神宮司聖のCOFFEE BREAK STATIONへようこそ。
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赤 「先輩、知ってますた?オラだぢってさ、名前変わるごどあるんだすって。」
黒 「そうなの?」
赤 「はあ、おどろいだっす。」
半黒 「あだし、それ聞いだごどあるわ。」
黄 「…。」
赤 「海にいるどきど、陸(おか)さ上がったどきどでは名前が違(つが)うんだそうです。」
半黒 「なんだっけな、一回聞いだんだげども、忘れだなあ・・・。」
黒 「なんだや。忘れだのが?
んだげども、なんが、嫌(や)んだ話だな。
一回付いだ名前が変わるんだべし?」
半黒 「んだよお。なんだが自分じゃなぐなるみだいで、嫌(や)んだよねえ。」
赤 「どんな名前に変わんだべが。」
黒 「英語みでーなんだらいいげど、中国語みでーだら、カツカツすてて呼ぶのに面倒臭そうだーなー。」
半黒 「あだし、じぇしーどがっていいなあ」
黒 「じぇ~すぃ~!?あーはははは。
ジェシー?
おめえがジェシーだら、おらあ、ジャクソンどがになってすまうんでねーが?」
赤 「先輩だぢ、どっつも柄でないですねえ。ははははは。」
黒、半黒「んだべが?」
黒 「ほんなら、おめーは何よ。」
赤 「俺っすか?俺はジョンソンどががいいがな。」
黒 「な~んだや、結局おめーもでねが。」
半黒 「な~んだや。ははははは。」
黄 「…。」
黒 「おう、転校生、おめーはよ。」
黄 「…。」
黒 「ああ、おめーはジョニーどがって言い出すんじゃね~べな!ははははは。」
半黒 「ジャイアンどがさっ!」
赤 「いやあ、それ面白えっすねえ。」
黄 「みなさん…。」
赤、黒、半黒「?」
黄 「全部頭が『J』じゃないですか。」
黒 「あ…あれ?そが?」
黄 「他には思いつかないんです?」
赤 「いや…ほんなら、『B』どがで…。」
黄 「そういう意味じゃないですよっ!バリエーションを言ってるんですよ!」
半黒 「ば…バリエーションって、なんがそんなごど考えで話てねぇよなあ。
あだしだぢそんなにあだま良ぐないがら…。」
黄 「頭の問題じゃないですよ。世界観のことを言ってるんです。」
赤 「世界観って…。そ~んなに大げさな話でなぐね~すが?」
半黒 「んだよねえ。ただの井戸端会議だものなあ。
そんなにムギにならねくても…。」
黄 「なりますよ!
見てください!この向こうは太平洋なんですよ?
その先には大陸があるんですよ?」
赤、黒、半黒「…はあ。」
黄 「そこには『J』のつく名前の人ばっか住んでるわけじゃないんだ!
アンソニーもいれば、キャンディもいるんですよ。」
赤 「そら、そうだげど…。」
黄 「なのに出てくるのは頭『J』の名前ばっかりでバリエーション少ないにも程があります!大体にして…。」
黒 「おい。」
黄 「はい。」
黒 「おめー、都会がら来たのがそんなに自慢だが?」
黄 「いや、そんな訳じゃ…。
気を悪くしたのなら謝ります。すいません。けれど…。」
黒 「ふざげでんでね~ぞ、こら、気取りやがって。
知識人がいるのは都会ばっかでぁねんだーぞ?
