気味というのも事実。
そこに「タイムトラベル」というスパイスがふりかけられているわけでしょうが、スパイスの効果がいまひとつかなあ…という印象です。

最終話にぜひ感動のエンディングを味わわせてほしいものです。

 

 


◆期待度B (かなり気になる

 

◎『家売るオンナ』(水22 日テレ)
http://www.ntv.co.jp/ieuru/
この作品は、見る前は、実は「期待度C」に配置していました。
不動産屋のやり手営業ウーマンの話を何で好き好んで、みたいな偏見がありました。


ところが蓋を開けてみるとこれが実に面白くて、この位置まで上げました。が、実をいうと、もっと上でもいいのではないかとすら感じています。
上で最初に述べた「まじめな作品」にはほど遠い娯楽作ですが、これだけ「突き抜けて」いれば、これはこれで賞賛に値するというものです。

 

脚本は大石静。
大石さん、ナイスです!
よく毎回面白いエピソードをこしらえてくるものと感心しきり。

 

北川景子が感情を表に出さず誰ともつるまずひたすら不動産を売りまくる孤高の鬼セールスウーマンを好演いや怪演しているのですが、手柄をすべて自分のものにしてしまうワンマンプレーぶりにはさすがに閉口。
個人的には、ロボットのようなあの冷血ぶりと能面のような無表情な形相は、演技として少しやり過ぎだと感じていますが、多数派の視聴者を満足させるにはこのくらい極端な人物造形の方がいいのかもしれませんね。

 

あと、毎回、売り主・買い手として登場する一癖も二癖もありそうな豪華ゲスト陣も見どころのひとつ。

 


◎『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(日21 フジ)
http://www.fujitv.co.jp/hope/index.html
韓国でブームになった連続ドラマ『ミセン-未生-』を原作とし日本の文化に合わせて翻案・リメイクしたものですが、主演が俳優として未知数のHey!Say!JUMP中島裕翔であることと、タイトルが全く響いてこないのとで、始まる前は文字通り「期待ゼロ」、期待度Cにランク付けしていました。

 

ところが、蓋を開けてみると、中島裕翔が、特別な知識や技量は持ちあわせないが誠実さとひたむきさと粘り強さとで仕事に真摯に向き合う「平凡な」新入社員の役にぴったりとはまっていて、すごく感情移入できるんですよね。


また、直属上司の遠藤憲一山内圭哉、同期入社の瀬戸康史山本美月桐山照史らもそれぞれ特徴を活かしたぴったりの役柄で、日曜の夜にリラックスした自然体で安心して見ることができます。

インターンから正社員となり、これからどうなりますやら…

 

 

◎『朝が来る』(土23:40 フジ)

http://tokai-tv.com/asagakuru/

→過去記事参照:『水族館ガール』『朝が来る』


 

◎『せいせいするほど、愛してる』(火22 TBS)
http://www.tbs.co.jp/seiseisuruhodo_love/
あのジュエリー・ブランド、ティファニーの広報部、そしてその顧客・マーケットとしてのきらびやかなセレブリティの世界を舞台にした不倫ものということで、私にとっては否定的な要素ばかり。
というわけで見る前は期待度Cにしていたのですが、何回か見るうちに期待度Bに格上げ
しかも実を言うと、トップに挙げた『好きな人がいること』よりも恋愛モノとしてこちらの方が面白いかも…。

 

何だろう、こちらの方がピュアな恋心を抱く主人公により自然な感情移入が可能なんですよね。
少なくとも全然「不倫もの」という感覚はありません。
まあ滝沢秀明演じる副社長の奥さんが意識不明で寝たきりでしかも離婚届を出す寸前での事故だったという背景があるんですけど、それだけが理由ではないだろうと思います。分析できていませんけど。

 

前から思っているのですが、武井咲は若いに似ず、かなりしたたかな役者さんですよね。
役者としての「感覚」が鋭くて、与えられた役柄をよく咀嚼し的確に演じ分けることができる役者さんという印象です。

 

 

◎『水族館ガール』(金22 NHK)

http://www.nhk.or.jp/drama10/suizokukan/

→過去記事参照:『水族館ガール』『朝が来る』

 

 

◎『そして誰もいなくなった』(日22:30 日テレ)
http://www.ntv.co.jp/soshitedaremo/
ある日突然、お前はお前ではないと宣告され、社会から抹消され、居場所を失ってしまう。
なにやら安部公房の前衛小説を読んでいるような不条理な世界ですが、マイナンバーカードが現実のものになり、システムが何者かの手によって破られたり改変されたりするリスクが以前にも増して身近なものになりつつある昨今、この主人公のような災難は決して絵空事ではなく、いつ自分に降りかかってもおかしくないものとして、切実な気持ちでドラマの成り行きを見守っています。

 

身近な誰もが信頼できそうで、その誰もが実は自分を陥れている張本人かもしれないとも思えて疑心暗鬼に陥るのはドラマ中の主人公のみならず、視聴者とても同じこと。
元恋人のミムラ、学生時代の親友で総務省官僚の玉山鉄二、上司のヒロミをはじめとする登場人物が、通常のドラマであれば主人公に寄り添う善良で表裏のない役柄を演じることが多いのに、このドラマを見ていると誰もが怪しく思えてくるから不思議です。

 



◆期待度C (気になるが、とりあえず様子見)

 

◎『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(火22 フジ)
http://www.ktv.jp/on/index.html
事件ものは基本的に見ないのですが、これは精神病理的な見地からの興味で見ることに決めました。
「人を殺す者と殺さないものの境界はどこにあるのか?」
「自分は人を殺す者に属し、いずれは殺人を犯すのではないか? だとしたらその契機はどこに?」
主人公である新人刑事はこの問いの答えを知りたいがために刑事になり、事件に過剰なまでに首を突っ込みます。


作品の性格上、毎回、猟奇殺人・異常犯罪の血なまぐさい描写が出てきて、気の弱い私にはなかなか辛いのですが、頻繁に起こるバラバラ殺人事件とかフィッシュピックによる通り魔的メッタ刺し事件とか、つい最近では神奈川障害者施設殺人事件など、常軌を逸したような事件が毎日のように起こる昨今、フィクションとはいえ、とても興味深く見させてもらっています。

 

主演の波瑠は、普通のドラマよりこういった影のある役柄の方がずっと似合っていると思います。こういう役柄をこなせる数少ない若手女優としてとても貴重な存在だと思います。

 

 

◎『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(金23 テレ朝)
http://www.tv-asahi.co.jp/gurame/
ドラマのねらいというか主題というか、どこに力を入れているかがいまひとつ不明なんです。
シェフとしての成長物語としては、修行の過程や出自や苦悩する姿の描き込みが足りないように感じるし、料理そのものを主眼としているようにも見えません。(原作のコミックについては読んでいないので分かりません)

 

料理にメッセージ性など要らないという守旧派の料理長(高橋一生)と、料理にとってメッセージは重要な要素と考える主人公(剛力彩芽)との料理対決というのがテーマといえばテーマなのでしょうが、やはり主人公がぽっと出の料理人に見えて、総理の新しい料理番として旧料理長と対等に競えるだけの技量とか蓄積とか引き出しの多さがあるようには見えないところが難点といえます。

 

と文句ばかり言いつつ、「剛力彩芽がんばれ!」、「高橋一生め生意気だな」とか「いい気味だ」とか言いながら毎週楽しみに見ているのですが(笑)

あと、エンディングでケツメイシの曲に合わせて踊る出演者のダンスは必見!

 


◎『営業部長 吉良奈津子』(木22 フジ)
http://www.fujitv.co.jp/kiranatsuko/index.html
ごめんなさい、松嶋菜々子の定番のキャリアウーマン的な役どころが何故か昔から苦手なんです。
何がそんなに鼻につくのか自分自身わからないでいるのですが。
でも一応毎回見ています。

 

 


◆期待度D (あまり期待しないが、とりあえず様子見)

 

◎『神の舌を持つ男』(金22 TBS)
http://www.tbs.co.jp/ranmaru_tbs/
最初は料理ものかと思いきや、舌で温泉や空気中の成分を嗅ぎ分ける能力を持つ若い男(向井理)とその同行男女(木村文乃佐藤二朗)が謎の温泉芸者を追って全国の温泉地を巡り、行く先々で事件に巻き込まれ、解決していく物語。
あの堤幸彦が演出をてがけるだけにギャグ・パロディ・オマージュ満載の堤ワールドが炸裂。

 

主人公が伝説の三助の孫でやはり祖父ばりの三助の技量の持ち主で、宿泊するお金を持ち合わせないため、行く先々で無料で三助をする代わりに宿泊させてもらうという設定で、毎週、向井理と若い娘達の入浴シーンで視聴者の目を楽しませ、2時間ドラマ好きの名探偵気取りの骨董品詐欺女・木村文乃や、何故か二人に随行する佐藤二朗とのずっこけコンビぶりで、会社帰りの疲れた心を解きほぐしてくれます。

 


◎『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』(金20 テレ東)
http://www.tv-tokyo.co.jp/yassan/
宿無し・職なし・無一文なのに食の達人という謎の男・ヤッさん(伊原剛志)とひょんなことでヤッさんに弟子入りすることになったタカオ(柄本佑)が築地や都内飲食店を舞台に繰り広げる人情料理活劇。
伊原剛志がやたらかっこいいんですよね。

 


◎『死幣』(水24:10 TBS)
http://www.tbs.co.jp/DeathCash/
SKE48の松井珠理奈が連続ドラマ初主演となるホラーサスペンス。
金に困った人の前に現れる万札の束。しかしこれに手を付けた者は誰もが不可解で残酷な死を迎える。
事件はいつも松井珠理奈の周辺で起こり、死はいつも彼女の目の前で実行され、彼女はそのたびに返り血を浴びる。アイドルにこんなことをさせていいのか?!
死に方がいつもグロいんですが、つい怖いもの見たさに見てしまいます。

 

 


◆期待度E (最初から脱落)

 

多数につき省略

 

 


■曜日別番組表

 

◆月曜~土曜日
◎朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(月-土8 NHK)

 

◆月曜日
◎『好きな人がいること』(月21 フジ)

 

◆火曜日
◎『せいせいするほど、愛してる』(火22 TBS)
◎『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(火22 フジ)
◎『闇金ウシジマくんSeason3』(火25:28 TBS)

