101歳の誕生日を迎えた在宅患者さんの訪問診療を終えた後、院長はちひろに尋ねました。

 

桜草

 

院長:「無事、101歳の誕生日を迎えられてよかったね。さて、日本は今、超高齢社会になっているけど、100歳以上の人口はどのくらいか知っているかな?」
 

ちひろ:「・・・」


院長:「平成28年の敬老の日に新聞に載っていたデータでは約6万5千人だよ。そのうち女性は87.6%、男性は12.4%なんだ。圧倒的に女性が多いんだよ。」
 

ちひろ:「東根の人口は4万7千人、大和が23万4千人だから・・・。でも、わたし、女でよかったわ。長生きできるんでしょう?」
 

看護師:「でも、長生きはいいことばかりじゃないのよ。」
 

院長:「そうだよ。長生きすることは一般にいいことと思われているけど、意思表示もできず、寝たきり状態で介護されている高齢女性が多いということでもあるんだ。

おしりに床ずれができ、胃瘻(いろう)から経管栄養で管理され、意思疎通もできず、生きるというより生かされている状態の人は介護施設にはたくさんいるよね。果たして御本人はどう思うだろうね。

平成27年の日本人の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳だよ。男性は世界4位、女性は2位なんだ。江戸時代では男性27.8歳、女性28.6歳、昭和10年では男性46.92歳、女性49.63歳だ。現代は江戸時代の約3倍の平均寿命になっているんだよ。

では、健康寿命って知っているかな。」
 

看護師:「また、院長のミニ講義が・・・」
 

ちひろ:「・・・」
 

院長「健康寿命は、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間なんだ。

厚生労働省は健康日本21(第2次)で健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指している。 平成25年のデータでは、男性71.19歳、女性74.21歳なんだ。平均寿命と健康寿命の差がなんらかの介護が必要になる期間ということだよ。

単純に計算すると、男性9.6年、女性12.84年となり、女性は介護される期間が男性より長くなるんだ。だから、統計上、女性は長生きするけれども介護される期間も長いことになる。

意思疎通もできず、寝たきりで生かされている状態の人には女性が多くなるのもわかるよね。」
 

ちひろ:「そうなんだ。長生きもいいことばかりではないように思えてきました。」
 

院長:「苦しんで長く生きるか、楽しんで短く生きるかということになるね。どちらがいいか答えはなく、個々人の考えや受け止め方で異なってくるんだ。死ぬまでの間の生き方、よく生きるということ、つまりQOL(Quality of Life:生活の質)が大切になってくるよね。 

今日、101歳の誕生日を迎えられた在宅患者さんは御家族に介護され幸せだけど、必ずしもそうとは限らない人もいるからねえ。」


クリスマスローズ

 

ちひろは、院長の話を聞き、「長生き」について多角的な視点に立って物事を考えることを学んだのでした。

 

パフィオペデイルム
 

                          
(平成29年2月19日)
 

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