大体にしてが標準語が気にいらねぇんだ、標準語が。」
赤 「ちょ…先輩…」
半黒 「いあや、あだしもそう思う。なんが勘に障る。」
黄 「気取ってなんかいませんよ。真実を話してるんです。
今ここで起きてることを話しているんです。」
黒 「なんだ?面白れえが。面白れえんでねーが?何が起きてんだよ。教えてけろ。」
黄 「思考、想像の停滞、後退です。」
赤、黒、半黒「は?」
黒 「しこ…?て…てい…?」
半黒 「まだ、わがんね~ごど言い出したが?」
赤 「いっつも難しいんだよなあ、おめ~の言うごだぁ。」
黄 「難しいことじゃないんです。
僕は先へ、未来へ進みたいんです。
なのに、みなさんは同じところをぐるぐると回ってる気がする。」
黒 「仕方ないんでね~が。おらだづはこういう風に生まれできたんだがや。」
赤 「んだよ。」
半黒「んだよねえ。」
黄 「そうです。そうなんです。こういう存在の仕方しか許されていなんです。」
黒 「存在…て…。」
黄 「勿論、宇宙規模で考えればこの問題の打破は不可能です。
けれど、これらはすべてマテリアリズムの中枢概念に依存し過ぎた、それは至極単純な概論でしかないんです。
観念論的にはそうではない。
我々は別の形態をもって、そう、思考の中では別の存在の仕方が可能なんだ。」
黒 「…。」
赤 「…。」
半黒 「…。」
黄 「ナノグラムの重量を持つ物質でさえもそれより小さな重量、質量を持つ元素から構成されているんです。
それぞれの元素に名前をつけたのは誰ですか?誰だと思います?」
黒 「…し…しらねぇよぉ、そんなのぉ…。なあ。」
赤 「知らねえす。…ニュー…トン?」
半黒 「あんだ、なんぼなんでも、そりゃあ違うよぉ。ダ…ダーウィン?」
黄 「どっちも違う!いろんな発見者の名前やなんやかやです。」
黒 「おいおい、出たよ。なんやかや、ってなんだよ。」
赤 「そうだよ。しらね~んじゃね~の?本当は?」
黄 「いや、そんなことは…。」
半黒 「あ~、ごまかしてんだな?
んだ、ぜってぇ、んだよ。知らねえなら話にだすなよ、あんだ。」
黒 「な、な…なんだよぉ。
一瞬、人を尊敬のまなざしにさせやがってえ。なあ。」
赤 「そうすよ。おら、一瞬、先輩よりすんげぇのがと思ったもの。」
黄 「いや、だから…。」
黒 「な~にを言ってんだが。おらはなんにもすごくね~べよ(照)」
半黒 「まだ、まだ。謙遜、謙遜。」
黒 「そんなごどぁね~んだってば(照)」
黄 「言いたいことはそんなことじゃない!」
黒 「な…なんだよ。」
黄 「元素に限らず色んなものは正式名称が決まるまでは仮称で呼ばれるんです。
番号とか、ある規定のルールに従ったね。」
黒 「ほんなら、俺は1番だ。」
赤 「あ、俺2番取っぴ!」
黄 「あの…ちょっと…」
半黒 「あら、あんだ先輩のあだしより先を取るの?」
赤 「あ、すんません。じゃ、3番で。」
半黒 「いやいや、ほしたら、1番は長老でね~の?
一番最初っからここさブラ下がってるんだから。」
黒 「お、そういやそうだ。じゃ、次は姉さんが2番か。」
黄 「みなさん、そうではなくって…」
赤 「でば、俺4番だ。」
黒 「ほんだら、おめ~は5番だな。」
半黒 「そうだよねえ、最後にブラ下がったもんね。」
黄 「あ、僕は何番でも…。
て、そうじゃなくって!
話はそうではなくって、だから、我々にとっても名前は単に概念的に認識しやすくしているだけであって、
それが変わるからといって…」
黒 「いや、ちょとまて?番号は面白ぐなぐね~が?アルファベットどがさ。」
半黒 「ほんだね。そひたら、あだし英語の名前がいいなあ。」
赤 「俺もそうだな。」
黒 「ほんじゃ、姉さんはジェシーだな。」
半黒 「じぇ~し~?じぇし~かあ。恥(はづ)がすいな、なんだが。」
黄 「ちょっとみなさん…。」
赤 「先輩はジャクソンで、なじょですか?」
黒 「いいねえ。いいねえ。」
黄 「話が回ってます!回ってますって!
しかも立場微妙に変わりながら、ぐるぐるぐるぐる!」
黒 「うるせ~!おめえのなんだが小難しい話ば目がまわんだよ。ぐるぐるぐるぐる!」
黄 「こんな程度で目を回さないでください!ぐるぐるぐるぐる!大事なことです!」
黒 「俺はどうでもいいの!回るもんはまわんだよ!ぐるぐるぐるぐる!」
黄 「そんなだから、いつもこんなとこにぶら下がってるんですよ!ぶらぶらぶらぶら!」
黒 「そんなごど言って、降りれんのが、おめ~は?