 

◆水曜日
◎『刑事7人 第2シリーズ』(水21 テレ朝)
◎『家売るオンナ』(水22 日テレ)
◎『死幣』(水24:10 TBS)

 

◆木曜日
◎『女たちの特捜最前線』(木20 テレ朝)
◎『はじめまして、愛しています。』(木21 テレ朝)
◎『営業部長 吉良奈津子』(木22 フジ)
◎『遺産相続弁護士 柿崎真一』(木24 日テレ)

 

◆金曜日
◎『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』(金20 テレ東)

◎『水族館ガール』(金22 NHK)
◎『神の舌を持つ男』(金22 TBS)
◎『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(金23 テレ朝)
◎『侠飯~おとこめし~』(金24 テレ東)

 

◆土曜日
◎『時をかける少女』(土21 日テレ)
◎『朝が来る』(土23:40 フジ)
◎『徳山大五郎を誰が殺したか?』(土24:20 テレ東)

 

◆日曜日
◎『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(日21 フジ)
◎『仰げば尊し』(日21 TBS)
◎『そして誰もいなくなった』(日22:30 日テレ)

 

 

以上です。

 

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恒例のドラマ評をお送りします。

ただ今回はすでに「中間評」という形で多くを語り尽くした感があるので、内容的に被る部分があることをご承知おきください。

 

また、毎度お断りするように、ここで書く評価記事は、青春もの・純愛もの・感動モノ至上主義の私の独断と偏見の産物です。
事件ものとかエンタテインメント作品は多くの人からすると不当に低く評価していると思われるかもしれません。
視聴率とはほぼ確実に反比例します(苦笑)
 また、取り上げた作品は地上波に限定しています。

■総評

 

今クールは毎週わくわく楽しみにする作品が数多くありました。
特に私の好きな純愛モノが多かったのはうれしい限り。
ただ、いずれも甲乙つけがたい一方で、「これぞ」という図抜けた存在は残念ながらありませんでした。

というわけで、今回は「大賞」無しでもよかったのですが、甲乙つけがたい中なら無理やりひとつだけ「大賞」を選び、それ以外の優秀作品にはそれぞれに個別の賞名を付与することにしました。


■各賞発表

 

◆大賞

◎『ゆとりですがなにか』(日22 日テレ)

 

講評:
人気若手俳優の岡田将生松坂桃李柳楽優弥が三者三様のヘタレぶりで「ゆとり世代」の悲喜こもごもを面白おかしくかつリアルに演じて見せました。

何かと「ゆとり」を強調しながらも、決してよくある「vs 旧世代」という単純な対立構造に落とし込むのではなく、普遍的な個人と組織の問題や、互いに分かり合いたいと願っている者同士が結局分かり合えないもどかしさなど、誰もが現実の社会で向き合わされている問題を、主人公たちのヘタレぶりの中にうまく掬い取って相対化(客体視)し笑い飛ばすことで、視聴者にガス抜きさせてくれる、そんな作品だったと思います。

あまりにもリアルだと「現実世界でさんざん辛い思いをしているのに、ドラマの中で追体験なんかしたくないよ」となりがちですが、戯画化とリアルさ追求のさじ加減が絶妙でした。

 


◆優秀作品賞
〜予想外のピュアラブストーリーだったで賞
◎『世界一難しい恋』(水22 日テレ)

 

講評:
およそ恋愛ドラマとは無縁のように見える大野智が主役ということで、タイトルの「恋」は名ばかりでドタバタコメディーに違いないと踏んでいたのですが、豈図らんや、恋愛ベタな男のせつなすぎるピュアラブストーリーでした。
好きな女に気に入られようとジタバタする姿に図らずも感情移入し、最後まで自分のことのようにはらはらどきどきでした。


◆優秀作品賞
〜アラフォー中谷美紀が乙女かわゆすぎるで賞

◎『私 結婚できないんじゃなくてしないんです』

 (金22 TBS)

 

講評:
15年ぶりの主演となる中谷美紀が、プライドばかり高く男を寄せつけない「行き遅れ」女医を体当たり演技。
ちょうど阿部寛主演の『結婚できない男』と、上で挙げた『世界一難しい恋』の女主人公版、と言ったらいいでしょうか?
『世界一難しい恋』同様、社会的地位のあるアラフォーの美人女医らしからぬ、恋愛に対してまるで十代の少女のようにおろおろジタバタする姿が、嘲笑の対象としてではなく、むしろとても愛らしく、「おいおい、それじゃだめだよ!」「そうそう、もうひと押しがんばれ!」などとついつい応援している自分がいました。


◆優秀作品賞
〜コミック出版業界に興味津々だったで賞

◎『重版出来!』(火22 TBS)

 

講評:
ありそうでなかったコミック出版業界の内幕物。
新人作家と担当編集者の運命共同体的関係とか読者アンケートによる激烈な順位争い、売れっ子作家とアシスタントの関係、有望作家の引き抜き合戦といった比較的有名な業界ネタにとどまらず、出版社内部の部署間の「力学」や、営業と書店との関係などなど、興味深く見せさせていただきました。

夢を追いかける者のほんの一握りが獲得する栄光とほとんどの者が味わう挫折という普遍的な問題についてもあらためて考えさせてくれる作品でした。

また、<主人公を支える和服姿の似合う「昭和顔」の若妻>のイメージが強かった黒木華の新たな一面を開拓した作品としても評価できると思いました。


◆優秀作品賞
〜決してCDプロモ番組とは言わせなかったで賞

◎『ラヴソング』(月21 フジ)

 

講評:
児童養護施設出身で吃音が激しく、社会とうまく折り合いをつけられない女の子が、歌という表現手段を通して、自立し、恋をし、心を開いて、人間として成長していく物語。
これならできる、これなら人生を賭けられるというものをひとつ持つことができれば、人は一歩前に踏み出すことができるし、目の前の巨大な障害を超えようとする勇気も獲得できるということを再認識させてくれるドラマでした。

もちろん、随所に入る福山雅治藤原さくらのギターセッションも楽しみのひとつでしたよ。

これ、当初は当然主演は福山雅治だと思っていましたが、最後は藤原さくら演じるヒロインに振り回されて右往左往する単なる「おじさん」と化していましたね。もちろん良い意味で(笑)


◆優秀作品賞
〜ほっこりとする等身大ドラマだったで賞

◎『早子先生、結婚するって本当ですか?』
  (木22 フジ)

 

講評:
教育現場が舞台になるドラマは久しぶりの感じ。
といっても学校のドラマというよりは、日々の仕事に流されて漫然と生きている、特別な野心も燃えるような恋愛も無関係な「普通の」独身女性の物語でした。

ドラマは松下奈緒演じる早子先生の一人称の独白で進行するのですが、あえて低いトーンでの語り口と松下奈緒の持つ独特のサバサバした雰囲気が「普通の人」感をうまく醸し出していて、視聴者が登場人物を自分に重ねることを助けてくれました。

脇を固める尾藤イサオ松坂慶子、同僚の貫地谷しほり佐藤仁美八嶋智人ら、実力派俳優陣もそれぞれ持ち味を発揮して、ドラマの世界に安定感を与えてくれていました。

殺伐としたドラマとか逆にドタバタ喜劇が多いなか、ホッと息つけるドラマでした。


◆優秀作品賞
〜大人のピュア・ラブも素敵で賞

◎『コントレール』(金22 NHK)

 

講評:
通り魔に夫を殺された未亡人(石田ゆり子)が、行きずりのトラック運転手(井浦新)と運命的な出会いで恋に落ちますが、それが何と、夫を誤って死なせてしまった男だということが分かり…

脚本が大石静ということで、不倫、家庭崩壊、そしてドロドロ愛憎劇などという言葉が思い浮かびましたが、蓋を開けてみると、全くそうではなく、まさに「大人のピュア・ラブストーリー」という言葉がぴったりの作品に仕上がっていました。

主演の石田ゆり子井浦新も、始まる前は「少し弱いかな」と危惧していましたが、ともに透明感のある役者さんで、ナイス・キャスティングでした。

大人の「ロミオとジュリエット」と言ったらいいんでしょうか。
さすがに「大人」は心中を選ばず、社会良識の前に別れを選択しましたが…

 


◆優秀エンタテインメント賞
◎『火の粉』(土23 フジ)
◎『僕のヤバイ妻』(火22 フジ)

 

講評:
『火の粉』
善良な一家が隣人の魔の手にかかり、為す術もなく家庭崩壊していく様を描く心理サスペンス。
隣人のユースケ・サンタマリアが心象的には「真っ黒」なんですが、それでももしかしたら本当に「濡れ衣を着せられた善人」なのでは?という疑念も捨てきれないところが、ユースケ・サンタマリアの持ち味。何を考えているか分からない不気味な隣人役をやらせると相変わらずピカ一ですね。
ユースケ・サンタマリアの凍りついたような不気味な笑顔が最後まで私たちの心に冷水をぶっかけ続けました。

このドラマのユニークだったところは、最後に家族が一致団結するのですが、それがユースケ・サンタマリアを糾弾し打倒する方向に向かうのではなく、むしろユースケ・サンタマリアに寄り添い、魂の救済の方向に向かうところですね!

 

『僕のヤバイ妻』
伊藤英明演じる自分本位のダメ浮気男と、純粋に彼を愛するあまりに偽の誘拐事件やら何やらを仕組んで男の心を引き留めようとする妻(木村佳乃)、そして誰の味方か分からない浮気相手の女(相武紗季)、さらには隣家の偽装夫婦(キムラ緑子高橋一生)が複雑に絡み合って、視聴者を疑心暗鬼にさせ、真相の前に右往左往させられました。

終わってみると、それほど心に残らない内容だったのですが、とにかく毎回どんでん返しや新たな真実の発見の連続で、視聴者を飽きさせませんでした。

 


◆特別文化功労賞
◎『トットてれび』(土20 NHK)

 

講評:
作品そのものに対してというより、テレビ業界黒柳徹子に対する功労賞ということで…。

 


◆最優秀主演女優賞
◎藤原さくら(『ラヴソング』)
  次点:黒木華(『重版出来!』)
     松下奈緒(『早子先生、結婚するって本当ですか?』)
     中谷美紀(『私 結婚できないんじゃなくてしないんです』

 

講評:
見る前は、どうせ福山雅治のバーターか、新人プロモの一環だろうと高をくくっていましたが、蓋を開けてみると、吃音で世間にうまく順応できない児童養護施設出の少女の姿を、まさに本人がそうなのではないかと勘違いしそうなくらいにリアルに演じ切っていました。

しかも見た目の少女っぽさとは裏腹に、煙草が離せない結構荒々しい肉食系女子の役を、こんな迫真の演技をしては本業の歌手としてのイメージに傷がつくのでは?とこちらが心配してしまうほどの迫真の演技。あっぱれです!

