11.5 映画「堕ちる」上映会&トークショー (映画の内容ネタバレあり) | SIMPLE JCI

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元ドルヲタが薄ッぺらいことを書く日記

「堕ちる」の上映会、村山監督を交えてのトークショーを見てきた


看板

群馬県桐生市の桐生織の職人が、あるきっかけで地元の地下アイドルを知り、
どんどん嵌っていき、人生が大きく変わってしまう内容の映画である
きりゅう映画祭の短編上映映画の脚本公募に入選した作品
70万円の製作費、30分という本編時間ながら アイドルとヲタとライブ現場、生態をきっちりリアルに描いて話題になった作品だ



きりゅう映画祭での上映の後、LOFT9での2回の上映会もソールドアウトで、今回のアンコール上映会も当日券なしの180名ソールドアウトであった

14時開始までにLOFT9にたくさんの人が集まり
入場も時間がかかり
落ち着いたのが14時10分近くだったかと
席も後ろのほうになり、スクリーンはきちんとは見えなかったが何とか内容はつかめた
(映画館で見たいですな)
その後、村山監督、司会の大坪ケムタさん、ゲストの映画評論家の柳下さんを交えてトークショー
15時15分終了

主演の職人を中村まことさんという小劇団系の役者さんが演じてるのだが
寡黙でセリフがほぼない職人を表情で見事に演技していて、本物の職人かと思うぐらいの好演でした

主人公の耕平は、織物工場に行き、仕事をし、帰りにスーパーに寄って弁当を買って帰るという生活を繰り返す
ただ、年齢のせいか、彼の作る織物に不具合がありたびたび送り返され、そこの社長(先代が創立し2代目が継いでいる設定の様だ)
は耕平をいぶかしく思ってる

ある日、床屋に行ったら、そこにいる女の子に恋をしてしまった
彼女がそこの床屋の娘で、歌手をやってると床屋の父からライブチケットを渡され、そのライブ会場に入っていくと
そこは地下アイドル現場だったという!!
(床屋に貼ってあったポスターがシンガーソングライター風なんだよねそのギャップと言ったら)

全く知らない世界に踏み込んだ彼は 彼女、めめたんのTO(トップオブオタと言われるアイドルの現場で一番力を持ってるヲタのこと)
に何故か気に入られ次々と新しい世界を教えていく

このおせっかいなTO役の人、ライブハウスの不機嫌そうなスタッフは、役者でなく村山監督の知り合いの人で
TO役の人は、制作会社のプロデューサーで普段からああいうおせっかいな人らしい(笑) 脚本段階でこの人を想定して書いたそうな

アイドルめめたん役の錦織めぐみちゃんは実際にも現役のアイドルLuce Twinkle Wink☆(ルーチェツインクルウインク)というグループの一人
実際の愛称もめめたんでめめたんのまんま演じている
これも村山監督がこのグループのMVを2本製作したとかで、最初地元のアイドルを起用するという案もあったが
彼女を起用することにしたそうだ 縁を大切にしてこの映画は沢山かかわった人がいるという監督の話 
音楽担当のアイドル曲も書いた作曲家さんは中学時代からの友人だそうで 

めめたんは床屋でもめめたんなんだよね
演技じゃないなw
錦織めぐみちゃんが常に「めめたん」を演技してるのかもしれないけどな(^^;

めめたんの基本的なアイドル像はソロ時代の小桃音まいという感じだが
イメージカラーが黄色でヲタが黄色のシャツ、黄色のペンライト(一般的に言うとペンライトですがアイドル用語でキンブレと言います)でやってると
吉川友現場に近いものがあって何とも(^^; 吉川友だともっと恥ずかしいTシャツを着せられるのですが

CDを買っていわゆる握手券を手に入れ、めめたんと握手するシーン
めめたんは床屋の客と気づいて驚き、耳元でそっと「今日は特別だよ」とささやく

耕平、完全に堕ちました

彼の生き方がこの日から変わる 
足取りが軽くなり、彼がが住んでるアパートの住人も不審がる 
この時買ったCDを押し入れの奥にあったCDラジカセを引っ張り出して聞いてたぐらいなのに 職場でウォークマンでめめたんの歌を聴いたりするようになる
職場の人間も耕平の変わりように不信がリ、社長もますますいぶかしく思う
CDを出してるアイドルだから深みに堕ちることができたのだろう 配信のみのアイドルだったらこうにはならなかったかもしれない(^^;
めめたんのシャツを買ったけど表に出して着れなくてジャケットの下に着てたら、ヲタに言われて上着を脱ぐとことなったりとか ヲタならわかるシーンが満載だ

