強行採決をされても廃案の希望はある。 | じろう丸の徒然日記

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私こと、じろう丸が、日常の出来事、思うことなどを、気まぐれに書き綴ります。

15日、とうとう「平成の治安維持法」と呼ばれる「共謀罪」法参院本会議で可決、成立してしまった。
もっとも、本音を言えば、別に驚いてはいない。これくらいはもはや想定内だったからだ。
とは言え、一抹の希望はあるにはあったが‥‥。
 
文科省前事務次官・前川喜平さんの先輩にあたる寺脇 研さんという人が、辛口評論家・佐高 信さんにこんなことを言ったそうだ。
「戦前の内務省の復活ですよ。官房長官の菅義偉が内務大臣です」。
 
内務省というのは現在の厚生省総務省を含む巨大官庁で、戦前・戦中はそこが国民の思想統制までやっていた。
その時代に新聞記者として活動していた故・むのたけじさんは、その著書『日本で100年、生きてきて』(朝日新書)でこう喝破した。
(引用)
「戦争をやるときは敵国を欺くけど、自国民も2倍も3倍も欺く。戦争というのは、はじめから道徳と反対なんだ。ウソつかないとやれないのが戦争なんですよ」
(引用、終わり)
 
戦時中の政府は、戦争「聖戦」と言い、日本軍「皇軍」と呼んだ。
さらに戦闘に敗れて部隊が全滅すると、それを「玉砕」と呼んで、あたかも兵隊さんたち自分たちの命と引き換えに敵を退けたかのようなニュアンスの報道をさせた。
もちろん実際は、敗れて全滅し、守っていた場所を敵に占領されてしまったのである。
そして今、安倍晋三国民の権利がまったく守られない国を、「美しい国」と呼ぶ。
 
先月、衆議院「共謀罪」強行採決された後、「週刊金曜日」5月26日号で、弁護士の海渡雄一さんが次のようなことを書いている。
2006年に国会でやはり「共謀罪」の審議をしたとき、当時の法務大臣だった杉浦正健(すぎうら・せいけん)氏は、朝日新聞のインタビューで次のように述べたそうだ。
(引用)
 杉浦元法相は「本気で通すつもりはなかった」と述べ、与党も「法律家の議員を中心に慎重論が根強く、尊重するべき意見も多く出ていた」と語っています。与野党が時間をかけて審議し、「共謀罪はまずい」という合意ができた。まだ自民党には、それなりの度量があったのです。
(引用、ここまで)
 
しかし、では今の自民党公明党連立与党はというと――。
 
(再び引用)
 ところが現在の国会はあまりに議員のレベルが低く、まともに論議すらしない。16日に衆議院法務委員会での共謀罪法案に関する参考人質疑に呼ばれて出席したのですが、公明党の議員などは共謀罪に反対している日本弁護士連合会の悪口を言うだけで、私に質問すらしないのにはあきれ果てました。
(引用、終わり)
 
海渡雄一さんは、菅 義偉官房長官国連特別報告者ジョセフ・カナタチ氏(またはケナタッチ氏)からの法案懸念を示した書簡に対し、「個人」の意見に過ぎないとして、外務省を通じて国連に抗議したことにも、強く批判している。
国連から任命された特別報告者からの書簡には、誠実に回答し、どこが悪いのか協議しなければならない。それが国際社会の常識なのだ。ましてやこの書簡は、首相である安倍晋三宛てに直接送られてきたのである。
しかも日本政府は、昨年10月国連人権理事会理事国選挙の際に、
「国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)や特別手続の役割を重視。特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため,今後もしっかりと協力していく。」
と自主的に誓約しているのである。
2016年人権理事会理事国選挙における日本の自発的誓約(PDF)
 
ところが、安倍政権は、書簡に誠実に回答せず、特別報告者懸念「個人の意見」だと、切って捨てた。
これでは満州事変当時の日本と同じだと、杉浦氏は言う。当時の日本は、国際連盟から満州からの撤退勧告に反発して、連盟から脱退してしまったのだった。
まさしく、戦前内務省が今、復活しようとしている。
 
安倍政権は、絶対に打倒しなければならない。そして、この政権強行採決したすべての悪法を、廃止させるのだ。
 
【Movie Iwj】
国連特別報告者カナタチ氏が「共謀罪」の問題点を指摘!
「非常に特異なやり方が取られている!」――いわゆる共謀罪に関する法案に反対する国際シンポジウム 2017.6.9

(2017/06/12 に公開)
 
参考文献:
メールマガジン「佐高信の筆刀両断~自国民を欺くことから~」
「週刊金曜日」2017年5月26日号
 
【訂正とお詫び】
上記の文中、杉浦正健氏国連特別報告者ジョセフ・カナタチ氏書簡に対する菅 義偉官房長官の対応を批判した旨を書きましたが、官房長官を批判したのは、正しくは弁護士の海渡雄一さんでした。
訂正してお詫びいたします。