記事出しも50を超えたため、ワード検索して当ブログを訪問してくれる人がかなり多くなった。かつては1日に2、3件程度だったのが最近は常時30件前後にまでなった。当面の目標としては100記事書いて1日100件くらいになればいいなあと思っている。


ところで、検索してこちらに訪問してくれる人の中で意外に多いのが保険金詐欺というワードによる訪問者である。1日のうちの10件近くがそうである。どういう目的で検索し訪問するのだろうかとつい考えてしまう。



一つは、保険金詐欺にただ単に興味があって訪問する人、もう一つは保険金詐欺をやってみたいと思ったり、現に実行しようと思って訪問する人、もう一つが、保険金詐欺を疑われて困っている人だろうと思う。どういう割合なのかはまったくわからないが、保険金詐欺を疑われ困って訪問した人も少なからずいるだろうことは、ぼくがかつて保険金詐欺の調査をしていたからなんとなくわかるような気がするし、yahooなどの掲示板でむち打ち症の被害者が詐病扱いされその不満をぶちまけている投稿をたびたび目にしたことからもわかる。


そういうことがあったので、以前の記事で、保険金詐欺事案に対する調査についていずれ書いてみたいとぼくは書いた。保険金詐欺犯が存在する以上、保険会社が疑いの眼を向けるのは仕方がないが、必要以上にモラルリスクを強調して、本来受けられるべき保険金が支払われず、泣き寝入りするしかない被害者もかなりというか、少なからずいるはずだと思ったからだ。


たとえば「保険被害救済ハンドブック」(民事法研究会)によると、「不正請求はむしろ減少している」とし、モラルリスク論の濫用例や「車両保険や火災保険におけるいわゆる「偶然性の立証責任」の問題に関する不正請求防止論も、過剰な「モラル・リスク」対策の一例であったということができる」としている。すなわち、「なぜなら、正当な請求の場合にも、真偽不明の場合には権利行使が認められなくなるし、また、たとえ証明に成功できたとしても立証上の過大な負担を強いられることになるからである」。

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ところが、yahooの掲示板の回答者というのは保険会社性善説に立つ人ばっかりで上で書いたような視点に立とうとせず、もっぱら疑われるあんたが悪いとか、火のないところに煙は立たぬ式のレスばっかりだったのが、ぼくには大いに不満だった。



ということで、先の「保険金詐欺事案に対する調査」に戻る。



保険金詐欺事案というのはいろいろある。前に紹介したアフロスもそうだし、わざと相手の車にぶつけて自分の保険で相手の修理代などを支払わせる保険貸しもそうだ。飲酒や盗難、車両いたずら事故による車両保険金の請求事案なんてのもその範疇である。ただ、こういう保険金詐欺を疑われる場合の調査についてここでこと細かく説明するのはやはり抵抗がある。悪用される可能性が否定できないからである。しかし、だからといって、やってもいないのに保険金詐欺犯扱いされた冤罪被害については何とかしたいという気持ちも強い。100人の真犯人を取り逃がしても1人の冤罪者を出してはいけないという刑事裁判の格言は、民事においても大切なことだと強く思うからである。



けっきょくのところ、保険会社が「会社」組織であるかぎり、利潤を追求するしかないだろうし、その結果、払い渋り、不払いという問題は必然化する。保険の制度設計としては、他国にあるように、自賠責保険と任意保険の2本建てでなくて、自賠責1本にすべきだったと思う。すなわち、現行の自賠責の基本3000万円の補償を無制限にし、人身だけでなく物損にも適用範囲を広げる。公的救済制度を拡充させるってことである。



公的救済制度の特徴は被害者のコストの全部または一部を、潜在的加害者の集団、または被害者が被害をこうむるに至った活動によって利益を受けている者の集団に負担させて、損害の分散を図ることである。ただそれでも潜在的加害者に限定して負担を強いているということで、民事責任とのつながりを残しているから、さらに徹底させて、社会保障化させるのが一番理想的だとぼくは思う。現に、ニュージーランドでは人身事故について社会保障化されていると聞いたことがある。



そんなことを言い出したら任意保険会社は存立しえなくなるのでカンカンに怒り出し、そういう提案に強行に反対するだろうけれども、たとえばアメリカで実際に起きているような国民健康保険の導入に対して保険会社が圧力をかけ反対している事態を目の当たりにすると、公的な性質の強い保険を民間にゆだねることの弊害についてもっと考えないといけないと思う。



さて、この機会に海外の保険事情について説明したい。「交通事故賠償法」(藤村和夫他著)の「諸外国の交通事故補償システム」による。日本って福祉後進国というか、やっぱり会社がいばりくさっている国なんだってことがよくわかるかと思う。



(国際保険法学会の1998年アンケート調査結果による)


【各国の交通事故賠償責任法理】

①推定過失責任主義

日本(人身のみ)

イタリア

アルバニア

アンドラ

ポーランド

サンマリノ

バチカン

ユーゴスラビア

アルジェリア(物損のみ)

ペナン

ブルキナファソ

カメルーン

中央アフリカ

チャド

ガボン

コートジボアール

マリ

モロッコ

ニジェール

コンゴ

セネガル

トーゴ

チュニジア


②無過失責任主義

ⅰ(人身のみ)

ベルギー

フィンランド

フランス

スペイン

スウェーデン

アルジェリア

コスタリカ

パラグアイ

オーストラリア

ニュージーランド


ⅱ(人身、物損両方とも)

オーストリア

デンマーク

ドイツ

ギリシャ

チェコ

ハンガリー

アイスランド

リヒテンシュタイン

マケドニア

モナコ

ノルウェー

スロバキア

スイス

インド

イスラエル

クウェート

ナミビア

ブラジル

チリ

ドミニカ

グアテマラ

ジャマイカ

メキシコ

ニカラグア

ウルグアイ


【各国の強制自動車保険制度】

日本のように人身損害のみにつき強制保険制度を採用している国もあれば、イギリス、フランス、ドイツのように人身だけでなく物損についても強制保険を採用している国もある。また、イギリス、ドイツ、フランス、ベルギー等は限度額(日本の場合は死亡で原則3000万円まで)を設けておらず無制限としている。


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最新の情報としては「損害保険算定料率機構」のHPから。


交通事故被害者は2度泣かされる























話がだいぶ脇にそれちゃたんで戻すと、保険金詐欺の調査情報を今後ごく一部ブログに書くことはあるとは思うけれども、おおぴらに説明するのはやはり控えたい。これはひどいなあという事例があったりすればこのブログで取り上げたいが、相当に深刻な問題で悩んでいる方がおられるようだったら、プライバシーの問題もあるので、ぼくに相談するよりもやはり弁護士に相談されたほうがいいと思う。でも、モラル関係に強い弁護士ってそんなにいるのかなあって気もするけれども、そこは何とか探してもらうしかないよね。



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