 


◆最優秀主演男優賞
◎大野智(『世界一難しい恋』)
  次点:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥(『ゆとりですがなにか』)

 

講評:
およそ恋愛ドラマとは無縁のように見える大野智がピュアな恋愛ドラマのヒロインを、しかも有名一流リゾートホテルチェーンを築き上げた経営者という役柄で見事に演じ切りました。
「ラブコメ」といってもどうせ「コメディ」ばかりの薄っぺらなラブストーリーになるに違いないと思っていたのですが、どうしてどうして、どっぷり感情移入させてもらいました。

 


◆最優秀助演女優賞
◆最優秀助演男優賞

 

講評:
ごめんなさい、今クールは誰が主演で誰が助演か、なかなか見分けがつきませんでした。
主演のはずの役者さんを助演で讃えてもなあ…ということで、今回はいずれの賞も「該当者なし」とさせていただきます。

 


◆優秀音楽賞
◎藤原さくら「soup(『ラヴソング』)
◎chay「それでしあわせ『早子先生、結婚するって本当ですか?』
◎感覚ピエロ「拝啓、いつかの君へ(『ゆとりですがなにか』)

 


◆残念ながら選から漏れた候補作品

 

◎『お迎えです。』(土21 日テレ)
◎『99.9』(日21 TBS)
◎『ドクターカー』(木24 日テレ)
◎『OUR HOUSE』(日21 フジ)
◎『毒島ゆり子のせきらら日記』(水24 TBS)
◎『ディアスポリス』(火25)
◎『ドクター調査班』(金20 テレ東)
◎『不機嫌な果実』(金23 テレ朝)
◎『ナイトヒーローNAOTO』(金24 テレ東)


以上です。

 

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5月末の平日金曜日に、東京・六本木(乃木坂)にある国立新美術館で開催中の『ルノワール展』に行ってきましたのでご報告します。

 

 

・名称  :オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵

      ルノワール展

・会場  :国立新美術館(東京・六本木)
・会期  :2016年4月27日(水)―2016年8月22日(月)  
・開館時間:10時~18時(入場は閉館30分前まで)

      毎週金曜日は~20:00(入場は~19:30)

      ※ただし以下は20時まで。  

       毎金曜日、8月6日、13日、20日
・休館日 :火曜日

      ※ただし5月3日(火)、8月16日(火)は開館。

・料金  :一般 1,600円 大学生 1,200円 

      高校生 800円 中学生以下 無料 

 

公式サイト

 

 

■本展覧会の趣旨と目玉

 

日本人は、いや日本人にかぎらずですが、西洋絵画といえば、印象派の人気が絶大ですよね。

そんな印象派の中でも特に人気が高いのがルノワールモネです。

とりわけルノワールは、難解な抽象性に陥ることなく、心温まるような穏やかな作風で、身近な女性や子どもや自然の風景を描くことで、一般の絵画愛好家に広く親しまれています。

 

本展は、その長いタイトルを見れば分かる通り、世界でも有数のルノワール・コレクションを誇るオルセー美術館オランジュリー美術館から100点以上もの絵画・彫刻・デッサン・パステルなどを集め、初期から最晩年までのルノワールの足跡をたどります。

 

目玉としては初来日の2点

ひとつは、印象派時代の最高傑作として名高い『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』。

もうひとつは死の直前に描いた最晩年の知られざる大作『浴女たち』。

 

また『都会のダンス』と『田舎のダンス』が45年ぶりに揃って来日。

 

 

■当日の混み具合

 

5月下旬の平日金曜日16時に乃木坂に到着。

同日は上野の西洋美術館では伊勢志摩サミットの警戒で手荷物検査やらX線検査をやらされていましたが、ここでは何もなくすんなりと入場できました。

 

「ルノワール」というビッグネームにしてはそれほど混んでなくて、何重にも列ができたり、滞留してイライラしたりということはほぼありませんでした。

比較的すいている金曜日で、会期が4ヶ月と長く、まだ始まって間もなくテレビなどでもほとんど紹介されていなかったというのがその理由だと思います。

 

 

■ルノワールについて

 

◇印象派を中心としたルノワールを巡る年表

 

ピエール・ オーギュスト・ ルノワール(1841-1919)は、仕立屋の家庭に生まれ、幼い頃から画才は認められていたものの、本格的な画家としてのスタートはそんなに早くありません。

13歳で磁器工場の徒弟生活に入り、磁器の絵付け職人を目指しますが挫折。

20歳のときにシャルル・グレールの画塾(私設アトリエ)に入って本格的に絵画を学び始め、翌年に国立美術学校に入学しています。入学時の成績は80名中68番だったそうです。

 

グレールの画塾では、同年代のライバルであり友であり印象派の同志となるシスレーモネバジールらとの出会いと交流があり、後の画業を決定づけることになります。

グレールは生徒に自分の作風を強要せず、自由に個性を伸ばす指導方針だったので、アカデミックな美術教育にあきたらない画家の卵たちが彼のアトリエに多く集まるようになったようです。

 

20代のルノワールや他の「将来の」印象派画家たちは、当初はなかなか芽を出せず、官展(サロン)に応募しては落選を繰り返し、作品で生計を立てるのはきわめて困難だったようです。

とりわけ審査の厳しかった1867年、パリ万国博覧会の年のサロンでは揃って落選し、マネバジールモネシスレーピサロセザンヌらとともに「落選者のサロン」の開催を求める嘆願書に署名しましたが受け入れられませんでした。

 

1870年代に入り、ルノワールが30歳を過ぎてから、後の印象派と呼ばれるようになるグループが集い、さまざまな実験的な試みを重ね、1874年ついに第1回印象派展が開催されます。

 

第1回印象派展は賛否両論を巻き起こしましたが、否定的な見方が大半だったようです。

それでも彼らはめげず、毎年のように印象派展を開催します。

並行してサロンにも応募していますが、やはり彼らの作品は当時のアカデミズムには受け入れられず、落選の憂き目を見ることが多かったようで、その発表の場、不満のはけ口として、印象派展は重要だったのでしょう。

 

ルノワールは第8回まで開催された印象派展の第1回(1874年)、第2回(76年)、

第3回(77年)と第7回(82年)の4回に出品しています。

 

ルノワールは「印象派」の代表的な画家と評されますが、印象派の作風を自分の画業の究極形とか完成形などとは考えておらず、あくまで自分の描きたいものを効果的に描くための有用なツールのひとつであり通過点として、作風を変化させていきました。

初期の1860年代、印象派まっただ中の1870年代、印象派後の1880~90年代、後期~晩年の1900年代以降といったように。

 

上の年表を見ると分かるように、印象派の画家たちはほぼ同年代の生まれですが、ルノワールはその中でもモネに次いで長生きした画家で、多くの画友たちの死を目にしながら、よりよい作品を生み出すための探求を続けていきました。

 

 

■寸評

 

本展は以下のような構成で展示がなされていました。

年代順に並んでいるわけではないので注意が必要。

 

1章 印象派へ向かって

2章 「私は人物画家だ」: 肖像画の制作

3章 「風景画家の 手技(メチエ)」

4章 “現代生活”を描く

5章 「絵の労働者」: ルノワールのデッサン

6章 子どもたち

7章 「花の絵のように美しい」

8章 《ピアノを弾く少女たち》の周辺

9章 身近な人たちの絵と肖像画

10章 裸婦、「芸術に不可欠な形式のひとつ」

 

 

以下、この構成にしたがって、ごく簡単に感想を述べていきたいと思います。

ただし、各章の中での順番は実際には必ずしも年代順に並んでいませんが、ここではあえて各章の中に限り年代順に並べ直して掲載することにします。

 

なにぶん美術愛好家でも何でもなく、ただの門外漢のおっさんなので、もしかしたらお門違いのコメントをしてしまうかもしれませんが、それもご愛敬ということで…

 

 

◆1章 印象派へ向かって

 

 

《猫と少年》 

1868年、油彩・カンヴァス、123x66cm、オルセー美術館

 

この《猫と少年》は、1868年、27歳のころの作品です。

ルノワールにしては珍しい男性裸体像で、歴史や神話的な文脈からの脱却、最小限の陰影による描写など、先輩画家であるクールベ(1819-1877)やマネ(1832-1883)らの影響が見られる一方で、まだ印象派の手法は顕著でなく、どちらかというと写実的な性格が強く見られます。

 

 

《陽光のなかの裸婦(エチュード、トルソ、光の効果)》

1876年頃、油彩・カンヴァス、81x65cm、オルセー美術館

 

うって代わって、この《陽光のなかの裸婦(エチュード、トルソ、光の効果)》という作品は、それから8年ほど経った1876年の第2回印象派展に出品された作品です。

つまり、ルノワールがばりばりの印象派画家として表舞台に立ったころの作品です。

 

印象派の特徴を敢えて強調した挑戦的な作品といえるでしょうか。

「エチュード(習作)」という言葉をタイトルに敢えて付け足したのも、印象派の手法に対する理不尽な批判・こき下ろし・条件反射的な反発に対する予防線を張る意味があったのかもしれません。

 

木陰に佇む裸婦の肌にところどころ落ちる木洩れ陽の光。

影に覆われた肌は灰色や黒ではなく、本来の肌色に緑や紫が混ざった複雑で微妙な色合いと質感として表現されています。

現代的な視点あるいは創作したことのない素人の目からは当り前のようにも見えますが、これは決して当り前の描き方ではなかったのですね。

 

これを当時の批判的な評論家は「死体が完全に腐敗した状態を示すような、緑と紫の色斑による肉の寄せ集め」(ル・フィガロ紙) やら「腐敗した肉体の紫がかった色調によって、われわれを悲しい気持ちにさせる裸婦の大きなエチュード」(ル・コンスティテューショネル紙)などと揶揄したそうです。