ああ?
降りれね~べ?降りれるわげね~べ?ぶらぶらぶらぶら!」
黄 「降りることが目的じゃないんです!」
黒 「なにが目的だ!何が狙いだ!このやろ~。おらおらおらおら!」
赤 「陰謀が?策略が?計画的犯行が?
あ~、あの娘をさらったのは、さてはおめ~が!?おらおらおらおら!」
黄 「あの娘…?」
半黒 「なんて奴!ろくでなし!鬼!
いくら欲しいの?なんぼだけ金がいるのさ?
おらおらおらおら!」
黄 「いらないですよ!誰ですかあの娘って!」
黒 「いらない?じゃ、何が欲しんだ。なんにもくれるものはねぇんだぞ?」
半黒 「娘も無けりゃ、息子もね~し。こんなだがらさ、おらだづ!」
赤 「わがった!わがったぞ!こっから降りようとしてんだ!」
黒 「な~に~?なんだと~?降りるだ~?
これがおれだぢの仕事だぞ!
ここにいんのが、おれだぢの仕事だぞ!」
赤 「んだよ、んだよ。なに言い出すんだがよお、転校生!」
黄 「だから、さっきからそう…。」
半黒 「長老!長老!不届ぎものだが。不届ぎものがこごにいるだが!」
黒 「長老!これぁ締めてやりましょう。こんなの許されるもんでね~がす。」
赤 「なんだ~その顔。長老さむがってぇ。転校生、おお?」
黒 「長老!」
半黒 「長老!」
赤 「長老!」
黄 「長老、違います!違い…」
金 「やがまし!」
全員 「しーん…」
金 「海では『烏賊』。
陸では『するめ』。
飲み屋で焼いて出されっど『あたり女』。」
全員 「…」
金 「それ以上も、それ以下もねっ!いが?」
全員 「…」
金 「…。」
全員 「おおおおお…。
さすが、長老…。だてに最初に作られてね~な。な。な?」
黒 「何が以上で、何が以下だかわがんねげど説得力はすげ!」
赤 「…ん?それって…喰われるってことが?焼いて食われるっつごどが?」
半黒 「ええええ?そら、大変だ!あだし、まだ処女だよ~?」
赤 「そうなんすか?」
半黒 「なんが文句あるが?見るが?」
赤 「い、い、い、いらね~べ~、んなもん!」
半黒 「あんだど~?」
黒 「こらこら、そんなごどどうでもいいべ!
それより急いで逃げね~と大変でねだが。」
半黒 「んなこど言ったっで、こんなんなっててどうやって逃げんのよ、あだしだづ??」
黒 「揉み切れ!ふりほどけ!」
赤 「無理っす~(ToT)」
金 「海神さまが来っぞ~~~!」
黒 「長老!だめだ~~、もう、だめだ~~~!村はもう守れね~だ~~!」
半黒 「あんだも早く逃げる準備しな!」
黄 「いや、僕は残ります。ここを見届けるんだ!
逃げられないなら、科学者の立場としてここからみんなの無事を見届けます!
僕にはその義務がある!」
赤 「おい~~。いじましいごと言ってる場合がよ!」
金 「波が来っぞ~~~!海神様は目の前だべ~~~~!」
半黒 「うわああああああ~~~~!」
黒 「おわああああ~~~~~!」俺 「おい。」
黒 「ひぇええええええ~~~。…え?」
俺 「おい。」
金 「海神さまがあああああ!」
半黒 「ぐやあああああああ。」
赤 「ぐおおおおお」
黄 「しくしくしく。」
俺 「おい!お前ら!」
金 「海神さまがあああああ!」
半黒 「ぐやあああああああ。」
赤 「ぐおおおおお」
黄 「しくしくしく。」
黒 「ひょ…え…。」
俺 「やめろ!」
黒 「…。」
赤 「ぐおおお…お…。…。」
金 「海神さまがあああああ!」
黒 「…お、おい、長老。」
金 「海神さまがあああああ!」
黒 「…やめるべ。長老。お客さん、おごってるべ。」
金 「海神…さま…が…。へ…?。」
黒、半黒、赤「…。」
俺 「お前らいっつもこんなことやってんの?」
黒 「あ…いや、まあ、大体…。だってなあ…。」
赤 「暇だものなあ…。」
俺 「ちゅか、さっきの唯物論だの、観念論だの、元素だの。
なんだよあの適当な論説は。」
黄 「…すいません…。」
金 「海神さま…。」
俺 「もういいって。後でやり直してくれ。疲れるわ、お前ら。」
半黒 「あだしだづ、何かやりました?」
俺 「うるせえの。普通に。お前ら、海も知らないわけじゃん?
