「生あるもの、人間はいつか必ず死ぬんだよ。」といった院長の言葉はちひろの頭の中にいつまでも残っていました。

 

残雪に覆われた田んぼと奥羽山脈の山々(村山市)

 

ちひろ:「犬の寿命も最近では長くなっているけど、10~15年くらいかな。犬の寿命はヒトよりはるかに短いし、もっとかわいがってやらないと・・」

 

院長:「犬や猫もヒトもみんな寿命、賞味期限があるんだよ。高齢者の終末期医療に携わっていると、『食べられなくなった』と相談されることがよくある。これは死期が近づいてきたひとつのサインだよ。いわゆる『枯れ始めた』ということかな。そのあと次第に衰弱して行くんだ。

点滴や胃瘻で栄養管理をしても結局、亡くなってしまう。いくら栄養をあげても体が栄養を受けつけなくなるんだな。むしろ医療行為をするとかえって苦しんでしまうことが多いね。

人間は口から一滴の水も入らなくても7~14日、水分のみ摂取できたら約1カ月生存できるといわれているんだ。そのあとは衰弱して老衰死してしまう。

でも自然に任せて死んでいく老衰死は、外見上苦しそうに見えても本人は苦しくないんだ。意識レベルが低下すると、脳内からモルヒネ様物質が出ていい気持ちになり、幸せムードになるからね。人間の自然な最期は苦しくないようにうまくできているんだよ。

フランスでは『老人医療の基本は、本人が自力で食事を嚥下できなくなったら、医師の仕事はその時点で終わり、後は牧師の仕事です』といわれるそうだよ。西欧と日本との死生観の違いだね。

西欧ではキリスト教の考え方がベースにあり、人間の尊厳を尊重し、神、自然の摂理に従い、無駄な延命はこれらに反する行為とみなされる。だから、寝たきりの患者さんはあまりいないんだ。むしろ終末期の患者さんに不必要な医療をするとアメリカなんかでは医師が罰せられる法律があるくらいだからね。延命のために胃瘻なんか増設すると虐待しているとみなされてしまう。

一方、日本は無宗教、仏教徒が多い。死をタブー視し、死ぬことは医療の敗北であり、宗教の領域という考え方だ。だから、治る見込みのない高齢の患者さんに延命処置をして、寝たきりになってしまう人が多くなってしまうんだ。日本では終末期の患者さんに対する不必要な医療の法制化がなされていないから各主治医に方針が委ねられることになる。

我々医師も大変なんだよ。病院の医師、介護施設の医師、開業医でも立場によって対処の仕方が異なってくるしねえ。」

 

ちひろ:「高齢者の終末期医療では、国やそれぞれの人の宗教観で死生観に違いがでてくるんですね。」


院長:「そうなんだよ。死生観は人間としても、アニマルセラピストとしても必要なことだからね。よく勉強して、自分なりに考えをまとめておいた方がいいと思うよ。」
 

春間近、久しぶりに降った雪がまるで花のように木々に咲いていました。

 

残雪の果樹園、大森山(標高280m)(東根市)

 

雪の花咲く街路樹のハナミズキ(東根市)

 

雪の花咲く木(東根市)

 

ハナミズキの雪の花
    

                       
(平成29年3月11日)

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