 

はっきりいうと、私も似たような感想を持ちました。(ぺこり)

 

 

 

◆2章 「私は人物画家だ」:肖像画の制作

 

彼は若い頃から自らを「人物画家」と自負していたそうです。

とりわけその柔らかい筆致は、女性や子どもの肖像画において、人々を魅了して来ました。

 

《ダラス夫人》 

1868年頃、油彩・カンヴァス、48x40cm、オルセー美術館

 

この作品《ダラス夫人》は、《猫と少年》と同じ時期に描かれた若書きの作品ですが、ルノワールの魅力的な人物造形がすでにここにもほの見える気がします。
彼の描く女性はとてもエレガントで聡明な感じがいいですよね。

 

 

《読書する少女》 

1874-1876年、油彩・カンヴァス、46.5x38.5cm、オルセー美術館

 

この作品《読書する少女》は、第1回~第2回印象派展のころの作品で、印象派の手法の実験的な試みが前面に押し出されていて、個人的にはあまり好きな作品ではありませんが、ルノワールや印象派を語る上では貴重な史料なのでしょうね。

 

 

 

クロード・モネ(1840-1926)

1875年、油彩・カンヴァス、84x60.5cm、オルセー美術館

 

クロード・モネとは20歳のころ、グレールの画塾で出会い、生涯を友としてライバルとして尊敬し合い切磋琢磨し合う間柄になりました。

1869年ごろにはしばしばモネに誘われ野外に出て、河川敷や河港の風景をスケッチして回り、川面に反射する光の描写について二人であれこれ探求したようです。

その後も事あるごとに、二人はお互いの家に行き来してはスケッチ旅行などして、印象派の技法を深めていきました。

 

上の作品《クロード・モネ》は、第2回印象派展に出品された18点のうちのひとつで、モネの新居に訪問した際に描いたもので、私のお気に入りの作品のひとつです。

印象派の作品として極端に走らず、ちょうどいい塩梅に技法を組み合わせて描画している感じがします。

 

 

 

下の作品《ポーラ・ベラール夫人の肖像》は、それから4年後の作品ですが、この作品も上のモネを描いた作品と同様、よく抑制のきいた落ち着いた雰囲気の作品で、やはり私のお気に入りの肖像画です。

技法とか作風がどうのこうのというより、作品の中に生きているこの女性そのものがとても魅力的なんですよね。

 

ポーラ・ベラール夫人の肖像

1879年、油彩・カンヴァス、49.5x40cm、オルセー美術館(ディエップ市立美術館寄託)

 

 

 

◆3章 「風景画家の 手技(メチエ)」

 

ルノワールといえば人物画、肖像画というのがいわば決まり文句ですが、私はむしろ風景画の方が好きだったりします。

今回展示された作品の中では特に下の2つの作品がお気に入りです。

 

 

《イギリス種の梨の木》 

1873年頃、油彩・カンヴァス、66.5x81.5cm、オルセー美術館

 

この作品は、ちょうど2年前に同じ国立新美術館で開催された「オルセー美術館展」でも展示されていて、そのときも当ブログでお気に入りとして取り上げました。

何でもない風景なんですが、じりじりと夏の太陽の照りつける草原(畑)に立つ梨の木の、鬱蒼と茂った葉が、心地よい風にそよいで草むらや自分自身にゆらゆらと陰影を落とすさまを見事に描写していて、写実ではないリアルさをひしひしと感じさせてくれます。

技法的に見ると、葉や樹の幹の細部まで緻密に描いている部分と、いかにも印象派らしくぼやかして描いていいる部分とが意識的に書き分けられていて、そのバランスが絶妙なんですよね。

 

 

 

《草原の坂道》 

1875年頃、油彩・カンヴァス、60x74cm、オルセー美術館

 

上の作品《草原の坂道》は今回初めて見ましたが、これもとても印象に残る作品です。

ルノワールの優しさに溢れる人物画をそのまま風景画にしたらこんな感じになるんだろうなというような作品ですね。

自分の幼いころを思い出すようなこのノスタルジックな感覚は万国共通なんでしょうか。

 

構図が抜群ですね。

中央を貫く小径をこちらに向かって歩いてくる幼子と日傘を差した母親とみられる女性、ずっと後方にはやはり日傘を差した男女の小さな影。

手前には散策の目的地と思しき家屋の垣根か門扉のほんの一部がさりげなく描かれ、

これらが形作る遠近法のもとで、草原を彩る美しい木々や色とりどりの草花が、散策者たちのこの幸せなひとときを祝福しているようです。

 

彼は生前「風景なら、その中を散歩したいと思わせるような絵が好きだ」と語ったそうです。まさにそんな思いを体現したような作品ですね。

 

 

 

◆4章 “現代生活”を描く

 

印象派は作画の技術の面だけでなく、当時の最先端の「モード」、新しい生き方をする都会の人々の活気を積極的に描き出そうとした点でも、時代を先取りしたものだったようです。

 

 

《ぶらんこ》 

1876年、油彩・カンヴァス、92x73cm、オルセー美術館

 

上の作品《ぶらんこ》は、第3回印象派展に出品され、大きな反響を呼んだ作品で、現在でもよくルノワールの、いや印象派の代表作のひとつに数えられます。

時期的にも技法的にも、先に紹介した《陽光のなかの裸婦》と重なる部分がありますね。

当然、同じような批判があったようです。

曰く「陽光の効果があまりに奇妙な感じに組み合わされているので、人間の衣服にちょうど脂の染みのような効果を作り出している」(批評家ルイ・ルロワ)

 

この作品や下の《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》のような作品で、当時の新しい生き方・暮らし方・遊び方を取り入れた都会人の幸せに満ちた様子を切り取って再構成してみせることによって、印象派は、稚拙な若者たちの単なる奇をてらった技法から、現代社会のありようをより的確に表現するための新しい魅力的な道具立てへと、次第にその評価を変え、人々に受け入れられるようになっていったのでしょう。

 

 

ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会

1876年、油彩・カンヴァス、131.5x176.5cm、オルセー美術館

 

初来日を果たしたルノワールの代表作と評されるこの《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》《ぶらんこ》とともに第3回印象派展に出品され、好評を博しました。

ルノワールの作品としてはかなり大きな部類に属し、ひとつのコーナーを独占する形で展示されていました。

ネットや本で見るのと実物を見るのとで大違いの作品はよくありますが、この作品もそうですね。

柔らかくぼんやりしたタッチでいかにも印象派らしい作品ですが、細部は他の小品同様、ひとつひとつ緻密に描き込まれていて、作品全体から押し寄せるルノワールの集中力と気迫に圧倒されます。

雑踏の中で人々がざわざわと談笑する声がいままさに聞こえてくるような感覚を覚えるこのリアルさはどこから来るのでしょうか?

 

 

 

《アルフォンシーヌ・フルネーズ》 

1979年、油彩・カンヴァス、73.5x93cm、オルセー美術館

 

上の作品《アルフォンシーヌ・フルネーズ》は、いかにもルノワールらしい作品です。

「フルネーズ」とは、パリ郊外のシャトゥー島にあるレストランの名前で、ルノワールを始め、印象派の画家たちが好んで訪れたので「印象派の島」として今でも有名です。

この作品で描かれている女性はこのレストランの娘アルフォンシーヌです。

 

本展では展示されていませんが、ルノワールの代表作のひとつ《舟遊びをする人々の昼食》はまさにこのレストランの風景を描いたもので、そこにもこのアルフォンシーヌが登場しています。

ちなみにルノワールが愛妻アリーヌ・シャリゴに初めて逢ったのもこのレストランで、《舟遊びをする人々の昼食》にはそのときの愛妻の姿も描かれています。

 

おっと、話が逸れまくってしまいました。

 

 

 

ベルト・モリゾ《舞踏会の装いをした若い女性》

1879年、油彩・カンヴァス、71.5x54cm、オルセー美術館 

 

上の《舞踏会の装いをした若い女性》はルノワールの作品ではありません。

印象派の同志、同い年の女性画家ベルト・モリゾの作品です。

 

同じ印象派の画家の描く女性像とルノワールの描く女性像の違いとして比較すると面白いかもしれません。

ルノワールの描く女性はたいてい柔和でふくよかな笑顔の印象がありますが、モリゾが描いたこの女性は、初めての舞踏会で戸惑いながらも社交界という新たな世界への期待に胸膨らませる少女なのか、あるいはもっと象徴的に、画家という新たな世界に飛び出そうとした若き日の自分なのか? 眼光鋭く、不安と強い意志の入り混じった、きりりと締まった聡明な顔立ちをしています。

 

ただ、誤解のないように断っておくと、モリゾはもっぱらこのようなタイプの女性を描いたわけではありません。

むしろルノワールと同様に、田園の風景や穏やかな表情を浮かべた母子の微笑ましい情景などを好んで描きました。

そういう意味でこの作品はモリゾの作品の中でも異質です。

面白いのは、このモデルの容姿がモリゾ当人によく似ている点です。

モデルは不明ですが、舞踏会で見かけた少女に、未来に向かって夢を追っていた自分の若いころの姿を重ねあわせたのかもしれません。

 

ちなみにこの作品は第5回印象派展に出品され、批評家からも上々の評価を得、すぐに買い取られ、1894年にはリュクサンブール美術館のために国家に買い上げられたとのこと。

 

モリゾはとても興味深い女性です。

貴族の家柄に生まれ、カフェに立ち入るどころか一人で外出することさえ不謹慎と言われ、いわんや画家になるなどもってのほかとされた当時にあって、画家を志し、貴族でない家に嫁ぎ、生涯画家であることを貫きました。

彼女はエドゥアール・マネに見出され、マネの作品のモデルになるとともに、画家としてマネに師事し、早くからサロンに入選するなど頭角を現します。

その後、マネとの男女の間柄も囁かれながら、マネの弟と結婚し、一女を産み育てつつ画家として精力的に活動しました。

夫に先立たれた後、ひとりで一人娘のジュリーを育てましたが、ジュリーが17歳のとき肺炎で死去します。

ルノワールドガと詩人のマラルメは、孤児になったジュリーの後見人となり、ジュリーはその後、画家となりました。

 

