※注意※
この話はフィクションです。
歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。
それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓
もう駄目だ、爆発する!
僕が絶望に目を閉じようとした瞬間、赤い旋風が僕の横を通り過ぎた。
「師直っ!?」
師直は果敢にも、馬上の正行くんに飛びかかる。
すばやく彼の手から爆弾を奪い取って、遠くに投げる。
同時に、正行くんの腕をひねり上げて、馬上から引きずり落とした。
「――くうっ!」
「やれやれ。最後の最後まで世話の焼ける坊ちゃんだぜ」
師直の下敷きになった正行くんが、自由な方の手で、悔しそうに地面を叩く。
「畜生! 尊氏に勝って、父さんの無念を晴らしたかったのに……」
正行くん……。
僕が声をかけるより先に、口を開いたのは師直だった。
「いや。本当に晴らしたかったのは、お前の無念だろ?」
「どういうこと?」
僕が首を傾げると、彼は自分の下にいる正行くんを指差して説明する。
「要するに、この坊ちゃんは、自分の誇りである親父が負けて悔しかったんですよ。その誇りを復活させるために、親父を負かした若を倒そうとしたんでしょう」
なるほど、自分の無念ってそういうことか。
確かに、正成先生自身は、僕のことを恨んでいるようには見えなかった。
正成先生の敗北を納得していなかったのは、彼の子どもである正行くんだけ。
「その通りだ。父さんは強くて、頭がよくて、皆に慕われていて……俺の憧れだった。だから、その父さんを負かした尊氏が、許せなかった」
正行くんが頷いて、師直の言葉を肯定する。
そして、静かに語り始めた。
「中学生になって、俺は誓ったんだ。父さんみたいに智・勇・情に優れた人物になって、尊氏を倒すって。――それが、この様だ。敵の奇策にはまり、単独行動に走った結果、俺は……負けた」
「正行くん……」
どうしよう、かける言葉が見つからない。
すると、師直がゆっくりと正行くんから体をどかした。
***
師直の機転と、正行の敗北。
かくして、騎馬戦は尊氏たち北校チームの勝利です。
結果、2対3で北校の優勝ですが……。
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