どっから海神様とか来たんだよ。」
金 「そら、その…別のお客さん…。」
俺 「そか。毎日いろんな人乗ってくるもんな。
劇団員とかいたんだ。ま、いいや。ちょっと今は静かに頼むわ。な。」
黒 「失敗だ…。今日は失敗したんだ…。」
赤 「先輩が盛り上げようって言うがらあ…。」
半黒 「わがるお客さんが乗って来るっつって、みんなして盛り上げねばなんねって頑張ったんですけども…。」
金 「脚本が悪いんでねが?そうですよね?脚本が悪りがったですよね、お客さん?」
黄 「僕ですか?僕?なんで?分かる人乗ってくるの珍しいから、急いで。でも、がんばったのに~・・・。」
俺 「こそこそしゃべんなよ。つか、脚本があるんだ、lこれ…。」
黒 「はあ、一応。ちゅか、難しい話すっからでねが?」
金 「んだよ、んだよ。難しすぎるんだよ。すいません~お客さん~~(泣)」
半黒 「んだ、んだ。んだよ、きっと~。」
赤 「やっぱ、そこだべ。こりゃ、失敗だ~!これは面白れえ、てみんなが言うがら~~~」
黄 「ええええ?本当に失敗だったのかああああ!ごめんなさいいいい~~~。」
金 「失敗だ、失敗だあ~~~~。」
黒、赤、半黒「失敗だあ、失敗だあああああ。」
俺 「うるさい!」
全員 「…。すいません。」
* * *
運転手「この辺ですか?」
俺 「あ、はい。あの青の信号過ぎたあたりで右折してください。」
運転手「全く、この辺、夜は静かですよね。
たまにお客さん乗せてきますけど、帰りは静かすぎてさびしくなるんですよね。
ご自宅ですか?」
俺 「いや、友人の家があるんで。そうですか、静かですかあ…。」
全員「(*―_―*)。。。」
運転手「何か出るんじゃないかって思う時ありますよ。特に車ん中は静かですからねえ。
よく聞くでしょ、タクシーの話。今は昼だからまあ、平気ですけどね。」
俺 「そうですね。まあ、平気じゃないですか?この車は。」
運転手「そうですか?お客さん、霊感とかあるですか?」
俺 「そうじゃないですけど、そんな気がするだけです。」
運転手「そうですかあ…。」
俺 「もうすでに5匹もいるし。」
運転手「え?」
俺 「いえいえ、友人がね、犬を5匹飼ってるんですよ。
ああ、ここでいいです。いくら?」
運転手「ありがとうございました。お忘れ物ありませんように。」
俺 「大丈夫です。
ああ、それとね。耳を澄ますとね、結構楽しいですよ。色んな音が。」
運転手「自然の音ですか?」
俺 「まあ、そんなとこですね。それじゃ。」
運転手「ありがとうございました~。」
黒 「あの、ありがとうございました。すんませんでした…。」
金 「次はもちっと面白くやりますんで、又乗ってください。」
俺 「…はいよ。」
全員 「おお、いがった~。今日はホントすいんませんでした~。」
* * *
俺 「行ったか。
誰が作ったんだろ。随分とまあ、生気を吹き込んもんだねえ…。
しばらくはうるせ~な、あの車ん中。
しっかし、笑える。面白かった。」
全員 「さいなら~。ま~た乗ってくださいいいぃぃぃぃ・・・。」
俺 「まあだ、やってるよ。うるせ~ぬいぐるみども(笑)。」
はい、どんとはれ。
~~~~~~♪
なんか、小さな虫の鳴き声みたいな歌声が聞こえる。
~~~~~♪
一時雨に雨宿りしたこの木だ。
みると、木の幹が抜け落ちたところに、キツツキが掘ったみたいな穴があって、そこから聴こえる。
覗くと、ちっちゃい、白いなんかが座ってる。
楽しそうに歌ってる。
「何してんの?」
「雨宿り♪」
「なにもの?」
「観音♪」
「・・・」
腑に落ちなかった。
「観音?」
「うん、観音♪」
「・・・。地蔵では、決してない?」
「うん、観音♪」
「なして、こんなとこにいるの?」
「修行♪」
「・・・」
宗厳さのかけらもないこいつは自分を「観音」だという。
解脱したのか?
