からだにみんな映ってる
テーマ:カラダからだって教えてくれてるよね0「これは手を差し出していない」僕は言った。
「?????」女性は怪訝そうに黙っていた。
「あなたのエネルギーは指先から流れていきにくい、どうしても手を引くほうに流れてしまう」肘から手首までの筋肉を揉みながら僕はそこに臆病さと防衛を感じていた。
「腕も短くて母親にそっくりなんです」母親似はこれで3度言った。女性は50代後半、初診のクライアントである。肩凝りだ。
背中が丸くなって腕が後ろに回らない。肩甲骨が胸のほうに引っ張られて肩幅がとても狭くなっている。その形からもエネルギーが開いていかないのがわかる。同じような姿勢の肩こりの人はたくさんいる。しかし、これほどまでに腕にエネルギーが流れない感じを受けるのは珍しい。
指圧の手が足に移ったとき、彼女は十数年前に左足首を骨折したと言った。よく聞くと、それは風呂場で転んでのものなのだが、なんと彼女はお風呂場を足で拭いて掃除していたそうなのだ。そして、バランスを崩して転んだ。その一件でご主人にも子供にもばれてしまったらしい。主婦はいろいろと考えて工夫するのだろうが、お風呂場を足で洗うとは器用な人である。
僕はなぜ足を使ったのか尋ね、その答えにびっくりした。「汚いから手を使いたくなかった」と言うのである。
彼女は汚いものを触ることを極端に嫌うようだ。そして、ネイルサロンが大好きらしい。その日もネイルサロンの帰りに僕のところに来たのだった。
最初彼女の腕に触れたときに僕が抱いた印象がここでつながった。「手を差し出すことをしない」それは、「汚いものに触れたくない」という彼女の思い(エネルギー)が腕の造型と質に反映したのである。僕たちは自分自身が作る条件に縛られている。僕たちには見たくないもの聞きたくないないもの触れたくないものがどれほどあるだろうか。