TOに気に入られて、現場常連の集まりにも顔を出す
その面々がいいおっさんばかりで
今のアイドル現場がおッさんだらけなのがほんとリアルにできていて感心というか恥ずかしいというか(^^;
柳下さんが「この映画を見てアイドル現場はおッさんばかりでガチ恋していると思われるのではないかと危惧してる」と言ってたが
まさにそうだと思う(^^;
現場には若い人もいるけどな 動かせる金をたくさん持ってるのはおっさんだから
いままでのアイドル現場を描いた映像って10代20代ばかりだったりする 「キサラギ」でさえ20代がいたからな
全員30代以上が集まってるシーンは異様な説得があったでめめたんに新しい衣装が必要じゃないかということになり
主人公は自分で衣装を作ろうと
衣装制作の文献を読んだりして自作で衣装を作ってしまう

めめたんの生誕ライブ、ペンライトを落とし、拾おうとしたときに手を踏まれけがをしてしまう
衣装贈呈式の時にはなんとかポーズを作ったが 
大事な職人の手が使えなくなり社長から首を言い渡される(具体的なセリフはないけどそんなシーンではなかったかと)

こっからがクライマックス

桐生のローカルアイドルがめめたんが東京でデビューすることになり、東京に行くことになる
「東京にみつかる」
わかりやすい例で言えば橋本環奈のようなことが起きたわけです
めめたんはいなくなりました
父親から手作り衣装を突き返され、耕平はもう生きていく気持ちが失せました

前半では整理整頓されてた部屋が終盤ではもうぐちゃぐちゃになってる

かつての職場で自殺を図るのです
天井の梁に布をかけ自作の衣装を身にまとい、首つりを計る
だが、ケガした手で結んだ布が重みで切れてしまい落ちてしまう
自殺が出来ず耕平は涙を流す
物音に気付いてやってきた社長が自作の衣装を見て「耕平さんが作ったのか」
耕平の才能に気付く社長

ラストシーン 耕平の衣装を着たアイドルがステージで歌ってる
遠くで地下アイドルプロデュース業を始めた社長、傍らには衣装担当の耕平がいた
耕平はヲタを超えて運営側に堕ちてしまったのだった


ヲタ側からすると良いハッピーエンドなんだよなあ
だが前回のトークショーで参加した、トマトゥンパインをプロデュースしたジューン・スー女史によると「これからが地獄」と(^^;
運営の大変さを知ってるなと ソロアイドルは売れないからなー(^^;

アイドルは次のステップに行くと今まで支えたヲタを切る、それでもついていくヲタは残るけど
そして自分への想いを残さないように感謝の手紙さえつけずに突っ返す
またそれも一つの手かもしれない
だいたいいちいち個別対応してたらきりないものなあ
耕平から見ればめめたんは一人だけどめめたんからみれば耕平がいっぱいなわけで(^^;
(浮気してない前提で)妻や恋人のように一対一ではないのだよ

ヲタが若い女の子が好きなように、アイドルも若い男が好きなんだよ
おっさんは目立つことはせず遠くで見守るのがいいんですよ

ラストシーンのアイドルステージに集まったヲタは元めめたんヲタだったりする(^^;
ヲタとはそんな現金なとこがあって失ってもまた新たにアイドルを見つけて萌えるものなのだ

ラストシーンの耕平はいつものジャケットの下に黄色いめめたんシャツが見えている格好だ
あのアイドルの向こうにめめたんを見てるのだろう
初恋が心に何時までも残るように

ヲタ感情に訴え、納得できる映画でした
村山監督にまたアイドルを題材に撮ってもらいたいな
アイドル全く関係なくても次の作品が期待できるなと思いました
今度は1000万ぐらい持たせて長編を作ってもらいたいな

桐生という場所を借りただけで中身はドルヲタ映画
桐生の宣伝としていいのかなあと思うが映画祭の人はあんまりこだわりがなかったそうですと監督の話
屋外のアイドルステージのシーンにもうすこし一般人らしい人が見ててもよかったが70万の限界か?

村山監督は以前アイドルの仕事で映像を作ったが上映しても誰も見てくれなかったという苦い経験があり
こうやって人に見てもらうことが本当に嬉しいと言ってたな

クリエイターはそういうものだろう 利益が出る出ないよりも作品をみてもらうだけでいいんだよね
自分もまた昔、小説なぞ書いたことがあって知り合いに回し読みしてもらって読んでくれただけでもうれしかったもの
歌ものアイドルだって握手やチェキよりも歌ってる、踊ってる自分を一番見てほしいはず
だから必ず見てあげてる


トークショーの後、店の外にめめたんの衣装が展示されてました、


めめたん衣装