VRIOとは、Value(経済価値)、Rarity(希少性)、Inimitability(模倣可能性)、Organization(組織)の頭文字をとったもので、企業の競争優位の源泉となる強みを生み出す経営資源は何かを、この4つの視点で分析する、アメリカの経営学者であるジェイ・B・バーニーによって提唱されたフレームワークです。

 

このフレームワークで、ジャズ・クラブがより繁盛するための施策を考えてみたいと思います。

 

VRIO分析の考え方をジャズ・クラブに適応させて簡単に言うと、

そのジャズ・クラブに経済価値があり⇒Value(経済価値)

その経済価値を生み出すものが、他のジャズ・クラブにはないものであり⇒Rarity(希少性)

他のジャズ・クラブは真似しようと思っても真似できないものである⇒Inimitability(模倣可能性)

 

場合に、そのジャズ・クラブはずっと繁盛するということになります。

 

当たり前と言えば当たり前ですが、こういった当たり前のことを筋道立てて考えてみると、意外と普段は見逃していることに気が付いたりするものです。

 

まず、自店にValue(経済価値)があるかと問いかけてみましょう。

Value(経済価値)について、バーニーの本を読むと色々とややこしいことが書いてありますが、ここでは、要は、ジャズファンがお金を出して来たくなるような価値を提供できるだけの能力を持っているかということだと考えましょう。

 

色んなミュージシャンをブッキングするだけ、ビールやワインを出すだけ、ちょっと高級なオーディオ装置が置いてあるだけ、そんなことで、本当にジャズファンがお金を出して来たくなるような価値を提供できているのかを、初心に帰って、謙虚に考える必要があるかもしれません。

いろんなミュージシャンをブッキングするだけなら、ジャズ界にちょっとした人脈があればできてしまうかもしれません。それだけで価値だと言えるのでしょうか?

 

次に、Value(経済価値)があるとした場合に、その経済価値を生み出すもの(能力)が、他のジャズ・クラブのどこでもが持っているものであったら、他店との差別化はできません。同じような価値を提供するジャズ・クラブがひしめき、その中で選ばれる店になるための熾烈な競争になります。

提供される価値を生み出すものは他店にはない能力によって生み出されるものでなくてはなりません。

自店は、他店にはない能力をもって自店独自の価値を生み出しているのかどうかを、じっくりと考えてみたいものです。

自店は他店にはない能力をもって自店の価値を生み出しているとすると、次に、その能力は他店にも簡単に真似されてしまうものかどうかを考えてみましょう。

簡単に真似されるようでは、すぐに珍しいものではなくなってしまい、差別化できなくなってしまいます。

 

*小さな店の話なのでOrganization(組織)の視点は省きます。

 

こんな風に考えていると、ジャズを深く愛する気持ちと、ジャズへの深い知識は大切だなと思います。

あとは、長くやっているという老舗の風格とかブランド力。

 

ジャズのレコードが10,000枚揃っているという価値は簡単に真似されてしまいますが、10,000枚のジャズのレコードを聴いたという経験をもつマスターやママがいるという価値は簡単には真似できません。

色んなミュージシャンが出演するということは、それほど大きな価値を生まないかもしれませんが、マスターやママが本当に聴いて欲しいと思っているミュージシャンを信念をもってブッキングしているということは大きな価値を生んでるような気がします。

 

また、そんなジャズに対する深い愛と知識でやっているジャズ・クラブの場合は、往々にしてサービス業としての基本ができていない場合が多いですが、お客様に気持ちよく聴いていただくためには、そういったサービス業としての基本的なスキルも重要な気もします。

 

さて、Sweet Rainはどうでしょうか?

 

ジャズを愛して半世紀のママの愛情と知識に裏付けられたブッキング、その上、他のジャズ・クラブではなかなか食べることができない美味しい手作り料理があり、小さな店にしか出せない極上の音響空間がある。

 

これで、サービス業の基本ができていない週末マスターさえいなければ、完璧ではないでしょうか・・・

 

*話を簡単にするために、経営学的な緻密な議論にはしていません。経営学が専門の方、ごめんなさい。

 

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