おっと、また脱線してしまいました。

モリゾについてはまた別の機会に取り上げたいと思います。

 

 

 

田舎のダンス》 

1883年、油彩・カンヴァス、180.3x90cm、オルセー美術館

 

《都会のダンス》 

1883年、油彩・カンヴァス、179.7x89.1cm、オルセー美術館

 

45年ぶりに揃って来日したこの2つの作品は同時期に描かれており、サイズもほぼ同じことから、もともと対になるものと考えられます。

ちなみに同時期に《ブージヴァルのダンス》という作品も描かれており、これらを合わせて「ダンス3部作」と呼ばれますが、今回は2作品のみの展示となっています。

 

《田舎のダンス》は戸外を舞台にいかにも庶民的な穏やかで暖かい雰囲気に満ちているのに対して、《都会のダンス》のほうは大理石のある優雅な室内を舞台にタキシードとシルクのドレスで決めた、いかにも上流階級の若い男女がドキドキしながら踊っている姿が寒色系の色使いで巧みに表現されています。

なお、《田舎のダンス》でこちらを向いている女性がルノワールの夫人となるアリーヌ・シャリゴです。

 

1870年代末から80年代になると、印象派の手法にこだわり続けることに限界と疑問を感じていたルノワールは、印象派という殻にとどまらず、よりよい高みを目指して古今の、あるいは新たなさまざまな技法を試みます。

1881年のイタリア旅行でラファエロのフレスコ画など古典にあらためて触れることでその思いは確信に変わったのかもしれません。

 

1983年に描かれたこの2つのダンスの絵にもあきらかにその頃の印象派からの脱皮の試みの跡が見て取れます。

それまでの作品がどちらかというと輪郭をぼやかして背景に溶け込んでいく傾向が強かったのに対して、これらの作品では、人物の輪郭ははっきりしており、背景から明確に浮き上がって見えるように描かれています。

 

 

 

◆5章 「絵の労働者」:ルノワールのデッサン

 

省略

 

 

 

◆6章 子どもたち

 

《手を組んで座るブルネットの少女の肖像》

1879年、パステル・紙、61x48cm、オルセー美術館

 

ルノワールはパステル画をほとんど残していないのですが、この《手を組んで座るブルネットの少女の肖像》はその数少ない作品のひとつです。

私は絵を描くということに関して全くの素人ですが、これを見て、「職人」としての確かな技術に裏打ちされているからこそのあの名画の数々なのだということを大いに実感しました。

 

 

 

《ジュリー・マネ あるいは 猫を抱く子ども》 

1887年、油彩・カンヴァス、65.5x53.5cm、オルセー美術館

 

ジュリー・マネは先ほど出てきましたね。

印象派の画家エドゥアール・マネの弟であるウジューヌ・マネと、同じく印象派の女性画家ベルト・モリゾの一人娘です。

 

この作品はモリゾが当時9歳のジュリーの肖像画を古くからの友人であるルノワールに発注したもので、ルノワールのこの作品にかけた熱意は並々ならぬものだったと想像できます。

 

ルノワールらしい作品ですが、往時の「印象派」べったりの作風は超克され、ここにルノワールが到達したある種の完成形を感じるのは私だけではないでしょう。 

ジュリーの落ち着いた透明な愛らしさ、暖かい家庭の温もりを感じさせる赤系統にまとめられた背景、ジュリーと子猫との関係性…。

抱きかかえられた子猫の表情が何とも言えず良いですね。

 

この作品はジュリーのお気に入りで、ジュリーが亡くなるまでずっと手元に置かれていたそうです。その気持ち、よく分かります。

 

  

 

《ガブリエルとジャン》 

1895年、油彩・カンヴァス、63x54cm、オランジュリー美術館、ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム・コレクション

 

ジャンはルノワールの2人目の息子で、ガブリエルは妻の従妹でジャンの世話するためにルノワールの家庭に入っていたそうです。

一見、ピザの表面の溶けたチーズをいじっているようにも見えますが、2人が持っているのはおもちゃなのだそうです(笑)

それにしてもやはり何て微笑ましい情景でしょう。

 

 

 

《道化師(ココの肖像)》 

クリード・ルノワール(1901-1969)、画家の息子

1909年、油彩・カンヴァス、120x77cm、オランジュリー美術館、ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム・コレクション

 

「ココ」とはルノワールの三男クロードの愛称です。

クロードに道化師の格好をさせて描いた一枚です。

後にクロード本人が回想したところによると、白いタイツがチクチクして履くのを嫌がったクロードにルノワールが無理やり履かせて仕上げたとのこと。

我が子を愛する親バカぶりが目に浮かぶようです。 

 

 

上の何枚かの絵もそうですが、1880年代以降の作品は、それ以前の作品と雰囲気が大きく変わっています。

一番分かりやすいのは、その色使い。

それまでは青や緑など寒色系の色使いがもっぱらだったのに対し、後年は赤や黄色など暖色系を好んで使うようになります。

記事の中でこうやって作成年順に並べてみると、一目瞭然で興味深いですね。

 

 

◆7章 「花の絵のように美しい」

 

 省略

 

 

 

◆8章 《ピアノを弾く少女たち》の周辺

 

 

《ピアノを弾く少女たち》 

1892年、油彩・カンヴァス、116x90cm、オルセー美術館

 

この作品もいろいろなところで見かけるルノワールの円熟期の代表作のひとつですね。

この手の題材はルノワールの面目躍如たるところで、ルノワール自身も好んで描いたようです。

 

この作品は1892年にリュクサンブール美術館が購入した最初の印象派の絵画であり、当初から好意的に受け入れられていたことが分かります。

美術館は当初、印象派の作品の中でも最も印象派らしい作品を望んでいたようですが、結果的にこの作品に落ち着いたとのこと。

すでに「典型的な印象派の作品」というにはルノワールは先を行き過ぎていますが、この作品の完成度には代え難かったのでしょうね。

 

 

 

《ピアノを弾くヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》 

1897-1898年頃、油彩・カンヴァス、73x92cm、オランジュリー美術館、、ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム・コレクション

 

上の《ピアノを弾く少女たち》から5年後の作品です。

似たような構図ですが、少し雰囲気が異なって、より古典的な趣を感じます。

モデルはルノワールの友人で人気画家のアンリ・ルロルの娘姉妹です。

ルロルは美術品収集家でもあり、背後の壁に掛けられているのはドガの踊り子と競馬の絵ですね。それをルノワールの手で(一部とはいえ)再描画しているのが面白いですね。

ルロルにぜひ背景に入れてくれと頼まれたのだろうか?などと憶測したりしましたが、この作品はずっとルノワールの手元に置かれていたのだそうで、どういう動機からこの作品が生まれたのかは不明です。

 

 

 

◆9章 身近な人たちの絵と肖像画

 

 

《座る娘》 

1909年、油彩・カンヴァス、65.5x55.5cm、オルセー美術館

 

ルノワールはいわゆる職業モデルを好まなかったそうです。

意図的・作為的に作られたポーズではなく、自然なしぐさや表情の一瞬一瞬をこそ描きたかったからでしょう。

この女性もたまたま街で見かけた郵便配達員の婚約者で、モデルとして恋人の許可が得られず苦労したというエピソードが残されています。

いろいろな条件を飲んだ中でも「ヌードは描かない」という条件は(相手がルノワールだけに)必須の条件だったようです。宜なるかな!

 

それにしても、無造作にさっと引かれたような細かい線の集合体によって、白い服のなめらかで光沢があり、そして肌がほのかに透けて見えるさまを、あたかも目の前で見ているかのようなリアルな質感で描き出す技術は驚嘆の極み。

 

 

 

◆10章 裸婦、「芸術に不可欠な形式のひとつ」

 

裸婦そのものは1960年代からも描いていましたが、晩年になると、さらに熱心に描くようになりました。

いずれも比較的ふくよかな体躯をしていて、ルノワールの好みだったんですかね?

そういえば妻のアリーヌもどちらかというとふっくらとしていましたね。

 

 

《浴女たち》 

1918-1919年、油彩・カンヴァス、110x160cm、オルセー美術館

 

この作品は死の前年から直前まで数カ月を費やして描き上げたルノワールの集大成ともいえる大作です。

個人的には魅力を感じませんが、病の中で死を身近に感じながらの、この生命力と情熱といったら!!

 

印象派として画壇を席巻し、そこにとどまらずに長年研鑽を重ね、そして辿り着いた果てで描いたのが、古典的な、宗教画や中世絵画のような、天国か楽園の風景にも似た理想化された世界だったことが、何とも感慨深く、彼の80年近くの生涯にしみじみと思いを馳せることのできる展覧会でした。

 

最後にルノワール本人のお言葉と敬愛する作家評で締めくくりたいと思います。

 

ー 私にとって絵とは、好ましく、楽しく、きれいなもの…そう、きれいなものでなければならない!

ー 人生には不愉快なことがたくさんある。だからこれ以上、不愉快なものをつくる必要なんかないんだ。 by ルノワール

 

ー 悲しい絵を描かなかった唯一の偉大な画家  by O.ミルボー

 

以上です。

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4月期のTVドラマもほぼ最終回を迎えつつありますが、早めに終了した番組の後番組もいくつか始まっています。

 

4月期として取り上げられず、次の7月期ドラマとしても取り上げられない端境期のドラマになってしまいそうですが、なかなか面白そうなので、ここで取り上げておきます。

 

以下の2つのドラマです。

 

・『水族館ガール』(NHK総合・火22:00) 6/17~
・『朝が来る』(フジテレビ系・土11:40) 6/4~

 


◎『水族館ガール』(NHK総合・火22:00)全7話

 

 

いわゆる「ドラマ10」枠で、大人の純愛ストーリーとして好評を得た『コントレール』の後番組になります。

 

総合商社から左遷で子会社の水族館に出向させられてきた冴えないOL(松岡茉優)が、本気で水族館の動物たちや飼育員たちと向き合い成長していく物語。

松岡茉優は女優として飛び抜けたオーラは感じませんが、こういった自信も誇りも責任感も欠けた現代っ子が崖っぷちに立たされて、職業人として一念発起し、がむしゃらに頑張って成長を遂げていくような作品には、相変わらずドンピシャ、ハマり役といえますね!