どうやって?
修行した?
どんな?
「ねえ、観音ってさ、仏様なんだよね?」
「うん♪」
「その『よだれかけ』、あきらかに地蔵だよね?」
一応、奴は自分の首にかかる真っ赤な『よだれかけ』を観た。
「ううん。観音なんだよ。」
奴はもう一度俺を見上げると必死に首を振りながら否定した。
「いや、気づいてないのか、思いこもうとしてんのか知らないけど、お前さん、地蔵だよ。」
「違うよ。」
「い~や、違くない。勘違いしてるって、自分でさ。」
「違うよ。違うよ。」
「違くないよ。違くないよ。:( ̄∀ ̄)」
くくく。なんか面白くなってきた。
「違うよ、違うよ、違うよ!」
奴はだんだん泣きそうになってきた。
なもんで、こっちも意地悪そうに泣き真似しながら言ってやった。
「違くないよ、違くないよ、違くないよ~!( ̄∀ ̄)」
ついに奴は泣きだした。
「違う!違う!違う!違う!」
「違くない!違くない!違くない!違くない!!( ̄∀ ̄)」」
あははははは。
面白れ~~。
こいつ、勘違いしてんだろうけど、おんもしれ~わ。
だけどさ、それよりも、ちょっとやばいことに気づいた。
相手が本当に観音だろうが、地蔵だろうがそっち系であることは見るからに間違いないよな。
そんで、俺は絶対、こいつのこと小馬鹿にしてるんだよな。
てことは…どっち道、なんかの罰あたりは免れなくないか?
ん~…これはまずいか?
どんな罰だ?
たたり?
転生したら、虫ケラになってる?
いや、その前に苦しみながら現世を生き続ける羽目になる?
死んだら魂はどうなるの?
どっかの岩場にとじこめられたりして。
ほんでもって、縛り付けられてんの。
俺は必死で叫んでるんだ。
「なんで、俺が~~~~!(/TДT)/」
「自業自得よ!愚か者目が!(`Δ´)」
とかいって閻魔さまか誰かが(誰かって誰だよ)
「鞭打ち100万回の刑~!」
つって
「ひえ~~~~~。ごめんなさい~~~!」
「ならん、ならん~~!」
ビシ~~っ、バシ~~~っ
「おおお!のおおお!ぐおおおお!」
とかって10回位やられた辺りに、な、な、な、なんと助け船だぞおお????
「お待ちください!(゙ `-´)/」
つって、妙に艶めかしい白い薄手の布だけはおった天女みたいな飛びっきりの美女
が岩柱の陰から登場だあ~っ!
「これはあってはならないことです!」
来た、来た、来た~!
「邪魔立てするな弁天!」
なにょ~~~?
うぴょ~。弁天だぜ、弁天!どーりで色っぺー
わけだよ!
「私のこの羽衣に免じて、お許しなるわけにはいきませんか?
これ以上は私たちの歴史に傷をつけることになります。
それとも、又あの過去を繰り返すおつもりですか?
ならば、私も手加減はしませんよ!」
何があった?羽衣になにが隠されてんだ?
あの綺麗な素敵なお肌以外に、まだなんかかくされてんのかあああ?
あはははo(*^▽^*)o。
いや、いや、それどころじゃないのだった。
手加減しないって、戦争か?やばくね~か、それ?
俺はなんのカギなんだ?なんで助ける?
惚れたか?
そりゃ、ないか、はは(⌒∇⌒;)ゞ
まあ、どうでもいいや、そんなこと。
で、
どうするよ、どうするよ?(・ω・;|||
「うぬううう…。」
つって、鞭打ち男はやむなく手を引いて、俺を解放するんだ。
おお…、すげえ~。
弁天、強ええ…∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
解放された俺は何がなんだかわからん間に目の前で世界が暗くなった。
そう、クラっと倒れた。
するとだ!