 

ちょっと心配なのが、主人公があまりにも簡単に自分の道をみつけることができる「ご都合主義」に陥らないか?という点。

松岡茉優は親しみやすいというか、わりとお調子者的なイメージが強いので、あまりにも簡単にハードルを乗り越えてしまうと、視聴者に共感どころか「現実はそんなに甘くない」とか「結局限られた天才の話かよ」といった反感を招く危険性があります。

初回から、気難しいC1(イルカの名前)がずっと封印していた「C1ジャンプ」を主人公の目の前で見事に演じてしまったので、一挙に心配になってしまいました。

 

共演は、お相手の水族館員に桐谷健太、同僚の水族館員に内田朝陽澤部佑西田尚美石丸幹二、水族館館長に伊東四朗、主人公の両親役に山西惇戸田恵子など。

 

梅雨のジメジメした憂鬱さを吹き飛ばし、初夏の爽やかさを思いっきり感じさせてくれる作品に仕上がっています。

 


◎『朝が来る』(フジテレビ系・土23:40)

 

 

辻村深月の同名小説のドラマ化。


中学生のときに産んだ子どもを特別養子縁組で他人に譲り渡した少女(川島海荷)。
不妊治療の末、出産を諦め、その男児をもらい受け、実子のように育ててきた夫婦(安田成美田中直樹<ココリコ>)。


数年後、少女が居場所を失い、窃盗を犯し、会ってはならない我が子に会いに来て、それまで幸せに暮らしていた家庭に波紋が広がり…。

 

16年ぶりのドラマ主演となる安田成美のあのおっとりと透明感あふれる演技は健在。


しかし唯一の、そして最大の不安材料は、制作があのフジテレビ系昼ドラドロドロ愛憎劇で有名な東海テレビだということ。

いや、東海テレビさんが悪いということではなく、この番組が昼ドラ的な性格をどんどん強めていくことへのごく個人的な警戒心です。

 

フジテレビ系昼ドラは今年2016年の3月末をもってその長い歴史を終えましたが、それが形を変えてこの時間帯に移ってきたとすると、これから主人公夫婦や実母の少女のたどる運命がこれでもかこれでもかというほど悲惨なものになりそうで…。

すでに第3話まで放送されていますが、その傾向が出てきていますよね。

 

実を言うと、原作の小説は読んでいないものの、その書評はいくつか読んでいて、主人公たちがどんどんわるい方向に落ち込んでいって、ラストも救われたようには見えないことへの賛否両論がかなり巻き上がっているのを知っているので、なおさら不安なのです。

 

せっかくのTVドラマ化なので、いい意味で脚色して、ぜひ生きていてよかったと思えるような前向きの作品に仕上げてほしいものと願っています。

 

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5月末の平日の夜に、ホテル椿山荘東京の庭園を訪れて、ホタルを観賞してきました。

 

椿山荘といえば、セレブや著名人が結婚する結婚式場として有名な、ちょっと敷居の高いホテル。
ここの庭園にホタルが自生していて、毎年この時期になると、ホタルが美しく飛び回る姿を見せてくれます。

しかも料金は無料なんです! 椿山荘さんったら、太っ腹~!!

 

ホテル椿山荘東京HP  庭園  庭園マップ

 

ホタルが最もよく観賞できる時期は5月下旬から6月いっぱいにかけて。

無数のホタルが飛翔する姿を見たければ、風のない晴れた日が最適。

雨の日はあまり飛びませんが、発光はするので、そこそこ美しい姿を見ることはできるようです。

また室内にビオトープも用意されていて、雨に濡れずにホタルを見ることができます。

最適な時間帯は、完全に日没しきって真暗になる午後8時以降。

 

 

◆アクセスは裏門(冠木門)がおすすめ

 

最寄り駅は地下鉄有楽町線の江戸川橋。

東西線の早稲田から行けないこともありませんが。

江戸川橋からは徒歩10分程度です。

 

「だけど天下の椿山荘は敷居が高いなあ」と思っているあなた。

確かに正面玄関から入って庭園まで降りていくのは気後れしますね。

 

しかし安心してください。

裏門にあたる冠木門(かぶきもん)から入れば、バツの悪さを一切感じることはありませんよ。

 

しかも正面玄関だと駅から上り坂をずっと登る必要がありますが、裏からなら神田川沿いの平坦なお散歩コースを歩いていけます。

椿山荘の建物が崖の上にあって、庭園が崖の下(斜面)に広がっているので、このようなことになっています。

ただし、遊歩道は暗く人通りもまばらなので、夜間の女性の一人歩きは注意が必要かもしれません。

また水辺なので蚊が跳んでいる可能性があるのと、暑い日は神田川のドブの臭いが気になる時があるかもしれません。

 

 

 

 

遊歩道を10分ほど歩くと、冠木門に辿り着きます。

 

 

 

入り口脇にパンフレットなど置いてあります。

もちろん無料で自由に出入りできます。

開門時間は午前10時から午後9:30まで。

 

 

◆暗くなるまで庭園を散策

 


門を入ると、きちんと手入れされた広大な日本庭園が広がっています。

三重塔「圓通閣」や茶室「残月」など国の登録有形文化財に指定されている史跡や、神社、石碑など多数のモニュメント、料亭・蕎麦処などが点在し、ここがホテル内とはとても思えません。

 

 

秋の紅葉も、さぞ素敵なんでしょうね!

 

山道のベンチから三重塔を臨む

 

三重塔の丘からチャペルを見下ろす

 

チャペルの脇には滝が音を立てて流れ落ちています。

この滝の裏側に小さなビオトープがあり、雨の日でもホタルを観察することができます。

 

庭園を縦断する広大な池の端からチャペルとホテルを臨む


まだ明るいですが、すでに庭園全体がライトアップ!

 

三重塔も見事にライトアップ

 

近くに寄るとこれまた幻想的です。

 

 

◆幻想的なホタルの舞いに感動!

 

辺りが真っ暗になるのは午後8時ごろ。

ホテル下のほたる沢に弁慶橋というおしゃれな橋がかかっており、そこがホタルの観察スポットになっています。

到着するとすでに多くの人が集まって歓声を上げていました。

まだ5月と、早い時期だったので、それほど混雑もせず、橋の欄干に寄りかかって、思う存分ホタルの飛び交う幻想的な光景を観察することができました。

 

「ホタルを写真や動画に収めるのは難しいよ」とのアドバイスをネットでいただいていましたが、確かに撮れはするものの、残念ながらここに掲載できるほどのものはありませんでした。

 

なお、写真撮影は禁止されていませんが、フラッシュは厳禁ですので事前にOFFにしておきましょう。

 

 

◆至れり尽くせりの椿山荘に感謝!

 

チャペルの脇あたりに建物の入口があって、トイレやフロントへの案内板が掲げてありました。

さっそくトイレを利用させてもらいました。

ふかふかの絨毯を敷き詰めた施設の中は、ポロシャツにジーンズにバックパックのラフなスタイルの身には場違いに感じましたし、もしもフロントの前を通らなければならないとしたら嫌だなあと思っていたのですが、そんなことはなく、すぐに手入れの行き届いたトイレを利用することができました。

 

途中に客室がずらっと並んでいて「XXX家様、YYY家様」などの札が掲げてあるのを見ると、ここが天下の椿山荘だということが実感されます。

 

帰りも冠木門から出てもよかったのですが、せっかくなので社会勉強も兼ねて、正面玄関から帰ることにしました。

 

3Fのフロントまでたどり着くのに結構苦労しましたが、夜も遅いので、それほど宿泊客やスタッフと顔を合わせることもなく、無事帰還しました。

 

 

それにしても、これだけの規模の庭園を毎日きちんと整備して、しかもこれを無料で開放しているのですから、もう驚くばかりです。

 

ちなみに、椿山荘は、元は明治の立役者のひとり、かの山県有朋の邸宅跡で、「椿山荘」という名称も山県有朋が自ら自宅に名付けた愛称なのだそうです。

その後、戦時中に空襲で一度消失し、再建され、ガーデンレストランとなって現在に至ります。

 

以上、都心で幻想的なホタルの舞を存分に楽しむことができて大満足の5月の一夜でした。

 

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5月下旬の平日に国立科学博物館で開催中の企画展『生き物に学びくらしに活かす』を見てきました。

タイトル的に地味で、どちらかというと大人向けの内容でしたが、意外と掘り出し物の企画でした。

 

 

・名称  :企画展『生き物に学びくらしに活かす』

・会場  :国立科学博物館(東京・上野公園)
・会期  :2016年4月19日(火)―2016年6月12日(日)   
・開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)

      毎週金曜日は~20:00(入場は~19:30)

・休館日 :月曜日

      ※ただし5月2日と6月6日は開館 
・料金  :一般・大学生 620円  

      高校生以下および65歳以上 無料  

      ※同時開催中の『恐竜博2016』や常設展の

      入場券があれば、無料  

 

国立科学博物館 企画展公式サイト

 

 

「バイオミメティクス」を具体的な製品や実用技術の展示により分かりやすく紹介する企画展です。

「バイオミメティクス」とは、生物学と工学が連携・協働し、生物に学びながら私たちのくらしをより良くすることを目指す新しい学問です。

 

主催は、科研費新学術領域「生物規範工学」と国立科学博物館。

共催が、高分子学会バイオミメティクス研究会と公益財団法人山階鳥類研究所。

 

取り上げられていた主な生物と応用技術は以下のとおり。

・フナクイムシ … トンネル掘削などのシールド工法

・オナモミ種子(ひっつき虫) … 面状ファスナー

・モルフォチョウの構造色 … 構造色繊維モルフォテックス

               超多層フィルムMLF

・チョウやガのモスアイ構造 … 低反射、撥水性素材

・カジキマグロの皮膚 … 親水性素材と競技用水着

・クジラの胸ビレの構造 … 風力発電回転翼

・魚群の非衝突性 … 日産自動車ロボットカー「エポロ」

・タコの吸盤 … バスケットシューズの靴底

・鳥の飛翔方法 … 省力性・静音性・安定性に富む飛翔

・ハコフグの外形 … バイオニックカーのフォルム

・フクロウの翼前縁のセレーション … 新幹線パンタグラフの静音性

・カワセミのくちばし … 新幹線の形状(トンネル騒音の低減)

・ワシの獲物捕獲時の足の動き … ロボットの動作

・鳥の羽毛のリフレット構造 … 航空機体の空気抵抗低減

・鳥の羽毛の構造色 … ポリドーパミン粒子による構造色素材

・カブトムシの前翅固定装置 … ?(今後の研究)

・カブトムシの後翅のセレーション … ?(今後の研究)

・海綿の体内のガラス質の骨片 … 低コスト高品質の光ファイバー

・ウバウオの吸盤 … 高性能吸盤

・サメの肌(鱗) … 水抵抗の少ない水着や船舶、旅客機

           水中での防汚素材

・トンボの翅の凹凸 … 低風力から稼働する安価な風力発電

・シロアリの巣 … 環境負荷の少ない空調

 

また、これらを研究するための技術として、以下のような技術が紹介されていました。

・SEM(走査型電子顕微鏡)

・ナノスーツ法

・生物SEM画像データベースと画像検索

・オントロジーの整備と

 異分野間の意思疎通可能なデータベースの実現

 

 

■バイオミメティクスとは

 

「バイオミメティクス」という言葉は通常、生物の形態や構造、能力などを模倣し、モノづくり、すなわち高額技術に応用することをいいます。

日本語では「生物模倣技術」などと訳されます。

この用語は1950年代後半に、米国の神経生理学者、オットー・シュミットによって提唱されました。

しかしその源流は15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチにまでさかのぼることができるそうです。

 

バイオミメティクスの歴史

 

バイオミメティクスの過去の代表的な実用例として、トンネル掘削工事におけるシールド工法が挙げられます。

掘削機の先端がフナクイムシの丸く開いた口の形状をヒントに考案されています。

 

フナクイムシ

 

また、ゴボウやオナモミ(ひっつき虫)の種子がセーター等にくっつくことにヒントを得て、面状ファスナーが開発されました。

オナモミの表面のSEM写真を見ると、先端がU字に曲がったカギ状になっており、面状ファスナーでは、輪になった細い糸とカギ状の太い糸とが混じって植え付けられています。

 

 

■昆虫とバイオミメティクス

 

◆昆虫のモスアイ構造

 

モスアイ構造とはその名の通り、ガやチョウの複眼表面にある微細構造で、光の透過、低反射性、超撥水性などの、複合的な機能を備えています。

これは直径150~200ナノメートルほどの突起が規則的に配列する「ナノパイル」または「ナノニップル」という微細構造によって実現されています。

最近ではモスアイ構造が、昆虫の複眼だけでなく、トンボやセミの翅などの透明な部分にもあることが分かってきました。

 

セミやトンボの透明翅、不透明翅のモスアイ構造

 

ジョナスキシタバ(ガ)の複眼と

アサギマダラ(チョウ)複眼のSEM写真

 

ベニスカシジャノメの透明翅表面のモスアイ構造

 

 

モルフォチョウの翅が青く輝く原理を応用して、2003年に日本で、世界初の構造色繊維が開発されました。

それが帝人(株)の「モルフォテックス」という繊維です。

モルフォテックスは一見ただの白い繊維ですが、太陽光や室内照明を受けて、モルフォチョウのような独特の青い光沢を発します。

 

同じ原理は繊維だけでなく、さまざまな樹脂製品にも応用されており、最近の注目すべき成果として、

超多層のフィルム「テイジンテトロンフィルム MLF」

三菱レイヨン(株)の透明フィルムモスマイト」などが発表されています。

 

 

透明フィルム「モスマイト」(三菱レイヨン)のSEM写真

 

 

微細構造の解析を促進させた技術が、SEM(走査型電子顕微鏡)と、ナノスーツ法です。

ナノスーツ法とは、界面活性剤の薄い皮膜にプラズマ処理を施すことにより、試料の完走や真空による変形や液分の逸失を防ぎ、軟弱な生物の組織や生体ですら、SEM観察を可能にした技術です。

このナノスーツ法の発明自体も、無処理でSEM観察可能な昆虫を研究することによって実現したバイオミメティクスの成果なのだそうです。

 

 

■海洋動物とバイオミメティクス

 

◆高速遊泳する魚の表面構造

 

ミズノ(株)は、カジキの高速遊泳を支えているのが皮膚表面の粘液と考え、表面にジェル加工を施した親水性素材「マーリンコンプ」を開発。(「マーリン」はカジキの英語名)

水着の表面に、それまでの水着に採用されていた撥水性素材とこの新しい親水性素材を並べると、それぞれの表面での流れの違いでたて渦が発生し、水流が乱れず、水の抵抗を8%減らすことに成功したそうです。

 

マーリンコンプの表面に発生するたて渦のイメージ

(親水性素材と撥水性素材を並べて水抵抗低減)

 

 

◆衝突を避ける魚たちの動き

 

魚類の群れはお互いや障害物や捕食者を巧みに避けて移動します。

これを自動車に応用すれば、渋滞や交通事故をなくせるのではないかと考えられます。

会場では日産自動車(株)のロボットカー「エポロ」(EPisode O RObot:エピソード・ゼロ・ロボット)が展示されていました。

入場者が前を通ると、レーザー光でそれを感知し、ロボットが向きを変えます。

 

日産自動車のロボットカー「エポロ」のデモ

 

この他、クジラの胸ビレを風力発電機に応用した例も紹介されていました。

ザトウクジラは胸ビレ前縁にあるコブで、ヒレの上に小さい渦を発生させることにより、大きな抵抗となる大きな渦の発生を抑え、低速遊泳での大きな揚力を可能にしています。

これを風力発電の回転翼に応用することで、風を効率よくとらえることに成功しています。

 

 

■鳥類とバイオミメティクス

 

さて、そろそろ息切れしてきたので、あとはざっと流しますね。ご了承ください。

 

鳥の応用としては、航空機そのものがまさにバイオミメティクスの成果といえます。この他にもこの分野の研究成果は多いですね。


たとえば、フクロウの翼前縁部の「セレーション」と呼ばれるノコギリの歯のような構造が羽音を消すのに役立っており、これが500系新幹線のパンタグラフに応用され騒音防止に役立てています。

また、カワセミのくちばしの形状を新幹線の先端の形状に応用することで、トンネル突入時の騒音の低減に役立てています。

 

 

■その他

 

工業的にガラスを作るためには高炉が必要ですが、深海に棲む海綿の一種、ヤマトカイロウドウケツは、体内を構成するガラス骨片(二酸化ケイ素)を深海の低温環境で作り出しています。

しかもそのガラス繊維は断面が層状になり、光ファイバーと同等の光伝送性能があり、強度も高く、より柔軟であるといわれています。

この方法を解明し利用することができれば、低コストで高品質の光ファイバーが期待できます。

 

ヤマトカイロウドウケツ

 

 

■最後に

 

なかなかハードな内容の企画展でしたが、産業での具体的な応用例を展示するなど、ビジュアルにも力を入れていて、とても興味深い仕上がりになっていました。

何より、先端的な研究分野って、夢があってワクワクしますよね。

 

科学博物館の企画展では大抵の場合、1枚ぺらのパンフレットがあるだけですが、今回はフルカラー22ページの冊子が入り口の脇に設置・配布されていて、力の入れようが伺われました。

 

同時開催の『恐竜博2016』の入場券があれば、この企画展は無料で入れるので、抱き合わせて訪れてみるといいかもしれません。

 

もちろん、常設展の観覧がてら足を伸ばしてもいいでしょう。

 

以上です。

 

 

 

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テーマ:

 

 

・名称  :日伊国交樹立150周年記念

      カラヴァッジョ展

・会場  :国立西洋美術館(東京・上野公園)
・会期  :2016年3月1日(火)―2016年6月12日(日)  
・開館時間:9:30~17:30(入場は17:00まで)

      毎週金曜日は~20:00(入場は~19:30)

      ※ただし以下の期間は~20:00まで時間延長  

       6月1日~4日、6月7日~11日
・休館日 :月曜日

・料金  :一般 1,600円 大学生 1,200円 

      高校生 800円 中学生以下 無料 

 

展覧会公式サイト

 

5月下旬の平日金曜日の昼過ぎに、東京上野公園の国立西洋美術館で6月12日まで開催されている『カラヴァッジョ展』に行ってきました。

 

当日はG7伊勢志摩サミットの警備の一環で、持ち物の中身を晒しての手荷物検査および金属探知機による身体検査があり、入り口に渋滞が発生していましたが、会場内の混雑度はそれほどでもありませんでした。

 

かの若冲展(5時間待ち)が終了した直後の平日だったことが功を奏したのだと思いますが、これから会期末に向けて、入場者は増えていくものと思われます。

 

 

■カラヴァッジョについて

 

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)は、バロック期を代表するイタリアの画家です。

 

時代としては、ルネサンス期の少し後にあたります。


ルネサンス盛期のミケランジェロやラファエロ、レオナルド・ダ・ビンチらの圧倒的な成果は、人々に「ミケランジェロ以前の芸術はもはや超克された」という意識をもたらし、ミケランジェロが到達した理想的な芸術的手法(マニエラ[maniera])を原点にして、それを模倣あるいは発展させることこそ、これからの芸術のとりうる姿だとする「マニエリズム」の潮流をもたらしました。
しかし「マニエリスム」は次第に形式主義に陥り、語源ともなったいわゆる「マンネリズム」の状況を迎えます。

 

そこに風穴を開けて、バロック絵画の時代を切り開き、同時代およびその後の絵画史にも多大な影響を与えたのがカラヴァッジョだと考えられています。

 

 

カラヴァッジョの絵画の特徴は、

徹底した写実性叙情性あふれるドラマティックな構図

そして、のちに「テネブリズム」という絵画スタイルに発展する

光と陰の明暗を強烈に対比させる表現(キアロスクーロ)にあるとされます。

 

理想化された世界や夢物語ではなく、現実世界で目の前にあるものを見たままに写しとるという、現代的な視点からは至極当り前の写実主義・自然主義を、絵画の世界で初めて確立したのが、このカラヴァッジョだということで、本国イタリアでもその功績は非常に高く評価されており、硬貨や紙幣にもカラヴァッジョの姿が描かれたことがあるそうです。

 

 

■本展覧会の見どころ

 