ふわ~って飛んできて、倒れ切る前に抱きすくめる弁天様アああああ~
ん~、いいに・ほ・い♪(///∇//)
そして彼女は俺を励ますんだ。
「しっかり!」
「は・・・はひ・・・」
って、できっかよ~、こんな状態でえ~。
もう、くらくらよクラクラ。
くらくらクララ
クララだハイジだ
レイホフレイホフレ~イ~ホ~♪
あはははは。
もう天国う~♪
そして彼女の胸の中に気絶していく~~~~~~~![]()
ほれへへえええ♪
はれへええええ♪
えへ
えへ
えへ![]()
もう、世の中なんて終ってしまえ~~~
(ノ´▽`)ノ♪
えへ
えへ
えへ![]()
やがて彼女は子守唄のように唄い出す。
俺の傷を癒すように唄い出す。
か細い声で。そう、どこかで聴いたようなあの声で…
~~~~~~♪
そう、どっかで聴いた…
あん?
~~~~~~♪
「なんだよ、地蔵の声かよ。」
ん~…
正気に戻っちまった。
どうやら、相当な時間、耽ったな、こりゃ。
久しぶりにやっちまった。
『青い木馬』のデュークロッサン以来だな。
「はあ…。」
相変わらず、小っちゃい奴は楽しそうに唄ってる。
自分がアホらしくなった。
勘違いもはなはだしい。
「ところで、地蔵さ。」
「観音。」
はい、どんとはれ。
散る桜が流れずにとどまった小川一面を覆い隠していた。
その綺麗さに数人がカメラを構えたり、中腰で見入ったりしている。
風は冷たくなりきらないとは言え、やはりまだ冷たい。
でも、もう雪は降らないだろう。
俺はずっと桜の川に見入っていた。
気づくと、さっきまでいた人たちはいなくなっていた。
いや、もう一人この小川を眺める女性。
ずいぶん華やかな、でも薄手のシルクのような衣装だ。
スカートは大きなフリルが上品についている。
季節的にはまだ寒いと思うのだが。
成人式?
いや、もう少し歳は上に感じる。
明るいピンクと白のグラデーションが年齢を混乱させてるんだ、きっと。
小川をじっと眺めている。
何か思いを馳せる経験が、これと似たような風景にあるのだろうか。
俺は前を向いたまま、視界の端っこで彼女を見ていた。
風が腰くらいの角度で下からゆるく吹きあげると、彼女の栗色の長い髪全体をふんわりと宙に浮かせた。
知らない顔。でも綺麗だ。まなざしは遠くを、小川の中の更に向こうを見つめるようだった。
ゆっくりと彼女が息を吸うのがわかった。
真っすぐ向こうを指さすと・・・
叫んだ。
「あかたんっ!」
「!?」
別を指さして
「あおたんっ!」
「え?」
今度は向こうを指さして
「ぼうずっ!」
は・・花札?
なに?なに?なに?
「猪鹿蝶っ!」
「雨っ!」
あっちこち指さしては次々花札の手を叫ぶ。
ついついこっちもつられてゆびの指す方を「あっちむいてほい」してしまう。
「月見で一杯っ!」
ん~、どっちかつったら「花見で一杯」じゃ・・・
って呟こうとしたら
突然こっちをくるって向いた!
俺はギクっとして目ん玉むいた。いきなり総毛立った。
だって、こえ~んだもん。
これだよ。
ちょっとでもときめいた俺が間違いだった。
ちょっとでも「うほほ~♪」とか喜んだ俺がバカだった。
このシチュエーションでまともな人間が俺の傍にいるわけね~じゃんよ。
やっぱ来やがったんだ、妖怪なんとかだ。
そして、
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
あちこち指さしながら「あかよろし」を連呼し始めた。
でも目はずっと俺を見てる。
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
いつまでもいつまでも。
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
あんまりの迫力に無言のまま身動きもできず、呆然と彼女を見ていた。
その間あちこちさす指が俺に止まることはなかった。
やがてくるっと踵を返すと、丘の方へむかって一人大行進のように歩き始めた。
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
「あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!あかよろしっ!」
なんだ、なんだ、なんだ?
なに妖怪だよ、こいつ(泣)
妖怪は丘まで上がると仁王立ちして腕をまっすぐ空へ上げ天を指さすと
「あか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
と一叫びしてそのまま動きを止めた。
俺はてっきり「ばあちゃんが言っていた・・・。(カブト知ってますか?)」とかやるのかと思ったんだけど、まあ、そりゃないよね。
妖怪女はゆっくりと手を下すと、
「よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!」
と言いながら丘を下ってきた。
やたら姿勢がいいのなんのって。一人で行進してんだもんな。
今度は「よろし」を口にするたびに「グッジョブ!」の形に立てた親指を胸に向けながら。
どうやら「あか」は今まとめて全部言い切ったらしい。
残りの「よろし」を連呼し始めた。
近寄ってくるよ。
「よろし、よろし」って寄ってくるよ
いやだな~・・・
と、3m程先で止まった・・・
俺は二、三歩後ずさるった。
すると…
彼女も二、三歩下がってとどまった。
ん?
一歩前に出ると、彼女も同じだけ出てとどまった。
一つ動く度に一つ「よろし」と「グッジョブ!」。
こりゃ、どうしたもんか?
もう一度三歩下がると、彼女三歩下がる。
二歩近付くと、向こうも・・・
「よろしっ!よろしっ!」当然「グッジョブ!グッジョブ!」は付いてくる。
お・・・襲ってくるわけじゃないんだな。
と同時に溜息が出た。
今度は当てず寄らず攻撃かよ。
ったく、いろんな妖怪が居やがる。
「あのさ・・・。」
「よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!」
おお。止まったまま又始めたぞ?
「何やりたいの?」
「よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!」
「よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!」
「よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!」
「よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!よろしっ!」
だんだん「よろし」が違う言葉に聴こえてきた。
「ゆろしっ!ゆろしっ!ゆろしっ!ゆろしっ!ゆろしっ!」
あ・・あれ?
「ゆるしっ!ゆるしっ!ゆるしっ!ゆるしっ!ゆるしっ!」
なんか、前にも同じような経験渋谷でしたなあ。
あの時は紫陽花のお化け軍団だった。
「ゆるすっ!ゆるすっ!ゆるすっ!ゆるすっ!ゆるすっ!」
「・・・」
「ゆるすっ!ゆるすっ!ゆるすっ!ゆるすっ!ゆるすっ!」
「ゆ・る・す・・・?」
突然彼女の叫びと動きが止まった。
じっと俺を見ている。
なんだっけ?
そうだ、そうだ、俺は桜が敷き詰められた小川を見ながら一人の女性を考えていたんだった。
今までどうしても許せなかったんだ。
俺自身のプライドもある。
けれど、状況もわきまえずに傷つけられたことがどうしても許せなかった。
たとえばダイエット中に好物の「大仏様のおへそ」を土産にされて食わないからと怒られたらどうだろう?
同じように、たとえば鬱状態の時に突き放されたらどうだろう?
たとえば死を直視した後、誕生日におめでとうは言えない。だから幸せになれないと言われたらどうだろう?
その無思慮さが許せなかった。
その経験値の低さが許せなかった。
けれど…
そっか…
許さなきゃいけない時期に来てるんだな…。
何もかもさ。
許さなくても何も起こらない。
許したって何も返りはしない。
でも、許したら多分軽くなれる。
だって、重さの原因はその前に傷つけてしまった後悔も積ってるんだから。
俺は今まで沢山許されてきた。
だから許してあげなきゃいけない。
又、思い出した。
そうだよな。
許されたって、許されなくったって幸せになっていいんだ。
許したって、許さなくったって幸せになっていいんだ。
だったら軽くなる方を選べばいいじゃん。
一瞬消えていた視界が戻ってきた。
彼女はそこに立っていた。
にっこりほほ笑んでいた。
ゆっくりと桜が覆う小川に足を入れると、桜の上に浮かんだ。
間もなくスーッと消えていった。
妖怪女の消えた場所をただ見つめた。
風が吹き、常盤色の草木を抜けてきた桜吹雪が新しい無数の花弁をその跡に舞い落としていった。
そうだよね。
幸せになれ。
中腰で小川に見入った時。
いきなし桜の中から手がにゅっっと飛びだしてきた!
驚く俺の目の前で手は親指だけ残してグっと握られた。
「グッジョブ!」
…
キャリーかよ…
はい、どんと晴れ。

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