本展では、カラヴァッジョの11作品に、同時代あるいは少し後の時代の熱烈なカラヴァッジョ追従者、いわゆる「カラヴァジェスキ」たちの作品40点を加えて、合計51点が展示されています。

 

「な~んだ、本人作はたったの11点か」と嘆くなかれ。

カラヴァッジョの現存する真作とされる作品は60点強ですが、移動不可能な作品が多数あるため、そのうちの11点が集まる本展は日本で過去最多世界でも有数の規模なのだそうです。

 

最大の見どころは、本邦のみならず世界初公開となる『法悦のマグダラのマリア』でしょうか。

 

さらには、キアロスクーロの典型を提示した晩年の『エマオの晩餐』、3人の画家が同じテーマで競作したとされる『エッケ・ホモ』など、数は少ないですが、西洋美術史に顕著な影響を与えたという解説が頷けるような印象的な作品がずらりと顔を揃えています。

 

 

■展示作品の振り返り

 

展示は以下のセクションに分かれていましたが、ここでは敢えて年代順に並べて振り返ろうと思います。

 

 I  風俗画:占い、酒場、音楽
 II 風俗画:五感

 III 静物

 IV  肖像

 V 光

 VI  斬首

 VII  聖母と聖人の新たな図像

 

 

1590年代(カラヴァッジョ20歳代)の初期の作品には、個人的にはあまり惹かれません。

下の3枚の作品『果物籠を持つ少年』『トカゲに噛まれる少年』『バッカス』にはいずれも何やら男色的な雰囲気の漂う、ぽっちゃり・むちむち型の中性的な男子が何か物言いたげな顔をしてこちらをじっと見つめています。

男の子たちの顔がみな似通っているのは当時のカラヴァッジョの好みなのか、それともカラヴァッジョ自身を描き出そうとしたのか…

 

好き嫌いは別にして、ここには確かに、聖書の世界や理想化された人物造形ではなく、現実世界で息をし情念を発露する人間が生き生きと描かれており、手に抱えた果物は妙にリアルです。

 この頃の作品にはまだ写実性はそこまで徹底・追求されておらず、ドラマチックな一瞬の場面の切り取りな注力しているように見えます。

 

カラヴァッジョ《果物籠を持つ少年》 1594年頃 油彩・カンヴァス
70x67cm ローマ・ボルゲーゼ美術館

 

 

下の『トカゲに噛まれる少年』 もそのいかにもギャグっぽい構図が当時の人々にはさぞかし斬新だったでしょうね。

漫画のひとコマに「イテッッ!!」などと擬音つきで出てきそうなショットです。

 

カラヴァッジョ《トカゲに噛まれる少年》 1596-97年頃
油彩・カンヴァス 65.8x52.3cm
フィレンツェ・ロベルト・ロンギ美術史財団

 

 

 下の『バッカス』と名付けられた作品は、その名が示す通り、神話の世界に依拠するはずですが、描かれているのは、背徳的な匂いのする、男とも女とも判じがたい現代の若者の半裸像です。

 

カラヴァッジョは生前すでに時代を変革する革新的な画家として名声を得ていたようですが、その反面、あまりの斬新さ故に、しばしば教会などの依頼主から受け取りを拒否されたり、描き直しを要請されたりしたようです。

 

カラヴァッジョ自身の素行の悪さも、世間のそういう取り扱いの大きな要因になっていたようです。

会場でも、眼を見張るような作品の合間合間に、カラヴァッジョの人となりを紹介するパネルがいくつも挿入されていましたが、食堂で店員に皿を投げつけて訴えられるは、乱闘騒ぎをおこすは、果ては殺人事件で逮捕されるなど、まともな市民生活を送っていたとは到底思えない状況に、思わず苦笑してしまいました。

 

カラヴァッジョ《バッカス》 1597-98年頃
油彩、カンヴァス、フィレンツェ・ウフィツィ美術館

 

 

下の「女占い師」は後にカラヴァジェスキのひとりであるシモン・ヴーエも同一タイトルで作品を描いています。

女占い師は親密そうに男の手をとり手相を占っていますが、そこに注意を逸らしておいて、指輪だのポケットの中身だのを盗もうとしている一瞬を剥ぎとって描いています。

 

2つの絵を比較するといろいろ面白いですね。

 

写実性の観点からはシモン・ヴーエの方が徹底しているように見えます。

しかし物語性というか、人物の心の交歓とか感情の表現という観点から見ると、むしろカラヴァッジョの作品の方がこちらに訴えかけてくるものがあると感じるのは私だけでしょうか?

 

また、シモン・ヴーエの作品が、カラヴァッジョがその画風を確立して死んだずっと後の1617年に制作されていることに着目すると、カラヴァッジョが後に確立した手法を使って自身の若描きの『女占い師』を後に描き直したとしたらどうなっていたか?という観点から比較してみてもいいかもしれませんね。

 

カラヴァッジョ《女占い師》 1597年頃 油彩・カンヴァス
ローマ・カピトリーノ絵画館

 

シモン・ヴーエ《女占い師》 1617年 油彩・カンヴァス
97.5x134.5cm フィレンツェ・ピッティ宮パラティーナ美術館

 

 

下の作品『ナルキッソス』は、上に挙げた初期の作品より2~3年あとの作品ですが、初期の作品にあまり顕著ではなかった光と陰の明暗を強烈に対比させる表現(キアロスクーロ)が見事な芸術性として結実しているのが見て取れますし、カラヴァッジョの作品の特徴がすでにすべて備わっています。

 

ギリシャ神話のナルキッソス(ナルシス)に題材をとりながら、そこに描かれたのは現代の日常服を着た少年。

暗い背景の中に向かって右側から差す一条の光に照らされて光る少年の上半身と両腕と片足の膝小僧。

それらが透明な湖面に反射してうっすらと浮かび上がるさま。

絶妙の構図といえます。

 

カラヴァッジョ《ナルキッソス》 1599年頃
油彩・カンヴァス 113.3x94cm
ローマ・バルベリーニ宮国立古典美術館

 

 

これ以降は、カラヴァッジョ円熟期以降の作品。

(といっても、30代半ばの作品ですが)

 

下の作品『エッケ・ホモ』(よく「この人を見よ」と訳されますね)は、聖書「ヨハネの福音書」の一説で、処刑される前のイエス・キリストを描いた作品ですが、まさに見るものの目の前でドラマが繰り広げられているような生々しい臨場感があります。

宗教的な偶像性は感じられませんね。

 

カラヴァッジョ《エッケ・ホモ》 1605年頃
油彩・カンヴァス 128x103cm
ジェノヴァ・ストラーダ・ヌォヴァ美術館ビアンコ宮

 

 

下の作品『エマオの晩餐』は、イエスキリストが処刑の3日後に復活を果たし、2人の弟子とともに晩餐に招待されたという聖書「ルカの福音書」の一説を主題にした作品で、カラヴァッジョの特徴が最もよく現れた代表作です。

 

同じ主題を古今の多くの画家が描いていますが、そのほとんどが全体に一様に明るいか、イエスキリスト自身から神々しい光が放たれて周囲を照らすような作品になっていますが、カラヴァッジョのこの作品では、真っ暗な背景のなか、あくまで一方向の遠い先にある光源からの光を受けて、イエスキリストもその他の人々も、その他の静物も分け隔てなく同じような陰影で自然な形で描かれています。

 

この作品の構図も、先に挙げた『ナルキッソス』と同様、絶妙ですね!

 

ちなみに、この作品もそうですが、カラヴァッジョは晩年、デッサンなしに直接カンヴァスに筆を入れるのを信条としていたそうです。このエピソードも彼の卓越した技術力を物語っています。

 

カラヴァッジョ《エマオの晩餐》 1606年 油彩・カンヴァス
141x175 cm ミラノ・ブレラ絵画館

 

 

そして最後を飾るのは、世界初公開となる本展覧会の目玉『法悦のマグダラのマリア』

この作品は、長いこと行方不明とされていた作品で、2014年に個人蔵されていたところを見出され、その後の科学調査や鑑定の末、真筆と認定されました。

 

晩年のカラヴァッジョが手元に残し、旅先でもいつも携えていた数少ない作品のひとつで、彼がイタリアのポルト・エルコレで不慮の死を遂げた時、彼の荷物に含まれていた「1枚のマグダラのマリアの絵」がこれであると考えられています。

ちなみに、この作品が制作されたのは、彼が殺人を犯してローマから逃亡し近郊の町で身を隠していた時期だそうです。

 

「展覧会の目玉」と言われると天邪鬼の私はその時点で一歩も二歩も引いてしまいます。

今回もそうで、ほとんど期待せずにこの作品の前まで足を運んだのですが、この作品を見るや足が動かなくなってしまいました。

それほどの衝撃、感銘でした。

 

どう表現したらいいのでしょう。

 

今にも死にいりそうな、身悶えするようなエクスタシー。

抑制された情景描写の中で強烈に発散されるエロティシズム。

それはもはや宗教的か官能的かという判断を拒んで私の心に突き刺さります。

 

展覧会に出向く前にインターネットで画像を見ていたのですが、そのときは何の感動も受けなかったのです。

ところが、この目で実物を見たとたん、鳥肌が立って何分もの間その場を立ち去ることができませんでした。

カラヴァッジョ自身がずっと手元においていたというのも、きっとそれだけお気に入りだったのだろうと容易に想像できました。(本当のところは分かりませんが)

 

これを生で見ることができたというだけで、この展覧会を見に来てよかったと心底思いました。

 

カラヴァッジョ《法悦のマグダラのマリア》 1606年
油彩・カンヴァス 個人蔵

 

 

カラヴァッジョは殺人罪の許しを請うためにローマに向かう道すがら、熱病にかかって、38歳という短い生涯を閉じます。

この若さでその後の西洋美術の進展に多大な影響を及ぼしたというのですから、もしもっと長生きしていたらと思うと実に残念な気がします。

 

そういえば、会場のところどころにカラヴァッジョの発言集みたいなものがパネルとして貼り出されていたのですが、ことごとく、唯我独尊というか、自信過剰というか、大言壮語の連続で失笑!

 

しかしそれくらいでなければ、たったひとりでルネサンスや当時のアカデミズムの権威に風穴を開け、革新することなどできないですよね。

 

 

以上です。

 

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